人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

グリンニューディール政策とプリウス

2009-01-27 05:59:00 | 温暖化問題
■グリンニューディール政策はビジネスとして成立するか■

オバマが提唱するグリーンニューディール政策が話題となっています。
「環境ビジネスで500万人の雇用創出」という言葉が一人歩きしています。
しかし、環境ビジネスって、いったい何なのでしょう?
はたして、環境ビジネスは新しい富を生み出すのでしょうか?

■ITも初めは意味不明だった■

実は、今では主要産業に成長しているIT分野も初めは意味不明な分野でした。
ネット産業などというものが本当に成立するのか、半信半疑でした。
しかし、現在、IT産業は多くの雇用を生み出し、
我々は、インターネットの恩恵にあずかっています。

環境ビジネスも将来は無くてはならない産業になるのでしょうか?

■環境技術の実利■

人が物やサービスにお金を払うには、実利が必要です。
それでは、環境技術の実利とは何でしょうか?
それは、節約されたエネルギーのコストが、設備の導入コストを上回る事です。

家電品は年々省エネが進みますが、価格はそれ程上昇しませんので、
消費者は分かり易く「省エネ」による実利を手にします。
「今度、買い換えるなら省エネタイプにしましょう。」となります。

二酸化炭素の削減は実利にはなりません。
炭素税でも掛かっていれば別ですが、実利は電気代として表れます。

■プリウスはお徳か■

今はやりのハイブリットカーはどのくらい実利が出るのでしょうか?
プリウスのSクラスが車体価格が215万円、
カローラの1.5ℓが192万円で価格差が23万円。
燃費がプリウス35km/ℓで、カローラが15km/ℓとしてます。

ガソリン価格が120円/ℓの場合を検証してみましょう。

1週間に50kmだけ車を使うサンデードライバーの場合、
プリウスの方がガソリン代が228.5円おお徳。1年で\11,887円お徳。
車体価格差をガソリンの節約分で割ると・・・損益分岐が19.34年。
という事はサンデードライバーのおじさんは20年で元が取れます。
20年もプリウスに乗る人はいないでしょうから、
サンデードライバーはプリウスに乗っても実利がありません。

1年間に1万キロの人はどうでしょう。
1週間の走行距離が192Kmだとして、
一週間で877.7円お徳。一年間で\45,640円お徳。
損益分岐は5.04年で、だいたい5年で元が取れます。
ここら辺がプリウスの購入者のターゲットでは?
実利は5年以降でしか発生しませんが、
ハイブリット車に乗るという付加価値が5年で買えます。

実際の街乗りでのプリウスの燃費は20km/ℓ程度、
カローラが12km/ℓでもだいたい5年で損益分岐が発生します。
これが比較がヴィッツであったりすと、なかなか損益分岐が発生しません。

■ECOという満足■

結局、補助金や減税が無ければ、ガソリン代の節約による実利は
5年目以降に発生する事になりますが、
長距離走行を経たバッテリーの性能低下により、
プリウスの燃費はガソリン車並みに下がるというデータも見受けられます。

結局、ハイブリット車はバッテリーとモーターという余分なパーツが発生します。
量産効果が上がったからといって、ガソリン車並の値段にはなりません。
バッテリーやモーターの廃棄コストも上乗せされますから、
燃費の良いガソリン車や環境対策されたディーゼル車の方が消費者には有利です。

さらに、プリウスは戦略車でトヨタとして利益の薄い商品です。
通常の価格転嫁をすれば、ガソリン節約によるメリットは消し飛んでしまいます。

結局、消費者は「環境に貢献している」という優越感を23万円で購入するのです。
ようするにプリウスにおいての付加価値は、コスト節約よりも
「ECO」意識の充足にあるようです。

■温暖化防止とプリウス■

プリウスが公証値通りの燃費ならば、年1万キロ運転するドライバーは
カローラ比較で1916ℓのガソリンを5年間で節約出来ます。
これは結構大きな数字の様にも思えます。

但し、バッテリーやモーターなどの製造と廃棄に要するライフサイクルコストと
その時消費するエネルギーが価格等価と考えるならば、
ガソリン節約分の二酸化炭素は既に、あるいは将来的に発生するとも考えられます。

