Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

収容所寝棚と展望台食堂

2006-08-02 | 生活
山小屋の生活について記録しておこう。小屋に着くと所属団体などの会員書を取られる。支払い後に返還して貰える。ドロミテの場合、イタリアの山岳会ACI所属ならば割引が得られる小屋が多いようである。

登山靴を何処で脱がされるかはまちまちだが、サンダルに更にフェルトのカヴァーを付けさせられるような小屋は今回は無かった。つまり山靴以外の外履きで何処へでも自由に出入り出来た。

また、所謂雑魚寝状の強制収容所風お座敷型のラァガーは今回避ける事が出来て、ユースホステル風の二段ベットの五人部屋や八人部屋を部屋を与えられた。勿論同じ行動をとるグループのみの宿泊は好都合である。何れにせよ小屋泊まり用の絹や綿の薄いインナー寝袋は必携である。

洗面所WCの施設は、何処の小屋でも早朝の使用時間が重なって列を成す。今回は十分な数のある施設は無かった。ビデの設置が幾つか認められたのはイタリアらしい。鍵の掛からない戸や変わった形状など、フランス式をことさら強調しなければいけない多様さが存在した。それでも下水や水洗が完備していなかったスイスのマッターホルンなどとは大違いの衛生基準であり、何処も通常のホテル水準以上である。

期間中二回シャワーを使用した。一度目は海抜二千六百メートルで、順番予約や支払いの必要はあっても水量は十分であった。反面、オーストリアの一部のように10人以上が並んで体を洗えるような洗面所は存在しない。

乾燥室を備えている小屋は殆ど皆無である。部屋内に適当な場所が無ければ暖炉や空き室に吊り下げて行くしかない。

夕食は、イタリア国内としては十分に早く6時半に始める事もあった。朝食も6時が最も早いほうらしい。TVやラジオを流すところも皆無である。近代的に手を入れられた小屋は、ガラス張りのテラス風展望台食堂になっていて、その光景は価値ある。

当然のことながら太陽熱発電も利用されているが、風力発電施設は未だ見ていない。

今回最も人気のあったカナリ小屋は1897年に独山岳協会ドレスデン支部の建造で、先の大戦後に地元のイタリア山岳会トレヴィゾ支部へと譲られている。
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舌鼓を打つ山の料理

2006-08-01 | 料理
山小屋での食事は、グルメが舌鼓を打つものではないが、決して腹を空かした連隊の為の餌でもない。アラカルトで大抵は注文出来るが、賄つきの宿泊を望む人が殆どである。十分にお得であり、そうすれば後は飲みたいだけ飲めるからである。

特に今回のドロミテでの食事は、パスタかスープが十分に前菜として振る舞われただけでも価値があった。女性の同行者などは、食べ切れないので前菜二つにした程である。量が多すぎるようだ。ドイツでは、パスタのプリモなどは通常無いからだろう。

そのパスタも大抵は、フンギ・ポロドーモ・ボロネーズと選べて、ヌードルは主にスパゲティーが使われていた。そして最も驚いたのは、低温で沸騰してしまう標高でもアルデンテを実践していたことである。圧力鍋の使い方が上手いのか?これまで、スキー場や他のイタリアの小屋ではマトモな茹で方を経験した事がなかったからである。

フンギのミックスも大変素晴らしく、乾燥した物を使ったとしても、ミラノで食した有名食材店レストランのものより風味があった。

スープ類は、団子スープがチロル風で、ミネステローナや麦スープなども定番のようである。特に間食に何度か摂ったミネストローネが豆主体でトマト仕立てでなかったのが興味深かった。

セコンドとして、最も一般的だったのはグーラッシュと称する煮込み肉である。これも強いて言えば、ハンガリー・オーストリア二重帝国の影響を受けたこの地方らしい選択かもしれない。オーストリアのそれに比べてパブリカ味が少ないのが、この地方のグーラッシュのようである。

名物料理として肉のカルパッチョが素晴らしかった。これは、明らかにチロルの干し肉文化とは違うと直感した。菜食者には、これまた名物のチーズのソテーなどが用意されている。

豚のコトレットも量感があって良かった。フルーティーなオリーヴオイルやバルサミコをおもいおもいに振りかけて食する料理は、ドイツの人工甘味料マギーセットを机に置いてあるレストランの質とは格段に優れていた。

付け合わせは、トウモロコシのポレンタの他、焼きジャガイモやコロッケ、また意外にもクラウトがポピュラーなようである。ポレンタは、この地方における秋田のきりたんぽの様な食料であろうか?ポレンタをピッツァ生地にしてピッツァとした料理も見かける。

食後もカスタードプリンやアップルケーキ以外にフルーツミックスなどもある。

移動の際、峠のホテルにも宿泊して同じようにメニューを摂ったが、量や皿が極僅かに違い、生野菜のビフュェーやジェラードがあるだけで、料理の質は必ずしも山小屋より優れているとは限らない。こうした事は、この地域以外の山小屋ではあまり経験のないことである。

最終日にはサラダを付けたヴィーナーシュニツェルを食する事が出来た。ポメスを付けあわせとしたが、ビールにも大変旨い。ドイツでは、子牛はなかなかの贅沢品である。

これらの食材の供給には、小さな資材用のロープウェーを上手く使っている。ヘリコプターで運ぶ必要がない、谷の浅いこの地域の利点なのである。
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