Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

我々のライフスタイルを代表

2014-09-30 | 試飲百景
ラインガウへ再び向かった。五月以来のロベルト・ヴァイル醸造所訪問である。今回はお連れがいたので、時刻などは制限されたが、その元行政裁判長の奥さんの意見などもとても参考になった。お目当ては、ラインガウ名産「カルタヴァイン」である。これは九月になるまでは発売されない。その細かな限定基準は知らないが、良い樽熟成と食間酒としての品質保証となっている。

今までも毎年出ていたリースリングには違いないが、今年の場合はいくらか意味合いが違ってきている。先ずはその全体の格付けが、ビュルクリン・ヴォルフ醸造所がリードしたブルゴーニュシステムがVDPで厳格化されたことで、グレーフェンベルクがグランクリュでしかなくなったことである。また、春に試飲会が催されるようになって、初物ワインとしてラーゲンヴァインなどが紹介されて、このカルタとグローセスゲヴェックスが秋の試飲会の御披露目となるのだ。するとどうしてもこの名産品に新たな価値を求めることになる。

それは九月になってからこのために敢えて、自宅で春に最も良く出来ていたオルツリースリング「キードリッヒ」を試してみて、その感想は既に書いた。要約すると、春の鋭い酸が丸くなってきて、その土壌感を反映して若干重くなってきていることで、これは土壌だけでなくてその酸の質なども影響しているかもしれない。要するに谷にあるのだ。勿論若干瓶熟成が進むと芳醇なものになるとは予測されるのであるが。

そこで、様々な地所から集められたこのカルタの場合は、テロワールが強く反映しなくとも、最終的な味や質感が重要視されている筈で、同じ価格ながらそれなりの特徴を期待するのである。お連れも含めて皆の判定は比較的はっきりしていて、カルタに軍配が上がっていた。その理由は、その味質で、とてもよいバランスなのだ。そして恐らく樽熟成のお陰で酸が急に落ちることはないだろうから、一年ぐらいは十分楽しめるのではないだろうか。この辺りの質に関しては、ある程度信用してよいこの醸造所の実力である。一体この価格でこれに相当する質のリースリングにがあるだろうか?

さて、予約注文していたグローセスゲヴェックス「グレーフェンベルク」であるが、これも間違いなく進化していた。恐らく木樽の率も徐々に上がってきているのだろう。そして、予約注文価格で他のグローセスゲヴェックスと比較すれば、決して割高ではない。長期の瓶熟成の可能性では貴腐の入ったレープホルツ醸造所の「ガンツホルン」などとは異なり可也高く、テロワールの質や反映でもデンノッフ醸造所のそれに近いだろうか?

とても天気の良い戻り晩夏の一日だった。嘗てのラインガウのワインの優位性はそのテロワールから殆ど無くなってしまった。嘗ての名地所で今後も期待できるものは殆ど無くなって来ている。現代的な醸造法を駆使して、今日のライフスタイルを繁栄する高級ドイツワイン、これがVDPの目指すところであるとすれば、もう少しビオ栽培強いては天然酵母醸造に力を入れて欲しいが、この価格帯で求められる最も代表的なリースリングの一つであることは間違いない。



参照:
週末の走りと喉越し 2014-09-02 | 生活
初の13年ラインガウ試飲 2014-05-31 | 試飲百景
嗚呼、グレーフェンベルク 2013-09-26 | 試飲百景
コメント
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