■ハイブリットが当たり前の時代■

もしハイブリット車が普及し、
「お宅、まだハイブリットでないの?」という時代がやってきたら、
多分、皆さんハイブリット車を購入するのでしょう。

その場合は、価格上昇が個人負担であるならば、事実上の値上げですし、
税的優遇処置や補助金であれば、税金による不公平なコスト負担となります。

いずれにしても、「ハイブリットが当たり前」の時代が到来すれば、
車の車体価格は値上がりし、価格転嫁が適正に行なわれれば、
自動車メーカーは収益が上がります。

しかし、現在の様に価格転嫁が適正でない状態が続けば
ハイブリット化は企業収益を圧迫します。

■究極のECOカー■

インドの大衆車は25万円です。
これをハイブリット化する事は、ちょっと考えられません。
そもそも、燃費の良い小型車は、街乗りではプリウス同等の燃費です。
ですから、新興国の大衆は、皆プリウスユーザーと同等の環境貢献をしています。
ハイブリットの為の付属部品が無い事を考えれば、プリウス以上の貢献です。
(昔のサニーやシャレードは20km/ℓ以上走りました)

そもそも自家用車を所有出来る人が少ないので、
彼らは、地球に優しい生活をしています。
大衆はエアコンも使いません。

そのような国に、環境対策技術を移転しようとしても、
そもそもが環境に低負荷なので、なかなか普及しません。

結局環境技術は、既に大量のエネルギーを消費する先進国にこそ必要な技術で、
一人当たりのエネルギー消費量が少ない国には魅力の無い技術です。

■石油価格に左右される環境ビジネス■

環境ビジネスを成長させる最大の要因は石油価格の高騰です。
世界の経済活動が低迷している現在、原油価格は低いままです。
この情況では省エネの実利は発生し難い情況です。

バイオエタノールの盛衰を見るまでも無く、
エネルギーと言えども、市場原理を無視する事は出来ません。

結局、温暖化の二酸化炭素原因説を拠り所とするしか無いのです。
その根拠が磐石で無い事がだんだん明らかになってきています。

昨日の読売新聞の社説は、産業界の現在の心境を良く代弁していました。

「グリーンユーディール政策の波には乗りたいが、経営コストの増大は避けたい。
日本としても、次期温暖化対策協定で京都議定書の様な不利益は何としても避けたい。
そもそも、二酸化炭素による温暖化説自体が怪しいのだから・・・。」

と読めるのですが、いかがでしょうか。
政府の掛け声とは裏腹に、産業界は環境ビジネスに昨年程は熱心ではありません。
新聞はそこら辺の温度を敏感に反映しています。

さて、オバマのグリーンニューディール政策は環境バブルを起せるでしょうか?




オバマは日本の大統領?!・・・一蓮托生の日本

2009-01-23 06:35:00 | 時事/金融危機
■オバマ大統領にくびったけの日本人■

日本人って本当にハヤリモノに弱いですよね。
アメリカ大統領の就任式を、日本人が夜も遅くまで見ているなんて
初めての事ではないでしょうか。
それだけ、オバマにスター性があるという事なのでしょう。
確かにあの演説は素晴らしい。
声といい、間といい、表情といい、スピーチの国の大統領だなと思います。

ビル・クリントンも格好良かったですが、
オバマはちょっとハリウッド・スターみたいな雰囲気ですよね。
と言うか、黒人大統領ってハリウッド映画では見掛けたりするので、
どうしてもその印象がかぶってしまうのかもしれません。

でも、逆に作られた虚像のような気もして少し心配にもなります。
例えば、ホワイトハウスのホームページのムービーを見ると
これは明らかに演出過剰・・・・。

■民主主義は陳腐化する■

民主主義は最初こそ高い理念を掲げますが、
時間が経てば、利権の奪い合いに終始するのはどこの国でも同じです。
結局、選挙に真剣になるのは、失うもののある「持てる人」で、
失うものすら無い人は選挙にすら行かない。
政治家は「持てる」人の代弁者でしか無い事は洋の東西を問わず一緒です。

