Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

再びマイスタージンガー

2018-06-22 | 生活
我ながら嫌悪感に陥る、よくもこうもクラシックオタクのような事を毎日のように書いていられるかと思う。今年は例外としても毎年夏になると思考が鈍って、ボルダーリングのようなことを、森でマットに寝転んで空を見上げながら考えたり綴ったりしているのと変わらない。要するに暑さボケである。もう数週間もすれば夏も終わりだから仕方がない。

秋のオペラの券を発注した。九月末の記念週間の「マイスタージンガー」である。問い合わせまでに招待状も来なかったので仕方がない ― その間一通寄付願いが来ていて招待状かと思ったが違った。勿論寄付をしていれば招待された可能性が強い。寄付よりは安くつくので高額席を初めて発注した。招待日も入れて三日しか公演が無いので当たるかどうかは分からないが、注文を付けて発注した。その「マイスタージンガー」は2016年の初日シリーズ四日目に出掛けたが、立見席で音響的にも視覚的にも悪かったので、是非いい席で見納めておきたかったのである。その後のストリーミング放送も配役が悪く、ミュンヘンでのマクドナルド銃殺事件のために延長されてカウフマンは居なく、来年に再び撮影される事になっている。色々と条件が揃わないことが残念な公演となっている。

今回は記念公演で、通常公演枠乍ら配役が初日シリーズやフェストと同じぐらいに素晴らしい。カウフマンの代わりにフォークトが入り、ポーグナーもあのツェッペンフェルトの朗々とした歌声が楽しめる。そしてこの演出には最も重要なアイへのベックメッサーとなっている。なんと言ってもフォークトの風来坊にはカウフマン以上の当たり役が期待出来、コッホのザックスとの掛け合いも見もので、そこにアイへの小役人的な雰囲気が対するとなると、これまたハマる。また問題となっていたエーファもユリア・クライターという人が入っていて視覚的にも悪くはなさそうである。そこにツェッペンフェルト扮するBMWディーラーの親仁が存在感を放てば全く文句の付けようが無い。
Trailer DIE MEISTERSINGER VON NÜRNBERG – Conductor: Kirill Petrenko

Video magazine DIE MEISTERSINGER VON NÜRNBERG – Conductor: Kirill Petrenko

Meistersinger München 08-10-2016 pt2 ending

Jonas Kaufmann & Julia Kleiter⭐Im Tonstudio/aus Korngolds 'Tote Stadt'


だから来年の公演よりもこちらの方がいいのだ。映像で細かなところを観ていると、音楽至上で舞台ぐらいはどうでもよいと思って、天井桟敷からだとやはり片手落ちになっていると気が付いた。よく出来た演出の場合はその音楽的な価値と舞台がしっかりとシンクロナイズされているからだ。

そして今回は価格も穏やかだ。これも高額券を所望した理由でもあるが、なによりももうこれだけの公演がペトレンコ指揮で行われる機会はそれ程無いので、この辺りで特上席で体験しておこうと思った。これまで二回も通った公演は無く*、今七月の「三部作」が初めてとなるが ― これの二日目の券が再び六枚出ていて、内二枚は最前列コンサートマスター前あたりでこれはよかった -、券が入手出来ればそれに続くこととなる。今後通える公演となると「パルシファル」とか、今後あり得る「トリスタン」とかの限られたものとなりそうなのである。それに比較すると「ルル」などは比較的良い席で体験していて、充分に聞いているので、それほど視覚的な効果も無くどちらでもよい。

ツ・グッテンべルクの訃報が出ていた。晩年は氏の楽団と方々の音楽祭に登場して活躍していた。今年も多くのスケデュールがあった筈だ。古楽楽器団体という事になっているが、実際に氏がその方にどれほどの見識があったかは知らない。それでも嘗てはミュンヘンのカール・リヒターの楽団を率いていた。驚いたのはFAZにおいても文化欄に追悼記事が出ていたことだ。この新聞は息子の元防衛大臣を次期首相として推していた。グッテンべルク家はドイツで一番古い家系の一つで、ニュルンベルクからも遠くないバイロイト郊外の十三世紀からのグッテベルク居城に、故人も住んでいた。そのような家系の跡継ぎとして、来週の「パルシファル」初日に臨席するバイエルン国王ヴィッテルスバッハ家の騎士に名を連ねていた。また大叔父さんはヒットラー暗殺計画の一人として有名で、父親も戦後はキリスト教社会同盟の創始者の家庭だった。死亡広告には息子さんの元大臣やその奥さんのビスマルク夫人などが長い名を連ねている。我々にとってはダイデスハイムのフォンブール醸造所のオーナーとして馴染みだった。

*実際には二月の「神々の黄昏」は二度目だった。



参照:
社会的情念の暴力と公共 2016-06-01 | 音
寿限無 食う寝る処に住む処 2010-12-13 | 文化一般
コメント
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