新制作ポルポーラ作曲「ポリフェーモ」フランス初演の批評はまだ出ていない。そしてフランス語の資料にも未だ目を通せていないのだが、イムプレッションを書き留めておきたい。
残り券でパスしているうちに悪い席に手を付けてしまった。劇場観劇では平土間が嫌いなので、出来るだけ上級市民の様にバルコンに座りたいが、更にその上から廉く管弦楽奈落を覗き込んで管弦楽の音を聴くのが好きである。その背景には、座付き管弦楽団の下手な演奏は視覚が欠けて音が上から跳ね帰返って来るのを聴くとなると何が何だか分からなくなる、それが嫌だからである。
その意味からは最初の音からして見事であり、平土間でも最も悪い席のバルコンの屋根の下で劇場に広がる音も聴けないのであるが、1100席を超える様ではあるが劇場の小ささもあって、それ程酷い音響ではなく明晰さがあった。恐らく楽器編成規模以上に指揮者エマニュエル・エイム指導のリルの劇場を本拠とする手兵ルコンセールダストレーの腕に依る所も多い。
勿論平土間の最大の強みは舞台に近ければその歌声を真っ直ぐと聴くことが可能なので上階よりもはっきりとその言葉を聴きとることが可能となる。今回はイタリア語である。しかし、平土間はA席から最前列のC席までに加えてD席が取られている。因みに最終列が19列で最前の1列同様にC席にD席が並ぶ。その差異は目の前にバルコンを支える鉄の柱があるかどうかの違いなのだ。
流石に条件は悪くても最前列ならば音が違うが、最後列や庇の下で85ユーロ払うならば61ユーロで十分である。そして幾分予想していた様に両サイドが空いた。一番端の補助席を購入した叔母さんが隣に移ったので、勿論私も一つ横のC席に移った。この辺りは後先で一悶着おきそうな感じである。
当然のことながらいざとなれば後ろに立っても考えていたので、ある程度は見込みがあった。そして、補助席のおばさんは字幕を庇の縁を下から覗くようにしてフランス語を読む。そしてその下にドイツ語が書いてあって、明らかに私は有利であった。ということで、偶然も重なりながら、比較的満足に行く席で鑑賞したことになる。
しかしここでもやはり庇の下には半額以下の若い人や通が集まっていて、明らかに天井桟敷の雰囲気があった。どこの劇場も似たようなものである。
そしてその出来栄えは、恐らく今シーズンフランスで上演される音楽劇場で屈指のものだったことは間違いなかった。この水準で、公演のことを忘れていなかったならば、倍の120ユーロぐらいは出しても決して悪いものではなかった。映像化されることを先ずは期待したいのだが、今後の反響の広がりなども注視したいとは思っている。制作自体がリルの劇場との共同制作という事なので、その予定もあるのかもしれない。
この劇場ではプフィッツナーやフルトヴェングラー、クレムペラーやスツェルなどが立て続けに音楽監督だったようなので、楽団の質にもよるがその往年の響きを思い描けることが出来た。(続く)
参照:
ストラスブールの市街地 2024-02-06 | 生活
今後の可能性を探る 2024-02-04 | 生活
残り券でパスしているうちに悪い席に手を付けてしまった。劇場観劇では平土間が嫌いなので、出来るだけ上級市民の様にバルコンに座りたいが、更にその上から廉く管弦楽奈落を覗き込んで管弦楽の音を聴くのが好きである。その背景には、座付き管弦楽団の下手な演奏は視覚が欠けて音が上から跳ね帰返って来るのを聴くとなると何が何だか分からなくなる、それが嫌だからである。
その意味からは最初の音からして見事であり、平土間でも最も悪い席のバルコンの屋根の下で劇場に広がる音も聴けないのであるが、1100席を超える様ではあるが劇場の小ささもあって、それ程酷い音響ではなく明晰さがあった。恐らく楽器編成規模以上に指揮者エマニュエル・エイム指導のリルの劇場を本拠とする手兵ルコンセールダストレーの腕に依る所も多い。
勿論平土間の最大の強みは舞台に近ければその歌声を真っ直ぐと聴くことが可能なので上階よりもはっきりとその言葉を聴きとることが可能となる。今回はイタリア語である。しかし、平土間はA席から最前列のC席までに加えてD席が取られている。因みに最終列が19列で最前の1列同様にC席にD席が並ぶ。その差異は目の前にバルコンを支える鉄の柱があるかどうかの違いなのだ。
流石に条件は悪くても最前列ならば音が違うが、最後列や庇の下で85ユーロ払うならば61ユーロで十分である。そして幾分予想していた様に両サイドが空いた。一番端の補助席を購入した叔母さんが隣に移ったので、勿論私も一つ横のC席に移った。この辺りは後先で一悶着おきそうな感じである。
当然のことながらいざとなれば後ろに立っても考えていたので、ある程度は見込みがあった。そして、補助席のおばさんは字幕を庇の縁を下から覗くようにしてフランス語を読む。そしてその下にドイツ語が書いてあって、明らかに私は有利であった。ということで、偶然も重なりながら、比較的満足に行く席で鑑賞したことになる。
しかしここでもやはり庇の下には半額以下の若い人や通が集まっていて、明らかに天井桟敷の雰囲気があった。どこの劇場も似たようなものである。
そしてその出来栄えは、恐らく今シーズンフランスで上演される音楽劇場で屈指のものだったことは間違いなかった。この水準で、公演のことを忘れていなかったならば、倍の120ユーロぐらいは出しても決して悪いものではなかった。映像化されることを先ずは期待したいのだが、今後の反響の広がりなども注視したいとは思っている。制作自体がリルの劇場との共同制作という事なので、その予定もあるのかもしれない。
この劇場ではプフィッツナーやフルトヴェングラー、クレムペラーやスツェルなどが立て続けに音楽監督だったようなので、楽団の質にもよるがその往年の響きを思い描けることが出来た。(続く)
参照:
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