アメリカは大統領戦が直接選挙に近い方式なので、
それでも国民は「我々の大統領」という意識が強く、
大統領選挙はそれこそ国を挙げてのお祭りです。
でも、昨日のTVを見ていても分かる様に、
単なるイベントに過ぎないのです。

良く、日本人とアメリカ人の政治意識の差が話題になりますが、
マスコミが発達して先に政治がエンタテーメント化しのは彼の国です。
選挙に広告代理店が動員され、TVスポットが流され、
討論会が視聴率をかせぐ・・・。

結局TV受けの良い候補者が勝ち残る。
印象的な容姿、印象的な経歴、印象的な言葉。
ワンワード・ポリテイクスと言えば小泉元首相を思い出しますが、
「Yes we can」にしても「Change」にしてもその最たるものと言えます。
結局、政治ショーに浮かれる国民の耳にはキーワードしか届かない。

■オバマの政策でアメリカ経済は復活するのか■

アメリカ経済の絶対絶命の危機で華々しく登場したオバマですが、
彼の政策で瀕死のアメリカは復活するのでしょうか?

「グリーン・ニューディール政策」と言えば聞こえは良いですが、
結局、大型公共投資意外の何者でもありません。
では、その財源はどうするのでしょう?
国債のさらなる乱発以外に方法がありません。

そもそも「ニューディール政策」はルーズベルトの時代も失敗しています。
社会の教科書では、ニューディール政策によって恐慌を脱したとありますが、
大型公共投資は一時的な雇用は生み出しましたが、
それによって作られたダムや道路の経済効果が現れるには時間が掛かります。

世界大恐慌の時にアメリカ経済を救ったのは、ヨーロッパで勃発した戦争です。
この時、日本も戦争によって、経済が復活しました。

そもそも公共投資は民間の投資に比べて非常に非効率です。
まして、インフラの整った先進国での投資効果の低さは
日本の現状を見ても明らかです。
そして、環境分野は再生産性に乏しいので、尤も非効率的な投資です。

■二酸化炭素による温暖化という世紀のウソのツケ■

民主党はクリントン時代からゴアが環境問題にご執心です。
ダイオキシン問題もWHOを巻き込んで、
環境ホルモンという得体の知れない恐怖としてさんざん宣伝されました。

日本でもダイオキシンは大問題となり、
旧型の焼却炉が、新型の焼却炉に入れ替えられました。
しかし、実は日本のプラントメーカーは殆ど新型炉を受注出来ませんでした。
高温消却型の新型炉の納入実績が無かったからです。
日本で導入された新型炉は殆どヨーロッパとアメリカ製でした。

しかし実際のダイオキシンの毒性は低く、
発がん性も、たばこのタールに比較しても低い事が明らかになっています。
環境ホルモンも、自然界の軟体動物や魚類の性転換は一般的な事柄です。
ですから、かつて程ダイオキシンを問題視する人は少なくなっています。
http://www.org-chem.org/yuuki/chemical/dioxin.html

二酸化炭素問題も全く同じ構造をしいます。
無害なものの危機を煽って、ある程度ビジネスをしたら、ウヤムヤにしてしまう。
そもそも、二酸化炭素が原因で温暖化するのでは無く、
温暖化するから、海中から二酸化炭素が気化して二酸化炭素が増えるのです。
原因と結果を逆転させて危機を煽っているだけです。

温暖化の主原因は太陽活動の周期ですから、
太陽をどうにかしないと、ヒマラヤやグリーランドの氷河は溶け続けます。
しかし、かつて地球は氷河に覆われていた時期があるのです。
ライチョウは日本が氷河に覆われた時期は、そこら中に生息していましたが、
氷河の後退(温暖化)で、住処を高山へと追われたのです。

逆に縄文時代は現在よりも2℃気温が高く、海水面も6mも高かったのです。
実際、群馬県まで海が入り込んでいました。
平安時代も現代より温暖で、霞ヶ浦は海だったから「浦」と呼ばれるのです。

このような地球と太陽のダイナミックな変動を
グリンニューディール政策で止められるとは思えません。
というか、科学的にナンセンスです・・。
「来るべき石油の枯渇に備えて」と言う方が、正直で目的も手法も明確化します。

