Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

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パンコウの金魚鉢

2024-01-31 | アウトドーア・環境
今回の旅の主目的とは別の興味があった。ベルリンのパンコウ地区への立ち入りだった。東ベルリンは壁の向こうで観光したことがなかったからで、当時もパンコウなどの奥には通常の観光ヴィザで入れたのかどうかは知らない。誰かを訪問とかそうした目的なしには難しかったと思う。それ以外で留学生などがそこに住居が宛がわれたのかどうかも分からない。

一般的にはホーネッカー書記長などの党幹部の住居があったりと特別な地域となっているのだが、中心地のミッテとその周辺事情との差異や境界がよく分からなかった。今回は嘗て厳しい検査を受けたフリードリッヒ駅から10キロほどの距離の住居での宿泊で未知の領域だった。壁がなくなってからも可能な限りクーダムへの郷愁を立ち切って東側で宿泊しようとしていたのだが、漸く叶った。

結論からすれば、やはり東ベルリンの奥は深く、違う世界を覗けた。例えば宿泊したところのオーナーは70歳過ぎでそこで生まれてずっと暮らしていると語った。近所の人の様子もそれに近くてとても均衡していて近所付き合いもしっかりしていた。昨年外国人居住区のようなドイツで最も多様化されているとされるノイケルンの近くに出かけたことから考えれば全く正反対の居住区である。

今回の宿は、実は都心部に住む嘗ての官僚の所謂週末の郊外別荘だと思っていたのだがそうではなく、息子であったオーナーが若い頃に離れとして住んでいた所のようで、母屋も含めて自身でリフォームしてきたところの様だった。近辺には新しい金の掛けた新築の家も建っていたが、多くは自然を生かした如何にもそれらしい家並みで、それでも畠はなかった。

都心部へのアクセスは渋滞さえなければ数カ所角を曲がれば20分も掛からずに車で到達できるのだが、その交通量から40分ほどを近回りしながら走る所であった。列車も近所の駅に行くまでに距離があり、最低自転車がなければ生活はし難そうでもあった。昨年ポツダム近郊で泊った時にも平地なのでサイクリングには好適ということだった。

途中にはやはりサブカルチャーも感じさせる庶民的な街並みもあり、近くには泳げる湖がありで、恐らく戦前ならば田舎だったのだろう。庭には、80センチ幅ぐらいの溝が掘ってあり、その上に小さな太鼓橋が掛かっているのだが、木の手作りなので滑るからゴムの足拭きのようなものが着けてある。そこを渡ると膝がガクガクする。何よと尋ねると金魚が二三匹いるんだぜと答えていた。まさか森鴎外の影響ではないと思うが、さて。

それどころか自分で作った家と柵の間に木造の箱がおいてあってブルーシートを被せて何を貯蔵してあるのかなと思って訊ねると、プールだというので驚いた。また子供向きのお遊びかと思って話を聞いていると、夏はそこで泳ぐのだと語った。怪訝な顔で聞いていると、腰にバンドを巻いてゴムに逆らって泳ぐことで健康維持するんだと、ほら此処にバンドがと見せた。

西ドイツで同じような試みがあったのかどうかは知らないが、なるほどこれならば東ドイツでも自宅でプール遊びが出来ただろうと思った。まるで巨人の星の養成ギブスのようなものであるが、まさかそれでは金メダリスト大量養成はしてなかっただろうなとも思った。



参照:
「世界十傑の美しさ」の街 2024-01-30 | アウトドーア・環境
空気配送郵便チューブ 2005-10-28 | テクニック
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