Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

追従を許さない様式

2024-02-25 | 文化一般
月末発注をした。結局送料費節約の為に不要不急のものを早めに購入した。衣料防虫シートと靴クリーム、そしてお気に入りの密閉タッパをもう一つ。それで更に2ユーロ割引になったので、まずまずではないか。支払う頃には全て使い始めている。靴クリームにも肝心の普段の靴をその頃には購入していないといけないだろうか。同じコニャックの色合いが欲しいという事だ。

兎も角、エンジンオイルが比較的廉く入ったので、バーゼルに車を走らせる前に十分に給油しておける。しかし予定と異なったのはバーゼルシムフォニエッタの定期公演が日曜日だと分かった。つまりフランスのスーパーには立ち寄れない。要らない金は掛からないが、往復だけになる。14時過ぎ出かけて、帰宅は22時過ぎになるか。

ヒッチコックの「ブラックメール」は、以前にはラヴロマンスの様な無声映画を撮っていたので、この作品から有名なそのサスペンスの巨匠が表れているとされている。当日のプログラムをペトレンコ日本デビュー時に同行していたマルコ・ファイが書いていて、既にネット版が出ている。

とても興味深い。一つは、ヒッチコック映画のオリジナルの音楽を書いているロシア系ユダヤ人のベルナルト・ヘルマンの「サイコ」の仕事がショスタコーヴィッチの交響曲14番に影響していて、その映画音楽を再びヘルマンが指揮者として演奏していたということになる。そのヘルマンの総譜が一昨年に大きな話題となったIRCAM制作のエンゲル指揮「眩暈」のヴィーンモデルネンやパリでのそれとなっている。これにも目を通し絵とかないといけないのを忘れていた。書いているように自宅で映画を観るという行為がとても苦手なのである。

そして作曲を依頼されたハイデルベルク出身のエッガーは現在ミュンヘンで教職を取っているらしいのだが、そのヘルマンの仕事をとても重要視していて、ソヴィエト時代のシンセサイザーを使っての音響やその効果のあり方もフライ氏によって語られておいて、今回の作曲も通常の映画音楽作曲にするようなポイントを合わせて創作するというよりも場面の構造的な心理的な構造に従って作曲しているという。それによって従来の作曲語法に穴を開けていくという事の様である。ハースにおける音楽劇場やステンアンデルセンにおけるメディアなど表現を広げるための創作であるよりも先にそのものが創作動機となっている作品群が明らかに新たな地平線を拓いている。それゆえに今回の公演は独仏文化波ARTEで収録されて放映されることになっている。

プログラムで興味深いのは、首席指揮者テュテュス・エンゲルの紹介で、複雑な総譜の数々のオペラをやるスイスの指揮者というだけではなくて、考えられて演奏会プログラムの、追従を許さない様式的に広大なレパートリーの指揮者。音楽の二次的な意味を明らかにして、社会的に重要であるものを聴衆に届けることを希求しているとなっている — これは誰が書いているのか。その尋常ならざる成功は、プレスのみならず多くの人々からのものであるとして、その公演の大熱狂がこうして文章化されているのは喜ばしい。まだまだ玄人の世界では、この私がつめて確認したように、その活動の意味を十二分に消化できていないからであるのだが、こうしてジャーナルが定着していくことは望ましい。ARTEの最終的な出来はどうなるか分からないが、私が現場で観察するように、その公演のライヴ感を如何に映像化するかが重要なのである。
Alfred Hitchcock | The Man Who Knew Too Much (1934) Krimi, Mystery, Thriller | Film, Untertitel

Psycho • Main Theme • Bernard Herrmann

Bernard Herrmann - Vertigo Suite (1958)

AROTIN & SERGHEI / BRICE PAUSET: Vertigo / Infinite Screen - Klangforum / Ircam / Wiener Konzerthaus




参照:
お家芸の指揮棒飛ばし 2023-03-26 | 音
事件の真相は現場にも無し 2024-02-24 | 雑感
コメント
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