■ 欧州の銀行は現行の3倍の自己資本が必要? ■
bloombergの下記の記事は、デジャヴーを起こさせます。
欧州はバブル崩壊後の日本と同じ道を歩もうとしているのでしょうか?
「欧州の銀行、自己資本最低基準が現在の3倍にも-バーゼル規則実施案」
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=ahRb43WLoj7w
<引用はじめ>
Buzzurl 7月20日(ブルームバーグ):
欧州連合(EU)は、域内の8300行以上の銀行に対する規則で、自己資本比率の最低基準を現行の3倍以上に引き上げる案を提示した。
EUの行政執行機関、欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・金融サービス担当)は、バーゼル銀行監督委員会の世界的な銀行新規則であるバーゼル3の域内実施案を示した。
EUの影響調査によれば、2019年までに完全順守を求められる資本要件を満たすために銀行は4230億ユーロ(約47兆4000億円)の追加資本を調達する必要がある。これは今年から適用される資本規則変更に対応するために必要な370億ユーロに加わる必要額。
バルニエ委員はブリュッセルで記者団に、この日の提案は「欧州の銀行の活動や行動に根本的な影響を与える」と述べた。EU案は域内銀行に「相当の努力を強いるだろう」と付け加えた。
EU案はリスク調整後の資産に対するコアTier1(狭義の中核的自己資本)比率を7%にすることを銀行に求める。現行の最低基準の3倍以上となる。資本の定義も厳格化される。新規則は2013-19年の間に導入される
- 後略 -
<引用終わり>
■ 銀行の自己資本規制が資金需要奪った ■
日本の銀行は大量の預金を運用していた為、
バブル崩壊後にBISの基準が引き上げられた事で
自己資本が不足しました。
自己資本比率を引き上げる為には
増資して自己資本を増やすか
貸し出しを縮小して相対的に
自己資本比率を増やす方法があります。
バブル崩壊によって株価が崩壊していた当時の日本では
増資はによってさらなる株価下落を招くより
貸し出しを減らして、自己資本比率を上昇する方法が取られました。
それによって発生したのが「貸し渋り」や、「貸しはがし」です。
資金が逼迫した中小企業を中心に倒産が発生し
通貨流通量の低下が、日本経済を低迷させました。
所謂デフレが発生したのです。
■ 長期不況がもたらしたもの ■
1) BISの基準、銀行の自己資本比率が引き上げられる
2) 銀行が貸し出しを減らす(貸し渋り、貸しはがし)
3) 資金が不足し国内経済が停滞する=デフレの発生
4) 金利が低下する(ゼロ金利)
5) 量的緩和によって資金を提供する
6) 不景気で国内の資金需要が無いので「円キャリートレード」が発生
7) デフレが常態化し、失われた20年が発生する
以上が私達が今まで信じてきたストーリーです。
■ 日銀ご金融機関が結託して支える日本国債 ■
先日の池田先生の記事ではありませんが、
私は最近、こう考えています。
日銀は金利上昇による財政破綻を防ぐ為
マネタリーベースを故意に絞り
景気回復を遅らせている
1) 日銀はゼロ金利で銀行や生保に資金を提供する
2) 金融機関は国内に融資先が無いので日本国債を購入する
3) 結果的に日本国債は国内で買い支えれる
表面的にはこの様なストーリが用意されていますが、
次の様にも考えられます。
1) 日本の国債費は償還分も入れれば、年間117兆円に上る
2) 現在の税収37兆円?では財政破綻は必至
3) ゼロ金利で日銀が銀行や生命保険に資金を提供
4) 銀行や生保は粛々と日本国債を買い支える
5) 償還国債もロールオーバーする
6) 銀行はゼロ金利というコストの低い資金で
安全に利益を確保できる
7) 銀行の利益の一部は株主である
海外の金融資本家に上納される
国と日銀と金融機関が結託した巨大詐欺が
日本国債を支え続けています。
低金利こそが、このカラクリの潤滑油です。
金利が上昇すると、国債発行額は雪だるま式に膨らみ
カラクリの崩壊時期を早める事になります。
その為に日銀はマネタリーベースを絞って
国内の景気浮揚を阻止しています。
国民の悲願「景気回復」は「財政破綻」と同義となっているのです。
■ 金利上昇はコントロール出来ないのか? ■
「資金を供給すれば景気は回復する」というリフレ派の主張は
ある面においては正しいのですが、
その結果としての「景気浮揚」がもたらすのは「日本の財政破綻」です。
リフレ派は「インフレ・ターゲット」の導入を主張し、
「金利はコントロール」出来ると言います。
一方、日銀は「金利上昇はコントロール出来ない」と主張します。
どちらの主張が正しいのでしょうか?
