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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

<再録>日本国債は本当に破綻しないのか?・・・現代的に考察してみる

2014-11-29 10:07:00 | 分類なし
  

自分の復習の為に2013年6月2日の記事を再掲載します。


■ FRBが警戒するシステミック的危機とは? ■

FRBのアドバイザリー・パネルで「システミック」なリスクへの警告があった様です。


ロイター銘柄レポートPROアプリ】米FRBパネル、QE3がもたらすシステミックな金融リスクなど警告(ロイター 2013.06.01)


<全文引用>

ワシントン 31日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のアドバイザリー・パネルが、FRBが実施している量的緩和第3弾(QE3)がもらたす危険性について警告していたことが31日、明らかになった。

アドバイサリー・パネルは、FRBの12地区連銀がそれぞれ1人ずつ任命する銀行関係者で構成され、年に4回会合を開く。

この日に公表された5月17日の会合の議事録によると、同パネルは「現在の政策により、システミック10+ 件な金融リスク、および銀行に対する潜在的な構造上の問題が作り出された」と指摘した。

前回2月の会合では、FRBの緩和的な金融政策を支持するとの立場を示していた。今回の会合でもFRBの政策は緩慢な回復を支援するとの認識が示されたものの、「同政策が健全な経済成長と雇用の伸びに対しどれほど効果的であるかは明らかではない。財政・金融政策の先行きが不透明になっていることで、成長を押し上げるはずの企業投資が抑制されている」とし、前回会合のような明確な支持は示されなかった。

FRBのバランスシートが量的緩和措置の開始以来3倍の水準に膨れ上がっていることにも触れ、「FRBが緩和策を引き揚げる際、市場でどのように通常のバリュエーションが再構築されるのか不透明感が強い。緩和策の解除は困難になる公算が大きい」とし、バランスシートの大幅な拡大により出口戦略が困難になるとの懸念も示された。

<引用終わり>


「システミックのリスク」とは何かと言えば、サブプライム危機やリーマン危機の様に、複雑に絡まり合った金融市場の何処かで危機が発生すると、危機が連鎖的に拡大して、最後は金融システム自体を脅かす状態に拡大するという現象です。

まあ、企業の連鎖倒産の金融版みたいなもので、「大数の理論」でリスクを分散化した様に錯覚しても、誰もがリスクを意識すると、急激に資金の逆転が発生し、信用の収縮速度が決済可能な規模を超えてしまう状態とでも考えれば良いでしょうか?


1) 未だ手に入らない将来的利益に対して資金が貸し出される
2) 一般的融資でも、投資に対する融資でも、将来の利益に対して貸付られる
3) 近年は投資に対する資金提供の比重が非常に高まっている
4) レバレッジ(テコ)によって、手元資金以上の投資が可能になっている

多分、これだけではシステミックなリスクは発生しないでしょう。

5) 債権金融システムは借金の債権を投資の対象にしている
6) 金融商品の生成の過程で、一つの債権が何度も商品化に組み込まれる

この過程は一種の「借金」の自己増殖のプロセスで、タコが自分の足を食べている状態と考える事が出来ます。タコの足は8本しかありませんが、金融商品が流通する過程で、架空の足が100本とか200本発生して、タコは足はまだまだ沢山あると安心しています。

ところが、何かの危機が発生して、どこかで信用収縮が顕在化すると、タコは足が8本しか無かった事を急に思い出すのです。そして慌ててスミを吐きます。

■ 静的にはバランスしていても、動的にはバランスしていない経済 ■

現在の世界経済は複雑なので、古典的な経済学ではその動きを予測する事が難しくなっています。

そこで「動学的経済学」という概念が生まれて来ます。

現在施行されている金融政策が、将来的にどういう影響を与えて行くか、時間軸に沿ってシミュレートする学問と表現すればイメージし易いでしょうか。

現在の日銀の異次元緩和は、「2年後に2%の金利上昇」というインフレターゲットを明確化する事で期待インフレ率を高め、需給バランスを現在の均衡点からインフレ側にシフトして経済を刺激する政策です。

投資家や企業は絶えず未来の利益の見込みを織り込んで行動するので、将来的に物価が上昇したり、金利が上昇すると確信が持てる場合は、将来的な損失を軽減する為に、現在のリスク(金利)を見直す動きが生じます。

この様に経済は絶えず未来を織り込んで変化しているので、現在の静的な需給バランスが平衡していても、動的な需給バランスはそれから少しズレた点に存在します。

動的な平衡点に移動する力が、経済を動かしているのであり、実際には、その差は「金利」として経済に反映されます。

■ 「経済物理学」という分屋 ■

最近では経済の挙動を解析するのに、物理学を応用する方法も盛んです。「経済物理学」と呼ばれているようです。

ちょっと私には難し過ぎて理解出来ない事も多いのですが、簡単に表現すれば以下の様になるかと思います。



動的経済学の初期において、例えば価格決定のメカニズムは正規分布で近似しています。正例えば、上のグラフの横軸をある商品の価格、当て軸をその価格での需要(販売数)とした場合、正規分布モデルでは、分布の頂点に価格と販売量の均衡点が存在します。これが適価となって、価格はここに収れんすると考えるのが、正規分布位モデルです。

ところが、実際の価格形成のプロセスは赤線で示す様に、値段が安ければ安い程需要が高まります。そして最後はグラフは「発散」して終わります。要は価格の均衡点が存在しない事になります。実際には生産側のコスト制約があるので、ある程度以上の低い価格は不可能ですが、もし均衡点があるとするならば、生産側の一番安い価格であるとも言えます。

「経済物理学」の進歩は、この動的(時間的)変化を伴う様々な経済現象の観測に、「べき分布」の概念を取いれる様になります。



例えば、ある経済現象の発生確率を正規分布とべき分布を考慮したグラフで比較したものが上のグラフだとします。例えば、経済危機の発生確率のグラフだと考えて下さい。

グラフの右側が、発生確率の低い重大なリスクだとします。

例えば、青色の正規分布モデルでは、経済を崩壊させる様な極めてシリアスなリスクの発生確率が数万年に1回だったとします。

ところが、べき分布のグラフ(赤線)だと、シリアスなリスクの発生確率が100年に一度になったりします。

この様な、極めて発生確立の低い現象の観察に、動的経済学と経済物理学は現実に近い解答が得られるものとして、現在の金融工学は成り立っています。

■ 予測不可能なリスクとしての「ブラックスワン」 ■

しかし、高度な数式予測とコンピューターによる大量演算によって成り立つ金融工学を駆使しても、リーマンショックの様な「予測不可能」な危機が発生します。

現代の経済物理学は流体力学や量子力学的の手法を用いて、これらの現象の発生を予測しようとしています。

流体の挙動は連続性を持っている様に見えますが、例えば斜めに立てかけた板に水を流すと、横方向に波紋を作りながら水は流れ落ちます。これは「非連続」現象と呼ばれるもので、板と水の抵抗や水の表面張力や、水を落した時のちょっとした水流の変化などが複雑に絡み合って、本来ならば板の面を均一に流落ちるであろう水が、波紋を描きながら非連続の流れ落ちる現象として観測されます。

