人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

ダボス会議の提唱する「疾病x」って何?…AI時代の人口管理

2024-02-29 10:55:34 | 危険なワクチン

<メモ書き>

 

🔳 謎の疾病 X  🔳

「謎の疾病X」などと書くと「謎の彼女X」(これ名作)みたいだけれど、本日は半分与太話で、半分本気。

今年のダボス会議の気になるセッションの一つが「謎の疾病Xに備える」というモノ。「疾病X」とはWHO が2017年頃に提唱した「致死性の高い未知のウイルスによる病気」の事で、新型コロナウイルスが「疾病X」だったと思われていました。

しかし、今年のダボス会議が「疾病X」をテーマの一つとして取り上げた事で、何やら危険な予感を禁じ得ません。ダボス会議では「新型コロナウイルスの20倍の毒性」を仮定したディスカッションが行われた様です。

WHOは各国で「パンデミック条約」の締結に積極的ですが「疾病X」が想定されるウイルスの可能性が高い。

🔳 人口削減を急ぐ世界 🔳

数年前ならば「ビル⚪︎⚪︎ツはワクチンで人口削減を企んでいるらしい」というネットの噂話を「アホな陰謀論」と笑っていられましたが、チャットGTPの登場で「人口削減」が現実味を帯びて来た。

AI化の急激な進行は、「大量失業時代」を到来させます。影響は既に出始めており、事務作業をAI化して人件費を削減する企業は日本でもでて来ました。「仕事の6割が失われる」という予測が有りますが、

ソフトウェア会社に勤める友人によれば、簡単な命令でチャットGTPは8割正解のプログラムを瞬時に作るそうです。人間は、それを手直しするので効率が高まる。

現状「8割の正解」ですが、これが「10割」に近づくのは時間の問題です。生成型AIは、人々が使えば使う程学習して成長して行きます。プログラマーが失業する時代はすぐそこまでやって来ています。(多分)

他の分野でも「自動化」は急速に進むので「失業率6割」も起こりうる未来です。ところで、失業した人達を政府は養う事が出来るのか?多分、無理でしょう。そこで「疾病X」の登場です。

🔳 人口削減は難しい 🔳

人口削減に最も有効なのは戦争です。しかし、大国が核兵器を大量に保有する時代に大国間の全面戦争は難しい。核兵器を使わなければ可能ですが、その選択は核抑止力を無効化させます。「どうせ使えないなら無いに等しい」。

次に候補に上がるのは「致死性のウイルス」でしょう。しかし、人々を等しく死に追いやるウイルスは、仕掛ける側にも死をもたらすので使い勝手が悪い。

では、新型コロナワクチンの様な「悪いワクチン」はどうでしょうか?これも大多数の人がワクチン接種で亡くなれば、政府やWHOの責任追求は免れません。

🔳 新型コロナワクチンによる選択圧 🔳

ただ、人口を単純に減らすのでは無く、「優秀な人材を選択的に残す」必要が有ります。尤も、AIの時代の優秀な人材は、「機械やAIがやらない様な単純労働を黙々とこなす人」かも知れません。

そこで利用されたのが「新型コロナウイルスとワクチン」です。私はコロナ騒動は「ワクチンに対する疑惑」を人々に植え付けるイベントではなかったのかと疑い始めている。コロナウイルスもワクチンも、人口を抑制する目的には毒性が弱すぎます。

しかし、次に致死性のウイルスが蔓延した時に、ワクチンに疑念を抱く多くの人がワクチン接種を拒否する可能性が高いが、仮に本当にの致死性のウイルスだった場合、ワクチンを接種しなかった人達は死に絶える。

🔳 AI時代の優秀な人材 🔳

政府に批判的な人物や、トランプ支持者の様な単純な陰謀論者がワクチン接種を拒否して死んでも「アイツらは陰謀論者だから死んだ」と笑われるだけです。政府に批判は集まらない。

しかし、生き残る人が必ずしも知的に優秀であるかと言えば、むしろ逆です。メディアや政府を「無条件に信じる」羊の様な人達ばかりが残る可能性が高い。しかしAI 時代には、こういう人達こそ政府にとって「優秀な人材」なのかも知れません。先述した様に「知的労働」の多くはAIが担うからです。

 

🔳 拍子抜けの新型コロナ騒動の真の目的 🔳

新型コロナワクチンの、大して危険では無いが、あからさまに「政府に疑念が向く様に計画された情報漏えい」を見るに当たり、次のパンデミックのワクチンは接種すべきでは無いかと陰謀脳が囁いている。

 

既に日本の研究機関でも「疾病X」への取り組みがスタートしています。

 

「君は生き残る事が出来るか?」

 

 

本日はちょっとしたヨタ話でした。


米商業不動産市場に注意…足元から崩れる危機

2024-02-06 06:23:19 | 時事/金融危機

🔳 米商業不動産市場の悪化 🔳

ニューヨークの地方銀行のニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)の株が急落するなど、銀行危機の第二幕が始まった様です。シリコンバレー銀行の破綻は米国債の下落による含み損の急拡大でしたが、今度は米商業不動産市場向け融資の不良債権化が原因で、日本のバブル崩壊に似ています。

