久方ぶりに石切り場で楽しんだ。待ち合わせていたのは、「農民」と「マラソンマン」だったが、結局「数学教師」と登った。先日知り合って、彼とは一度登りたいと思っていたがあちらも「数学専攻者」と「若いの」と一緒に来ていたので、丁度二人とも空いていて、登ることにした。
先ず彼が選んだのは、私が一番苦手としているルート「セラピーセンター」で、手足を開いても届かない凹角である、その為に一度もリードしたことがなかったのだが、彼がレッドポイントで登るのでこちらも都合上やってみるしかなかった。案の定、レッドポイントは不可能だったが、その核心部以外はレッドポイントを貫けた。
次に彼が選んだのは石切り場で最も美しい大割れ目登攀ルートだ。地質学的にも割れ目の左右合わせの落差がライン平野へと落ち込む断層として捉えられていて、石切り場の中では自然を謳歌出来るルートなのだ。数学教師も私と同じように楔を使って克服していた話を前回の車中していたのだ。だから私も片付けておかなければいけなかったのだ。核心部の肩まで入る割れ目は若干おっかないものの的確に越えた。只その上に立ち上がると息が上がっていた。そして初めてハーケンにぶら下って、第二の核心部を見上げ、幾つかの可能性を吟味していた。すると右横の小さな割れ目凹角で呻き声を上げて登っていたプファルツクライミングクラブのいつも単独登攀の男が声を掛けてきた。これだけで珍しいことなのだが、ヒントを与えてくれた。なるほどデュルファー登りでもなく、横の垂壁登りでもなく、割れ目登攀を選ぶことで割れ目登攀を楽しめるのだ。
しかしそのアドヴァイスのように手が綺麗に掛かるのは、少し上からのようで、最初の一歩だけはデュルファー登りで上がり、割れ目登攀に切り替えた。そしれ更に一息を入れてから、最後の割れ目を登り切った。5.10aであるから登れて当然なのだが、レッドポイントにはならなかった。それでもまあまあの出来で、最初からの登り方が決して悪くなかったからお声も掛かったのだろうと考える。素晴らしいルートだ。数学教師も最初の核心部は反対側を向いて登っていたが、結局そこで大休止をしていた。わたしのを見ていたので戦略的に有利だったに違いない。
それから、勢いで5.10cに向かい最初の核心部を何回か挑戦する。そこを超えるかどうかで第二の核心部は分っているので、最後まで行けるのだが、もう一つ乗らないので、彼にやってもらうが、断念した。次は突破できるだろう。消沈することなく、横の短いルートを教える。自分自身もリードするのは始めてであった。
最後に、壁が乾いているので、傾斜のある壁に向かう。5.10bであるが、比較的得意にしていたところなので、登ってみるとあまり満足の行くように登れない。更に今まで一度も感じたことがない最後のところでも苦労した。理由は分らないのだが、靴が当時とは変わっていて登り方がより本格的になっていることと、登り方と普遍性への拘りが強くなってきていることが影響していると思われる。
数学教師も同じように苦労していたが、最後のところはそれほど拘りなく解決していた。但し気になったのは最初の核心部のあとの息の上がり方で、若干安定性が欠けているのだろう。私と同じような安定度を確立していればそれはそれでたいしたものだが、技術的には立派なものである。
ここ暫く、全く希望も期待も出来ない年寄りや初心者と付き合ったりしていたものだから、数学教師と登るのはとても楽しく、ありとあらゆるクライミングに関するストレスから開放される思いだった。兎に角、彼がやることや試みることを見ていて、目を背けることがないのである。また彼以上に上手い者はいても、その技術的な体系や感覚が大分違っていて、これほど自分自身の問題としても共感できるパートナーは最近いなかったのだ。要するに一緒に登ることで技術的に切磋琢磨可能なパートナーと思い、彼の方もそのように感じているに違いないのである。
参照:
ひりひりするほどの痛み 2014-05-27 | アウトドーア・環境