効果が無い事に投資するのですから、
「グリーン・ニューディール政策」の効果は期待できません。

■市場は冷静■

市場はこういった欺瞞に対して非常に冷静です。
オバマ就任当日にダウ平均は332ドルも下落し、ドルも下がっています。

オバマ就任までは期待値でどうにか保っていた株式市場も、
オバマに経済回復の決定打が無い事は(戦争以外に)分かっていますから、
当然、オバマ人気が最高潮に達した時に「売り」と判断します。

今後はシティーバンクの破綻やビッグ3の破綻が秒読み段階に入りますから、
オバマ・マジックは一瞬にして醒めてしまいます。
そして、オバマに根拠の無い期待を抱いていたアメリカ人は
一気に現実に引き戻されます。

この時にオバマは今の様な求心力を保てるでしょうか?
彼が求心力を保つ唯一の方法は、
国民にお金をばら撒き続ける事です。
そしてその事は、アメリカ国債を日本と中国が買い支え続ける事を意味します。
今の日本の経済情況ではたしてそれが可能でしょうか・・・。

結局、アメリカ経済の回復なくして、日本経済の回復は見込めず、
日本経済の回復無くして、アメリカ経済の救済はならず・・・
日本はオバマと一連托生である事を知って、日本人はオバマに熱狂するのでしょうか?

エウレカセブン・・・豊穣な世界

2009-01-20 09:12:00 | アニメ


■パチンコ屋さんの看板の「エウレカセブン」って何■

「エウレカセブン」というアニメをご存知でしょうか?
最近、パチンコ屋の店先に看板が立っているアレです。
ロボットの前で、少年少女が爽やかに笑っているアレです。

パチンコを打たない身としては、パチンコとロボットアニメがどう結びつくか、
皆目見当もつきませんが、エバンゲリオン、アクエリオンと来て、
次はどうやらエウレカセブンのようです。

パチンコ台になるくらいだから、それなりの作品かと思い、
早速ネットで見てみました・・・、って、これ50話もあるじゃない・・。


■空から少女とロボットが落ちてきた■

良い子のアニメの鉄則はボーイ・ミーツ・ガール。
突然出合ったあの子にハートを鷲掴みにされて、
カッコイイ所見せたさに、がむしゃらに頑張る健全な男子の話が基本。

ラピタだって、ジータが可愛いからパズーはあんなに頑張っちゃう。
エヴァのシンジだって、かなりネジ曲がっているけど基本は同じ。

エウレカセブンも基本はしっかりボーイ・ミーツ・ガール。
ただ、空から落ちてきた彼女が、ちょっと変な子だっただけ。
なんせ、人間の形をして人間の心を持ち合わせていない・・・。
そう、この星を覆う謎の知性体コーラリアンが人と接触する為に作り出した
人型コーラリアンだったのだから。
彼女の名前はエウレカ。彼女に夢中になったのはレントン・サーストン。

舞台は人類が移住した惑星。
砂の様なスカブ・コーラルに覆われ、度重なる地殻変動が人類を襲う星。
人々はトラパーというエネルギーの流れに乗って飛行機を飛ばし、
又、トラパーの波に乗って空中をサーフィンの様に滑空(リフ)する。
トラパーからエネルギーを取り出して機械を動かしたりも出来る。

そんな世界のプロのリフライダー集団が月光ステイト。
月光ステイトはレントンの憧れ。
そして、何故かエウレカも月光ステイトのメンバー。
気がつけば、エウレカを守りたい一心にレントンも月光ステートのメンバーに。

ここまでは、少年向けロボットアニメの大道です。
大空を翔るリフボード、
軽やかにトラパーの波に乗って滑空するロボット(VFO)。

■エウレカセブンは変なアニメだ■

しかし、視聴者は直ぐに気づくでしょう。
「エウレカセブン」は変なアニメだと・・・・。

何故なら、キャラクターのデザインがバラバラなんです。
今風のキャラクターもいれば、お前手塚アニメか?ってのもいるし、
サイボーグ004もいれば、ちょっと間違えば超人ロックもいる。
極め付けは、往年の東映ロボットアニメのキャラ風から、
イデオン時代の湖川友謙キャラ風までが、ワラワラ出てくる。

イデオン風のエッジの効いた科学者ミーシャの旦那が、
細野不二彦風の巨大頭だったりするから、これはもう呆然となってしまいます。
さらに、各キャラクターの動きや背景も、その時代のアニメ風だったりします。

これが邪魔をして話に集中出来ないオトモダチも多いのではないのでしょうか?