アメリカはコロナ以降、オフィスの空室率が高止まりし、商業不動産関連のデベロッパーが危機に陥っています。地方銀行の多くはこの様な企業に融資していますが、借り換え金利の上昇で融資が焦げ付く可能性が出てきた。また商業不動産関連の債券も下落して、多額の含み損が出ています。

アメリカの地方銀行の多くが、ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)同様のリスクを抱えているので、アメリカの地方銀行の破綻がコレから続く可能性が高くなります。

🔳 機器は米国限定では無い 🔳

米商業不動産市場の下落は、日本や他国の銀行にも影響を与えています。ドイツ銀行は融資に占める米不動産向けが1.5%有り、ここでの損失が拡大しています。

日本のあおぞら銀行も、3月期の最終赤字を発表ぢていますが、米金利上昇による有価証券の含み損の拡大と、米商業不動産向け融資の貸し倒れ引当金を上積みした事が原因となっています。

ドイツ銀行やあおぞら銀行に限らず、世界中の銀行が同様のリスクを抱えています。米商業不動のデベロッパーの破綻が連続すると、不良債権が大量に発生します。コレらの融資は債券化れて世界中にばら撒かれていますから、リーマンショック同様の危機が発生する可能性も有ります。

 

🔳 借り換え金利の上昇がジワジワと首を絞める 🔳

米商業不動産関連のデベロッパーは、空室率の増大と同時に、借り換え金利の上昇に苦しめられています。FRBは利下げに慎重ですが、多少の利下げは焼石に水でしょう。日銀が金利を必死に上げずに「最後の貸し手」の様になっていますが、日人の利上げは国内だけで無く、海外の市場にも大きな影響を与えるはずです。

 

🔳 ネガティブな価格上昇に浮かれる市場 🔳

BRICSを始めとした非西洋諸国が、元や自国通貨決済を拡大する事で、ドルの実需が低下して、余ったドルは資産市場に流入しています。米株や日本株などが値上がりしているのは、このようなドルや、債券市場から逃避したドルがが流入している事が原因ですが、コレはネガティブな価格上昇と言えます。

 

🔳 足元から崩れる危機? 🔳

米商業不動産市場は、どこかでサブプライム危機と同様の崩壊を起こしますが、コレをトリガーとして銀行危機が連鎖すると、バブル崩壊が起きるリスクが高まります。

リーマンショックは、レバレッジを掛けまくったヘッジファンドの破綻によって危機が急拡大しました。コレはピラミッドが上から崩壊する様な危機でした。

しかし、今度の危機は地方銀行や中小の金融機関の破綻の連鎖によって、地域経済が足元から崩れる様な危機になるかも知れません。

リーマンショックの反省から世界は高いレバレッジなどの過大なリスクを避けて来ましたが、一方で金融緩和の長期化は、あらゆる所にリスクをこっそりと仕込む結果となった。米国債の様な「安全資産」が原因となってシリコンバレー銀行が破綻した様に、健全な融資や投資が危機の引き金になるのが、金融緩和バブル崩壊の特徴でしょう。黒い白鳥では無く、灰色の白鳥が湖に突然群れを成して出現すると私は予想します。

追記

リーマンショックは「金持ちバブルの崩壊」が実態経済に影響を及ぼし増したが、地銀や中小の金融機関が破綻する危機が発生すると、地域経済が崩壊します。拓銀の破綻が北海道経済の悪化に大きく影響した様に、日本の地銀に危機が広がれば、中小企業の倒産が拡大して、失業者も増えます。

金融緩和というぬるま湯に長い間浸っていた日本ですが、そろそろ本気でリスクと向き合う時期が来た様です。


テキサス州の事実上の独立宣言…アメリカ内戦?

2024-01-29 09:58:26 | 時事/金融危機

🔳 テキサス州知事とバイデン政権の対立 🔳

11月のアメリカの大統領選挙の最大の争点は「不法移民問題」ですが、不法移民に寛容なバイデン政権とテキサス州のアボット知事との間でバトルが繰り広げられています。

バイデン政権は「不法移民」という言葉も禁じて「書類の無い移民」と言い換えるなど、不法移民問題を野放しにして来ました。メキシコと国境を接する州では大量の不法移民が流入して、移民に厳しいテキサス州などは、彼らをバスに載せて、不法移民を取り締まらないカリフォルニア州やニューヨーク州に送り込むというイヤガラセで対抗していた。

テキサス州のアボット知事は、2021年にバイデン政権が発足して以来、不法移民を取り締まらない国境警備隊に変わり、州軍を国境警備に当たらせ、国境に有刺鉄線を張り巡らせました。45万人の不法移民を摘発し、大量の麻薬を押収しています。

コレに対してバイデンは、州軍を撤退して有刺鉄線を撤去する事の合法性を裁判所に問いました。そして1/22に連邦最高裁は有刺鉄線撤去を合法とする判決を下し、撤去を命令します。

この決定に対してテキサス州知事は「バイデン政権が移民を野放しにし、又、国境を超えてメキシコから麻薬が大量に流入している事は、合衆国の安全を損なっている」とし「テキサスは侵略されている」と宣言。侵略に対する「防衛」を正当化する為に、州の憲法を発動し、侵略時には連邦法より州の憲法が優先するとして、州軍の配備を正当化しています。

