人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

"DRILL BABY DRILL"・・・今年のナンバーワン・ワード

2010-12-31 06:37:00 | 時事/金融危機




■ オリジナル・イラスト・シリーズがスタート ■

前回、バーナンキのイラストで拍手を頂いたので、新しく、オリジナルイラスト・シリーズをスタートさせようかと思います。

第二段は、今年のナンバーワン・ワードを取り上げます。

■ 今年はベストワードはこれで決まり ■

昨年のナンバーワン・ワードがオバマの「CHANGE」だとすれば、
今年のナンバーワンはサラ・ペイリンの「DRILL BABY DRILL」でしょう。

日本人の多くの方には全く????でしょうが、
今年、アメリカの共和党支持者達を熱狂させてコトバです。

メキシコ湾海底油田事故でメキシコ湾が原油で汚染された事から、オバマ政権は海底油田開発の一時凍結を決定します。

石油利権を後ろ盾にする共和党は、この法案に強く反発します。
サラ・ペイリン前副大統領候補は演説の中で、「石油をドンドン掘れ!!」という意味を込めて「DRILL BABY DRILL」と発言します。

これが共和党支持者に大うけ。何故かって・・・DRILLには石油掘削の他にも性的な意味あいもあるからで、サラ・ペイリンがDRILLと言う度に支持者が盛り上がったのでした。

Youtubeにはサラの演説がアップされています。
http://www.youtube.com/watch?v=Rn2Tyh6b5dE&feature=related
一分経過した当たりに、そのシーンが現れます。

「DRILL BABY DRILL」は反民主党のキャッチフレーズとして瞬く間に共和党支持者に広がり、共和党の演説会で大合唱されるまでになりました。その様子も多くのYoutube画像で見る事が出来ます。

■ 庶民に受けるサラ・ペイリン ■

民主党を支持する知的な人々は、サラ・ペイリンを嫌悪しています。
下品なしゃべり口、舌打ち、大げさなアクションを彼らは見下します。

一方、共和党を支持する庶民にはサラ・ペイリンは飾らない人柄で信頼できると感じるようです。逆に、ヒラリー・クリントンの様なスカシタ白人を庶民は信用しません。

実際、オバマが「口先だけの男」であった事がはっきりしてきて、アメリカの無党派層はオバマ離れを引き起こしています。この点はオバマ就任前から私が指摘してきた通りの結果となりました。

■ 民主主義なんてその程度 ■

アメリカは錦の御旗として民主主義を他国に押し付けますが、民主主義なんて所詮「噓つき」と「ハッタリ」の戦いに庶民が乗せられているに過ぎません。

アメリカの場合は、「お祭り騒ぎ」として国民がそれを楽しみ、日本の場合は「陰湿なイジメ」として国民が楽しんでいるのです。

小泉元首相から、日本にもワン・ワード・ポリティクスなる言葉が浸透しましたが、世の中一言で片付けられる程簡単ではありません。

ワンワードを語らない小沢一郎は、案外正直者なのかもしれません。

最高のラブソングをあなたに・・・サンボマスター

2010-12-28 06:01:00 | 音楽



■ ロックを忘れた大人たちへ ■

「オリコチャート年間ベストテンを「嵐」と「AKB48」が独占するなんて・・・」そうお嘆きの貴兄に朗報です。

「サンボマスター」のニューアルバム「きみのためにつよくなる」を聴けば、「最近の日本のロックはつまらないよね。」などという失望も吹き飛びます。

そこには「ロックやろうぜ!!バーーン」という初期衝動と、ロックンロールという音楽が50年間積み上げてきた歴史が凝縮されています。

■ 見た目はお笑い芸人、魂はロックンローラー ■

「こぶ平」を暑苦しくしたようなデブが、ギターを胸の前に高めにぶら下げた姿を見て誰もが「新手のお笑いバンド」かと思うでしょう。

しかし音がハジケタ瞬間、紛れもないロックンロールが炸裂します。このビジュアルとのギャップに、どれだけのロックファンが椅子から転がり落ちそうになった事でしょう。

東洋大学の音楽サークルで山口 隆(G,Vo)近藤 洋一(B)木内 泰史(Dr)が2000年に結成したサンボマスターは、デビューアルバム「新しい日本語ロックの道と光」でメジャーデビューします。初回プレスは3000枚でしたが、彼らのストレートなロックは少なからぬロックファンの支持を得ます。