■これは罠です■

これは罠です。
何をハメル為かというと、オタクを振るい落とす為の。
この程度の陽動で、「キャラの絵がバラバラじゃん」とか、
「作画崩壊してるよね」なんていうオタクは、
この素晴らしい作品を見る資格が無いのです。

かつて、富野監督はイデオンをあえて格好悪くデザインしました。
ガンダムが人気の時に、作品の内容よりプラモデルに人気が集中した経験があるからです。
エウレカセブンはキャラクターもむちゃくちゃですが、
肝心のロボットもかなりのものがあります。
何故か車になっちゃいます。
さらに、他のメカの方が圧倒的に格好良いのです。

さらに、主人公エウレカは姿はどんどんと崩れていってしまいます。
それは、お岩さん顔負けなくらいに。

でも、ここで声を大にして言いたい。
素晴らしい作品にとって、キャラクターなんて、瑣末な事に過ぎないと。
作者はあえて、オタクが寄り付くのを嫌って、
こんな、オタクトラップを仕掛けたのでしょう。

■SFとして、ビルディングストーリーとして圧倒的な力■

エウレカセブンはタイトルにあるように、交響曲のようにその音色を変えて行きます。

少年の無垢な憧れが奏でるファンファーレに始まり、
二人の気持ちのすれ違いが、通奏低音のように広がって行く。
挫折から立ち直った二人が、主題を高らかに歌い上げたと思えば、
世界の真理が音の波のように遅い掛かって来る。
不安と絶望による何度かの変調を繰り返しながら、
最後天上に響く歌声となって昇華する世界・・。

初めは少年の日常の視線で始まる物語は、
少年が世界を知る事で、重みを増していきます。
人を殺す事を知り、それでもエウレカ守る事を決意し、世界を守る事を決意する。

今まで、日常として見えていた大地は、
スカブ・コーラリアンという知性体であった。
今まで、憧れの女の子だったエウレカは、
スカブ・コーラリアンが人類と接触を図る為に送り出した人型コーラリアンだった。
憧れの対象であった月光ステイトは、
軍と敵対する、テロリストだった。
そして、この星はコーラリアンによって蹂躙された地球であった・・。
コーラリアンの目覚めが、情報力学の限界を突破して物理宇宙の崩壊を呼ぶものだった。

レントンは一つ、一つを学び、一つひとつ自分の道を選択していきます。

そう、エウレカセブンとは重厚なSF的背景の上に、
クールなサーフカルチャを纏いながら繰り広げられる
少年の真っ直ぐな成長の物語なのです。

■タルコフスキーと手塚治虫を繋げる荒業■

SF的視点に立てば、エウレカセブンは「惑星ソラリス」です。
あるいは、ロボットを過去の遺構から発掘するんのは、「ストーカ」かもしれません。
いずれにしても、ロシアの映像詩人、アンドレー・タルコフスキーの影響が、
あるいは原作のスワニフラフ・レムやストゥルガスキー兄弟の影がよぎります。
私達の若い時代は、タルコフスキーは「神」でしたから・・・。
ソラリスの海が、スカブ・コーラル。
ソラリスの海が生む実体幻影がエウレカ・・・。

これだけを、今風のキレイ絵で、スタイリッシュに展開する方法は容易に想像できます。
しかし、エウレカで取られた手法は、過去のアニメのリミックスでした。
キャラクターのリミックス、シーンのリミックス、設定のリミックス。
これを、表面上だけ見れは「パクリ」といいます。

