■ そうだ、南に行こう ■
すっかりシングルギアにハマっています。土曜日は箱根にトライしようと思っていましたが、どうも気温が低い。寒さの中での箱根のダウンヒルの辛さは昨年の箱根駅伝ライドで懲りています。
ならば、南に行くしかありません。房総半島を真っ直ぐ南に下って最南端の野島崎まで行って、鴨川まで走れば一足早い春を満喫出来ます。
■ シングルピストで70Km走って、メータ読みAV30Km/hは達成できるのか? ■
本日は走り始めはほぼ無風。稲毛で国道357に出てからはやや追い風で快調に飛ばします。朝ごはんも食べずに7時15分に家を飛び出して来たので、ドリンクボトルも空のまま。超軽量状態なので、ぐんぐん速度に乗ります。ここで、悪魔が囁きます。「このまま君津まで走ってAV30km/hを達成できるか試してみようよ・・・」
姉ヶ崎を過ぎた時点でAV29.6km/h。これはイケると思った瞬間に前輪から「プシューーーー」て音が・・・。パンクです。10分で修理して再スタートしますが、ノンストップは達成出来ず。
それでも緩い追い風に乗って君津まで67km走って、AV29.4km/h。
流石にシングルギアーの46T-16Tでは高速域で足が回り切ってしまって35km/h以上の巡航は無理。その代わりと、重いギアーを使わない(使えない)ので、足はフレッシュそのもの。全然疲れません。高ケイデンス走法が流行する訳だ・・・。
■ 向かい風と戦う ■
残念な事に君津から先は向かい風になりました。午後の気温が高くなる予報でしたので何となく覚悟はしていたのですが、シングルスピードは向かい風に弱い。さらに、南に行くにしたがってアップダウンが始まります。
シングルスピードの向かい風対策は、とにかく体を低く折り曲げるしか有りません。正面から見た面積が最少に成る様に腕も体側に付ける様にします。これで幾分速度が稼げます。
浜金谷のサスケ食堂前を11時頃に通過します。空いていたら「黄金アジのフライ定食」を食べようと思っていたのですが、開店前から10人以上のお客さんが並んでいます。待ちそうなのでパスして先を急ぎます。
■ 道の駅 富楽里(ふらり) はアジアの屋台の様でGOOD ■
岩井駅の手前で空腹MAXとなったので、富山(とみやま)の麓にある道の駅「富楽里」で朝食とします。
2Fに上がると、惣菜屋の前が黒山の人だかりでした。魚の練り物や天ぷらをセレクトしてご飯と一緒に食べる事が出来ます。揚げ物屋は待ちそうだったので、隣の店でつみれ汁とおにぎりを注文します。
このつみれ汁、170円です。つみれの大きさは直径5cm程度、超お買い得です。
ところで「富山(とみさん)」と言えば「南総里見八犬伝」の「聖地」。
犬の八房の背に乗った伏姫が館山から飛んで来て、洞穴に籠ったと伝わります。いえいえ、八犬伝は江戸時代のフィクションですらそんな史実は無いのですが、富山(とみやま)には実際に「伏姫籠穴」という観光名所が有ります。実際には仏僧が修行に使用した穴の様ですが、この地では八犬伝は歴史の一つになっているのです。
道の駅の階段の所に、八犬士の絵が掛っています。巷の一番人気は江戸時代当時から犬塚信乃でしょう。冒頭女装で登場し、悲劇のヒロイン浜路との恋路が読者をハラハラさせますが、この時代から「おさななじみは負け」と相場が決まっていた様で、浜路は、恋が叶わず命果てます。(もっとも、生まれ変わりとも言える浜路姫が信乃と結ばれるハッピーエンド付ですが・・・馬琴、どんだけラノベなんだよ!!)
ところで上の写真は犬坂毛野。女装と言い、名前といい、こいつ信乃とキャラ被りなんだよね。「仁義礼智忠信孝悌」の八つの玉は上から順に位が高いとも言われますが、「仁」の玉の持ち主犬江新兵衛が一番若く、ちょっと影が薄い・・・。続く「義」の玉の持ち主の犬川荘助は信乃の「親友ポジション」でイイ人キャラで、これ又影が薄い。
個人的には信乃と犬飼現八が好きですね。特に二人が刀を切り結んだ芳流閣の戦いは八犬伝のベストシーンでしょう。「昔の敵は今の友」、もう馬琴先生、どんだけ少年ジャンプなんだよ!!
