■ 2021冬アニメ・・・アニメが面白く無いと感じる・・・ ■
最近、アニメを観ても面白く無い。理由は簡単で、アニメを観て育った世代が作るアニメに興味が持てないから。演出手法や作画の完成度は標準をクリアしていますが、「〇〇に似ている」作品ばかりが量産されて、驚きに乏しい。
そんなアニメ・ダウナーな気分で今期アニメのオススメをセレクトしてみました。
『吸血鬼すぐ死ぬ』より
少年チャンピオン連載のギャグ漫画のアニメ化。「昔のギャグアニメってこうだったよね」という雰囲気に満ちていますが、流石はベテラン監督とマッドハウス。「今のアニメに欠けているもの」が良く分かっている。
「見た目の完成度」ばかりファンが評価する時代に、あえて「低い完成度の持つ強靭さ」を前面に押し出しています。アニメや漫画は2次元の絵に過ぎませんが、如何に立体的に見せるかに作画は情熱を注いで来た。CGの時代に、海外では、この苦労も最早昔話になりつつありますが、日本人は未だに疑似3次元に拘りを持っています。
一方で、漫画では2次元的な作品も未だに多く存在します。多くは作家の作画能力が低い事に起因しますが、それでも面白い作品は面白い。『吸血鬼すぐ死ぬ』は、この系統の作品。とにかく原作漫画の会話のテンポが良いらしい。それをアニメは声優の演技力との相乗効果で見事に再現している。
次々にネタをブッコミながら、テンポ良く繰り出されるギャグは、古い漫画やアニメファンならば懐かしさを感じるでしょう。私などは「アニメーションはこうでなくちゃ!!」って喝さいを送りたい。
OPもEDも良く出来ています。OPは曲と動きのマッチング、そして、EDはアヌシー(カンヌのアニメ部門)受賞の『カラミティ』をモロにパクった演出ですが・・・それだけの衝撃が『カラミティ』には有る。『カラミティ』自体、作画の完成度とは別のベクトルを持った作品ですが、アニメの可能性を拡張する力は強い。これをパクった事は私的には高評価です。(ちなみに『カラミティ』劇場予告とネットのPVしか観てません・・・)
『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』より
この題名・・・多分一生掛かけても覚えられません・・・。
評価すべき点は、「リットがカワイイ、リットがカワイイ、リットがカワイイ・・・」以上!!
モトイ!!評価すべき点は「素直な作品」である事。
人々が「加護(適正)」を持って生まれる世界。「勇者の加護」や「盗賊の加護」など、人々は加護に従って職業を選択すると成功し易い。主人公レット(ギデオン)の加護は「導き手」、そして妹は「勇者」。レットは勇者になるべく約束された妹を支え導きますが、「戦闘能力不足」を理由に勇者パーティーを追放されます。
そんなレットが辺境の国で薬屋を営む人生を選択する。勇者パーティーの一員であった過去を隠して。そこに、かつて勇者パーティーが救った国の王室の娘のリットが現れます。英雄とされるリットは密かにレットに恋をしていましたが、いきなりレットと一緒に住むと言い出す。いわゆる「押しかけ女房」。最初は手を握る事も恥ずかしがっていた二人は・・・。
とまあ、他愛の無い「爆ぜろリア充」な内容の序盤ですが、レットの誠実さとリットの可愛さでついつい視聴を継続してしまいます。とにかく、物語が素直で優しい。しかし、「魔族」「加護」にまつわる不穏な空気は辺境のムラにも忍び寄ります。
在り来たりな異世界作品ですが、構成がしっかりしているので観るに堪える。というよりも、物語のステロタイプ(神話の体系)に忠実な作品です。現在の異世界モノの原点は「ロールプレイングゲーム」ですが、その根本は「神話」にあります。「魔王を勇者が倒す」物語。
一般的な異世界モノは「魔王が勇者を倒す」という表面をトレースします。しかし、この作品は「幸せな生活を脅かすモノを倒す」という神話の本質に忠実です。だから、レットとリットのキャッキャ・ウフフの生活や、村人との交流の描写が重要になります。この幸せを脅かすのは魔物だけではありません。レットを勇者パーティーに連れ戻したいと願う仲間の善意も、二人の幸せにとっては脅威です。だからレットは頑なに勇者パーティーに戻る事を拒絶しますが、リットとの幸せを守る為ならば剣を取ります。
「この剣を取る理由」が重要です。多くの異世界モノは「異世界に勇者として召喚されたから戦うのは当たり前」という所からスタートします。これはゲームのスタートボタンには忠実ですが、物語の作法としては最初から破綻しています。だから異世界召喚モノを私は嫌うのです。
決して『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』が優れた作品と褒める訳ではありませんが、物語のプロットとしては素直で好感が持てます。これをジブリが上手く料理すれば、劇場でヒット作品が生まれる。そんな素材の一つだと思って鑑賞するのも楽しい。
でも「リットがカワイイ」成分が99%ですが・・・。
OPの曲は今期No1。
『先輩がうざい後輩の話』より
これも「優しいお話」。新入社員の低身長女子が、体育会系の先輩に付いて働く職場日常系作品。新しい所は一切有りませんが・・・好感が持てる作品。
コロナで世の中がギスギスした時代、そしてテレワークで「職場」自体が消滅しつつある時代に、人々が集う協力し合い、そして優しく相手を気遣う「理想の職場」に強く郷愁を感じてしまう。
『ワールドトリガー 3rdシーズン』より
何故か戦闘シーンよりも、作戦会議や、上官との会議のシーンが面白い作品。戦闘シーンは「永遠に続くナルトの中忍試験」と言えば分かり易いかな。
『無職転生』より
完成度は高い。だけど・・・・何かが足りない・・・・。
さらにエリスが消えたとなると・・・何を楽しみに観れば良いのか・・・・。
以上、アニメ熱が下がっているからか、それとも良い作品が極端に減った為か、アニメに熱くなれない昨今ですが、個人的には「素直で優しい作品」を好んで観ている気がします。
以上、2021冬アニメのオススメでした。