しかし、「リミックス」はアートであり手法です。
過去の表現の強靭なイメージを作品に外挿する手法です。
30分を費やして、手塚治虫の世界の豊穣さを表現するよりも、
手塚的キャラクターと演出を外挿する方が一瞬で済みます。
このスピード感と密度感を勝ち得た物が現代の表現者です。

エウレカセブンはリミックスによってタルコフスキーの世界と手塚治虫の世界を
繋ぎあわせるという荒業をやってのけます。

それは、映画やSF小説という土壌と、日本アニメという肥沃な土壌から
栄養を吸い上げて、作品を作る事に他なえいません。

■アニメという大地に咲く花■

最近はアニメの技術も進んで、美しいアニメや
スタイリッシュな映像はいくらでも見る事が出来ます。
しかし、どれも、模倣と再生産、消費のサイクルから出るものではありません。

エバンゲリオンは、そんな時代に咲く仇花のような作品でしたが、
我が子に見せられるような物ではありません。

いくら、時代が複雑になったからといって、
子供は真っ直ぐに夢に突き進んでいって欲しいと思います。
今、そういう分かり易いアニメに出会う事が無くなりました。

息子の受験が終わったら、エウレカセブンを見せてあげようと思います。
日本のアニメの土壌の豊かさを味わう作品として。
(息子にはダサいと一蹴されそうですが。)




ガス田を巡る報道・・・報道の公正性

2009-01-10 09:38:00 | 時事/金融危機
■新聞が薄くなった■

家内が年末の売り出しの広告欲しさに新聞を契約したので、
昨年末から新聞が再び我が家にやてきました。
それにしても、年末の新聞は薄かったですね。
読売新聞は半裁を含む26ページなんて日もありました。
実家の朝日新聞も確認したら、こちらも同様でした。

とにかく広告が無い。
出版関係の広告と、
あとは新聞社企画広告と、
老人向けの旅行、産直食材の広告ばかり。

1月1日の新聞も悲惨でした。
元旦の紙面は平日の紙面と大差なく、
新年らしい特集は、3日の紙面に載っていました。
一昔前の、元旦の新聞のボリュームが懐かしい・・・。

ここ数日、40ページに戻っていますので
紙面が薄いのは、年末だけの現象でしょうか?

それにしても、1月5日の読売新聞の「潮」の全面広告にはビックリ。
「潮」と言ったら、創価学会の雑誌ですよね。
新聞は広告料をたぷり貰ったら、公明党批判は書けませんね。
最も、「聖教新聞」を新聞社の印刷所で印刷しているので、
創価学会はずいぶん昔から新聞社にとっては足を向けられない存在みたいです。

■海底資源■

このところ目に付くのが海底資源の記事。
確かに、資源は将来枯渇するので
温水鉱床のレアメタルや、メタンハイドレートは将来有望な資源です。

ただ、東シナ海の海底ガス田問題がこれに絡むと
ちょっと、政治的な色合いが濃くなります。

新聞報道では、日本の排他的経済水域のすぐ外側で中国がガス田を開発し、
日本の経済水域内にある天然ガスが中国に奪われる・・的な書き方です。
しかし、これは中国側は日本の主張する排他的経済水域の外での開発なので、
国際法上もなんら問題は無いはずです。

むしろ、問題は中国に対抗して、
中国のガス田のすぐ近くの日本の排他的経済水域内で
日本がガス田開発を行う事にあります。

■排他的経済水域の境界線は決定していない■

実は、中国と日本の排他的経済水域の境界線は国際的に決定していません。
日本は現代の慣例に則って、両国の領土の中間線を主張し、
中国は古い慣例に則って、中国の大陸棚の端までを主張しています。
境界線の決定は「関係国の合意到達」が原則で、
調整は国際司法裁判所や国連海洋法裁判所で行います。
竹島問題も同様ですが、中国がこのような場で話し合う事を拒んでいるので、
日中の排他的経済水域の境界線は確定していません。

中国側は日本の主張する中間線の外側での操業ですから問題はありません。
しかし、日本が中間線のすぐ内側でガス田を開発したら、
中国は黙ってはいないでしょう。
なぜなら、そこは彼らの主張では、中国の排他的経済水域の中だからです。