コレは半ばテキサス州の独立宣言にも等しい。

テキサスは南北戦争に敗れて合衆国に統合されましたが、独立心が旺盛な州として知られています。かつては住民投票が一票差で独立が否定された事もある。経済規模もテキサスが国家ならば世界第8位のGDPを誇っている。そして全米の大企業の本社が多い事でも有名。

南軍だった諸州は合衆国憲法を「協定」と読んでおり、約束が果たされ無ければ協定は破棄される(独立)という認識を持っています。アメリカの南部諸州には、今でも連邦政府への加盟を面白く思わない独立派(リバタリアン)が多く残っています。

 

🔳 25人の州知事がテキサス州を支持🔳

テキサス州の行動に、トランプが「全州がテキサスに州兵を派遣すべきだ」と発信し、25州の知事達がテキサス州知事を支持すると連盟で表明します。

更に11の州が「州兵を派遣する用意がある」と表明して、アメリカは現在、不正移民を目ぎり真っ二つに分断されました。

 

🔳アメリカ 内戦 でネットには情報が錯綜 🔳

現在「アメリカ 内戦」と検索すると

「下記の検索結果は、急速に変化しています。このトピックが新しいトピックである場合は、信頼できる提供元が情報を公開するまでに時間がかかることがあります。」

というメッセージが表示され、ネットではこの情報が急速に広がっている事が伺えます。

 

🔳 大統領選挙を左右する可能性 🔳

11月のアメリカの大統領選挙はトランプとバイデンの戦いになりそうですが、コレに水を差す動きも出始めています。

コロラド州の裁判所は、「トランプの名前を投票用紙に記載してはいけない」という事実上、トランプの被選挙権を剥奪する判決を下しました。他に10州程度で同様な裁判が進行中の様です。

現在コロラド州の判決が合憲かどうか連邦裁判所で審議が行われている様で、コレが合憲とされた場合、追随する州も現れてトランプ支持者の怒りが爆発するでしょう。

 

普通に考えれば「トランプを選挙から排除」するという露骨な手は民主主義のアメリカでは否定されますが、今回のテキサス州の問題で、「トランプが内戦を煽っている」と裁判所が判断した場合、トランプ排除の可能性もゼロでは無い。

 

🔳 ちらつくダボスの影 🔳

テキサス州知事とトランプは仲が良く、今回のアボット知事の行動は、選挙戦で不法移民問題を最大の争点にする戦略と見る人も多い様です。

しかしアボット州知事がダボス会議のメンバーであるとの情報も流れており(真偽は不明)、その場合は、バイデン、アボット、トランプのプロレスで、アメリカを内戦に誘導していると考える事も可能です。(私は元々、トランプはアメリカの分断の為の仕掛けだと考えています。)

今の所、日本ではトランプが女性問題の裁判で莫大な賠償金を言い渡された事が報道されていて、テキサスの問題は最高裁判所が州軍の撤退を命令したという控えめな報道がされるのみです。

 

🔳 飛び交う噂 🔳

ネットでは「トラック70万台がテキサス州に向かっている」とか「連邦軍の装甲車が列車に乗せられてテキサス方面に移動中」など、真偽の分からない情報が錯綜しています。

ダウも日経平均も全く反応していないので、市場はこの問題をリスクとは捉えていない様です。

 

果たして、「テキサス州知事の反乱」は、選挙に向けたパフォーマンスなのか、それとも「アメリカの内戦」の始まりなのか?久々に陰謀脳が喜ぶニュースだったので、記事にしてみました。

 

ウクライナ以降、陰謀論的には「出来レース」感が強い事ばかり起こるので、ブログもサボリ気味でしたが、今年はアメリカの大統領選挙が大荒れになると予想されるので、振り落とされない様に情報を集めて行きたいと思います。

 


『川越ボーイズシング』・・・現代アニメのアンチテーゼ

2023-12-26 02:45:30 | アニメ

『川越ボーイズシング』より

 

■ 今期アニメで一番面白い ■

我が家の、今期アニメの一番人気は『川越ボーイズシング』です。しかし、この作品、今期一番失敗したであろう作品でもあります。この作品の失敗の理由を探る事で、現代の日本のアニメやマンガの「病巣」を探るのが今回のテーマ。

川越学園は川越にある男子高校ですが、理事長の孫のハルオはオーケストラの指揮者。しかし、超自己中の性格ゆえに、才能はありながらも、現在は指揮者のオーファーは有りません。そんなハルオに理事長が「ボーイズクワイア部を作って、全国優勝をしなさい」という命令を下します。文化部の活動実績の少ない川越学園の知名度をさらに高める事が目的と説明します。「いやだよ、僕はプロの指揮者だよ・・・」と嫌がるハルオですが、嫌々引き受ける事に。

部員集めから始めるハルオですが、その勧誘も自分勝手を極めます。校門で登下校の生徒の声を聴いて、「自分の楽器」として相応しいと感じた生徒達を強引に勧誘して行きます。嫌々集められた部員達ですが、次第にクワイア(合唱隊)の魅力に惹かれて行きます。