2ndアルバム「サンボマスターは君に語りかける」からは、「青春狂想曲」がアニメ「ナルト」のOPに使用され、子供とアニメを見る事を楽しみにしているロック好きのお父さん達をCDショップに走らせました。(私の事ですが)

その後、TVドラマ「電車男」の主題歌に採用され、お笑い番組で「ブサンボマスター」なるパロディーバンドが誕生するなど、世間一般に知られる存在となっていきます。

■ ロックのパロディー? ■

サンボマスターの曲は、どれも高いクオリティーを有しています。シンプルなロックンロールだけで無く、フォークやブルースを感じさせる楽曲も多く、ロックの歴史も十分に知っているバンドです。それでいて、どうしてもそれらが「ロックのパロディー」に聞こえてしまう事も否めません。

「暑くなれない若者」達に暑く語りかけても滑稽にしか見えないように、サンボの楽曲も空回りし続けます。

本人達もそれに自覚的で、「今となってはダサイROCKを、ダサい自分達がやると、他人からは面白く見える」という事をセールスに繋げていた感があります。

■ 欲望の脳内昇華 ■

サンボマスターの音楽がそれでも魅力を持っていたのは、彼らが凡百の似たような「暑いロックバンド」とは一線を画していたからです。

「彼女の居ない僕だけど、彼女が居たら死んでもキミを守りたい」
「彼女の居ない僕だけど、彼女を失ったら死ぬほど辛い」

そんな、「腐女子顔負けのピュアーな欲望」と「抑えきれないヨコシマな欲望」が脳内昇華して、暑いほとばしりとななってCDから溢れ出しています。

この一種自虐的とも言えるスタイルが、楽曲のクオリティーの高さにも関わらず、世の中にサンボマスターが受け入れられない最大の要因でもありました。

■ ロックの王道を行く決意 ■



しかし、サンボマスターのニューアルバム「きみのためにつよくなる」からは、オタク的な卑屈さは微塵も感じられません。

デビューして10年で、ロック歌手としての地位を確実にした彼らには、もう「ダサいロックを装う」必要など無いのです。

タイトルが示すように、サンボマスターの本当のロックを聴きたいというファンの暑い思いに彼らは正面から向き合う決意をしたのでしょう。

■ 「ラブソング」以上の曲が今年あっただろうか? ■

「きみのためにつよくなる」は、「ラブソング」から始まります。

今は無き(亡くなったのか、去って行ったのかは不明)彼女を思い、声をふりしぼって切々と歌い上げるこの曲は、この10年で日本、いや、世界で生まれたバラードの中でも最高の一曲です。

シンプルでありながら、恋人を失った悲しみを切々とうったえるこの曲を聴くと、ロックの本質が「若者の破壊衝動の噴出」であると同時に「若者の女々しさのはけ口」である事に気付かされます。

■ あれ?これって「長澤まさみ」だよね・・・勝手にPV ■

プロモーションビデオも秀逸で、「竜馬伝」で一躍人気俳優の仲間入りをした桐谷健太が一人砂浜で涙する姿をひたすら追い続けます。これは女子ならずともハートを鷲掴みされます。

一方、サンボマスターのアートディレクションを勤める「箭内道彦」が、あまりの曲の良さに、当時、カレンダーの作成をしていた長澤まさみに頼んで勝手に2本のPVを作成してYoutubeで公開しています。

