ムーティ指揮シカゴ交響楽団最後のツアーが迫っている。そこで演奏される一曲メンデルスゾーンの交響曲「イタリア」イ長調である。昨年暮れからLPを取り出してあったのはカラヤン指揮ベルリナーフィルハーモニカー演奏の1973年前の録音だ。
B面には「宗教改革」が入っていて全集になったのかもしれないが、あまり針を下ろしていなかった。なぜだろうと考えていたのだが、音を聞いてみてやはり魅力が薄い制作であったことが分かる。先ずは当時の評判の悪いDG録音も冴えない。録音コンセプトもはっきりせずに、ヴァイオリンを強調したようなバランスで非音楽的である。
それでもカラヤン指揮のメンデルスゾーンを聞くとやはりあまり得意にしていないのもよく分かる。浪漫派の音楽もメインレパートリーにしていた筈なのだが、管弦楽を持て余している感じが強い。やはり後期浪漫派の楽曲の方が上手だった。
楽譜も落としたので、参考音源もじっくりと探してみたいが、中々いいものが思い浮かばない。少なくともムーティがお手本とするカラヤン指揮では駄目だったとなる。
年末年始で一番素晴らしかったのは、クリスマスを入れて、やはりこのデルへェンだと思う。昨秋グローセスゲヴェックス回収に行ったついでに久しぶりに名うてのグランクリュをドライヴした。
やはりその土壌とミクロクリマからしてナーヘ流域ではこの醸造所が一番いい地所を持っていると思う。小さな田舎の醸造所であって、それほど経済力もありそうにはなく、更に土地柄所謂ブルゴーニュシステム導入には戸惑いが多かった筈だ。それでも少なくとも十年前にはこれ程立派なグローセスゲヴェックスを輩出している。
最後の一本となったデルヒェン2014年はポトリス風味はないのだが若干干し葡萄的な旨味と清潔な繊細さが丁度木樽熟成の広がりのような息遣いになっている。蔵見学をした記憶がないので質してみないと分からないが、とても上手に醸造している。そもそも先代がアイスヴァイン作りの名人であり、今でもその貴腐ワインの甘みの出方はこの醸造所が世界的に有名なエゴンミュラーなどよりは上である。酸の出方とそのバランスが絶妙なのだ。決してしつこくなったりすることがない。
そういうノウハウで以って辛口の本格的なリースリングを醸造するとこうなるという例であって、今更ながらその質を見直している。生産量も一般販売量も限られていて、春にしかし試飲会をしていないことから、特にそのグローセスゲヴェックスなどの樽試飲はやはりそれなりの見識と経験がないと判断が下せない。そしてそこに瓶熟成のポテンシャルを読み込むのは嘗てならユダヤ人ワイン商の専売特許であって、実際河下のビンゲンには後のフランクフルト学派のアドルノ家などがそれで商売をしていた。
そしてここの土壌の複雑さはステレオタイプなカテゴリー別けだけでは片付かない特徴づけが必要になる。色も未だ黄色くなく、まだ十年は寝かせれるが、もう十分に愉しい。酵母臭、硫黄臭一切無し、あるのは葡萄臭だけ。
当時と現在のグローセスゲヴェックスが異なる所はなによりもその醸造の高度な技術とその設備となる。温度管理も整っていて、香りを逃がさず、同時に自然な味の広がりがある。
参照:
ピリ辛感が残る最後 2017-08-22 | ワイン
菊牛蒡とタロイモの年始 2016-01-03 | 料理
B面には「宗教改革」が入っていて全集になったのかもしれないが、あまり針を下ろしていなかった。なぜだろうと考えていたのだが、音を聞いてみてやはり魅力が薄い制作であったことが分かる。先ずは当時の評判の悪いDG録音も冴えない。録音コンセプトもはっきりせずに、ヴァイオリンを強調したようなバランスで非音楽的である。
それでもカラヤン指揮のメンデルスゾーンを聞くとやはりあまり得意にしていないのもよく分かる。浪漫派の音楽もメインレパートリーにしていた筈なのだが、管弦楽を持て余している感じが強い。やはり後期浪漫派の楽曲の方が上手だった。
楽譜も落としたので、参考音源もじっくりと探してみたいが、中々いいものが思い浮かばない。少なくともムーティがお手本とするカラヤン指揮では駄目だったとなる。
年末年始で一番素晴らしかったのは、クリスマスを入れて、やはりこのデルへェンだと思う。昨秋グローセスゲヴェックス回収に行ったついでに久しぶりに名うてのグランクリュをドライヴした。
やはりその土壌とミクロクリマからしてナーヘ流域ではこの醸造所が一番いい地所を持っていると思う。小さな田舎の醸造所であって、それほど経済力もありそうにはなく、更に土地柄所謂ブルゴーニュシステム導入には戸惑いが多かった筈だ。それでも少なくとも十年前にはこれ程立派なグローセスゲヴェックスを輩出している。
最後の一本となったデルヒェン2014年はポトリス風味はないのだが若干干し葡萄的な旨味と清潔な繊細さが丁度木樽熟成の広がりのような息遣いになっている。蔵見学をした記憶がないので質してみないと分からないが、とても上手に醸造している。そもそも先代がアイスヴァイン作りの名人であり、今でもその貴腐ワインの甘みの出方はこの醸造所が世界的に有名なエゴンミュラーなどよりは上である。酸の出方とそのバランスが絶妙なのだ。決してしつこくなったりすることがない。
そういうノウハウで以って辛口の本格的なリースリングを醸造するとこうなるという例であって、今更ながらその質を見直している。生産量も一般販売量も限られていて、春にしかし試飲会をしていないことから、特にそのグローセスゲヴェックスなどの樽試飲はやはりそれなりの見識と経験がないと判断が下せない。そしてそこに瓶熟成のポテンシャルを読み込むのは嘗てならユダヤ人ワイン商の専売特許であって、実際河下のビンゲンには後のフランクフルト学派のアドルノ家などがそれで商売をしていた。
そしてここの土壌の複雑さはステレオタイプなカテゴリー別けだけでは片付かない特徴づけが必要になる。色も未だ黄色くなく、まだ十年は寝かせれるが、もう十分に愉しい。酵母臭、硫黄臭一切無し、あるのは葡萄臭だけ。
当時と現在のグローセスゲヴェックスが異なる所はなによりもその醸造の高度な技術とその設備となる。温度管理も整っていて、香りを逃がさず、同時に自然な味の広がりがある。
参照:
ピリ辛感が残る最後 2017-08-22 | ワイン
菊牛蒡とタロイモの年始 2016-01-03 | 料理