この作品、一言で言えば「腐女子枠」です。性格の違う男子達の友情と葛藤の物語で、歌もの。製作はユニバーサルミュージックで音楽面のバックアップは完璧。

■ アニメ視聴者のメンタル弱すぎ ■

『川越ボーイズシング』は川越市産業観光部観光課、川越商工会議所、公益社団法人小江戸川越観光協会などがバックアップした作品でもあります。市内各所に等身大パネルを設置し、ラッピング電車を走らせ、川越プリンスホテルには特別な客室まで用意した。しかし・・・大ゴケした・・。

ネットの感想を見る限り、1話切りした視聴者が多い様です。理由を見てみると「独善的なハルオの性格があり得ない!」という意見が多い様です。現代っ子のメンタル弱すぎです!

運動部では「オレサマ」の指導者など当たり前の存在ですが、インドア系のアニメオタクには、強引な指導者は「不快」の対象でしか無い様です。実際にハルオは全く空気を読みませんし、自己中心的で、生徒の意見など一切聞きません。しかし、それが「不快」かと問われれば、私には「物語を牽引するキャラクターとして面白い」と感じる。彼は所謂「発達障害」ですが、芸術家にはこの手の人が多い。他人と異なる感性ゆえに、人とは違う何かを作り出す事が出来る。そういったキャラクターの設定なのですが、をれを視聴者が「不快」に感じると、作り手側は微塵も予想しなかったでしょう。

■ 優しい世界に浸りながら、攻撃対象には容赦の無いアニメ視聴者 ■

今期一番人気の作品は『葬送のフリーレン』だと思います。今人気の異世界モノですが、物語のメインテーマは「優しさ」です。フリーレンは千年を超える寿命を持つエルフなので、人間的感性を持っていませんが、人間と旅をする中で、「思いやり」や「慈しみ」といった感情を学んでゆきます。この作品の世界は「優しさ」に満ちています。対局として魔族は徹底的に非道で、フリーレン一行にボコられる存在として描かれます。

現代のアニメ視聴者は、自分の周囲は真綿の様な優しさで包んで欲しい一方で、叩いて良いと認定された相手が、徹底的にボコられる事に快感を覚えます。

『葬送のフリーレン』は巧妙なので、「魔族は人の様な心を持たず、人の言葉を話すのは得物を狩る為」と説明します。これによって視聴者は、魔族側に感情移入する事無く、安心して魔族をボコる事が出来ます。これは『呪術廻戦』や『チェンソーマン』と同じ構造を持っています。

『川越ボーイズシング』は「腐女子系のヌルイ人間関係」ではありますが、異世界系にありがちな「真綿の様な優しさに包まれた世界」とは一線を画しています。生徒達は、独善的なハルオに反抗していますし、寄せ集めの部員達の関係も,なれ合いでは無く、友情や信頼までの葛藤がある。ライバル高は存在しますが、敵では無く、あくまで目標です。世界観の基本構造は,極めて「スポコン物」に近い。指導者やライバルに「否定」されながらも、それを糧に仲間と共に成長してゆく物語です。

■ 丁寧な物語しか評価しないアニメ視聴者 ■

「物語や構成が雑」という点も『川越ボーイズシング』をアニメファンが否定する理由の一つでしょう。確かに「昭和かよ!」とツッコみたくなる構成です。

1)理事長が「お菓子」を買った来る様にハルオに命じる

2)部活内で事件やイザコザが起きる

3)何だかんだあって、問題が解決する

4)解決した先に部員達が得たものが「お菓子」と共通点がある

基本的にこのパターンの組み合わせで、「昭和アニメ的なお約束が繰り返される」。面白いのが、この構成が成り立つならば、2~3の過程は何でも有りで、その強引さも私には面白味の一つ。これ、製作陣を見ると「なるほどな」と納得します。監督の松本淳氏や、9話で超絶な演出力を見せた武内宣之氏、はウテナのスタッフ。他にも絵コンテ陣は、ベテランの名前が並んでいます。

一見「雑」に見える構成ですが、良く言えば演出や物語の展開の自由動が大きい。特に8話のトンデモ話から、9話のシリアスな展開に繋げる辺りは、ここ数年のアニメの中では、一番「トリハダ」でした。

8話は、猛暑を避けてクワイア部が、市民ホールの様な所で練習をしていますが、そこに強盗犯がピストルを持って乱入して来て生徒達は人質に。ところが、何故か炎上系のYoutuberも乱入して来て人質事件の実況を始める。そこに理事長が現れ、犯人の事情を聴き出して説得するかと思いきや、最後は格闘で犯人を抑え込みます。・・・おいおい、なんなんだ、この昭和でも無かった様な無茶苦茶な展開は・・。

9話で8話の後日談が語られます。ホールに乱入して来たYoutuberは、実は部員の一人「IT先輩」の父親だった。目立ちがり屋の「IT先輩」は、IT企業の社長の息子と自分を紹介していましたが、実は父親は迷惑系のYoutuberで、愛想を尽かした母親は離婚して家を出ています。事件後に住所が特定されて、引っ越しを余儀なくされ、部活の辞める事となるIT先輩。ハルオは「僕の音楽には君の声が必要なの!」といつもながら強引に引き止めますが、IT先輩を乗せた車は川越の街を後にします。すると助手席にIT先輩のスマホに着信が・・・。