量子力学も同様で、量子のエネルギー順位の分布は(電子軌道の様なもの)は連続的では無く、太陽を回る惑星の軌道の様に決められた軌道が存在し、その軌道間では量子は存在出来ません。そこで、量子のエネッルギーのやり取りを扱う量子力学では、連続的では無い非連続な現象が観測されます。

少し分かり難いかも知れませんが、複雑な様相を絡まり合う系(複雑系)の現象は、マクロに観測すると、非連続な振る舞いをする事が多いのです。

経済は複雑系の代表的なものなので、リーマンショックの様な危機は、マクロ的に観測するとある日突然現れる様に見えます。

そして、その発生要因は、べき分布のテール部分に存在するので、これを「テールリスク」と呼称したり、近年では「ブラックスワン」などと呼ばれたりします。

「ブラックスワン」とは、ヨーロッパでは白鳥は白いものと人々に信じられていたのに、大航海時代にオーストラリアに行きついた人々はそこに「黒い白鳥」が生息している事に大変驚愕します。

この様に、通常の常識では想定し得ない現象が突然現れ、経済に重大なインパクトを与える事を、「ブラックスワン」と呼んでいるのです。

そしてこういう現象は非連続な変化を伴います。

■ 「相転移」という概念 ■

水が氷になったり、水蒸気になる事を「相転移」と呼びます。

水温は外から与えられた熱量に比例して温度が変化しますが、水が氷なる時は、氷結(凝固)が完了するまでは、水温は0℃から変化しません。同様に水蒸気になる時は100℃から変化しません。

この様に相転移の存在する系では、相転移の間、非連続な現象が観測されます。実際には外部からのエネルギーは相転移の為に消費されます。

経済物理学でも「相転移」に関する研究をしている人が達が居ます。

例えば、バブルの崩壊や、国債の暴落などは、一種の相転移だと考えられます。

「実質金利=名目金利-予想インフレ率」という式を例に私なりに考察してみます。

1) 通常、予想インフレ率が上昇すれば実質金利が下がり景気が好転する
2) 景気が好転すればインフレ率が上昇する
3) 名目金利を上げる事で、実質金利が上昇しインフレが抑制される
4) インフレが抑制されるので、期待インフレ率が低下し実質金利はさらに上昇する

この様に、名目金利の通常の経済状態では名目金利のコントロールで、景気を刺激したり、あるいは沈静化させたりします。中央銀行はこの様に金利コントロールで経済を制御しています。

ところが、ある時点で、前提となる関係性が変化したとします。
例えば、国債の需給バランスに不安が生じて、予想インフレ率が常にプラスになり、さらに予想インフレ率の上昇が名目金利の上昇を大きく上回ったとします。

1)予想インフレ率が極度に高まる
2)実質金利が極端に低下するので、名目金利を上昇させてインフレを抑制しようとする
3)予想インフレ率が名目金利の上昇率を上回って上昇する系なので、実質金利は下がり続ける

・・・ちょっと変な例になってしまいましたが。国債の暴落が意識される様な状況で名目金利の上昇に歯止めが掛からくなるのは、市場が恐怖によって、通貨の暴落を意識し、予想インフレ率が発散してしまうので、名目金利を上げても、実質金利が下がらない状況が発生すると考えられないでしょうか。

これは端的に言えば、「単に通貨価値の下落」なので、人々は実質金利の低下する預金や現金を、現物の商品で価値を保存しようとする現象とも言えます。


極端なケースですが、国債の暴落などのプロセスで、金利上昇が発生しているのにも関わらず、通貨の暴落(インフレ)に歯止めが掛からない理由は、「予想インフレ率の形成プロセス」が、「恐怖」によって「相転移」してしまったと考える事が出来るのでは無いでしょうか?


■ 日銀当座預金を積み上げるメガバンク ■

アベノミクス・バブルで株価が踊っている一方で、面白い現象が起きています、

メガバンクは日本国債、株、外国債などを売却し続けていたのです。


http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0EC0GJ20130531

<全文引用>

[東京 31日 ロイター] - 都市銀行の4月末国債保有残高は2011年6月以来1年10カ月ぶりに100兆円の大台を割り込んだ。株や外債などのリスク資産残高も減らしており、安全資産からリスク資産への資金シフト、いわゆる「グレートローテーション」の動きは統計上、確認されていない。

日銀が31日に発表した4月分の「民間金融機関の資産・負債」によると、都銀の国債保有残高は4月末現在、96兆2688億円と4カ月ぶりに減少に転じ、2011年6月以来1年10カ月ぶりに100兆円の大台を割り込んだ。前月末に比べて率で10.8%、金額で11兆6912億円の減少となった。

  日銀は4月4日の金融政策決定会合で、2年で2%の物価目標達成に向けて、量的・質的金融緩和を導入。5日の国債市場では10年最長期国債利回り(長期金利)が一時0.315%と過去最低を付けたが、その後は上昇に転じている。

都銀は国債とともに、株式や外国証券などのリスク資産の保有残高も減らしている。4月末の株式保有残高は10兆0109億円と前月末に比べて、率で16.8%、金額で2兆0283億円の減少。外国証券も27兆0384億円と率で4.2%、金額で1兆1819億円の残高を落とした。こうした資産売却で得た資金は、現金のほか日銀当座預金などに預けられたとみられている。

みずほ証券・シニア債券ストラテジストの早乙女輝美氏は「都銀の国債残高が10兆円を超えて減らしたのは、1990年台以降で初めて。同時に株式や外債などのリスク資産も減らしている。都銀の4月マネーフローは、国債から株へのシフト、いわゆるグレートローテーションというよりは、国債を売却していったんキャッシュに置く動きを強めたと判断した方が妥当だ」とみている

<引用終わり>


5月半ばから、世界の株式市場、債権市場で値下がりが続いています。
緩和マネーで肥大化し過ぎた市場に何か重大な変化が起きているのか?