こちらも、ホームビデオで撮った素顔に近い長澤まさみが堪能できます。

■ 開き直ってポップを肯定した ■

キラーチューンの「ラブソング」で幕を開けるニューアルバムは、その後もどれをシングルカットしても良いような完成度の高い曲の連続です。

ハジケタ曲の後は、ギター一本のバラードでしんみりさせ、またハイスピードな曲に突入するといった様に、アルバムのバランスも良く取れています。

そして、女性コーラスを使用するなど、今までとは異なりポップなアプローチが商業音楽としての質を高めています。

今まで、オタクながらの卑屈さから、ストレートなポップを回避していた彼らが、ポップを肯定した事がこのアルバムの最大の魅力です。

その現れとして、今まで「ダサさ」を前面に押し出していたアルバムジャケットを、カワイイ女の子のイラストにしています。

これまでのサンボのジャケットは、一部の卑屈な男子を喜ばせると同時に、明らかに多くの女子を彼らの素敵な音楽から遠ざけていました。

■ 今年一番のアルバム ■

デビュー当時からサンボを聞き続けてきた身としては、彼らが「一皮剥けた」のは、喜ばしい限りです。

間違いなく、「今年一番のアルバム」として、多くの人にお勧めしたい一枚です。
40歳、50歳のオヤジでも、少年少女の心を取り戻せます。

儲けに群がる大人達に操られた「AKB48」や「嵐」にうつつを抜かすマヌケな息子や娘達に、本当のロックを聞かせてやろうでは無いでしょうか!!

マンガは未来を幻視する・・・カサハラ・テツロー「ライドバック」

2010-12-25 18:03:00 | マンガ


■ クリスマスだから「ムナチラ」サービス ■

本日はクリスマス。聖なる夜に、「人力でGO」では「ムナチラ」画像のサービスです。・・・女性の方はスミマセン。

赤いバイクに颯爽と跨る美少女の胸元に視線を視線を奪われますが、良く見るとバイクに「腕」が生えています。そう、これが近未来の乗り物、「ライドバック」です。

「腕」はバランスを取る為の道具で、2輪で走行するライドバックは車輪の間隔を狭める事で直立に近い姿勢を取ったり、不整地を歩行したり出来るます。「手」も器用に物を掴む事が出来、軍用に転用して火器を扱う事も可能です。

■ 女子大生が世界を変える ■

緒方淋は武蔵野文芸大学に通うワンピースの似合う女子大生。母親は天才ダンサーの緒方ユキ。父親も舞台演出家です。淋も幼い頃よりダンスの才能を現しますが、デビュー舞台のリハーサルで足を骨折し、しばらく表舞台から遠のいています。

ある日大学内で雨宿りした油臭い小屋が「ライドバック部」の部室でした。先輩に強引に誘われライドバックに生まれて初めて乗った淋は、そのまま学生運動の立て看板の設置に狩りだされます。

ところが、学生達と警官が乱闘となり、巻き込まれた淋は、ライドバックを華麗に操り先輩を救出してしまいます。これを眼にした幾人かの人物が、淋の運命を変えていく事になります。

時代は近未来。大国の一国主義に抵抗するGGFという勢力が国連軍を破って、平等な世界統一政府を樹立しようとする時代。日本もGGFの統治下に置かれますが、学生達は60年代安保の時代と同様に抗議運動を繰り広げています。

武蔵野文芸大学のサークルもデモ要員の勧誘組織です。冒険部に入部した淋の親友の上村しょう子もGGFの基地のデモに狩りだされます。ところが、GGFのスパイが警官に発砲した事から、警官隊の容赦のない武力鎮圧が学生達を襲います。高圧放水車に骨を砕かれ、女子学生も殴られ・・・親友しょう子の危機をTVで知った淋は、ライドバックを駆って親友を救出するべくデモに飛び込んで行きます。

警察の車列バリケードを飛び越えた淋の赤いライドバックは、華麗な舞を踊るように群集をすり抜け、しょう子を抱えて基地のフェンスの向こうに姿を消します。基地内で銃弾が飛び交う中、淋は恍惚感に包まれます。舞台の上でしか得られなかった、「光」に包まれて、淋は爆炎を潜り抜け、しょう子の救出に成功します。

学生運動鎮圧を目論むGGFの謀略は、「ライドバック少女」の出現で一転します。世間は「ライドバック少女」に熱狂し、GGFを非難し始めます。

■ 「象徴(イコン)」と挫折 ■

淋は学生運動の「イコン」に祭り上げられ、本人に意思とは無関係に反GGF運動の象徴にされてしまいますが、GGFの狙いは学生運動の過激化とそれに乗じた学生運動の鎮圧でした。