ドタバタ演出の8話と一変して、9話は、シリアスな展開は、モンタージュを多用した演出でじっくりと魅せます。絵コンテ、演出、作画監督の三役を務めたのは武内宣之氏。彼はウテナやピングドラム、化物語の作画監督でシャフトのビジュアルディレクターです。作画のカロリーを極力減らす為に、止め画とモンタージュを多用して作画のクオレリティーを上げる手法はシャフトの諸作でも観られたもの。今回は川越を去り、高速道路を走るワンボックスカーの表面を、高速道路の街路灯の反射が流れるシーンで鳥肌が立ちました。

この9話はディープなアニメファンには評価が高い様で「こういう化ける瞬間を見たくてアニメを観ている様なもの。切らずに見続けて良かった」などのコメントがネットに転がっていました。私も全くの同感です。

この「9話の感動」を味わえるかどうかは、「1話から見続けた」かどうかに掛かっています。要は「雑な話」とか「先生が不快」といった理由でこの作品を見ていないアニメファンには味わえない至福の瞬間。

 

■ 作画厨は〇ね ■

一時アニメファンの間で大繁殖した「作画厨」。「ヌルヌル動く作画、最高!」とか「綺麗な作画と背景最高!」といった、アニメを「画の綺麗さ」でしか判断しない困った人達ですが、今回は『呪術廻戦』に夢中でしょう。あの作画クオレリティーは異常です。但し、『呪術回線』が作品的に優れているかと問われれば、私は全く興味が無い。呪霊と呪詛士がチ―ト能力でボコリ合う胸糞悪い作品です。

『川越ボーイズシング』は、作画は崩壊の一歩手前をキープし続けています(いや、崩壊しているか・・・)。しかし、作画のクオリティーなど要求されない「昭和の作品」なので、それが気になりません。だって、体育の先生とか、部員の父親とかが、もろ肌脱いで、いきなり太鼓を叩いちゃう様な作品ですから。むしろ、このハチャメチャ展開にキレイな絵は不似合い。

実は予算的な意味においても、演出的な意味においても、キレイな作画は作品の自由度を奪います。

『葬送のフリーレン』が丁度良い塩梅で、描きやすい構図や、根抜きに近い簡略化で、作画のカロリーを上手に節約しつつ、見せ場に予算と労力を集中しています。『川越』ボーイズシング』も同様で、ベテランの絵コンテマン達は、「作画カロリーを節約して、話の内容を伝える」事に専念しています。

作画と物語、どちらを取るかと聞かれたら、私は「物語」を選択します。実はマンガやアニメのキャラクターは「記号」に過ぎないので、実は単純な〇でも△でも、物語は成り立ちます。その最適な例が、「中島らも」が「ぴあ」で連載していた「微笑み家族」や、同様の手法をアニメで実践した「鷹の爪団」です。単純なキャラクターをコピペして使い回す手法ですが、キャラクターの記号化を意図的に行っていて、悪意に満ちていて面白い。

 

■ 予算は楽曲に全振り? ■

「ユニバーサルミュージックの製作だから予算は潤沢」と言われた『川越ボーイズシング』ですが、どう見ても「低予算アニメ」にしか見えません。では「潤沢」と言われた予算はどこに・・・。

実は楽曲に予算をつぎ込んでいるのでは無いか・・・。作曲陣の一人横山 潤子氏は合唱曲を多く手掛ける作曲家の様で、NHK合唱コンクールの審査員も務めている。

ライバルの立川北高校の自由曲もオリジナルだと思いますが、これもユニークで面白かった。11話から、コンテスト本番に入りましたが、各校の課題曲の仕上がりの違いも聞けて非常に興味深い。

今までの「腐女子枠の歌物」とは、全然別のベクトルに向いた楽曲と演出の作品ですが、これも多分、狙ってやっています。(的を外して、腐女子では無くオタクオヤジに刺さりましたが・・・)

 

■ 「昭和」な『川越ボーイズシング』は現代アニメへのアンチテーゼ ■

『グレンラガン』『キルラキル』など「昭和アニメのオマージュ」的な作品は過去にも数多くありました。しかし、方向性は「昭和アニメをスタイリッシュに再構築する」もので、ポストモダン的な手法の一つとして現代アニメファンにも受け入れ易かった。

一方『川越ボーズイズシング』は「腐女子枠という現代アニメの最大の病巣に、昭和を投げ込んだ」という点で、ある種の悪意を感じます。「おまえら、これでもブヒれるか!?」といった悪意。

「腐女子枠」はアニメ業界では一番の稼ぎ頭でしょう。DVDの売り上げや、各種グッズの売り上げが確実に見込めます。『川越ボーイズシング』も、これを見込んでいた様ですが、DVDとブルーレイセットの発売中止がアナウンスされています。流石に、この作品では腐女子もブヒれなかった様です・・・・。予約キャンセルの特典として1話から12話までの全話のブルーレイセットが無料で配布される様なので、私にとってはお宝グッズでウラヤマシイ!

