山本飛鳥の“頑張れコリドラス!”

とりあえず、いろんなことにチャレンジしたいと思います。
と思っていたけど、もうそんな年齢じゃなくなってきた。

クルマは人を表す?

2010-10-23 15:07:29 | 運転・車・道路の事
 秋なので読書をしようと思っています。そこで、日本を代表する作家である村上春樹の小説を読もうと思い立ちました。ところが、この方の作品って、大作が多いのですね。それで、短いものを探した結果、短編集「東京奇譚集」を読む事にしました。

 昨日は、「偶然の旅人」と「ハナレイ・ベイ」を読みました。そこで、ちょっとおもしろかったのが、そこに出てくるクルマに関する記述です。村上春樹氏の作品に限らず、小説の中にはクルマに関する記述がよくありますが、この人も結構具体的に書いているんじゃないかと思います。音楽に関してもかなり詳しいようですが、音楽に関する知識や趣味のない私にはお手上げです。クルマも同様ですが、ネットで調べれば、実物を見たり運転したりすることはできないものの、だいたいどのような車かという大雑把なことはわかります。

「偶然の旅人」に出てくる主人公のクルマに関する記述です。

「火曜日になると一人で、ホンダのオープン・2シーター(グリーン・マニュアルシフト)に乗って多摩川を越え、神奈川県にあるアウトレット・ショッピング・モールにいった。そのモールにはギャップや、トイザらスや、ボディーショップといった大型店舗が入っている。週末になると混雑して、駐車スペースを見つけるのも困難になるが、平日の朝はおおむね閑散としている。モールの中にある大きな書店に入って、面白そうな本を買い求め、書店の一角に設けられたカフェでコーヒーを飲みながら、そのページを繰るのが彼のいつもの火曜日の過ごし方であった。」

 ホンダのオープン・2シーター(グリーン・マニュアルシフト)
括弧の中が面白いですけど、色はグリーンでオートマじゃなくマニュアル車ってことですね。2シーターとは、運転席と助手席の2人乗りの車ってことで、オープンカーでスポーツカーのようです。このようなところに、この主人公のクルマに対するこだわりがわかるように思います。彼は調律師で、1人暮らしのゲイであり、それなりに満ち足りた生活を送っています。

 彼は、そのカフェで、偶然にも同じ本(チャールズ・ディッケンズの「荒涼船」)を読んでいた女性と知り合い、翌週、その女性に誘われてフランス料理を食べにいくことになります。その時の女性のクルマに関する記述。

「彼女の車(ブルーのプジョー306 オートマチック)で二人はその店に食事に行って、クレソンのサラダと、スズキのグリルを注文した。グラスの白ワインもとった。そしてテーブルをはさんで、ディッケンズの小説について語った。」

 プジョー306は1993年から2002年までに製造されたフランスの小型車ですが、あるサイトで読んだところ、「おしゃれ」で「センスが良い」、「実利的で質素」と言われているようです。いろいろなタイプがあるようですが、ここでは省略します。
どっちみち、外国車で高級ですね。でも、派手なものではなく、それが、この彼女に丁度合っているといえるでしょう。

 彼女については
「彼女がこれまでどのような人生をたどってきたのか、いちいち説明を聞かなくてもおおよそ想像はついた。世田谷あたりの比較的裕福な家庭で大事に育てられ、悪くない大学に進み、成績は常に上位で、人気もあり(男友だちよりは、女友だちのあいだで人気があったかもしれない)、生活力のある3歳ほど年上の男と結婚し、女の子を二人生んだ。子どもたちは私立校に通っている。12年にわたる結婚生活は、静かな色彩に溢れているとは言えないにせよ、そこには問題と呼べるほどのものはない。」

 いるいる、こういう人。世田谷あたりにいっぱいいそうです。東京育ちで、子どもを私立に入れているような女性の典型ですね。品があって悪意もなく、好感が持てる人。
世の中には貧乏人や人生に疲れた人もいっぱいいるけど、こういう人もまたある意味ありふれた人間像かもしれません。

 ま、小説の中に書かれているクルマの描写っていうのは、その人が着ている服装や、持ち物や、住んでいる家と同様に、その人のことを表すっていうだけの話でした。

 長くなりましたので「ハナレイ・ベイ」に出てくる車については、また今度。

 ところで、「グラスの白ワインもとった」とありますが、彼女も飲んだのでしょうか?
って言うか、主人公も自分の車で来ているはず。飲酒運転だぞ~~~
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