■ NHKもやれば出来るじゃん? ■
たまたま実家に居てTVを見ていたら『NHK特集・新映像世紀 グレートファミリー』なる番組を放送していました。モルガンやロックフェラーがどうやって大財閥にのし上がったのかが、サラリと描かれていて、陰謀論者に琴線に触れる番組でした。
「NHK,デビットに喧嘩売るの」って一瞬思ったのですが、この番組、20年前(1995年)に製作されたもののリマスター版みたいですね。
■ NHKの限界に挑戦 ■
「世界大恐慌」のくだりの、「NYの株価暴落でロックフェラーも多くの損失を出しましたが、その後は回復し・・・」的な説明に、NHKの限界を感じます。
世界大恐慌の仕掛け人こそがロックフェラーを始めとする大財閥で、彼らは個人投資家への短期のローンを一斉に引き上げると同時に、大量の株を売却して「大暴落」を演出します。結果的に人々は株を投げ売り、紙屑同然となった株を大財閥達が買い占めて、アメリカの経済を支配してしまいました。
流石に「皆様のNHK」が事の真相を公共の電波に載せる訳にも行かず、だいぶ歯に物が挟まった様な表現になっていましたが・・・。
■ ユダヤ人のメディア支配にも言及 ■
現在のNHKでは「ユダヤ人」という言葉を発するにもナイーヴになりそうですが、当時の番組は「ユダヤ人」を連呼していてびっくり。
東部で職を得られなかったユダヤ人達が西部をめざし、そこで映画産業が花開いたと説明されています。(さすがに、メディアを使った洗脳などというキワモノの内容では有りませんでしたが・・・)
■ 知っている人には物足りなく、知らない人には「過去の歴史」に過ぎない ■
ネットから様々な情報が得られる現代、私達はちょっと調べれば「グレートファミリー」のアメリカや世界支配の構造の一旦を知る事が出来ます。
しかし、TVや新聞からしか情報が得られない人々にとっては、「新映像の世紀」の内容は「過去の歴史」に過ぎません。そして、多くの人達が「知った気」になり、「少し賢くなった気」になって番組を観終わります。
■ ロックフェラー1世の実像 ■
番組では「超やり手のビジネスマン」として描かれているロックフェラー1世ですが、実はとても不思議な人物です。小さな商店の店員から一代で大財閥にのし上がった事は意外に知られていません。
経験なクリスチャンで、日曜学校の校長を勉めていました。悪辣とも言える手段でライバルを蹴落として事業を拡大する一方で、慈善事業にも本気で取り組んでいます。
この一見「相反」する行動には、実は大きな原動力が存在します。それは「神への奉仕」です。
カトリックはお金を「卑しいもの」と見なしていました。ですから銀行などの金融業をカトリック教徒は見下していました。キリスト教は金利を取る事を禁じていましたから、金利を取る事を罪としていないユダヤ教徒達が金融業で資産を拡大してゆきます。カトリック教会は「蓄財」を「罪」と断罪し、「罪を逃れる為には免罪符を買えば良い」と説きます。結果、商人達の稼いだ富はカトリック教会に流れて行きます。
一方、宗教改革で生まれた「新教=プロテスタント」は「金儲け」を否定しませんでした。プロテスタントは「神に救われる人は既に決まっている」と説き、「免罪符」の効果を否定します。さらに、ルターやカルヴィンの教えは「勤労の結果の蓄財」を否定しませんでした。禁欲的に365日の間勤労に励み、質素な生活を送る様に説きます。結果、プロテスタント達は、カトリック教徒よりも多くの資産を築き上げる事になります。
ロックフェラー1世においては経験なクリスチャンゆえに、さらに何等かで思考のすり替えが起こったと考えられます。彼は「禁欲的に稼げば稼ぐ程神に奉仕できる」と考えた様です。たとえ他人を蹴落しても、彼の思考の中ではそれすらも神への奉仕に変わってしまうのです。
ネットを探せば海外の番組のロックフェラー一族の歴史を見つける事が出来ます。日本語の字幕も付いています。「金の亡者」とか「強欲な資本主義の権化」を考えられているロックフェラーを始めとするアメリカの大財閥ですが・・・彼らなりに「金儲け」には理由が有るのかも知れません。ただ、現代においては、「宗教」の影響は既に消失し、「神への奉仕の手段である金儲け」が目的化してしまったのかも知れません・・・。