相変わらず、報道はアメリカの好景気を伝えていますが、保守的な日本のメガバンクは、何かの危機を嗅ぎ取って、リスクオフの動きを強めている様です。

それが、5月中旬からの調整局面であったのか、それともこれから発生するであろう危機なのかは私などには予測しようがありません。


しかし、「ブラックスワン」が現れ、経済が「相転移」する様な事態が起きないとも限りません。尤も、100年に一度のリーマンショック級が、5年の内に2度も発生したら、「経済学って何なんだ!!」と怒り心頭ですが、実際には「リーマンショックは終わっていない」だけの話なのかも知れません。



本日は難しい事を妄想して、結局訳分からなくなってしまいました・・・トホホ。


暴動が拡大するアメリカ・・・行き過ぎた資本主義は内部崩壊する

2014-11-27 10:41:00 | 時事/金融危機
 










今年8月に起きたアメリカ、ミズリー州ファーガソンでの警官による黒人少年の射殺事件。その大陪審判決が無罪だった結果を受け、またもやファーガソンでは黒人達の抗議行動が暴動に発展しています。全米のその他の地域にも抗議行動が拡大し、オバマ大統領は「アメリカは法治国家だ・・・」とメッセージを発し、国民に落ち着く様に求めました。

"Ferguson Riot"で検索すれば、現地の映像が見られるはずです。

とかく人種対立に原因が求められるアメリカの暴動ですが、低所得者層の不満が噴出したものとも言えます。

過度の資本主義の進行は、所得格差を拡大して社会を内側から崩壊させると言ったのはマルクスですが、「景気回復」が宣伝される裏側で、アメリカ社会のストレスは確実に高まっています。

再度の金融危機が発生した場合、連邦政府が速やかに弱者救済の為の財政支出に踏み出さなければ、全米でこの様な暴動が発生する可能性も有ります。福祉重視の黒人大統領のオバマだからこそ我慢していたマイノリティーの人達が、はたして共和党の白人大統領になるであろ時期大統領に対してどれだけの期待が持てるのか・・・・。

アメリカの貧困層とて、自分達の国家や社会を壊す事を良しとはしません。できれば平和に暮らしたいと誰もが思っています。しかし、我慢にも限度があります。アメリカはオバマが不法移民に国籍を与える大統領令を出そうとしていますが、一国の中に超先進国と途上国が同居するアメリカ社会は、どこかでバランスを崩す事になるのでは無いか・・・。

国内のストレスが高まる時、国家は国外の敵を求めます。

「戦争など過去の話」だと数年前までは日本人のほとんどが考えていました。しかし、だんだんと「戦争」のリアリティーが増している様にも思えます。


衆議院選挙の結果、改憲賛成派が衆参で2/3を占めれば、憲法改憲の発議が現実化します。「日本が普通の国になる」という事は「普通に戦争が出来る国になる」という事と同義かも知れません。これは世界の標準なので改憲自体に問題は無いのですが、為政者が戦争を選択した場合、私達はリアルな戦争へと巻き込まれて行きます。

国会が正常に機能していれば問題有りませんが、「大政翼賛会」的な状況になっていれば、私達国民に出来る事は、それこそ「暴動」くらいしか無いのかも知れません。





限りなく文学に近い漫画・・・サメマチオの『わっちゃんはふうりん』

2014-11-27 07:34:00 | マンガ
 



■ 近代文学と「意識の流れ」 ■

人間の意識や思考はどの様に形成されるのかは、心理学の研究テーマの一つですが、その仮設の一つに「意識の流れ」という考え方が有ります。

「人間の意識は静的な部分の配列によって成り立つものではなく、動的なイメージや観念が流れるように連なったものである(wikipedia)」といった考え方です。

これを文学に応用したのがジェームス・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』や『ユリシーズ』、そしてヴァージニア・ウルフの『灯台へ』などの作品です。これらの作品は、心の表層に浮かび上がる様々な思考の断片が、何の脈絡無く羅列されている様な表現手法を取るので、現代の明晰な文学に慣れた私達が読むと「グダグダ」な感じがして、とても楽しみながら読める代物ではありません。

その対局にあるのがレーモンド・チャンドラーを始めとするアメリカン・ハードボイルドかも知れません。物語は事物の客観的描写と、主人公のモノローグによって進行します。このモノローグは絶えず誰かに語りかけるかの様に論理的で明晰です。逆に意図的に語り手の感情の揺らぎを排除する事で、むしろ言外に潜む心理を読者に推測させます。

日本のライトノベルの多くも一人称で語られる作品が多く、『涼宮ハルヒの憂鬱』では語り手のキョンはハルヒの事を大迷惑だと語りながらも、読者は言葉と裏腹なキョンの心理を想像して楽しみます。

あたかも「意識の流れ」を否定するかの様なハードボイルドの表現手法ですが、実は読者自身は進行する物語の後ろで「ざわめく意識」を絶えずすくいあげながら読む事を強いられる事から、ハードボイルドは「意識の流れの進化した姿なのかも知れません。

ジョイスらの作品が意識を押し付けて来るのに対して、チャンドラーは意識の押し売りをしません。読者の自由な裁量に任せているのです。

■ マンガは「意識の流れ」の表現に非常に秀でている ■

人間は言動と思考がかみ合わない事が有ります。「顔で笑って心で泣く」などという状況が思い浮かびますが、文章でその様な状況を表現するのは意外に難しい。

一郎は少し俯いた後、顔をくしゃくしゃにして笑ってみせた・・・。

多分、こんなベタな表現をする事が多いかと思います。
ところが、ここに動きと異なる心の葛藤が重なると、表現が混乱して来ます。

一郎は少し俯いた後、顔をくしゃくしゃにして笑って見せた・・・イヤだ・・・口の端がわずかに引きつっている・・・イヤだ・・・・。

ライトノベル的な書き方をするとこんな感じでしょうか。並走する思考を文章で表現する事は意外に難しいものです。

一郎は少し俯いた後、顔をくしゃくしゃにして笑って見せた・・・。
周囲の音が水底で響くように遠くおぼろげになり、彼女の言葉が泡のようにフツフツと消えて行く。頭の中の血管の音だけが、ドクンドクンと世界を圧迫する。


下手くそですが、文学的な表現を試みてみました。(中二病的文章だ・・・)

「一郎は無理して笑顔を作ったが、心の中は戸惑いと怒りに溢れていた」という直接的表現を避けると、文章は意外に回りくどくで不明確なものになります。


ところがマンガでは、主人公がクシャクシャに顔を歪めながら笑うカットを描いて、そして「イヤだ!!」という思考の「吹き出し」を付ければ解決します。さらに見上げた青空のカットを次に挿入したりすれば、さらに主人公の心の中が暗示されたりします。

■ サメマチオの『わっちゃんはふうりん』に見る意識の流れ ■



昨日本屋で何故か衝動買いした サメマチオ『わっちゃんはふうりん』

作者の名前すら知らず、表紙の絵柄は好みでは無いのに、スーと手が伸びて気付けばレジに並んでいました。

大正時代、薬屋の家業を継いだのは妾腹の義兄。ビジネスに秀でた彼は輸入業者の娘と結婚して事業を拡大しています。本来、家業を継ぐはずだった本妻の息子の弟はボンボンに育った上に事故で片足を失い、今では厄介ものの扱いです。