■ガス田の規模■

さらに、ガス田の埋蔵量が少ないので、
開発しても、すぐに枯渇してしまうと言われています。
そして、ガスをどのように消費地に搬送するかの問題も残ります。
一般的にパイプラインかLNG(液化天然ガス)による輸送ですが、
場所が東シナ海では、日本の消費地に遠過ぎてパイプラインの敷設は非効率です。
中国は上海が比較的近くにあります。

また、沖縄トラフという海底の崖があるので、
平坦な大陸棚上にパイプラインを敷設できる中国と日本では事情が異なります。

この様な問題があって、いままで放置されていた東シナ海ガス田ですから、
開発しても、問題ばかり多くてメリットはあまりありません。
開発権をおしつけられた帝国石油もいい迷惑でしょう。

■新聞報道は公平ではない■

ガス田報道ひとつ取っても、新聞報道は公正ではありません。
経済水域の境界線が未確定な事は報道されていますが、
報道のされ方は、日本の主張が正しいという論調です。

しかし、決定されていないのですから、
国際的には「保留」が正しくて
中国の主張と日本の主張は等価のはずです。

その事を正しく伝えずに、日本の主張を政府のスポークスマンの如く掲載すれば
世論をミスリードする結果を招きます。
いや、「我々の資源を奪う中国がけしからん」という世論を意図的に喚起しています。

新聞は本来、日本が主張する中間線の内側でガス田を開発したら
どのような事態が生じるか正しく伝えるべきです。
又、「日中が共同開発する」という表現が使われるのは、
グレーゾーン内での開発だから、「共同開発」なのだときちんと伝えるべきです。


■インターネットの時代に■

実はここに書いた事はWikispediaに全て書かれています。
インターネットの時代に、事実は簡単に調べられます。
(ネットが事実だとは限りませんが・・・むすろその逆か・・・)

ですから、新聞が偏向した報道を公正なふりをして続ける限り、
読者はどんどん減っていきます。

報道なんて、公正である必要はそもそも全然ないのです。
「我々はこう考えるから、このように主張する」で良いのです。
それを、「新聞は社会の正義である」的な顔をしているから気持ち悪いのです。

どうせ衰退を余儀なくされた新聞ビジネスですから、
ここらで、一皮剥けて、子供みたいな「良い子ちゃん」から抜け出す時期では?


初詣は人力でGO

2009-01-01 10:16:26 | 自転車/マラソン


■あけましておめでとうございます■

波乱の2009年が幕を開けました。
皆さん、新年を如何お過ごしでしょうか。
我が、人力は、今年も自己中に、好き勝手書いきます。
ちょこちょこ覗いて下さる皆様、あきれずにお付き合い下さい。

2009年最初の人力は
「人力でGO」のポリシーに則り、「自転車で初詣」編です。

■自転車は冒険の始まり■

エコロジーを標榜する我が家には車がありません。
ですから、子供達は3歳の頃から自転車を仕込まれます。
補助無し自転車の練習なんてたいがい1日で完了です。

長男の時は「大丈夫、お父さんが支えているから!!」って言って、
思い切り自転車をポーンと押し出して、おしまい。
20mくらい惰性で走ってコケました。
でも、コツを掴んだのか、その日うちに補助無しデビューです。

長女の時はエサで釣りました。
「補助無し乗れたら、マックをおごってあげる。」
食い意地の張った娘は、必死でペダルを漕いで、見事マックをゲット。

子供達が自転車に乗れるようになれば、家族での行動範囲が格段に広がります。
カルガモ一家みたいに、一列になって、結構遠くまで出かけます。
たまたま自転車で遊びに来た子供の友達達も、
大抵、1度や2度は犠牲になっています。
「ちょっと自転車で遊びに行こう」の誘いの「ちょっと」は大抵30Km。
でも、子供達にとってはちょっとした冒険です。
行った先でザリガニやメダカを採ったりして、泥だらけになって、
それでも大抵「また行きたい!!」と言ってくれます。

