■ 「かみちゅ」再放送・・・ありがとうBS2 ■
日頃TVやマスコミの悪口ばかり書いていますが、NHKのBS放送は素晴らしいアニメの再放送しているので貴重な存在です。最も、我が家はBS放送は見れませんし、地デジ対応もしていないので、TV放送とお別れするのも時間の問題です。
さて、我が家では見れないNHK-BS2でアニメ「かみちゅ」の再放送が始まっているようです。
「かみちゅ」は先日ビデオレンタルがスタートしたアニメ映画「宇宙ショーへようこそ」のスタッフが製作したTVアニメです。
詳しくは以前このブログに取り上げました。
http://green.ap.teacup.com/pekepon/200.html
「かみちゅ」・・・日本人で良かった
突然「神様」になった女子中学生とその友人達の日常が尾道を舞台に繰り広げられます。
文化庁のメディア大賞の優秀賞にも選ばれた「かみちゅ」は、是非ご家族全員で見ていただきたい名作です。
■ ゆっくりと流れる日常の時間 ■
この作品を見ていると、慌しい日常を忘れてしまいます。
桜が咲いて、海水浴に行って、台風が来て、神無月が来て・・・そんな日本に昔から普通に流れる時間がいかに貴重かという事に気づかせてくれます。
■ 世界は2分されている。 「お金」が支配する世界と、「実物」が支配する世界 ■
最近、世界は2分されている事を強く意識します。
「お金」が支配する世界と、「実物」が支する世界です。
現在世界は5京円を越えるデリバティブ取引残高の処理に苦慮しています。
実体経済の規模を無視して膨れ上がったフェイクマネーの世界では、「お金」はゲームのスコアーの様な存在になっています。
一方で「実物」が支配する世界では人々はあまり「お金」に縛られずに暮らしています。ギリシアやポルトガルが財政破綻しても、人々はどうにか暮らして行くでしょう。確かに都市の失業者は困りますが、地方の人々は変わらぬ日常を過ごして行くでしょう。
農業や漁業など1次産業を産業基盤とする地域では、生きていく為に多くのお金は必要ありません。ギリシアやポルトガルだけで無く、日本の地方にも「自給自足型」の経済は残っています。
■ 「地域通貨」と「中央銀行債券」 ■
現実には「お金」に支配された世界と、「実物」に支配された世界は不可分です。
経済の効率化の観点から「お金」は不可欠な存在です。いくら「実物」の世界でも絶えず「物々交換」する商品を持ち歩く訳にはいきませんし、「労働」はストック出来ないので欲しい品物を持っている相手が、自分の供与できる労働を今欲しているとは限りません。
古代から「お金」が自然発生的に生まれた理由には、「自給型社会」においても労働のストックと流通の為に「お金」というシステムを必要としたのです。これは「地域通貨」と同一です。
日本では共同体の運営の中で労働の「貸し・借り」をフラット化していましたので、地方においては「お金」の存在無くしても、「労働のストック」が実現していました。
「地域通貨」は比較狭い地域の的定常的な世界では有効に働きますが、日本の一地方の通過がアメリカで通用するハズも無く、日本全体や世界全体で流通させるには、金の様な普遍的な価値を持つ通貨か、国家が補償する様な通貨が必要となります。
■ 「利息」 ■
現在私達が「お金」と呼ぶ「中央銀行債券」と「地域通貨」の最大の違いは、「利息」と「価値の変動」があるかどうかです。
近代の貨幣経済は、その循環をよりダイナミックにする為に「利息」をシステムの中に取り入れまています。
「利息」が無ければタンスに眠ってしまうお金を、「利息」でおびき出す事で、資金需要の高い所に円滑に供給させます。
さらに、通貨供給量のコントロールに「利息」が使われます。中央銀行はインフレになれば利息を上げて通貨を市場から改修し、デフレになれば利息を下げて市場に通貨を供給します。
■ レート ■
金兌換通貨や固定相場制度の下では、豊かな国も貧しい国も、同じ価値の通貨になります。
世界統一通貨もこれと同様です。
ユーロの元で通貨統合されたEU諸国では、ドイツでもギリシアでも1ユーロは同じ価値を持ちます。
しかし、国家や地域の経済力の違いから、効率的に価値を創造する国が多くの通貨を所有し、経済な非効率な国では通貨が減少するという事態が発生します。
ギリシアは経済が順調な時は、ユーロによる投資を呼び込めましたが、経済が不調の時はユーロが流出します。過度の資金流出は国内経済を麻痺させますので、政府は国債を発行して資金を供給しようとします。
しかし、1ユーロは変わらないので、観光客を呼び込む事も、投資を呼び込む事も出来ずに政府債務だけが膨らんでいきます。
ギリシアがユーロを離脱して、通貨「ドラクマ」を復活させれば、「ドラクマ」はユーロに対して切下がりますから、ユーロはギリシアの資産を安く買い叩く事が出来、資金がギリシアに流入してきます。又、観光客も割安感から増加し、輸出産業は輸出を増やす事が出来ます。
しかし、「ドラクマ」は弱い通貨なので「暴落」する危険性が大きく、輸入コストの増大から高インフレが発生する可能性が大きくなります。
この様に、変動為替制度の下では「投資効率と資金移動」は効率化しますが、経済力の弱い国では「通貨暴落」の危機にさらされる事になります。
「変動相場制」は景気に良い時は、先進国は安い労働力と資源の獲得に役立ち、途上国では投資の呼び込みに役立ちますが、これは国家の財産の切り売りと同義とも言えます。
■ 見直されるべき地域通貨 ■
地域経済で、その国の通貨を使用する事は、ギリシアがユーロを使用するのと同じ効果と弊害をもたらします。
「公共投資」という再分配のシステムが麻痺した日本では、経済力の弱い地方から通貨が流出します。通貨はその流動性の高さ故に、地域から流出してしまうのです。これにより地方経済は実態以上に疲弊します。
日本の地方は豊かです。食料を生産し、豊かな自然に恵まれています。
しかし「通貨」によってその豊かさは流出してしまいます。
より多くの「通貨」を得る為に、若者という労働力も都会に流出してしまいました。
今までは国の徴税と公共投資の循環によって地域は「通貨」の恩恵にあずかってきましたが、財政破綻によって循環システムが絶たれれば、地域経済は資金不足に陥り衰退してしまいます。
しかし、地域の富を地域内で有効に循環させる「地域通貨」があれば、日本の地方はその豊かさを取り戻すはずです。
カール・ポランニーやシオルグ・ゲゼルが再評価される時代がやってきそうです。