弟の住む家は兄の持ち物ですが、兄はそこに妾を囲っています。母屋に妾が住み、離れに弟が住んでいます。今度の妾は、芸者上がりにしては出来が悪く、とても兄が身見受けする様な女ではありません。一方で普通の女性の様に大らかに笑い、しっかりとした生活感を持っています。

「兄の女」の存在を煩わしく思いながらも、女性の存在に心が乱れる弟は、なるべく彼女から距離を取ります。自分の妾を片足の無い弟の身近に置く事自体、妾腹の子である義兄のイヤガラセだと考えるからです。

こんな複雑な状況で日常を送る二人ですが、お互い相手を思いやり、気遣っています。そんな二人の生活も長くは続きません・・・・。

ありきたりな設定ではありますが、その描写方法には息を呑みます。兄と弟の複雑ですれ違う思いや、二人を取り巻く周囲の気遣いや我慢、そして一人の女性に対する二人の切ない思いが絡み合いながらも、話は淡々と進行します。

http://sokuyomi.jp/product/wacchanhaf_001/CO/1

上で試し読み出来ます。


シンプルなた絵に、言葉とモノローグが重なります。行動と言葉と心の中がバラバラと目に入って来ます。吹き出しの位置が不規則なので、時系列が分かりにくく、逆にそれぞれが同時に進行する様に感じられます。

まさにジョイスの「意識の流れ」の様なフワフワとした感じを受けるのですが、意識の海に溺れそうになる文学表現とは違い、最少の線で描かれた絵と、最少の言葉と、最少の心の声で形作られる世界は、省略の美学に満ちています。

その行動、その言葉が発せられるまでにどれだけこの男は逡巡したのだろう。心に浮かび上がる言葉すらも、思考の抑圧の網目をすり抜けて来たに違いない・・・・。

「意識の流れ」の手法を取ながらも、その表現手法はレイモンド・チャンドラーの様なある種のストイックさを感じずには居られません。


1冊で完結の作品なので、是非手に入れて読んで頂きたい。
森鴎外の『雁』の様な、抑制された美しさを堪能出来る作品です。



しかし、日本のマンガ文化というのは恐ろしいですね。探せばこんな作品がゴロゴロしているのですから・・・。

<再録> バブルとは意図的に作られて、そして潰されるもの・・・金融緩和の行く末

2014-11-27 02:43:00 | 時事/金融危機
 


昨今の日本株の相場やダウがバブルかと言えば、日本のかつの大バブルの様な迫力は有りませんので「プチバブル」と言う方が正しいのかも知れません。ただ、リーマンショック前のレバレッジをバリバリに効かせたヘッジファンドの投資などは明らかにバブルでした。

現在の金融緩和に支えられた金融市場がバブルかどうかは意見の分かれる所ですが、低利の大量の資金投入が断たれれば存続出来ないという意味においては、継続性には疑問を持たざるを得ません。

多くの投資家の方が現在の相場のピークはアメリカの利上げまでと予測しており、ここでダウは大きな調整が入ると予測しています。外国人株主がメインプレーヤーである日本株も当然影響は避けられません。


「日銀や官製相場に逆らうな」というのは投資の鉄則ですから、現在は相場の流れに乗る事が正解ですが、ある意味誰もが儲かる相場はいずれ終了します。投資をなさっている方はそれを承知でスリルを楽しんでいらっしゃるので問題は有りませんが、年金基金の積立金の運用までも投入して支えられた市場が正常化どうかは疑問が有ります。

相場が上昇している時には年金運用も利益が出ます。特に、PKOで底値買いした当時の株はアベノミクスで利益を出しているはずです。一方で昨今の高値買いの株は株価下落時には損失を発生します。長い目で見れば、日銀の異次元緩和の行く末はインフレによって精算されるので、インフレに強い株は年金運用においては国債よりも有利と言えますが・・・・。

コメント欄にも有る様に、ヘッジファンドなどは先に下落時にショートのポジションを積み上げて日本株下落に賭けていた所も多かったので、追加緩和の発表でファンドが解散した所も多い様です。日本株ファンドから大量の資金が流出しています。

海外の投資家達などは、「日本株市場は官製相場で魅力を失っている」と発言していますが、これは裏を返せば「自分達が自由に価格をコントロール出来ない市場では利益を出すのが難しい」と言っているのに等しく、自由過ぎる市場が必ずしも投資家の為になるとも思えません。この点においては、日銀やGPIFの存在は市場の安定に貢献しているとも言えますが、一方で市場のブレーキ機能を失わせる事で、相場が崩れた時の影響を拡大しているとも言えます。

この点においては、リーマンショック後の各国中央銀行の金融緩和や量的緩和も同様に、市場の調整機能を狂わせている点において、現在の相場が崩れた時の影響を深刻な物とするでしょう。


青天井の相場は存在しませんから、「いつかは暴落する」というのは「いつかは富士山が噴火する」と言うに等しい発言です。ですから私は「FRBの利上げ」で現在の相場が調整を迎える可能性が高いと常識的な事を書いて誤魔化します。

ただ、誰もがそう考えている状況で、誰かが先に売り抜けるのは世の常です。「年内に手仕舞い」と考えている方も多いのではないでしょうか?あるいは「衆議院選挙の直前で一度利確しよう」というのも安全策です。

私自身は投資をしていないので短期の相場の動きなどはあまり興味が有りません。むしろ、「ドイツが米国からの金準備の回収を断念した」とか、「スイスが国民投票え米国に預けている中央銀行の金を回収するか是非を問う」といったニュースの方に大いに興味を引かれます。

現代において通貨はシステムとして機能していますが、そのシステムはどこまでも拡大可能なのか、それとも人々の共同幻想にはどこかで限界が訪れるのか・・・その答えに世界は今挑んでいます。「人力でGO」は、陰謀者の私が、世界の動きを陰謀論的に妄想する遊びのブログなので、多分投資をされている方には「ケシカラン」ブログだとは思いますが、そこら辺は可哀想な人をヌルク見守っていただけたらと考えています。




前置きが長くなりましたが、昨年2013年1月30日の記事を載せておきます。」

私は陰謀論者なので、バブルは中央銀行が意図的に作り出して、そして潰しているのではないかと妄想しています。バブルとその崩壊は世界の構造を変える道具では無いのか・・・そう、妄想しています。



