10日、デヴィッド・ボウイが亡くなりました。
自分でもすっかり過去の引き出しにしまってて思い出すこともあまりなかったけど、デヴィッド・ボウイと言えば嵯峨野で過ごした青春時代の2年間が鮮烈に蘇ります。
基本がマジメ(というか、小心者)な私、高校生の頃までは音楽の趣味も保守的で、ママが音楽の先生でコンサートによく連れて行ってもらったその影響で兄貴共々クラシック好きで、兄貴は指揮者になることにあこがれ、私も子供の頃からドイツ人のテノール歌手が大好きで、ロックなんて不良!なんて思ってた時期もありました。
小学生の時に鶴屋デパートでママに肩や袖口に赤いタータンチェックがあしらわれた可愛い白地のブラウスを買ってもらって喜んでいたのも束の間、背中に描かれていたBay City Rollersという文字の意味に気がつくと一気にテンション下がっちゃって、幼馴染のみどりちゃんに「着ないからあげる」って手放しちゃったぐらい。
ところが、18で親元を離れて下宿して、自分用のテレビも持てて、同世代の友達も身近にいっぱいできた頃、まさにMTVが盛り上がってきていたドンピシャな時期で、気が付けばいわゆる洋楽漬けになっていました。
(↑若者あるある)
SONY MUSIC TVっていう、土曜の夜11時頃から始まって明け方の4時半近くまで延々ミュージックビデオを流す番組を毎週欠かさず見ていたっけ。
当時はビデオなんて持ってなかったから、もうとにかく気に入ったのが流れるのを待ちながら、当時下宿仲間のたまり場だった私の部屋に「ミミー、いる?」って入れ代わり立ち代わりやってくる友達を迎え入れ、送り出し、夜が白み、野の鳥が鳴き始める頃まで過ごしたものでした。
短大の目の前にあった喫茶店には大きなモニターが設えてあって、いつも流行りのPVが流れていたっけ。
かなりの頻度でスリラーが流れてたのをよく覚えてるし、a-haのTAKE ON MEが流れるのも待ち遠しかった。
そんな頃、私のハートを鷲掴みにしたのが彼でした。
高校生の頃、ピーター・オトゥール演ずる金髪碧眼のロレンスの虜になったのをキッカケに洋画好きになった私は、普通に西洋人の男前何人かにクラクラ来てたりもしてたけど、なんかその手のハンサムさんたちとは次元の違うルックスで。
美形なんだけど、ただ美形というのとはちょっと違う。
ハンサムは好きだけど、私の好みとも違う。
顔立ちだけ言えば、あのレベルはロンドン行けば普通に歩いてそうだし。
美形だからこそ、彼の唯一無二な美しさがなぜ唯一無二なのかを考えたときに、人の美しさは骨とか皮とか以外の要素がでっかいんだなと思うんだな。
とにかく、彼のオッドアイ(10代の頃に友達の彼女に手を出して殴られて瞳孔開きっぱなしになったというお話)やバンパイアみたいな歯並びの悪さや(イマンさんとの再婚後、セラミックに替えちゃったみたいで残念)、高貴なような、粗野なような、色気が溢れかえってるような案外サッパリしてるよな、ちょっと危険な感じもあり、しかし、とても頭が良くて、彼についてのコメントを見聞きするととてもいいひとだったらしかったり、
まあとにかくカッコいいのですよ。
時代時代でほんと変幻自在だし。
言葉では言い表せない。
ていうか、言葉で言い表せると思った自分がどうかしてる。ムリ。
「レッツダンス」が大ヒット中だった当時の彼の一般受けするファッションから入った私が、色々と過去の彼を知るにつけとんでもないヴィジュアルの彼がザックザク出るわ出るわで、そのギャップが当時たまりませんでした。
クラシックの歌手のひたすら心地いい声とは違う、でもなんとも言えない響きと音色でクセになる歌声で、サウンドもまさに未知の世界。
なんだかわけ分らんようでいてメロディラインはとっても心地よく。
歌詞カード読んでも意味不明なところがまた魅力でした。
そしてアルバムごとに色々違ってて飽きさせず。
凡庸な脳みその私には、天才という言葉しか浮かびません。
ほんの数年でしたが、深くはまりすぎて、ファーストアルバムからトゥナイトまで聞きまくったら、なんかそこで満足してしまって、そして京都から東京へと引っ越していろんな環境が変わったりで、いわゆる洋楽にアンテナを張ることがなくなって、ボウイも完全に過去の人になっていました。
東京へ来てまもなく、夢中だったころに購入して、きれいに大事に持っていた写真集数冊を自由が丘の古本屋に持って行ったことがあります。
「売れないから処分するしかないけど、どうします?」って聞かれて、泣く泣く「わかりました、お願いします」って置いて帰ったのを覚えています。
なんか切ない・・・。
一昨年、突然彼の曲が聞きたくなって、ChangesBowieというブルージーンまでのベストアルバムを買ったのが、たぶん彼がガンと闘いはじめた頃なので、なんだか不思議な気分。
私が完全に遠ざかっていたころの映像とか見ると、相変わらず格好良くて、ずっと追いかけていればよかった・・・。
生ではついぞ見たことなかったし。
↑55歳の時のお姿ですよ!素敵すぎる。
一番たくさんアルバムを買ったアーティストは、私史上ボウイが不動のベストです。
もう、当時のLPはとっくに手元にないけどね。
機会があったら、振り返ってまた聴きたいな。
正真正銘のスターでした。
ほんとうのお星さまに、なってしまいました。T-T
とりあえずはiPodに入ってたChangesBowieを聴いてウルウルしている私です。
それから十日ほど経ったある日、たまたま昔のアルバムをめくっていたら、19歳の頃の私の写真が出てきました。
ボウイの写真集持ってニッコリ。
肩まであった髪を彼に憧れてショートにしてます。
でも、当時オデコ出すのにかなりのコンプレックスがあった私は前髪保持を頑なに譲らず、ボウイに憧れてショートにしたとは誰が見ても思わない姿に。
そんなエピソードも若者あるあるですよね。(遠い目)