Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

つまらないことはない

2008-12-03 | ワイン
朝からと言うか夜中からファックスなどが入っていて、朝食抜きで処理してしまった。つまらない要件なのだが、早く済ましてしまわないとクリスマス時期に重なると面倒な事になる。昼は昼でゆっくりしている時間もなく様々な事に追われて、冷蔵庫になにも無くなり掛けているので予定通りスーパーに寄る。帰り道には寒い中を散歩とばたばたとしていると、夕食はロール肉の塊にちょっとまたワインを開けたくなるのだ。

先日来、失望も多かったので、既に飲む時期を越えたかもしれないリースリングを思って開けてみた。既に入手困難になったフォン・ブール醸造所のキーセルベルクという男っぽいリースリングである。お隣のバッサーマンヨルダン醸造所の看板のような土壌のワインであるが、2007年は今までで最高のキーセルべルクを提供している。

アルコールも12.5度と大変高いキャビネットでありながら、決して重くはなっていなかったのはこのヴィンテージの鋭い酸のお蔭であろう。だから、春の時点ではヴォンブール最高のワインには違いなかった。

さて、つまらない要件ばかりこなしてまたつまらないワインかなと思いきって開けてみて驚いた。マルメロの味などがしてなかなか通向きのリースリングである。これならば、フォン・バッサーマンのそれよりも現時点では上回っているかもしれない。その透明さは、嘗てのバッサーマンのウンゲホイヤーシュペートレーゼに通じるもので、それをストラドィヴァリウス喩えればこれはグァダニーニぐらいの域に達している。兎に角、素晴らしい。

給仕をやっている子に聞かれるままにちょっと小ワインセミナーを授けたのだが、お客さんに「クリストマンとヴォルフとブールとツィマーマンの違いを教えて」と問われてなんと答えるか?

彼女が言うとおり色が違う、だんたんと薄くなってくる。つまり、色濃い味のクリストマン、力強さと香りのビュルックリン・ヴォルフ、都会的でスッキリしているブール、痩せたツィンマーマンとその色の通りなのだ。

それを説明して、天然酵母を使うため長く浸ける行程や、培養酵母を徹底的に使う方法、比較的短い時間でステンレスを上手く使う方法など、それらの根拠として説明すると、普通のお客さんはなんと思うだろう。

お客さんに「一帯そんなこと何処で習ったのだ」と問われたならば、「高級ワイン協会の隠密から」と答えておけと言っておかなければならない。


追記:フォン・ブール醸造所のキーセルベルクの残りを翌日に飲む。酸もアルコールも落ちて苦味が前面に立ちはだかっていた。やはり、バッサーマンヨルダンのそれには及ばない。もう暫らく熟成するとバランスが崩れるに違いない。今がそれも初日が最高であった。
コメント (2)
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