プレゼントに赤ワインを調達した。「また、一本か二本だけ買って、試飲で飲み倒したな」と言われた通り、ついでに月初めに発売されたグランクリュワインをすべて試飲する。
売り切れていなくて飲めるものを五種類並べて貰う。先ずは、ウンゲポイヤーと呼ばれるビスマルク推薦の地所のものである。なによりも感じるのはスパイシーさで、少しペパー風味が良い。同時に一種のタンニンのような、春に飲んだ2001年産が何時の間にか口を麻痺させたような感じにするフェノールの成分の趣を感じさせる。
二番目はその地所に隣り合う玄武岩土壌のペッヒシュタインで、少し苦味がこの土壌としては珍しく気になる。ここでライヴァル醸造所で試飲したホーヘンモルゲンの苦味と一致しているのに気が付く。
三番目には、ここビュルックリン・ヴォルフ醸造所のホーヘンモルゲンを試すと非常にフローラルな感じで気持ち良い。バッサーマン醸造所と隣り合う地所であるが、この違いは何処から来るのか興味尽きない。
四番目には、カルクオッフェンのマッチを吸ったような独特の個性と既にそれを愉しめるのを確認する。
五番目には、ガイスブールの味の豊かさを感じて、これも2003年のそれなどに比べるとエレガントさも欠けずに飲める纏まりを感じる。
そうこうしている間に、リュックサックを担いだハイカーのおばさん二人がやってきて、幾つかを試飲しだして、グランクリュにも関心を示し出す。
それのホーヘンモルゲンを試してみてあまり良い反応を見せないのを素早く察しとった店の者は、「こうしたものは、土壌の個性とかが分かってないと今の段階ではあまり判断出来ませんからね」と言い、当方に「何年のグランクリュから飲んでます」と話を振る。
「僕なら、もうあとに残らないから今この中から選べと言われれば、ホーヘンモルゲンとペッヒシュタインとガイスブールを買うね」と宣言すると、ご婦人は「それなら古い2005年のはどうなのかしら」と更に関心を示して、おばさん同士でなにやらひそひそ話をした後で、それを購入する。
その間こちらは、グランクリュ試飲よりも先に飲んでいたビューリックとゲリュンペルの後者に軍配を上げながらも、最終的には成長したオルツヴァインのヴァッヘンハイマーを購入する気持ちを固める。
「そう言えばお宅の2006年のLMは通常より早く蜂蜜香が出てきてまた面白くなってきたよ」と自慢すると、店の者は「あれ買えなかったんで」と残念がるので、「まあ、先に目をつけとか無きゃ駄目よ、なんなら、オークション価格で売ってあげようか」と冷やかす。
そしていよいよお目当ての赤ワインである。2006年度は周知のような腐りが激しかったため、A・クリストマン醸造所のイーディクで栽培したピノノワールSの発売を見合わせて通常のピノノワールにこれが入っていると言うのだ。そして万人の口に合うと言うが如く美味いだけでなく、その土壌を知っているものには殆どメロン風味と酸味が程よくバランスを採っているのに気が付くのである。
これは良いと考えていると、おばさん方はダイデスハイムまで歩いていきたいと道を教えて貰っているので、「通常の道路より、ワイン地所の中を通って行きなさい。一時間ほどで行けますよ」と勧める。
注文を終えて、徐に「いやー、2007年のグランクリュをもう一種類加えて六本ほど買いたいねー。残念だな一本足りないのはー、予約して取りに来てないのはある?」
「大丈夫ですよ。*キルヘンシュテュックでも特別にお分けしますよ」
「うーん、高いからな、じっくり考えなきゃ、まあ、安売りのヴァッヘンハイマーと赤ワインはまだ買うけどね」
当方は、一本をプレゼント箱に入れて三本を大事そうに抱えて、ふらふらと車に乗りこむ。「さて何処へ帰るのだったっけ?」
