■ 「早朝から迷惑だ!!」とはなかなか言えない ■
TVの無い我が家ではJアラートなんてどこ吹く風。ワンセグで朝の連ドラを見ようとしたカミサンが「ねえ、今朝地震があった?」と聞いてきたので「全然!」と答えただけの、普通の朝を迎えました。
私がミサイル発射を知ったのは、打合せに行く電車の中でスマホのニュースサイトをチェックした10時頃でした。
打合せ先で、「今日、ミサイル飛んで来たの?」と聞いたら、皆さん口々に「地下室や頑丈な建物って、ウチの周りには無いよ」とか「ミサイルの音が聞こえたら逃げればいいんじゃない」なんて会話で盛り上がってしまいました・・・。
意外に皆さん「現実として心配」されているので、「またヤラセミサイルか・・・」と白けている自分は、ずいぶん世間様とは離れた存在になってしまったなと・・・そんな疎外感に苛まれてしまいました。
しかし、「早朝から迷惑だよね!!」と言う人が居ないのには少し驚きました。東京はJアラートの警戒区域から外れていたので、電車の遅延も有りませんでしたが、警戒区域では、学校が休校になったり、朝から非常放送が鳴り響いて住民が不安になったりしています。
生死に関わる問題だけに、軽口でも「迷惑」とは言い難い雰囲気。これをサラリと言ってのけたのはホリエモンや一部の陰謀論者だけでは無いかと・・・。
■ 着弾まで8分、Jアラート発報から4分 ■
1)北朝鮮の発射した弾道弾は8分程度で東京に着弾
2)Jアラートの発報は、北朝鮮の発射が確認されてから4分程度
4)Jアラート発報から4分で東京に着弾
仮に、今回の様に発射が早朝や深夜の場合、Jアラートに気付いてから4分で頑丈な建物か、地下の建造物に逃げ込まなければ、着弾地点では生命の危険が生じます。
■ 4分でも生死を分ける ■
しかし、実際には昼間でも、4分で避難は困難です。一般の人達が出来る対応としては、ガラスの破片が飛び散るかも知れない窓際から離れたり、或いは、ビルのガラスが降り注ぐ恐れのある路上から、近くの建物内に避難するのが精いっぱいでは?
ただ、これをするのと、しないのとでは生存率は大きく変わると思われます。
万が一の事態を考慮すれば、ミサイルの着弾が確認されるまでは、少なくとも窓際や路上からは避難した方が良さそうです。
■ 北朝鮮が試射の経済効果を上げるならば東京上空を通過するコースを選べば良い ■
北朝鮮の弾道ミサイルの発射コストは決して安くはありません。その経済効率を最大化させる為には、日本に着弾させずとも、東京上空を通るコースを選ぶなど、もう少しイヤらしい作戦も立てられたはずです。
しかし、そこは「空気を読むのが上手い」北朝鮮の事、一番人口密度の低い北海道を越えるコースを選んでいます。東京を含む首都圏を避けた・・・。
もし、仮に東京でJアラートが発報し警戒が発令されていたならば、朝の通勤時間に電車が止まり首都圏は大混乱に陥っていた事でしょう。当然、株価は昨日の比で無い程に下落していたハズ。
北朝鮮とて、その様な事態を想定してのミサイル発射ですから、昨日のコースは随分「手加減」したコースだとも言えます。
脅しの一発目は大きく外したと言った所か・・・
■ Jアラートとの付き合い方 ■
あたかも現代の「空襲警報」の様なJアラートですが、政府はどんなに非難があっても、Jアラートを止める事は出来ません。
それは、万が一、ミサイルが着弾して被害が生じた時に、政府が国民に避難指示を出さなかったと非難されるからです。
一方で、国民にはJアラートとの上手な付き合い方が要求されます。
1) 北朝鮮が核弾頭を発射した場合、4分で命を守る事は諦める
2) 通常弾頭の場合、直撃以外なら生存確率は高い
3) とりあえず、窓際を離れるだけでも怪我をする確率は大きく下がる
4) ガラスの破片が降り注ぐ恐れのある街路からは速やかに避難する
5) 弾道弾の落下速度はマッハ5を優に超えるので、耳を澄ましたり、空を見上げても仕方無い
6) 耳を澄ましたり、空を見上げる前に先ず避難
7) 防災グッズや非常用の水や食べ物の備蓄は必要
私はこの程度の対応で十分だと思います。もちろん、防災グッズの常備や、緊急用の飲み物、食べ物の備蓄は重要です。仮に通常弾頭が一発着弾しただけでも、周辺は外出禁止となり、物流がストップします。防災グッズは地震などの自然災害の際にも有効ですし、当然の備えでしょう。
■ 北朝鮮は試射だけで日本経済をJアラートで崩壊出来るが、そんな事はやらない ■
北朝鮮が本気ならば、毎月1回、東京上空を通過するコースで弾道弾の試射を実施すれば、日本の経済をズタボロにする事が出来ます。
月に一回とは言え、いつ何時Jアラートが発報するか分からない地域で、安定した経済活動は不可能です。電車が全線止まったり、社員が仕事を放り投げて避難する様な事態が月一回不定期で発生したら・・・。
尤も、北朝鮮もバカではありませんから、そんな「嫌がらせ」をするとは考えられません。世界の経済に深刻なダメージを及ぼす様な作戦は、北朝鮮とて容易には実行できません。ダダをこねる子供が指のすき間から親の顔色を伺うのと一緒です。下手にやり過ぎるとゲンコツが降って来ますから・・・。
■ 国民は今回の事件でJアラートに慣れてしまった ■
多分、今回のJアラート発報で、国民の大多数はJアラートに慣れてしまった事でしょう。Jアラートが発報されても、実際に着弾なんてしない事を学習してしまったからです。
これ、気象庁の津波警報に慣れてしまったのと同じです。奥尻島などの津波被害によって、大きな地震の後に津波の警戒情報がTVなどで表示される様になりましたが、311地震の直後んも津波警報が発令されていましたが、多くの住人は「いつもの事」とばかりに避難はしませんでした。
通常は津波警報に一々過敏に反応していたのでは生活に支障を来します。同様にJアラートにも人々は次第に過敏には反応しなくなるでしょう。
■ システムと精度の確認や認知の為には丁度良いテストだった ■
Jアラートのシステムのテストとしては、訓練よいも実践的な今回の事件は非常に有効だったはずです。
システムの不備や問題点も色々と出てきている様ですが、何よりも、実際のJアラートが発報した際に住民がどう対処するか、シミュレーションを越えた現実的なデータを得る事が出来ました。
比較的に経済的、社会的影響の少ない地域で実践訓練が出来た事には、空気を読んだ北朝鮮に感謝しても良いかも知れません。
今回の問題点も含め、今後、色々な意見が出ると思われるJアラートですが、私はとりあえず首都圏で発報されたら、直ちに窓際からは離れようと思います。
痛い目に遭うのはイヤですし・・・何よりも「祭り」は観ているだけではツマラナイ。