 

何れにしても、今期アニメというか、昨今のアニメに全く魅力を感じなくなった私が、久しぶりに「心から楽しめたアニメ」でした。万人にお勧め出来る作品ではありませんが、「一周回ってアリ」、「ナシ寄りのアリ」の作品です。コアなアニメファンにはお勧めです。


2023 秋アニメ オススメ

2023-11-21 05:54:11 | アニメ

暗いニュースばかりの昨今ですが、アニメでも観て明るい気持ちになりたい。

・・・ところが『君は放課後インソムニア』ロス で、何を観ても面白く無い・・・・。

「お父さん、葬送のフリーレン観てる」って娘に聞かれて、2話目途中まで観て「異世界ものは、もう何観ても面白く無いからな~」なんて言っちゃう始末。ゴメンナサイ!フリーレン様!!・・・素晴らしいです。メチャクチャ素晴らしいです。

そんなこんなで、酒飲みながら、寝落ちしながら観始めた2023秋アニメ、中盤まで観て、意外に面白い作品が混じっている事に気付きました。

 

 

『僕らの雨いろプロトコル』 より

「プロゲーマーを目指す高校生の話」と一言で書いてしまうと、なんだか「Youtuberに憧れる小学生」並みに薄っぺらな感じがしますが、実は色々と重たい設定の物語です。

主人公の時野谷 瞬(ときのや しゅん)は高校2年生。父を交通事故で無くし、同じ事故で妹は下半身不随に。家計は苦しく、彼は特待生で高校に通っていますが、幼馴染の一つ年上の稲月 望(いなつき のぞみ)の父親が経営するゲーム喫茶で、毎晩遅くまでバイトをして家計を助けています。彼は小学生の頃はネット廃人同様にオンラインゲーム三昧の生活を送っていましたが、事故をきっかけにゲームから足を洗っています。

ところが、バイト先が運営するプロゲームチームの解散危機によって店が倒産危機に。何とか賞金を稼いで店を存続させようと、昔のゲーム仲間で幼馴染の仙堂 暁斗(せんどう あきと)が瞬を誘います。彼はゲームから無理やり距離を取っている瞬の気持ちを知っているのです。「バトルロワイヤルで最後まで生き残れなかったら、お前はチームに要らない」と挑発する暁斗に、瞬は嫌々応じます。最初は勘が掴めず苦戦しますが、ゲームの中で昔のゲーム仲間の爆裂君に出合い、覚醒します。

プロチーム戦は5人体制なので、残り二人はオーディションで選びます。肥満体ですが、ゲームの腕は確かな長嶺 流星(ながみね りゅうせい)がチームに加わり、残り一人の枠に応募して来たのは・・・何と国民的美少女女優の「ユウ」だった。しかし、彼女が応募して来た本当の理由は・・・。

製作総指揮 - 夏目公一朗というテロップを観た瞬間に視聴決定。シリーズ構成と脚本は高山カツヒコで手堅い。オリジナルのストーリーですが、この布陣で面白く無い訳が有りません。

剣と魔法、異世界転生モノに席巻されたアニメ界において、等身大の高校生を描く作品は貴重ですが、今が旬のプロゲーマーをテーマに持って来る当たり、流石のセンスです。さらに、瞬が母子家庭で「苦学生」と言う最近は珍しく無くなった生活環境である事で、浮ついてしまいそうな題材に重さと実感を与えています。妹の治療費を稼ぐ為にプロゲーマーにりたいと言い出した瞬に、母親は「そんなギャンブルみたいな仕事を目指さないで、もっと堅実な道を。最近成績も落ちて来てるじゃないの」と叱ります。このセリフをきちんと書ける脚本家は信頼が置けます。

でも、1話目を観た時点で、これはヒットしないなと確信しました。何故ならば、イマドキのアニメ視聴者は、作画が悪い作品を全く評価しないから。そして、肝心のゲームのCGも10年前のゲームみたい・・・。ここをリアルなゲームでなくて、ヌルヌル動くCGの神作画にしたら、或いはウィクロスみたいな擬人化した表現にしたら、この作品は覇権だったかも知れない・・・。

物語はライバルの出現や、三角関係といった王道展開で飽きさせません。そして何よりも瞬の妹の美桜(みお)「尊い」!・・・しかし最新話のラストで不穏な気配が・・・。この作品、個人的には今期一番楽しみです。

 

因みに舞台は川越。エンディングは氷川神社の裏の桜ですね。『月がきれい』の聖地。瞬を想う2人が待ち合わせて夜桜見物に向かう。お互い、瞬をどう思っているのか気になる微妙な乙女心が描かれた、素晴らしいEDです。

 

『はめつのおううこく』 より

青年誌らしい作品。

神は人類と魔女を作り、神の力を分け与えられた魔女は、人類を庇護するように神に託された世界。人と魔女は共存共栄の関係でしたが、科学の急激な進歩が、このバランスを崩します。世界帝国リディアの王は、今まで上から目線で人類を支配していた魔女に対して「魔女狩り」を始めたのです。魔法を封じる機械によって、魔女達は為すすべも無く、人に狩られてゆきます。