■初詣は人力で■

小さな頃から自転車の「英才教育?」を施した小学6年生の娘を連れて、
成田山へ自転車初詣。
往復距離は100Km弱でしょうか?
はたして、娘は津田沼-成田間を往復できるのでしょうか。
今回のエサは、参道で天ぷら定食をご馳走する事です。

津田沼から成田への最短コースは国道296号線です。
でも、道幅が狭く、交通量も多い。
子連れでは、ちょっと心配なルートです。
そこで、大和田で296号をあきらめて、新川-印旛沼コースで成田を目指します。


■新年の試練は向かい風■

新川沿いのコースは、思わぬ向かい風の強風。
娘に今年初めての試練が襲い掛かります。
時速17kmで懸命に進むこと30分。
印旛沼の手前からは、今度は強風が追い風に変わります。
今度は殆ど漕がずとも、時速30km近くであっという間に佐倉に到着。
風車をバックに写真を撮って、いざ目指すは成田。

印旛沼沿いは道が湾曲しているので、向かい風、横風、向かい風と又試練。



北沼と西沼の間の水路を越えれば、成田はもう目前。
刈り取られた田んぼの中を、春の光と強風を浴びながら進みます。



■試練が訪れた■

成田線の線路伝いに、成田市内を目指します。
ここからは、ちょっとした登り下りの連続。
しかし、娘は小さい頃から登り坂は結構得意。

途中、道に迷ったり、
私のリアディレーラーのワイヤーが切れたり
娘の左足が側溝に落ちたり、
車の大渋滞に行き先を阻まれたしながら、
ようやく成田山に到着したのは、
津田沼を出てから3時間、
距離50km、平均時速17kmでした。

■大混雑の成田山■



元日の成田山は大混雑。
さすが、明治神宮に続く日本第2位の初詣客数を誇るだけの事はあります。
私達は、裏の駐車場からすんなり境内に入りましたが、
(尤も、本堂でのお参りは諦めました)
参道からでは、境内に入るまでに2時間くらい掛かりそうです・・・。

日暮れ前に帰宅したいので、娘と早々にお参りを済ませ、
ミニバスの県大会の必勝祈願のお守りを買って、
参道の川魚料理屋に向かいます。

しかし、成田山の参道はいつ来てもイイ。
ほんの短い坂道の両側に、結構古い佇まいの店が並びます。
ウナギを焼く煙が湯煙の様で、ちょっとした地方の温泉街の様です。

行き着けの店は込んでいて入れなかったので、
その隣の川魚料理屋に入り、
「ウナギ」がキライな私も今日ばかりは「うな重」を頼みます。
同じくウナギ嫌いの娘はいつもながら天ぷら定食。

■帰路は一般道■

帰路は向かい風を避けて、国道51号を千葉方面に向かいます。
51号は歩道も整備されていて、娘のミニベロはフロントサスがあるので、
歩道を走らせます。

途中、296号に抜け、佐倉市内に出ましたが、
四街道に抜ける道が近そうだったので、そちらを選択・・・。
これ、失敗でした。
歩道の整備も悪く、結構交通量も多い。

止む無く、娘も車道を走らせ、
その後ろを私が車道にせり出して走ります。
リアディレラーが使えないので、急な坂道は娘において行かれます・・。

日本の道の悪さを呪いながらも四街道に到着。
そこから津田沼までは1本道の通いなれた道。

娘もお尻が痛いと言いながらも、結構頑張ります。
時速15km以下でゆっくりデコボコの歩道を走って、
津田沼に到着したのは午後5時。
一日の走行距離は90kmでした。

■ダイエットには程遠く■

実は、今回の自転車初詣は娘のダイエットを兼ねていました。
11月にミニバスの試合で左足首靭帯を断裂した娘は、
体重だけが順調に回復。
12月後半からは、試合復帰しましたが、体重が重くて走れない。
そこで、1月の県大会を前に、この暮れと正月で2Kgの減量を決意。

人生初の65Kgという体重になってしまった私も2Kg減量を目指し、
二人で暮れと正月は運動に明け暮れようと誓ったのでした。

そして、本日の成果は・・・・200g・・・です。
2Kg減量への道のりは、険しく、遠い。

さて、本年はどんな「人力」生活になるのやら、
正月から全力で挑みます。