*売り切れのキルヘンシュテュック一本65ユーロ、イェーズイテンガルテン一本44ユーロ
売り切れていなくて飲めるものを五種類並べて貰う。先ずは、ウンゲポイヤーと呼ばれるビスマルク推薦の地所のものである。なによりも感じるのはスパイシーさで、少しペパー風味が良い。同時に一種のタンニンのような、春に飲んだ2001年産が何時の間にか口を麻痺させたような感じにするフェノールの成分の趣を感じさせる。
二番目はその地所に隣り合う玄武岩土壌のペッヒシュタインで、少し苦味がこの土壌としては珍しく気になる。ここでライヴァル醸造所で試飲したホーヘンモルゲンの苦味と一致しているのに気が付く。
三番目には、ここビュルックリン・ヴォルフ醸造所のホーヘンモルゲンを試すと非常にフローラルな感じで気持ち良い。バッサーマン醸造所と隣り合う地所であるが、この違いは何処から来るのか興味尽きない。
四番目には、カルクオッフェンのマッチを吸ったような独特の個性と既にそれを愉しめるのを確認する。
五番目には、ガイスブールの味の豊かさを感じて、これも2003年のそれなどに比べるとエレガントさも欠けずに飲める纏まりを感じる。
そうこうしている間に、リュックサックを担いだハイカーのおばさん二人がやってきて、幾つかを試飲しだして、グランクリュにも関心を示し出す。
それのホーヘンモルゲンを試してみてあまり良い反応を見せないのを素早く察しとった店の者は、「こうしたものは、土壌の個性とかが分かってないと今の段階ではあまり判断出来ませんからね」と言い、当方に「何年のグランクリュから飲んでます」と話を振る。
「僕なら、もうあとに残らないから今この中から選べと言われれば、ホーヘンモルゲンとペッヒシュタインとガイスブールを買うね」と宣言すると、ご婦人は「それなら古い2005年のはどうなのかしら」と更に関心を示して、おばさん同士でなにやらひそひそ話をした後で、それを購入する。
その間こちらは、グランクリュ試飲よりも先に飲んでいたビューリックとゲリュンペルの後者に軍配を上げながらも、最終的には成長したオルツヴァインのヴァッヘンハイマーを購入する気持ちを固める。
「そう言えばお宅の2006年のLMは通常より早く蜂蜜香が出てきてまた面白くなってきたよ」と自慢すると、店の者は「あれ買えなかったんで」と残念がるので、「まあ、先に目をつけとか無きゃ駄目よ、なんなら、オークション価格で売ってあげようか」と冷やかす。
そしていよいよお目当ての赤ワインである。2006年度は周知のような腐りが激しかったため、A・クリストマン醸造所のイーディクで栽培したピノノワールSの発売を見合わせて通常のピノノワールにこれが入っていると言うのだ。そして万人の口に合うと言うが如く美味いだけでなく、その土壌を知っているものには殆どメロン風味と酸味が程よくバランスを採っているのに気が付くのである。
これは良いと考えていると、おばさん方はダイデスハイムまで歩いていきたいと道を教えて貰っているので、「通常の道路より、ワイン地所の中を通って行きなさい。一時間ほどで行けますよ」と勧める。
注文を終えて、徐に「いやー、2007年のグランクリュをもう一種類加えて六本ほど買いたいねー。残念だな一本足りないのはー、予約して取りに来てないのはある?」
「大丈夫ですよ。*キルヘンシュテュックでも特別にお分けしますよ」
「うーん、高いからな、じっくり考えなきゃ、まあ、安売りのヴァッヘンハイマーと赤ワインはまだ買うけどね」
当方は、一本をプレゼント箱に入れて三本を大事そうに抱えて、ふらふらと車に乗りこむ。「さて何処へ帰るのだったっけ?」
*売り切れのキルヘンシュテュック一本65ユーロ、イェーズイテンガルテン一本44ユーロ