<再録> 「バブルとは意図的に作られて、そして潰されるもの・・・金融緩和の行く末」





Wikipediaより 

■ アメリカのダウ平均株価の推移 ■

上のグラフはアメリカのダウ平均株価の長期的推移です。

1929年の世界恐慌の発端となったNY株式市場の暴落は有名ですが、
その当時と比べて、現在の株価がいかに拡大しているかが一目瞭然です。

特に1980年以降に急上昇しており、
これは、1972年にニクソンがドルの金兌換を停止した事と無関係ではありません。

金の鎖から開放されたドルは、大量に発行する事が可能になりました。
本来は、通貨を大量に発行すると通貨価値は下落するのですが、
ドルは基軸通貨として貿易決済の利用されていたので、
世界の経済の拡大に伴って、ドルの需要は増えて行きます。

大量に発行されたドルは、利益を求めて株式市場にも流れ込みます。
その結果、アメリカの株価は急激に上昇し始めます。

■ リーマンショックの影響は小さい? ■

日本はバブル崩壊で、株価が1/4程度に下落しました。
それに比べて、アメリカはリーマンショックの直後こそ株価が下落しましたが、
その後、金融緩和の影響もあって、株価はリーマンショック前の水準を突破しています。

バブルの崩壊で株価が暴落した日本と、
株価を維持しているアメリカの違いとはいったい何なのでしょうか?

一つには、平均株価の算出方法の違いが上げられます。

日経平均株価は、東証一部上場企業の内225銘柄の株価の平均
ダウ平均は、ダウジョンズが選定した30企業の株価の平均です。

ダウジョンズが選ぶ30企業は、アメリカの代表的なグローバル企業で、
各業界の世界的トップ企業が居並びます。

アメリカンエキスプレス、ボーイング、バンカメ、デユポン、ウォルトディズニー
GE、インテル、ヒュレットパッカード、マイクロソフト、IBM
コカコーラ、マクドナルド、ウォールマート、ベライゾン

ざっとピックアップしただけでも、錚々たる顔ぶれです。

これらの企業は、世界の業界トップに君臨すると言って過言では無く、
リーマンショック後も、アメリカ国内の経済状況の悪化を尻目に、
新興国市場の急拡大で売り上げを伸ばすことが可能な企業だとも言えます。

米国企業と言えども、それは本社が米国内にあるというだけで、
全世界に生産拠点と販売網を構築し、
安い労働力を駆使して、企業収益を拡大し続けています。

マスコミはアメリカの株価と言えば、真っ先にダウ平均を報道しますが、
ダウ平均はグローバルの巨人達の業績を繁栄しているのであって、
アメリカの景気を正確に反映している訳ではありません。

しかし、ダウ平均が上層すれば、つられて他の銘柄も買われますので、
アメリカの株価は、国内の実体経済の不調とは無関係に、
「ただ上昇するから」買われ続けています。

■ ダウ平均に連動する世界の株価 ■

日経平均が良い例ですが、世界の株価はダウ平均株価にやんわりと連動しています。
ダウが上昇すれば、世界中で株が買われ、ダウが下落すれば売られます。

これは一見するとダウが株式相場の指標となっている様に錯覚されますが、
株式市場のメインプレーヤーが誰かと考えるならば、
実は、同じ連中が、株式市場から資金を引き揚げて、
コモディテー市場に移動させたり、さらに債券市場に移動させているだけとも言えます。

相場は絶えず連動していなければ儲けが出ません。
そして、相場を動かす程の資金力を持った集団が、
自分達の都合で、資金を移動する事によって、
相場を自在に上下させ、逃げ遅れた投資家達の資金を巻き上げてゆくのです。

市場は経済指標や政府の発表する統計に連動して動いている様に見えます。
しかし、これらの統計のデータをいち早く知る事が出来れば、
市場の動きを先読みする事も可能です。
これはインサイダー取引に当たりますが、こういう疑念は拭えません。

こうして、リーマンショック後の世界の株価は、
潤沢に供給される緩和マネーを取り込んで、
順調に回復している様に見えています。

本当の危機が来るまで、株式市場は利益を生み続ける事が出来るのです。

■ 日経平均は出遅れたのでは無く、ドルベースでは連動していた ■

リーマンショック後、日経平均だけが回復が遅れました。

しかし、日経平均をドルベースで換算すれば、
対ドルで円が値上がりしていたので、日経平均も順調に値上がりしていたとも言えます。

東京為替市場のプレーヤーの半分は外国投資家と言われる勢力です。
これは、単純に言えば、世界のマーケットで資金を循環させている張本人達で、
彼らはドルベースで取引を判断しますから、
東京市場は円高によって充分利益の出るマーケットだったのです。

■ 株高では無く、円安の調整 ■

現在日本の多くの人達が、株価の上昇の恩恵を受けています。
個人投資家達も、長い冬篭りからようやく目覚めた様です。
株価上昇を目の当たりにして、新規に株式投資を始めた方も多いでしょう。

東京市場では30%を超える勢力が、個人投資家と言われています。
残り20%弱が、証券会社や銀行、そして年金などの資金です。

海外勢力は、円安では同じドル資金で、より多くの日本株を買う事が出来ます。
ですから、円安時には、株価は上昇し易くなります。

この円安調整の株高に、個人投資家達が乗って来るので、
日経平均には上昇バイアスが掛かります。

■ バブルの定義は簡単だ ■

私達は「バブル」と言うと、1990年頃の「大バブル」を想像しがちです。
しかし、経済の実態を無視した株価や不動産価格の上昇もバブルとも言えます。
私はこれを「プチバブル」と呼ぶ事にしています。

経済の状況が「バブル」なのか「好景気」なのかは、
バブルが弾けて初めて分かると言われます。

しかし、私はこれは全くのデタラメだと思っています。

バブルをバブルたらしめるのは、潤沢な低利の資金供給がされているという状況です。
この低利の資金供給が絶たれた時に、成長が縮小に急反転するのがバブルです。

個人が企業が自分の投資状況を鑑みた時、
低利の資金供給が絶たれたら、現在のポジションを解消しようと思えるのなら、
それは既にバブルが発生していると考えて良いのでしょう。

逆に、多少金利が上昇したとしても、経済成長による需要拡大が見込めるから、
このままの投資ポジションを維持しようと思える状況が、好景気です。

■ 時間軸というトリック ■

現在、世界の中央銀行はほぼゼロ金利の資金を無尽蔵に放出しています。
しかし、ゼロ金利という事は、いつかは金利が上昇します。

ですから、投資を行う人達は、現在の金利がいつまで維持されるかが気になります。
中央銀行が金利を上げるという予測下では、資金は中央銀行にブタ積みになります。

そこで、中央銀行は「失業率が6.5%になるまで緩和を続ける」とか、
「インフレ率が2%になるまで緩和を続ける」という表現で人々の不安を払拭します。

所謂「時間軸」と呼ばれるテクニックです。

中央銀行が潤沢に低利の資金を供給し続ける間は、
投資家達は安心して、マネーゲームを繰り広げる事が出来るのです。

■ 金利は延々に上昇しないのか? ■

ここで問題なのが、金利が永遠に上昇しない事は有りえないという事実です。

一般的には景気が回復して、実体経済で資金が回転し出すと、
市場に潤沢に供給されっていたマネタリーベースの何倍ものマネーストックが発生します。
これは、人々や企業が、借金をして消費や投資を始める事によって発生します。