もう一足は裸足にするか 2012-06-05 | アウトドーア・環境
災い転じてプレートを発見する 2010-04-07 | アウトドーア・環境
先ず彼が選んだのは、私が一番苦手としているルート「セラピーセンター」で、手足を開いても届かない凹角である、その為に一度もリードしたことがなかったのだが、彼がレッドポイントで登るのでこちらも都合上やってみるしかなかった。案の定、レッドポイントは不可能だったが、その核心部以外はレッドポイントを貫けた。
次に彼が選んだのは石切り場で最も美しい大割れ目登攀ルートだ。地質学的にも割れ目の左右合わせの落差がライン平野へと落ち込む断層として捉えられていて、石切り場の中では自然を謳歌出来るルートなのだ。数学教師も私と同じように楔を使って克服していた話を前回の車中していたのだ。だから私も片付けておかなければいけなかったのだ。核心部の肩まで入る割れ目は若干おっかないものの的確に越えた。只その上に立ち上がると息が上がっていた。そして初めてハーケンにぶら下って、第二の核心部を見上げ、幾つかの可能性を吟味していた。すると右横の小さな割れ目凹角で呻き声を上げて登っていたプファルツクライミングクラブのいつも単独登攀の男が声を掛けてきた。これだけで珍しいことなのだが、ヒントを与えてくれた。なるほどデュルファー登りでもなく、横の垂壁登りでもなく、割れ目登攀を選ぶことで割れ目登攀を楽しめるのだ。
しかしそのアドヴァイスのように手が綺麗に掛かるのは、少し上からのようで、最初の一歩だけはデュルファー登りで上がり、割れ目登攀に切り替えた。そしれ更に一息を入れてから、最後の割れ目を登り切った。5.10aであるから登れて当然なのだが、レッドポイントにはならなかった。それでもまあまあの出来で、最初からの登り方が決して悪くなかったからお声も掛かったのだろうと考える。素晴らしいルートだ。数学教師も最初の核心部は反対側を向いて登っていたが、結局そこで大休止をしていた。わたしのを見ていたので戦略的に有利だったに違いない。
それから、勢いで5.10cに向かい最初の核心部を何回か挑戦する。そこを超えるかどうかで第二の核心部は分っているので、最後まで行けるのだが、もう一つ乗らないので、彼にやってもらうが、断念した。次は突破できるだろう。消沈することなく、横の短いルートを教える。自分自身もリードするのは始めてであった。
最後に、壁が乾いているので、傾斜のある壁に向かう。5.10bであるが、比較的得意にしていたところなので、登ってみるとあまり満足の行くように登れない。更に今まで一度も感じたことがない最後のところでも苦労した。理由は分らないのだが、靴が当時とは変わっていて登り方がより本格的になっていることと、登り方と普遍性への拘りが強くなってきていることが影響していると思われる。
数学教師も同じように苦労していたが、最後のところはそれほど拘りなく解決していた。但し気になったのは最初の核心部のあとの息の上がり方で、若干安定性が欠けているのだろう。私と同じような安定度を確立していればそれはそれでたいしたものだが、技術的には立派なものである。
ここ暫く、全く希望も期待も出来ない年寄りや初心者と付き合ったりしていたものだから、数学教師と登るのはとても楽しく、ありとあらゆるクライミングに関するストレスから開放される思いだった。兎に角、彼がやることや試みることを見ていて、目を背けることがないのである。また彼以上に上手い者はいても、その技術的な体系や感覚が大分違っていて、これほど自分自身の問題としても共感できるパートナーは最近いなかったのだ。要するに一緒に登ることで技術的に切磋琢磨可能なパートナーと思い、彼の方もそのように感じているに違いないのである。
参照:
ひりひりするほどの痛み 2014-05-27 | アウトドーア・環境
もう一足は裸足にするか 2012-06-05 | アウトドーア・環境
災い転じてプレートを発見する 2010-04-07 | アウトドーア・環境