おっと、脇道に逸れてしまいました。先を急ぎましょう。
■ 鉈切神社 ■
向い風に苦しみながらも館山を通過します。洲崎に向かう途中、視界の隅っこにビビー!!と来る物がよぎりました。急いで停車して引き返すと、「鉈切神社」といいう標識が。一瞬「蛇切神社」かと思ったよ、『化物語』の「千石なで子ちゃん」かと思ってブレーキが反応しちゃったよ・・・。
ところで「鉈(なた)で切る」とは物騒な名前の神社です。ここはリサーチするしか有りません。参道を除くと鳥居の奥は薄暗い樹影の中。なんだか異界への入り口みたいで背筋がゾクリとします。
参道は南房総特有の常緑照葉樹の巨木に覆われ昼でも薄暗い。そんな参道脇に「鉈の研ぎ石」なるものを発見。これ又物騒だ・・・。
説明書きを読むと、かつて悪い蛇が洞窟に住みつき、村人を困らせていた所、神様が鉈でこの蛇を切り殺して退治したと伝わっているらしい。その神様が蛇退治の前に鉈を研いだとされるのがこの石。真ん中に細い溝が走っています。どうやらここで刃を研いだらしい。なんだか現代的な砥石だ、ホームセンターで見た事有るぞ・・・回転する砥石が付いてるヤツ。
なだらかな石段を登り詰めると、岩山に半分めり込む様に本殿が建っています。
お賽銭して旅の安全を祈願しますが・・・・何と、本殿の奥に本殿が有るぞ・・・。本殿と見えたのは拝殿でした。本殿は洞窟の入り口に鎮座しています。
この洞窟、海食(波による浸食)によって出来たらしいのですが、深さが36.8mも有ります。縄文式土器が発見されたり、古墳時代は墓地としても使われていたそうです。現在は海抜25mですが、房総半島は海底から隆起して出来たので、大昔は海の波に洗われていたのでしょう。
お参りを済ませ、鳥居まで戻って来ると・・・おなじみの物を見つけました。男性のシンボルです。隣にある丸い石は女性かな・・・。房総の神社には陰陽の物が良く祀られています。子孫繁栄を祈願した物ですが、インドのリンガといい、大らかな文化です。キリスト教的なストイックな文化が流入する以前は、日本人は性に対して開放的でした。
<訂正>
男性のシンボルに見えたのは実は「宝塔」だそうで、この穴は「やぐら」という鎌倉時代から室町時代にかけてのお墓だそうである・・・。長者夫婦の墓と伝わっている。どうも失礼いたしました。ちなみに穴は二つ1対である。
■ フラワーラインは菜の花の黄色に縁どられていた ■
洲崎を過ぎると、そこから先は「フラワーライン」。菜の花の黄色が延々と道を縁取ります。砂丘の上を走る道路はゆるやかに起伏しているので、観光ポスターの様な光景です。
海岸線に出たので向かい風はさらにキツクなります。チェーンに砂でも挟まったのか確認する程、前に進みません。風向きを読んでいたのか、対抗車線を多くの自転車が軽快に走って行きます。
我慢のペダリングを続けて15:15分に野島崎に到着。浦安出発から8時間ちょうどです。距離は147km。メーター読みのAVは27.0km/hまで落ちています。余裕でセンチュリーラン(160Kmを8時間)を予定していたので、少し途中で遊び過ぎました・・。
日没前に鴨川に到着したいので、サクサクと観光を済ませ、売店で焼きそばを買います。オバアちゃんが、「もう、土日がいつも雨で今年は散々だよ」と嘆いていましたが、今日明日は晴天で観光客も大勢来る事でしょう。
■ 南風に乗って一気に鴨川へ ■
野島崎を過ぎたら進路は北上、風は南風。
もう、ヒャッハー状態の37km/h巡航です。(これ以上はギアが足りない・・・)
野島崎を15:45分に出発して、鴨川駅着は17:05。
結局、183Kmを9時間50分で走りました。メータ読みのAVは27.2km/h。
野島崎から鴨川までは道端に観光の花畑が続いています。ストックやポピーが一面い咲いていますが、ノンストップで鴨川に着いてしまったので写真は有りません。
鴨川で自転車を輪行バックに積めて、さあ電車に乗ろうとしたら・・・外房線は17:55発車で1時間近く待つことに。
暇なので18:18分発の館山行に乗って内房線で帰ります。到着は外房線の方が早いのですが、来た道を戻る感じ。まだ、少し明るいので、車窓からの景色を少し楽しめそうです。
本日はシングルスピード自転車で、春の南房総をひた走りました。
ヒルクライムをしていないので、まだ100Kmは余裕で走れそうです。
平地にギアーが不要な事が実証された一日でした・・・・。