■ 3%を境に崩壊する日本 ■
「日本の債務膨張、国債利回り上昇に対するぜい弱性を増大=IMF」
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-22267420110719
<引用はじめ>
- 前略 -
IMFは日本の銀行は、日本国債利回りの300ベーシスポイント(bp)の上昇は吸収することが可能で、自己資本比率が求められる水準を下回ることはないとした。ただ、300bpを超えて利回りが上昇した場合、日本の銀行は対外融資の削減を余儀なくされる可能性があるとした。
<引用終わり>
IMFは日本の国債利回りが3%を越えると、
日本の銀行は含み損を避ける為、
国債を売却せざるを得ないと言っている。
現在はほぼゼロ金利状態が継続していません。
しかし、三井住友銀行などは、既に長期国債を手放しています。
これは少なくとも10年以内の崩壊を予測しているという事に他なりません。
■ 危機は外からやって来る ■
現状、日本の国債シンジケートは健在です。
しかしアメリカ発の国債危機が発生すれば、
日本の金融機関とて日本国債を安心して保有し続ける事は出来ません。
世界で尤も安全資産と言われる米国債の崩壊は
あらゆる債権、あらゆる金融商品の崩壊を意味します。
大海に浮かぶ洗面器の中でバランスを取っていた日本国債は、
大波に翻弄されて洗面器ごとヒックリ返ることでしょう。
■ 危機は何回も訪れる ■
米国の債務上限問題解決のタイムリミットは7月22日です。
それまでに法案が議会を通過しなければ、
8月2日までに、法律化が間に合わず、
8月15日の国債償還でアメリカはデフォルトする。
上記が今言われているタイムスケジュールです。
多分、どこかにウソが混じっていると市場は考えています。
米国債がデフォルトしたら彼らの商売が成り立ちませんから、
金融業界はそのような事態を「信じたく」ありません。
常識的に考えても米国債のデフォルトはあり得ません。
しかし、常識的に考えて、米国の財政は近い将来に破綻します。
いつ、誰が見切りを付けるのか・・・。
それが明日とも限らない・・・それが現在私達の乗っているドロ船です。
■ FRBデフォルト準備 ■
FRBはデフォルトの準備を進めている様です。
デフォルトの可能性が0%では無いので、
FRBとしては当然の行動です。
「FRB、米デフォルトの可能性に準備=地区連銀総裁」
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-22291720110720
<ロイターより引用 20日>
米フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁は20日、連邦債務上限引き上げが期限の8月2日までに合意されず米国がデフォルト(債務不履行)に陥った場合に備え、連邦準備理事会(FRB)が準備を進めていることを明らかにした。
同総裁はロイターのインタビューで、FRBは数カ月前から財務省と緊密に連携し、8月2日に米国がデフォルトに陥った場合の措置について検討してきたと述べた。
そのうえで「今は有事の対策モードに入っている」と語った。
<引用終わり>
一方オバマ大統領は、
「法案整備までに多少時間が掛かる場合、
数日間程度の債務上限の引き上げは許される」
と語っています。
今週中には下院の共和党と合意を取り付ける自信の表れでしょうか?
希望的情報や悲観論が入り乱れるのはいつもの事。
その裏で、誰かが大儲けしていると思うと、
腹が立つ事この上なし・・・。