Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

場所を定める比較対照

2008-02-22 | ワイン
歩いたワインの地所の印象を残しながら赤ワインを試飲する。ピノノワールもしくはシュペートブルグンダーは赤ワインとは言いながら土壌の味が最もワインに出易い。

既に書いたようにオーデンヴァルトの盛り上がりは、貝殻層に砂や泥のローム層が乗っていて、ワイン土壌としては一般的にはつまらない。ダルムシュタット周辺では火山性の隆起もあるようだが基本的には、石灰質が上に出るぐらいの単調な土壌である。

そのような理由からシュペートブルグンダーは、リースリングとも代わり映えしないが、それはそれなりに特徴がある。推測するに砂地層がこの葡萄の生育に寄与しているものが多いのだろう。

細かくは確認出来なかったがセントゲリヒトの斜面の中には乾いて白っぽい珪素の比較的多い土壌が乗っている場所もあり、こうした土壌がベルクシュトラーセに散在する限り同様な特徴を持つ赤ワインが期待出来るのである。

今回開けた2005年産のシュペートブルグンダーは、少量の飲料でも腸が痺れる程のタンニンが強く利いているが、アルコール臭さにベリーの香りが旨く隠れていて、甘さを全く感じさせないのが良い。

実はこれを書きながら同じ地所のリースリング・キャビネットを開けた。それについては改めて記すとしても、やはり土壌の味が顕著にそして微細に出るのはリースリングワインであり、その味を参考にして再びピノノワールを吟味するとその特徴が浮かび上がってくる。

要約すると、ミネラル質の味のきらめきが薄い分、果実風味などがそれに変わって表に出てくるとどうしても甘みを感じるのだが、これらのワインにはそうした柔な味はなくて、あくまでも土壌の味が深く潜んでいるのである。

その味は、モーゼルのスレートでもラインガウの花崗岩質でも、ナーへの火山性でもプファルツの雑食砂岩でもないどんよりとした灰色っぽい味なのである。それでも最も一番近いのは、ラインガウだろうか。

翌日になって、古くなったバナナの香りが出てくる一方、新鮮な香りが消えると、些かとっつきが悪く仏頂面のワインとなる。これに更に旨味をつけるとザクセン地方のシュペートブルグンダーにも似ている。

だから、このシュペートブルグンダーは、味の強い鹿料理やイノシシ料理にはもってこいであり、肉の苦味をすっきり消してくれるのである。バーデン地方のカイザーシュテュールの火山性の土壌の赤ワインも捨てがたいが、食事をもっとも楽しませてくれて、赤ワイン独特の胸が一杯になるような重さを感じさせず且つタンニン豊富で深みのあるベルクシュトラーセのシュペートレーゼは最もブルゴーニュに近い食事に嬉しいドイツの赤ワインではないかと考えている。



参照:
裏町のパブリックな対応 [ 試飲百景 ] / 2008-02-18
西日のあたる森の開花 [ 暦 ] / 2008-02-19
コメント (2)
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