軍が市民に発砲する事など考えた事も無い学生達は、本気になったGGF軍に前に一瞬で鎮圧され、淋も逃亡の末、囚われの身となります。

GGFは徴兵制施行の予備段階として、囚人の徴兵を始めており、淋はアメリカのGGFの部隊で矯正される事となります。厳しい訓練と精神修練、人格矯正の中で、淋は世界と自分の関係について初めて悩み、そして目覚め始めます。

悪と思っていたGGFが悪では無い事。しかし、旧勢力に対するGGFの武力行使は非人道的な側面を持っている事・・・。

そんな中、淋を見つめる視線があります・・・淋をシゴキ上げる鬼教官のカチャノフの視線です。

■ メカを描きたかっただけ ■

「ライドバック」は大学生の日常と世界の接点を絶妙に描いてゆきます。内容的には学生運動や世界の武力闘争を描いて熱いのですが、淋はどこか「浮世離れ」していて物語の中心に居ながらも、彼女は能動的に世界に関わる事はありません。

いえ、むしろ「ライドバック」の魅力は、主人公が常に物語の外側にいる事にあるのかもしれません。激しい戦闘の最中でも、淋は恍惚と「光」を追い続けています。この「物語の中心の不在」こそが、「ライドバック」をそれ以前の戦闘物のマンガと差別化する最大の要因かもしれません。

「どこか醒めたヒーロー」ではなく「熱くなれないヒロイン」が現代的なのです。

これは作者の「カサハラ・テツロー」が、ただライドバックというマシンを描きたいという純粋な願望からこの物語を作り出した事に起因するかもしれません。

美大生だった作者は、出版社でアルバイトをします。「美大生だったらマンガが描けるだろう」と言われ、子供向けの教育雑誌にマンガを描き始めた事からその経歴をスタートさせます。彼の漫画家としてのキャリアのスタートからして、どこか淋と同様に主体性がありません。マンガを生み出したいという欲求よりも、好きな絵を描きたいという欲求が勝っているのでしょう。

しかし、その結果生み出された「ライドバック」にマンガとしての魅力が欠けているかと言えば、そんな事は決してありません。GGFによる世界統一と抵抗勢力の抗争という世界の設定は現代的ですし説得力もあります。登場人物達のキャラ立ちも良く、魅力もあります。

しかし、結局は「ライドバック」というメカの魅力や、その躍動感が読者を引き付けて離しません。

細いフリーハンドの線で描かれた絵は、大友克洋や士郎正宗を思わせ、少々古いイメージを与えますが、見開きや半ページを用いて描かれるライドバックの「決め」の絵は、躍動の中の一瞬の静止を見事に捕らえ、読者をライドバックの世界に一気に引き込みます。

■ 未来を幻視する漫画家の目 ■

メカが魅力のマンガですが、ライドバックの世界感の基本を成すGGFという統一世界政府は非常に意味深な組織です。

アメリカを始めとする大国のエゴに蹂躙された国々が結束して立ち上げたGGFという組織は、大国を中心とする国連軍に対して苦戦を余儀なくされます。戦闘はゲリラ戦を主体に行われ、情報統制された日本では、戦争の実体は正確には伝わってきません。

国連軍の要衝とされていたアリゾナ基地をGGFが急襲し、ここを陥落させた事でGGFは一気に優勢に立ちます。この「アリゾナ戦役」でGGFが投入したのがライドバック部隊です。機動性に富んだライドバックは難航不落と呼ばれた「アリゾナ基地」を少数の部隊で制圧してしまいます。