中央銀行の通常の金利政策では、好景気でマネーストックが拡大した時点で、
金利を引き上げ、市場から資金を吸い上げて、インフレを抑制します。

ところが、現在の様に、世界のあらゆる国々で、
低金利を前提に投資が行なわれている場合、
金利上昇は、資金の大逆転を引き起こします。

日本の「大バブルの崩壊」は日銀の金利引き上げが発端となって発生します。
そして、不動産投資の総量規制がこれに拍車をかけました。
資金供給を断たれた途端に、借金で不動産投資をしていた企業や個人が破綻したのです。

■ リーマンショックも同じ理由で発生した ■

リーマンショックも同じ構造で発生します。

FRBはITバブルから米経済を脱出させる為に低利の資金を大量に放出しました。
この資金が住宅市場に流れ込み、住宅価格は右肩上がりに上昇します。

住宅を買えば値段が確実に上昇し、
新たに生まれた担保価値が、新たな借金を可能にする為に
アメリカ人は借金をして住宅を買い、さらに借金をして車を買いました。

そして、アメリカ人の住宅債務は、MBSという証券に加工され、
世界中に売りまくられたのです。

FRBのグリーンスパン議長は、「これは住宅バブルでは無い」と言って、
金利引き上げをせずに、資金を供給し続けました。

一方、日銀はバブル後の不況打開の為にゼロ金利の資金を潤沢に供給していました。
しかし、日米の金利差がポンプの役目を果たし、
日銀の供給するマネーは、円キャリートレードという形で
アメリカに低利の資金を供給する事になり、
住宅バブルは本来、住宅を購入すいる事の出来ないサブプライム層にまで拡大します。

この時点で、多くの人達が、「住宅バブル」の崩壊を指摘し始めます。
そして、日銀が金利を引き揚げた途端、資金の流れが逆転します。
アメリカで、金利が上昇した為に、サブプライム層はローンが払えなくなったのです。
こうして、アメリカの住宅バブルが崩壊し、
サブプライム危機は、MBSを介して金融危機に発展し、リーマンショックを迎えます。

■ 自在のバブルを発生させ、自在にバブルを崩壊させる事で儲ける人々 ■

中央銀行は「バブルの発生は予想できない」と言い訳します。

しかし、中央銀行が実体経済の実力以上に資金供給を続ければ
遅かれ早かれバブルが発生します。

日本の大バブルは、プラザ合意後の円高不況からの脱出の為に
日銀が金融緩和を実施した事で発生しました。

「内需拡大」の掛け声と、日銀が潤沢に供給する資金が
不動産市場と、株式市場に一気に流れ込みます。

円高によって輸出産業を初めとした設備投資は低調でしたから、
資金は手っ取り早い利益を得る為に、不動産と株に最初に流れ込んだのです。

これに目を付けたのが、外国人投資家達(国際マフィア)達です。

彼らは日本の株式市場を買上げ、株価を極限まで吊り上げました。
その後、ロスチャイルド銀行や、ソロモンブラザーズが中心になって、
日本の株が売り浴びせられました。

彼らは、日本株暴落で儲かるデリバティブ商品を予め海外の投資家達にばら撒き、
それらの投資家達は、日本の株価を吊り上げた後に、一斉に売り浴びせたのです。
これで、日本の株価はピークの4万円から大暴落します。

日本株が暴落した所で、外国人投資家達は底値で日本株を買い漁りました。

この時、不動産バブルが崩壊した穴埋めに、
日本の金融機関は、持株を安値で手放さざるを得ませんでした。
さらには、BISの基準が強化される事で、
銀行の貸し剥がしが行なわれ、企業は持ち合いしていた株を手放さざるを得なくなります。

こうして、株の持ち合い制度によって守られていた日本企業の株式の多くが、
海外の投資家達の手に渡ることになります。


それ以降の日本は、かつての輝きはありません。
リーマンショック以前は、円安も手伝って輸出企業は空前の収益を上げていました。

しかし、外国人に半分乗っ取られた輸出企業は、
利益の多くを株主に還元し、社員の給料は上がりませんでした。
それどころか、企業はリストラを進め、正社員を非正規雇用に切り替える事で、
利益をさらに拡大してゆきます。


世界恐慌でアメリカの土着の企業の株は、
ロスチャイルド傘下の銀行家達に買占められてしまいます。
独立国家アメリカは、この期を境に、金融資本家達の支配する国家となったのです。

同様に日本も、第二次大戦とバブルの崩壊という二回の敗戦によって、
国際金融資本家達に乗っ取られたと言えます。


バブルの生成と崩壊が巧みに仕組まれた結果です。

■ 日銀は誰の味方か? ■

世界のバブルの歴史を遡ると、
その裏に金融資本家達の影が見え隠れします。

フランス革命の原因となったのは、フラン王朝の財政難でしたが、
それの発端となったのは、ミシシッピ会社を利用したジュン・ローの暗躍があります。
彼は王立銀行と造幣局まで手に入れて、バブルを拡大し、そしてそれは見事に破裂します。
ジョンローの後ろに誰が居たのか、だいたいの想像は付くはずです。

この様に世界の歴史の変換点は、バブルの崩壊から始まると言っても過言ではありません。
第二次世界大戦の原因は、ニューヨークの株式バブルの崩壊です。


そして、バブルの生成と崩壊に必ず関係しているのが中央銀行です。


たたして、日銀は誰の味方なのか・・・・。
中央銀行の独立性は、誰の為に保障されているのか・・・・。

確かに政府が通貨発行権を握れば、政治的な人気取りの為に通貨を増刷して、
結局は通貨の価値を損ないます。

中央銀行は通貨の番人として、通貨価値が安易に損なわれない様に見張っています。
しかし、それは国民の為と言うよりは、中央銀行制度事態が、
国際金融マフィア達の利益の源泉であり、
彼らは金利を巧みにあやつって、資金移動を促したり、
バブルを作り出して、そして崩壊させる事で、社会の姿すらも変える事が出来るのです。