優秀な魔女クロエは、人の追ってを逃れて放浪していますが、旅の途中で人間の子供アドニスを助けます。気まぐれにアドニスに魔法を教えますが、彼の「記述式償還魔法」はクロエの与えた魔法のペンの威力によって、強力な効果を発動します。そんな二人が帝国に捕まり、クロエはあえなく斬首、アドニスも永遠に拘束されます。

ところが、刑務所の反乱に乗じてアドニスが解放されてしまいます。クロエに復讐だけを心の糧とするアドニスは、魔法の力で帝国を滅ぼそうとしますが・・・魔法を無効化する装置の前に遭えなく敗退。ところが、彼を助けた者が・・・それは魔女だったのです。人の手の及ばぬ秘境に逃げ延びた魔女達は、アドニスに一つの望みを掛けています。はたして、アドニスは魔女の要請に応えるのか・・・。

首が飛んだり、血が噴き出したりとグロい描写が多い作品で、世界観の構築も雑ですが、「復讐劇」を基調とする「ダークファンタジー」なので、「復讐心の濃度」の高さこそ、この作品の面白さだと思います。そして、アドニスがどう救われるのか、あるいは救われないのかに興味が涌きます。

原作はそこそこの発行部数の作品の様ですが、アニメのメインの視聴者からは、ちょっと外れた作品です。『ゴールデンカムイ』の様な萌え要素や、アイヌの生活を知る様な知的好奇心を満たす要素も無いので、人気は出ないと思いますが。しかし、青年誌の作品が持つ「外連味(けれんみ)」を味わえる作品としては面白い。

もっとも「グロテスク表現」的には、『チェンソーマン』や『呪術廻戦』といった少年誌の方が、遥かに過激な表現になっている昨今、青年誌のグロテスク描写はカワイイ物に見えてしまうのも確か。しかし、『チェンソーマン』や『呪術廻戦』をジャンプ本誌に掲載して、子供も読んでいる日本は狂ってるよね。まあ、昔から『ドーベルマンデカ』とか、今なら青年誌で掲載されるべき作品のオンパレードだったけど・・・。

 

『アンダーニンジャ』 より

こでも青年誌原作の作品。明治維新で忍者組織が解体されずに、スパイ組織として多くの忍者集団が暗躍する世界。第二次世界大戦後は、アメリカが忍者を手駒として、特殊任務に使っています。国内でも、大勢の忍者が、企業や政府組織の下で暗躍しています。

厚労省の忍者組織の壊滅の為、ある高校に通う事になる雲隠 九郎(くもがくれ くろう)「下忍=アンダーニンジャ」です。上忍の命令で、任務をこなす日々ですが、高校生ながらオッサンの様な風貌と物腰。安アパートで、隣人達とヌルーい日常を送っていますそんな彼に高校潜入の任務が与えられ、敵忍者と戦う事になりますが・・・。

イヤー1話の出来が素晴らしい。オフビート感は、青年誌の作品のある種の特色ですが、隣の部屋と押し入れで繋がり、一階には風俗のお姉さんが住んでいるというのは、『めぞん一刻』へのオマージュとも言える。アパート物のユルーいビートと、忍者の戦闘というハードな世界を合体させるというウルトラCの作品ですが、忍者組織間の対立など、設定はしっかりしていてハードボイルド。

こういう作品に反応しないと、アニメはダメになっちゃうよね。

 

『め組の大吾』 より

多分、消防庁全面バックアップの作品でしょう。

1話目に作画のカロリーを全振りして、後は物語の面白さと言うか、消防隊員の日常への興味で観させる作品。少年誌にこういう作品って大事でしすよね。これを読んで、あるいはアニメを観て、消防士を志す子供達が少なからず居るハズ。「コチカメ」観て警官になった子供もきっと・・・居ないか・・。

高校を卒業して消防士になった3人の男女の成長物語ですが、本来は実写向きの作品。敢えてアニメ化した辺り、消防庁の期待が透けて見えます。良作です。大人の鑑賞に充分に耐える作品。

 

『MFゴースト』 より

バリバリ伝説』『頭文字G』しげの秀一の原作私達の世代には懐かしいマンガ家です。とにかく、車やバイクを描くと天下一品ですが、人を描くと、デビュー前のアマチュア以下というのが、この作家の特徴。関節変じゃねー?って絵ですが、そこがイイ。何故かヒロインがチョーカワイく見えるんだよね。そして、オッサンキャラの中年らしい汚らしさも良い。

最新のCG技術で、レースシーンは手に汗を握る映像の連続。箱根の国道1号線を、高速でダウンヒルするって・・・・四輪でも命が幾つあっても足りない。さらに、パワーグリップレシオを揃えるという、面白い発想のレギュレーション。

自転車で何度も下った坂だけに、グリップの弱い状態で、あの坂を下る怖さは手に取る様に分かります。非力なエンジンで坂を上る辛さも・・・・

 

『葬送のフリーレン』 より

原作の評判は知っていましたが、アニメは2話目前半で挫折・・・「又、異世界かよ。お腹一杯だよ」って感じでした。

 

フリーレン様、ゴメンナサイ!!