さて、世界統一政府と言われると先ず思い出すのが、イルミナティーの掲げる「世界政府=ニュー・ワールド・オーダー」です。平等だけれど飼いならされた世界・・・。

カサハラ・テツローの描くGGFの支配する世界は、「世界政府」が実現したらまさにこんな社会になるのだろうというイメージに溢れています。

人々はGGFの統治前と同様に普通に暮らしています。むしろ、治安は改善し暴走族なども消えて、人々は何故GGFに反抗していたのか不思議に思いながら暮らしています。

しかし、ひとたびGGFに反抗すればGGFは徹底してその存在を抹殺します。その結果一般市民に被害が及んでも、情報統制によって市民はその実態を知る事はありません。

疑問さえ持たなければ何も不自由の無い世界ですが、一旦、規定外の自由を求めるとその社会には居場所が無いのです。

SF作家や漫画家の目は、稀に未来を幻視します。カサハラ・テツローの描く社会が実現したとして、私達はそれを「幸福」と感じるのでしょうか?・・・一般的な幸福や平穏に抵抗する人々の姿が心に残る作品です。

■ 個人の物語として完結するアニメ版ライドバック ■



ライドバックはアニメ化もされています。マッドハウスの製作だけあって丁寧な作品に仕上がっています。

原作では学生運動に主眼が置かれていますが、アニメ版では抵抗組織のBMAとGGFの対立が背景として描かれています。この対立は主に会話やニュースで語られ、人々はどこか人事として日常を送っています。

緒方淋個人と周囲人の話に世界を縮める事で、原作にあった大きな世界は後退していますが、その分、人物の魅力は高まっています。

アニメ版でも緒方淋は自分の舞にひたすら固執します。GGFの無人ライドバックと戦いながら舞続ける「ライドバック少女」の姿が、人々を世界をほんの少し変えてゆきます。

アニメ版ライドバックの最大の魅力は、そのメカのデザインのカッコよさです。原作ではレッドバロン(古いですね)みたいで、お世辞にもクールとは言いがたいライドバックですが、CGで設計し直す事で、実在するバイクの様な現実的なフォルムを手に入れています。

そして、アニメでも原作の「決め」絵の素晴らしさは踏襲しています。
空を舞うライドバック。たなびく黒髪。ちらっと見える胸元・・・・。

かつてバイクに熱を上げた方ならば、虜になる事は確実です。

マンガから読むか、アニメから見るか、いずれにしても原作世界を大切にしながらも、異なる二つのストーリーとして楽しめる事は保障します。お正月の予定が無い方にはお勧め!!

なんだかきな臭い雰囲気・・・緊張の高まる東アジア

2010-12-19 11:24:00 | 時事/金融危機



■ ドゴン!! ドゴン!! ■

自治会の餅つき会に参加していたら「ドゴン、ドゴン」と地を這うような音が聞こえてきました。

最初は近所の再開発の工事の音かとも思いましたが、どうも砲撃音に聞こえます。気になって餅つきを抜け出してインターネットで「習志野自衛隊」で検索したら、皆さん盛んにTwitterに書き込みをされていました。

どうやら、陸上自衛隊の習志野駐屯地で砲撃演習をやっているようです。「バラ、バラ、バラ」と機銃掃射の音も聞こえています。戦闘ヘリの機影が見えますので、ヘリからの掃射訓練もやっているようです。

ネット情報では輸送ヘリCH-47(チヌーク)も旋回しているようなので、空挺師団の降下訓練も同時に行なわれているのでしょう。

■ 「坂の上の雲」の舞台、習志野 ■

千葉県習志野市とその周辺は軍都でした。NHKの「坂の上の雲」で主人公の一人である秋山好古の騎兵連隊は習志野に駐屯していました。

その後、騎兵連隊は機械化に押されて無くなりますが、鉄道連隊がその後に創設されました。現在も陸上自衛隊の演習場として、軍都の面影を残しています。

習志野を拠点にする部隊には、陸上自衛隊の精鋭で構成される第一空挺師団と、対テロ特殊任務の部隊がいます。

戦争が始まれば、最前線にパラシュート降下して敵をかく乱する事を任務とする空挺師団は陸上自衛隊でもエリート部隊ですが、戦時ともなれば真っ先に前線に派遣される部隊でもあります。

■ 尖閣以降、基地の様子が慌しい ■

習志野基地の名物は何と言ってもパラシュートの降下訓練です。青空を背景に海月(くらげ)の様にふわふわと漂うパラシュートは、なんとものどかで、戦争などという血生臭い感覚は微塵も感じられません。小学校の頃は美術の写生の時間に、友達と写生そっちのけで眺めていたものでした。

