詳しくは改めて記事にしますが・・・実は核ミサイル問題で北朝鮮に世界の目が向いている裏で、シリア情勢は混迷の度合いを深めています。
アメリカはダーイッシュ(IS)を操ってシリア政府軍を攻撃していましたが、ロシアがシリア政府軍支援に本腰を入れてからは、ダーイッシュは撤退を続け支配地域を放棄し続けています。
この撤退線に際して、米軍は躊躇なくシリア政府軍を空爆し始めています。米軍の支援を受けたダーイッシュの反撃でシリア政府軍と行動を共にしていたロシア軍の特殊部隊の将校が数名死亡するなど、ロシア軍もそれなりの損害を被っています。
ダーイッシュの後退と前後するかの様に、クルド人の反政府勢力が台頭しています。クルド人はイラク、シリア、トルコなどに住んでいますが、国家を持たない民族で、各国で独立運動を展開しています。
トルコの政権がロシア寄りになった理由も、アメリカやイスラエルがクルド人勢力を支援している事も一因です。イラク政府も北部の油田地帯をクルド人勢力が押さえている為に、クルド人の独立運動に過敏に反応します。
ダーイッシュに代わって、中東各地でクルド人勢力が攻勢を強めると、中東情勢はまた新たな混迷状態に入ります。特にお金で雇われたゴロツキの集団のダーイッシュと違い、クルド人達は独立を悲願として長年戦って来ただけに、一度火が付けば各国ともその対応に手を焼きます。
欧米メディアは「クルド人弾圧」とか「クルド人迫害」として、政府軍の攻撃を報道し、それを理由にNATOの空爆がトルコやシリアやイラクに仕掛けられるかも知れません。これにロシアが過剰に反応すれば・・・中東はアフガニスタンの様に米露の直接戦闘の場になる可能性が有ります。
さらに、アフタにスタンで米軍が増強されたという事は、米露はアフガニスタンでも衝突する可能性が有る。
こうなると、原油価格が急騰する事確実です。(ロシアにとっても、アメリカのシェール企業にとっても、シェール企業に出資するウォール街にとても好都合)
原油価格上昇で困るのは誰か・・・実は日本です。
異次元緩和の初期にインフレ率が上昇しましたが、この主原因は円安による輸入物価、特に原油価格の実質的な上昇です。その後、原油価格は40ドル/バレル代まで下落し、日本のインフレ率のゼロ近傍まで低下しますが、中東の戦乱で原油価格が上昇しれば、日本のインフレ率が外的要因によって再び上昇に転じます。
物価上昇は長期金利に反映しますから、10年債の金利を現在のゼロに張り付ける為に、日銀は指値オペを連発する事態に陥るかも知れません。
北朝鮮という分かり易い危機よりも、中東の危機の方が、今の日本にはヤバイのです。