Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

理性的な振舞いの滑稽さ

2011-12-13 | 雑感
相変わらず絶好調とはいかない。夜中に目が覚めて疲れた。もう一つ胸がムカつくので、今夜も禁酒である。

ハイドンのオペラ「月の世界」は、カルロ・ゴルドーニによるリブレットらしいが、我々が知っているゴルドーニなどとは違って遥かにブルジョア文化の粋を集めたようなオペラブッファである。

恐らくゴルドーニのリブレット自体はもう少し灰汁が強かったのだろうが、ハイドンの手に掛かると綺麗に灰汁が抜かれて、高度なエンターティナーとなっている。啓蒙思想からの理性の劇であるので、作曲家の個性は良く出ているが、オペラとしては物足りない。

二人の女兄弟やその狂言回しからモーツァルト作曲のコシファンテュッテとも比較されるようでもあるが、同じ荒唐無稽の劇としても何よりも音楽の迫真性が違う。

面白いと思ったのは、姉妹の一人が「結婚は奴隷になるのと同じ」とするのに対して、一人が恋する天文学者は、普通の男と違って「月や天体を見るように、妻にも接するだろう」という期待を羽ばたかせる点で、まさにこうした主題がこのオペラと作曲家の持ち味なのだろう。それでも理知的な面で、もしくは記号論的な意味でももう一つ物足りない音楽劇であることも確かである。

同じような狂言劇となってもモーツァルトの姉妹とは大分異なるのである。実はそのモーツァルトのオペラについて三月に取り上げようと思っていたら、地震が起きて、とてもそのような機会が訪れなかったのであった。

バイロイトのヴァークナー祝祭有限会社から、チケット当選の連絡は来ていない。これで、無事2012年は再び落選のようで助かった。2013年の記念年に指輪四部作でバイロイトを再訪することがこれでほぼ決まった。



参照:
力関係を体現した名スザンナ 2011-02-17 | 女
ライン平野上に昇る月蝕 2011-12-11 | 暦
アポカリプス・ナウ 2011-11-01 | 暦
コメント
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