私、五体投地して謝罪いたします。

 

この作品、立ち上がりは悪いのですが

構成力が神

1000年前と、80年前と、現在の間を物語が行き来しますが、時代が縦糸を、エピソードが横糸を成して、素晴らしいタペストリーを織り上げて行くような構成には、ただただ脱帽。原作がスゴイのです。

 

アニメは動く作画を極力避けて、絵のクオリティーを維持していますが、10話に作画力を全集中!!痺れました。フリーレンだけじゃなくて弟子も強いのね・・・。

この作品を褒める人は多いと思うので、あまり書きません。とにかく、物語の「構成」の手本として、じっくり見るべき作品。

 

因みにEDは今期では突出した出来栄え。

オープニング大賞は「SPAY FAMILY」です。世界の湯浅監督はやはり凄い。ストーリー性を持ちながら、アニメならではの動きと画面の使い方には震えます。凄すぎて、本編が霞んでしまうのが珠にキズ。

 

2024冬アニメはコレだ!!

 

『戦国妖狐』 より

ここで冬アニメの予告を。なんと『プラネットウィズ』『惑星のさみだれ』水上悟志『戦国妖狐』がアニメ化されます。

熱狂的なファンを持つ水上悟志ですが、アニメ化では『惑星のさみだれ』で失敗しています。現在のアニメファンは「作画厨」だらけで、作画の良し悪しを作品の良し悪しと勘違いしています。

水上作品は、原作の絵が、そもそも「マンガ絵」で、今の作画偏重のアニメには合いません。さらに表現も「マンガの王道」で、細かな構成や演出よりも、ダイナミズムを重視します。感動のウネリを高める為のキャラクターの動きやセリフ。セリフも大上段から振り下ろすかのごとく叩きつけて来るので、これをアニメで声優が演じると・・・ダサく感じてしまう。

そんなアニメ化の難しい水上作品ですが、戦国ファンタジーの『戦国妖狐』が2024年1月から放映されるらしい。何と、3期構成が決定していて、製作は既に後半に入っているそうです。世の中にはチャレンジャーが居るものですね・・・。(ありがとう、涙が止まりません)

シリーズ構成は今をときめく花田十輝、音楽は『葬送のフリーレン』のEvan Call。彼、バークレイで音楽を学んだアメリカ人ですが、オタクが高じて観光ビザで日本に来て、今では『鎌倉殿の13人』や『私の幸せな結婚』などの音楽を担当するまでに。『葬送のフリーレン』で聞く限り、派手な感じは少なく、確実なメロディーを、しっかりとしたオーケストラが支える感じです。和音が重層的で美しい。スコティッシュなシンプルなメロディーの後ろを、ゆるやかにオーケストラが支えていたりしますが、オーケストラは背景音の様な効果を狙っています。『ユリシーズ ジャンヌダルクと錬金の騎士』の岩崎琢を彷彿とさせる(地味な時の岩崎拓)。これって、学校でしっかりと和声とかオーケストレーションを学んでいないと出来ない仕事ですよね。ちなみに岩崎琢は東京芸大在学中に日本現代音楽協会新人賞を受賞を受賞しています。『グレンラガン』みたいな四つ打ちだけじゃないんですよ。

PVを観る限り、作画厨が拒絶する事は無いと思いますが(キャラの腕が岩だからな・・・ダメかな・・・。)水上作品がもっと多くの人に知られる様になれば嬉しい。

 

因みに、私は『戦国妖狐』の原作も買いましたが、同時にこの作品も中古で手に入れました。

『ハトよ天まで』 より

手塚治虫が絵本「龍の子太郎」に触発されて描いた作品で、この作品無くしてはも『犬夜叉』も生まれなかったでしょう。1964年から67年まで産経新聞で連載されていたそうです。マンガ半分、文字半分の絵物語的な構成です。

私の中学の図書館はマンガ禁止でしたが、何故か「初期手塚治虫全集」と言うハードカバーの立派な本が揃っていた。殆どの作品が印象に残っていませんが、『ハトよ天まで』は何度も読み返しました。とても好きな作品です。

山の神と天狗の争いで住み家を追われた龍が淵の主の大蛇の竜田姫が、人間の双子を拾い育てる所から始まる物語。貧しい農村に残って自然や神の脅威に立ち向かうと決めた弟のハト丸と、都に出て武士として出世して故郷を救おうと決めた兄のタカ丸。二人の成長と対立の物語は、民話ファンタジーの草分けとして貴重な作品ですが、内容は今読んでも面白い。

そして、『ハトよ天まで』の正統な進化として『戦国妖狐』が存在します。

人と隣(かたわれ)と呼ばれる「人ならざる者」が存在していた戦国時代。人が好きな妖狐と、人嫌いな仙術使いの少年、そして侍を志す農民と、隣を倒す為に肉体改造された少女の出会いから物語は始まります。時に悪い隣を退治し、時に隣退治の坊主に集団と戦いながら、お互いの絆を深める四人?ですが・・・。さわりはYoutubeにPVがアップされているので、そちらで。

アニメ化が難しい水上作品だけに、原作を先に読まれる事をお勧めします。今はアニメ化とタイアップで、合冊本が発売されています。(現在は「世直し兄弟編」だけ出版されていますが、順次発売予定)