以前は基地の敷地にもぐりこむと空薬莢が拾えるなどとの噂もありましたが、習志野に住んで40年近くなりますが、実弾訓練の音などは聞いた事がありませんでした。

ところが、尖閣問題以降、習志野基地の様子が慌しくなっています。

輸送ヘリや戦闘ヘリの編隊が去来したり、周囲を輸送機が終日旋回していたり、より実戦的な訓練をしている様子が伺えました。

■ 大砲の発砲音 ■

しかし、本日の大砲の発砲音には驚きました。住宅地の真ん中にある基地で、空砲とは言え、大音響の大砲の発砲訓練が行なわれるとは、驚きました。

近所の方々は余程ビックリしたのか、次々にTwitterに書き込みがありました。

ところが、基地から5Km程はなれた私のマンションでは、誰もそれが大砲の発砲音である事に気づいていない様でした。戦争体験のある自治会の老人達も大勢いらっしゃいましたが、音を気に掛ける様子もありません。

■ 平和ボケ ■

日本人はつくずく平和ボケしてしまいました。明らかな砲撃音や機銃掃射の音に反応しないのです。

習志野の自衛隊は、軍事目標ですから、北朝鮮や中国のミサイルの標的になっている可能性は充分にありますが、今の日本人はそんな事すら考えた事が無いのでしょう。

■ 自衛隊は暴力装置である ■

先日、仙石官房長官が「暴力装置である自衛隊」と発言して、国民のヒンシュクを買いましたが、自衛隊も警察も海上保安庁も明らかに「暴力装置」です。

国家とは「暴力装置」の暴力に裏打ちされた「徴税組織」以外の何者でもありません。

「軍隊を自衛隊」、「戦争を防衛」と言い換えても、理由さえあれば他国が日本に攻撃してくる事態は充分に考えられます。ですから、国家を守る為に(国民ではありません)、「暴力装置」は不可欠です。

■ 高まる東アジアの緊張 ■

昨日、中国の漁船が韓国の排他的経済水域で、韓国の警備艇に体当たりして沈没するという事件がおきました。中国の漁船50隻程が韓国の主張する水域内で操業していた様です。

中国の漁民は鉄パイプで韓国の警備隊員に殴りかかるなど、暴力的な行為がエスカレートしている様です。

「便利な国家」北朝鮮が戦争の引き金を自ら引く事は考え難いのですが、国力の増す中国の国民や軍の暴走には注意が必要です。

尖閣問題にしても、もし本当に海上保安官に死傷者が出れば、日中関係は極度に悪化します。

政府が太い信頼で結ばれていなければ、つまらない事から戦争が始まったりするのです。

東アジアの緊張が高まる中、自衛隊の演習が実戦的になるのは当然ですが、その一方で、外交努力を怠れば東アジアに不測の事態が訪れるかもしれません。

国債利回りの上昇・・・インフレ懸念

2010-12-15 01:45:00 | 時事/金融危機
■ 2010.12.14の各国の国債金利 ■




■ 「出口戦略」は遠い過去 ■

皆さん、昨年のFRBのニュースで多く見かけたワードは何だったか覚えていらっしゃるでしょうか?

リーマンショック後の各国中央銀行の金融緩和策が発表される度に、「出口戦略」という言葉も同時に語られていました。

「過剰に供給される資金によって、インフレが発生したら中央銀行は金利を引き上げてインフレを抑制する」事を前提に、金融緩和策が次々と実行されてゆきました。

さて・・・実際に金利が上昇し始めましたが、各国の対応はどうでしょうか?

