Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

あまりにも短い一生涯

2008-12-12 | ワイン
ここ一週間に飲んだワインについて忘れぬ内にメモを取っておく。

何よりもの成果は、2007年産のワインは夏を過ぎて再び味が出て来ていることだろう。夏過ぎには完全に谷へと入っていた単純なハウスヴァインであるミュラーカトワールのMCリースリングを開ける。

驚いた事に気が抜けたようなそれが再びワインらしく桃の香りを湛えているではないか。初めから超辛口であったので旨味はないが、ワインらしいく熟成して来ていた。これは残りをまた調達にいかなければいけないかと思い気やあくる日には完全につまらない酒に変わっていた。

同じ価格のキャビネットであるが、ゲオルクモスバッハーのハウスリースリングはそれに比べてさらに旨味が増している。快いミネラル味がオレンジの皮の風味を湛えてきていて、2006年に続き今年も最高級の日常消費リースリングを提供している。腐りの年の2006年のQbAとは異なり、これはあと一年ぐらいは問題なく楽しめそうな立派なワインである。

場所をライン平野の向こう側に向けると、ベルクシュトラーセのべンツハイムの2006年シュタインコップのシュペートレーゼを開けた。アルコールも13.5%と高いのでまだ開けるには早めであったが、その土壌を考えると新鮮味が残っているほうが少しでも飲み易いだろうと考えて飲み干した。

こちらはレモンの皮の苦味のような味がベースにあって、その土地柄と同じで小さく固まっている感じでワイン街道の大らかさとは対象的である。なによりもこちらでは土壌のベースになる雑食砂岩でなくその上に乗ったユラ層土壌の葡萄ではどうも風味が広がらない。シュペートブルグンダーと違ってリースリングは、どのような土壌にも栽培するにしてはあまりにも繊細すぎる。それなりの食事に合わせたつもりではあるが。

本日、今年はどうかと思っていた醸造所からのクリスマスプレゼントが届いた。過去に多少は売り上げに貢献しているとしても、最近は本当に僅かな購入であって ― 凝りもせず真面目に忌憚ない批判をさせて頂いて ― 新聞や雑誌の定期購読推薦のように方々で奨めさせているとは言え、今年はもっとも価値のある2007年産エルステスゲヴェックスを頂戴した。しかし良く考えれば、他の贔屓の醸造所ではしこたま試飲しているので、それを換算すればこれぐらいの販売協力費ではないかも知れない。

兎に角、試飲した2007年産のなかでは、キャビネット辛口と並んでその透明感だけでも間違いのない品質であった。その土壌グレーフェンベルクは、長く毎年購入しているのだが本格的なグランクリュとなってからはまだ三年ほどだろうか。前回に開けた2005年はまだシュペートレーゼであったが、このエルステスゲヴェックスはまだ熟成してから家で開けた事はない。試飲の印象からそれへの期待はかなりなのでなかなか開けられないでいる。2006年のシュペートレーゼを半年以内には試すので、そのエルステスゲヴェックスの飲み頃も徐々に見極めていかなければいけないだろう。

不味いワインを飲むには、人生あまりにも短すぎる。



参照:
買ってしまうグランクリュ [ ワイン ] / 2008-10-02
2006年産の良い地所 [ 試飲百景 ] / 2007-09-27
試飲百景-前書き [ 試飲百景 ] / 2005-01-22
コメント (2)
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