ウィーン学派や、リバタリアン達はその問題に自覚的ですが、
彼らの意見に耳を傾ける人達は少数派です。


まさか、中央銀行に自分達が支配されているなどとは夢にも思いませんし、
教科書どころか、経済学の本にも書かれていません。


■ アベノミクスというプロレス ■

安倍政権は日銀に金融緩和を迫っています。
その理由は、「デフレを脱却する為」と説明されています。

多くの人達が、安倍首相が、日本を不景気に陥れている日銀と戦っていると思い込んでいます。

一方、この時期に「イヤイヤ」を装いながらも日銀が緩和を拡大する理由を邪推するのが陰謀論です。

世界は現在、返済出来ない借金を抱えています。
中央銀行の狂った様な資金供給無しには、世界経済は簡単に崩壊します。

そして、各国の政治システムを不安にさらすのは人々の力です。
それは、失業による不満を切欠に拡大し、燃え上がります。

ですから、リーマンショック後世界の国々は通貨安戦争に突入し、
輸出の振興によって、質量率の上昇を食い止める振りをしています。
しかし、その実体は、相手国よりも大胆な金融緩和によって、
大量の資金を市場に供給しうる事であり、
さらには、自国国債の直接、間接的な買上げでしかありません。

通貨安戦争とは、結果であって原因では無いのです。

そして、そんな事はいつまでもは続きません。
いつかは大崩壊を引き起こします。


その時、国債金融マフィア達が焼け野原からかき集めるのは、
中国やロシア、インドやブラジルの企業の株式、
あるいは、日本や韓国や台湾やタイの企業の株式では無いでしょうか?


世界の国々は生き残りの為のサバイバルをスタートさせています。
フランスやイギリスのアフリカ利権の争奪があからさまになっています。


はてさて、何処を見たら、アメリカ経済は復活するだのと、
明るい未来が予見できるのでしょうか?

アベノミクスは目下の所、良い結果を日本にもたらしている様に見えます。
しかし、その裏で世界で何が進行しているのかを冷静に見る必要があります。

「世界はバブルを膨らめている」・・・そしてその目的とは・・・・。

クルーグマンやステグリッツを信用すると痛い目に遭うのでは?













物価上昇率を2%にアンカーする?・・・インフレ予想で消費は増えるか?

2014-11-25 11:01:00 | 時事/金融危機
 

■ 太平洋戦争当時の日本軍に似て来た日銀 ■

日銀の追加緩和の決定に際しては、賛成した委員と、反対した委員の間で当たり前のやり取りが行われた様です。

「追加緩和で激論、「やらねば信認損なう」「円安なら悪影響」=議事要旨」

(2014.11.25ロイター)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0J900U20141125

<賛成派>

1)2%の物価目標を実現する姿勢を示し続けなければ日銀の信用が失われる
2)逐次投入と思われない様に可能な限り大きな規模を目指す

<反対派>

1) 追加緩和による効果はそれに伴うコストや副作用に見合わない
2) 名目金利は既に歴史的な低水準で、経済・物価に対する限界的な押し上げ効果は大きくない
3) 昨年の異次元緩和は期待を生んだが、追加緩和の効果は限定的
4) 一段の金利低下が金融機関の収益や仲介機能に与える影響」について懸念
5) 市場の流動性を著しく損なうだけでなく、実質的な財政ファイナンスであるとみなされるリスクがより高くなる
6) 結果として円安が進めば、これまで景気回復を下支えしてきた内需型の中小企業への悪影響が懸念される


黒田総裁や岩井副総裁らの緩和拡大派の論拠は「2%の物価上昇を実現すれば景気が上向く」という一点に限られています。2%を達成するまでは、追加緩和は有っても撤退はあり得ないというのが彼らの姿勢です。

「市場にナメられたら負け」という理論が経済学かどうかと問われれば????


一方、反対派の意見はどれも間違ったものではありません。
要は、現在の日銀は2%達成という目標が全てであり、些細な弊害など無視して突き進んでいるのです。

これって、まさに太平洋戦争当時の日本の様です。
「勝たなければ意味が無いのだから、万難を排して勝利する」と言っているだけで、どう勝利するのかの具体的方策が一切有りません。

これを論理的に崩そうとする事は不可能です。「2%ありき」=「勝利」という絶対的な目標達成に繋がらない意見は無視されます。異次元緩和の拡大と継続だけが、2%の物価目標を達成出来る可能性があるからです。但し、それは円安によるコストプッシュによって達成される可能性が高まっています。

■ 「物価目標を2%にアンカーする」って何? ■

日銀やアメリカなど先進国の中央銀行は、インフレターゲットとして2%を掲げている国が多い。この2%というのは、イノベーションが無くとも資本主義経済の自由競争の結果、2%の経済成長が常に発生するという仮定に基づいていると聞いた事が有ります。要は、資本主義の国は2%の潜在成長率を常に有しているという事を前提にしています。

「物価目標を2%にアンカーする」という日銀の方針は、リフレ政策によってお金をばら撒けば、いずれは潜在成長率の2%が回復するだろうという日銀の描くシナリオを言い換えただけだとも言えます。

ところで物価が上がる時に個人はどんな対応をするでしょうか?将来的な物価上昇が投資に結びつくのは消費の拡大が期待される場合です。しかし、所得が減少傾向にある現在、物価が上がれば庶民は財布の紐をキツクします。

消費税の様に、ある時点で必ず物価が上昇すると分かっていれば、駆け込み需要が発生しますが、徐々に物価が上昇する場合は、実質所得が減少するので、消費は減るのが当たり前です。特に日本人の場合、アメリカ人の様に借金しても「今でしょう」なんて消費をする人は居ません。

結局、この辺のプロセスを企業は理解していますから、物価上昇が見込まれても投資の拡大に二の足を踏みます。

■ 円安による悪いインフレで物価目標を達成しようとする日銀 ■

異次元緩和以降マネタリーベースは拡大し続けていますが、物価上昇のほとんどは円安による輸入物価の上昇によって達成されています。

追加緩和の理由とされる「原油価格の下落」ですが、裏返せば「円安と原発停止によるエネルギーコストの増大が物価上昇を支えていた」事に他成りません。

そもそもアベノミクスによって景気が顕著に拡大していたのは、昨年5月位までで、これは株価上昇による資産効果と、補正予算の実行による名目の成長が大きく寄与しています。それ以降は増税前に個人消費は失速していましたが、消費税前の駆け込み需要が消費の落ち込みをカバーして見えなくさせていました。

この事からも異次元緩和の第一弾は、景気回復にあまり寄与していなかったのですが、日銀は「目標が達成出来なかったのは緩和規模が足りなかったからだ」として追加緩和に踏み切っています。・・・全くもって旧日本軍の様です。