■ 財政の健全化を図るEUと、財政の拡大が止まらない日米 ■

PIGS諸国を抱え、ソブリン・リスクがクローズアップされる欧州では、一足早く緊縮財政に舵を切っています。

下院で共和党が多数を占めたアメリカでは、従来の様な大盤振る舞いとまでは行かないまでも、QE2の6000億ドルを元手に、今後も財政は拡大する事は確実です。

政局の混乱から思い切った経済政策が打てない日本では、法人税5%減税を政府が打ち出しました。その分税収が不足する訳ですから、予算を縮小できない限り国債発行額が増え、こちらも財政拡大と言えます。

■ 「15分でインフレの目を摘んで見せる」と言ったバーナンキ ■

債権金利の上昇で、市場ではデフレ懸念が一転、インフレ懸念が台頭しています。

それを受けてFRBのバーナンキ議長は「FRBがインフレ率を2%未満に抑制し、必要な場合には緩和的な金融政策を転換することができると100%確信している。必要なら15分で利上げすることも可能だ」

と発言した様です。

すかさずロン・ポール議員が「「物価が上昇し始める場合に、15分でそれを止めることができるというバーナンキ議長の楽観的な考え方を見る限り、主観的価値理論や物価が心理的要因でも上昇するということを十分理解していないと思う。人々が信頼を失うと物価は上昇し、それをすぐに止めることはできない」と切り返しています。

■ 日銀の過去の利上げが何をもたらしたか ■

過去、日銀はゼロ金利政策導入から1年半が経過した2000年8月に0.25%の利上げに踏み切りました。しかしその結果、日本経済は失速し日銀は再度のゼロ金利政策と量的緩和を余儀無くされました。その後、日本は失われた10年を彷徨う事となります。

需要が喚起されて発生する物価の上昇は正常なインフレです。これに対しては中央銀行の利上げが効果的に働きます。

しかし、財政不安によって国債金利が上昇する場合は、中央銀行は既に金利の制御権を失っています。

① ゼロ金利政策と量的緩和で過剰に資金が供給されている。
② 失業率が高止まりし、需要は低い。
③ 過剰流動性がコモディティー市場に流入し、物価上昇圧力を生む。
④ 通貨が下落して、輸入コストが増大し物価上昇圧力が高まる。

この様な状況でさらなる利上げを行えば、実体経済に与える影響は図り知れません。中央銀行は金利決定の主導権を失ったまま、債権市場が金利を決定する事態に陥ります。

国債金利の上昇を抑える為に中央銀行が国債を直接買い入れ、通貨を増刷すれば、さらなるインフレが発生します。これこそが不況とインフレが同時進行するスタグフレーションです。

■ 資本流出がインフレを抑制していた日本 ■

日本を例になぞらえると、「日本は20年間もデフレ基調だったのだから、アメリカもデフレになるだろう」という方も多いと思います。

しかし、日本は日銀が量的緩和で資金を供給する一方で、その資金は有効に国内市場には還元されていませんでした。

① 円キャリートレードの発生。
② 貿易黒字を企業が内部保留。
③ 企業の内部保留が、海外投資として流出。
④ 老人を中心とした預金を金融機関が海外で運用
⑤ 政府の米国債買い入れ

日本の資本流出の最大の原因が、国内金利の低さでした。
郵貯や国内の金融機関が日本国債を買い支えた為、日本では国債金利が群を抜いて低く、資金の海外流出を加速していました。

■ 金利を抑制できない米国 ■

現在アメリカの国債金利は既に上昇し始めました。

アメリカ国債の多くを海外の投資家や金融機関が保有しており、米国財政が持続不可能と判断すれば、米国債の売り圧力はさらに高まります。

バーナンキがどんなに強がりを言っても、FRBは既に金利を制御出来なくなりかけています。

■ 危機は米国発 ■

日本の国債危機に私も警鐘を鳴らしてきましたが、日本国債が単独で危機に陥る可能性は5年以内には低いと思われます。

日本国債の危機は、必ず米国発で訪れます。
米国債が暴落して、日本の海外債権が消失した時、GDP比200%という国債発行残高が日本国民に襲い掛かります。

日本国債が単独で暴落するのであれば、預金の減少や、国債の入札状況である程度の予測が可能です。

しかし、米国債の暴落は予測不能です。

① 格付け機関が一気に米国債の格付けを引き下げる
② 米国政府がいきなりデフォルトを宣言する
③ アメロなど、トンデモ通貨がいきなり現れる
④ 中東や東アジアで戦争が勃発する

・・・引き金は全て、彼らが握っています。