Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

若くて良し、熟して良し

2008-12-22 | 試飲百景
先日奨めて貰ったグランクリュワインの報告と、年違いのワインを買いに行った。なんと言っても、女性向けグローセスゲヴェックスという印象を持たされてしまうと男は弱い。

クリーミーな2004年産に対して2007年産は更に良くなるだろうと感じたのを語ったのだが、同意は得られなくともその印象は決して新鮮なワインを試しての印象だけではないと考えている。

なによりも「ミカンの皮の味」は、七味唐辛子にも入っていて、手洗いの除臭剤代わりにも使われているのみならず、この「クリスマスの季節の香り」がするのである。もう一度それを試させて貰うが、考えていた以上に今消費しても決して悪くはない。まだあまりワインらしさはないが、それでもキャラメル詰め合わせの白いオレンジ味のヌガーのように楽しめる。

「魚にもなかなかいけるよ」と、食事との合わせ方もその印象ほどに難しくない。難しくないミネラル風味が纏まった感じでしかでないのがどうもフロインドシュトックの特徴のようで、石灰のするっとした感じと雑食砂岩の味わいが上手く丸く纏まっているのだ。同時に程度な酸と糖分が女性らしさというか、毳々しくないこが小顔の女性の纏まりを感じさせる。

そのような造作のおとなしい美人ワインで男好きさせる派手さがないが、それが余計に女性の受けを容易にする良い点のようだ。だから、香りも仄かで同じ2007年産のウンゲホイヤーに比べるとぐっとおとなしい。

そうした美徳を確認する前に、先ずは奨められたキャビネット類から試飲する。ヘアゴットザッカー、そしてシュペートレーゼのムーゼンハング、ヘアゴットザッカー、ラインヘーレ。最初のものの元気のなさと、二つ目の酸の良さと、三つ目の過熟成葡萄の強さを確認していると、親仁なお客さんが入ってきた。

初めからグランクリュのペッヒシュタインを探していると言う。生憎売れ切れであるが、どこの醸造所にあるか下調べして知っているようであった。こうした状況になると、此方は直ぐに醸造所側の人間になってしまうのである。結果的には、先に出てきたのでその成果はわからなかったがなんらかの効果を与えただろうか。

それで、キーセルベルク、フロインドシュトュック、ウンゲホイヤーの土壌のグランクリュワイン一通りをご相伴する事になった。先週試飲した時よりも、態々倉庫に取りに行って開けたキーセルベルクは酸が効いていて好印象を与えた。と言う事は、キーセルベルクは早飲みである事をも証明していた。

営業妨害にもならない範囲で、「早飲みで、後になると砂の味になりまっせ」と親仁にも忠告しておいた。

ウンゲホイヤーの香りを、「幅広い香り」と表現した親仁に、「しかし、あまり寝かせると独特のスパイシーが目だって苦味になる事がありますよね」と言うと、「古いのに飲みなれていないとね」と反論された。人によって灰汁に強い者と弱い者がいるのでこれはなんとも言えまい。

親仁のペッヒシュタイン愛好は、やはり単独でも飲むか魚料理と合わせることにあるようで料理法を尋ねると、「ブイヤベース風に煮込む」ようであり、トマトでなく上手く香辛料を組み合わせればなるほど玄武岩のミネラル風味に良いだろう。

どうしても魚料理となると焼くか、テリーヌか、燻製か、ソースを付けて楽しむ事しか考えないので、ペッヒシュタインとは別に後半に挙げた魚料理になると上のようなフロインドシュトュックが悪くないと宣言しておいた。

兎に角クリスマスプレゼントにはなんか良い感じなのである。鯉に煮込みなどにはどうか判らないが、上手くソースに合わせたいものだ。自分用にも買い置きするが、丁度若旦那が入ってきたので、これを褒めておいた。

売り子の力もあるが、やはり2007年産は醸造所にとっても飛躍の年となるだろうか。「少なくとも二年」というように、もう少しワインらしくなるのを待って楽しみたいと思っている。

若くて良し、熟して良しの美しい女性のようなグランクリュワインである。



参照:
温かみある地所の名前 [ ワイン ] / 2008-12-15
研ぎ澄まされた辛口 (新・緑家のリースリング日記)
コメント
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