■ 異次元緩和の目的は「財政ファイナンス」と「米国債の買い支え」なのだから理論的正統性など始めから問題とされていない ■


リフレ派の言い分が間違っている事はほぼ確実となっていますが、そもそも財務省出身の黒田総裁らの目的は「財政ファイナンス」ですから、「理論の正しさなどはブタの餌にくれてやれ!!」・・・こんな感じだと思います。

問題は他の中央銀行が「日銀が財政ファイナンスをしている!!」と責める事です。

しかし、異次元緩和によって円安が進行し、さらに日米の金利差が開けば、日本の資金は金利に引かれれ自然に米国債投資に向かいます。

さらには円キャリートレードによってFRBが減らした緩和マネーの埋め合わせが期待できるので、FRBもECBも日銀の財政ファイナンスを声高に攻め立てる事はしません。そもそもQE3でFRBは米国債を直接買い入れるという財政ファイナンスを実行していたのですから、日銀を責められるハズもありません。

さらに、安倍政権は年金積立金も米国債や米国株に投資すると言っているのですから、日銀や安倍政権を非難する理由は何も有りません。まさに異次元緩和ウェルカム状態です。

■ 学問的正統性は野戦病院では役立たない ■

この様な状況でいくら経済学者がリフレ論や異次元緩和の過ちを指摘した所で全く意味が有りません。日銀や各国中央銀行が実施しているのは、崩壊しようとしている金融市場や債券市場にバンバン資金を投入して崩壊を食い止めるという対処療法であって、リーマンショックで死にかけた市場の延命に比べたら、経済学的正統性など意味を持たないのです。

リーマンショック以降、世界経済は「野戦病院」状態でした。足が半分モゲテ、ハラワタがはみ出した患者に、「ビタミンCは体質改善に効果があります」と言っても始まりません。

足を切断して、ハラワタを押し込んで、止血して、輸血して、先ずは一命をとりとめる事が最優先だからです。

ただ、力技の手術の術後の経過は往々にして良くは有りません。だいたい切断した患部から再び化膿が広がり、徐々に感染の影響は全身に広がります。



■ 一時的回復のアメリカ ■


アメリカは体力が有るので、手術の後、いち早く回復し始めています。ただ、大量の抗生物質と輸血による回復は「一時的な回復」に過ぎません。本来は野戦病院から設備の整った後方の病院に移送して、再手術と長い治療が必要です。

しかし、アメリカは一時的に回復した傷病兵を再び戦力投入する事を予定しています。金利の正常化に傷病兵が耐えらるかどうかは非常に怪しい・・・。

■ 「世界経済のダッシュボードに再びレッドサインが点灯した」byキャメロン首相 ■


世界経済に「赤信号」、再び危機に陥るリスク=英首相(msnより)

<引用開始>

[ロンドン 17日 ロイター] - キャメロン英首相は17日、世界経済について、再び危機に陥るリスクがあると警告した。ユーロ圏や新興国の景気減速に加え、地政学的リスクが高まっていることが背景。英紙ガーディアンへの寄稿で「世界的な金融危機から6年経った今、世界経済のダッシュボードに再び赤信号が点灯している」と述べた。

過去1年半にわたって、力強い英経済と低迷する他国の経済を対比させてきたキャメロン首相は、ユーロ圏がリセッション(景気後退)に陥るリスクや、新興国経済の減速、国際的な貿易交渉の行き詰まりなどに加え、エボラ出血熱の感染拡大、中東やウクライナの情勢が世界経済の先行き不透明感につながっていると指摘した。

英国については財政赤字と公的債務の削減に向けた計画を堅持する方針を示した。

<引用終わり>


実はこの発言、あまり素直には受け取れません。

「新興国やヨロッパ市場は危ないから、勝ち組のイギリス(やアメリカ)に投資をすべき」と婉曲に言っているに過ぎません。

では、イギリス経済やアメリカ経済が順調あと言えば???
比較として他の国々よりはマシというだけの話です。

ただ、投資は美人コンテストのスコアーで行われます。実際にはブサイクしかエントリーしていない大会ですが、比較して少しでもマシな方に資金は流れて行きます。

■ 異次元緩和や追加緩和というデタラメが何時まで続けられるのか? ■

少子高齢化の進む日本の潜在成長率は最早マイナスでしょう。ですから2%の物価目標の達成は始めから無理が有ります。しかし、緩和資金があまりに増えると資産市場はバブル状態になります。

ここでバブルがあまり膨らむと日銀はテーパリングを与儀無くされてしまいます。ですから、バブルのブレーキとして消費税増税を利用しているのでしょう。では、バブルも発生しなかったとして異次元緩和はどこまで継続・拡大が可能なのでしょうか?

既に日銀は追加緩和によって、額にして新発国債のほとんどを買い入れる状況です。これ以上緩和を拡大すると、市場から日本国債が消えて行きます。・・・これは誰が見ても「財政ファイナンス」です。

要は、異次元緩和の継続限界は、次の追加緩和の時期なのかも知れません。消費税増税を先延ばしして尚、物価が下落したり経済が縮小する様ならば、流石に「リフレ政策」の効果が疑われ始めます。

上手く行けば東京オリンピックび開発バブルで日本経済が一時的に回復する可能性も有りますが、今度は金利上昇の危険が高まります。

■ 日銀より先にFRBがコケルのでは? ■

尤も、日銀の前にコケル可能性が高いのはFRBです。「傷病兵をモルヒネ中毒にして前線に戻す」アメリカ経済は、FRBの利上げで混乱するはずです。

下手をすると「味方を誤爆」する輩も有られるかも知れません。(フレンドリー・ファイアと言うらしい。)

表面的には市場最高値を更新するダウや、18000円を目指す日経平均ですが、ヘロイン中毒者の饗宴と言った所でしょう。

しかし、こういう時には必ずスナイパーが潜んでいます。ソロスやジム・ロジャースが草ムラから虎視眈々と機会を伺ているハズです。ただ、彼らは饗宴を終わらせる事はしません。カモを見つけては、確実い仕留めるだけ。

結局、戦局はもっと大きな所で動いていて、そして戦線が崩れる時には誰にも止められない・・・。




・・・月曜日から妄想が暴走してしまいました。

まあ、私が警告するまでも無く、イケイケドンドンなのは、今の内に勝ち逃げしようとしている金融市場の住人くらいでしょうか。彼らはその先に崩壊が待ち受けている事は熟知していますから、最後の一儲けとばかりに素人を煽り立てています。

投資などしていないから大丈夫などと思っていても、元本が保証されていない「学資保険」や「個人年金」に加入している方は多いと思います。郵便局の学資保険も、ゆうちょ銀行になった後の物は元本が保証されません。

リスクを取らなければ儲けは出ませんが、逃げられるのは10%というのが長期的に見た投資の世界である事は昔も今も何ら変わりません。