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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

尖閣諸島だ地検だと騒ぐ裏で、日本人の資産が流出している

2010-09-28 16:20:00 | 時事/金融危機

■ 「尖閣問題」も「地検特捜部問題」に目を奪われるな!! ■

昨日、一昨日と私もブログで「尖閣問題」と「地検特捜部問題」を取り上げました。今一番世間を騒がせている事柄なので、自分なりに整理して置きたかったからです。

しかし、現在我々が直面している最大の問題は、何と言っても「金融危機の第2波」です。

小沢氏を巡る政治の混迷や、尖閣、地検問題など新聞を賑わす記事は、世界的な社会体制の変革の一端に過ぎず、そこに目を奪われていると大局を見失います。むしろこれらの事件は事物の核心を隠す為の煙幕と捉えるべきです。

■ ルービニ教授の警告 ■

<ロイターから引用>

著名エコノミストのヌリエル・ルービニ米ニューヨーク大学(スターン・ビジネス・スクール)教授は27日、先進国の景気回復ペースは減速するとの見方をあらためて示した。
 同氏は当地での講演で、新興国市場では一段と持続可能なペースでの景気回復が予想されるものの、資産価格の過熱リスクがあると指摘。「大規模な流動性が資産に流れ込み、ドルや円を資金とするキャリー取引という形で、かなりの流動性が先進国経済から流出するだろう」と述べた。
 「新興国市場は通貨を緩やかに上昇させ、ホットマネーに対する資本規制や過度の信用の伸び抑制に向けた金融システムの監督に着手すべき」とした。
 ルービニ氏は、今年下期の米経済成長の伸びは約1%に鈍化すると予想。「私の予想が正しければ、マクロ面におけるマイナスのサプライズによって、一段の株価の調整が引き起こされ、ボラティリティが高まり、リスク回避の動きが強まる」と述べた。
 同様に、日本についても悲観的な見方を示し、日本経済の状況は「沈滞」と指摘。「日本経済は沈滞する見通しで、非常に厳しい状況となっている」とし、高齢化や財政赤字、デフレの慢性化を理由に挙げた。

<引用終わり>

比較的悲観的予測をするルービニ教授ですが、サブプライム危機を予見し、その後の経済予測も外してはいません。9月以降、世界経済は確実に悪化の傾向を示しています。教授の予測する様にアメリカの下期の経済成長が1%ならば、その殆どは財政出動によるものです。
アメリカ経済は今後、実質マイナス成長の突入する可能性があります。

日本の貿易黒字が15ヶ月ぶりに減少したという記事もありましたが、これも円高の影響では無く、アメリカの消費の落ち込みの影響が大きいでしょう。

■ アメリカが抱える危機 ■

リーマンショック直後の経済・金融の混乱期に比べれば、現在は安定している様に見えます。しかし、実際にはアメリカでは「負の清算」が全く進んでいません。

① 住宅市場が回復しない
  中古住宅の在庫が一年分を越える為、銀行はローン滞納者の住宅の差し押さえを止め、
  住宅が売れたらその代金でローンを返済する方法を取っている。
  表面に現れない中古住宅在庫は1年分どころでは無い。

② 雇用が回復しない
  財政出動による流動性は金融市場や株式市場に滞留し、実体経済を潤していない。
  雇用は日々失われており、一度失われた雇用は回復していない。
  失業率が10%を越えないのは、求職を諦めた人達がカウントされない為。
  実質的な失業率は20%に迫っている。

③ 消費が回復しない
  雇用の喪失と、住宅価値の減少でアメリカ人の借金経済は破綻している
  消費が回復しないので、実体経済も成長せず、日本型デフレに陥りつつある。

④ シャドーバンクシステムが復活し危機が高まる
  一時は崩壊したシャドーバンクシステムが潤沢な流動性の供給で復活している。
  社債市場(ジャンク債市場)も復活し始めている。
  自体経済の裏打ちの無いシャドーバンクシステムはサブプライム同様に脆弱。

⑤ 住宅債権(MBS)は不良債権化している   ファニーメイやフレディーマックを実質国有化してしている
  両者の抱える住宅債権は、住宅市場が壊滅している現在、事実上不良債権の山。
  100兆円に上る不良債権が国民負担に変わろうとしている。

最近バーナンキ議長も、ガイトナー財務大臣も「米経済は低調ながらも底堅い」と言っていますが、先日のボルガーの講演や、上記のルービニ教授の発言の方が実態に即しており、彼らは金融システムの崩壊が不可避だと考えているようです。

■ それでもアメリカに投資し続ける日本の民間金融機関 ■



少し古いデータですが、日本の民間の資金の国際収支のデータです。

これによれば7月のひと月で4兆6千億円もの日本人の資産が海外に投資されています。ユーロ危機の時期ですので、殆どがドル資産となっていると思われます。金融システムは未だ不安定ですから、臆病な日本の金融機関がハイリスクな投資をするとは考えられません。これらの資産の多くは、米国債で運用されていると考えても差し支え無いでしょう。(当然、ブラジルやオーストラリア、あるいはアジアの新興国投資もあるでしょうが、比率が大きくは無いと思います)

① 日本国内は超低金利
② 少しでも高い金利を求めて、資金が海外に流出する
③ 安定資産として米国債が買われる
④ 米国債の金利が下がる
⑤ 円高が発生する

アメリカのヘッジファンドは7月頃はアメリカの短期国債も売り越していました。同様に中国も米国債を買い控えていました。それでも米国債の金利が低下した背景には、日本の民間金融機関が米国債を買い増しているという事実があります。

日本は自分達でアメリカに資金流出させ、その結果円高を招き、為替差損という付けを国民に払わせようとしているのです。

さらには為替介入によって、一日で2兆円もの財政赤字を膨らめながらも、その介入効果は短期間で消え去ろうとしています。9月24日の円相場を見れば、日銀が小規模な介入を繰り返している事も伺えます。(菅首相は否定しましたが・・・。)

■ 政府と民間でアメリカを支えるという愚行 ■

「日本国民が必死にアメリカを支えれば、2年後、5年後にアメリカは復活する。」この様な展望があるならば、我々の資産が一時期アメリカを支える事に依存はありません。

しかし、常識的に考えて、アメリカとドルを支える手立ては見つかりません。次の危機ならばいくらでも思いつきます。

① どこかの国がデフォルトしてソブリンショックが世界を見舞う
② アメリカの住宅市場が崩壊して、MBSショックが発生する
③ アメリカの州や郡が次々に財政破綻する
③ 中東でイスラエル右派が暴走する
④ 日中関係が拗れて日本経済が失速(崩壊)し、日本国債が暴落する
④ クリスマスセールで買い物が出来ないアメリカ人が暴動を起こす
⑤ 中間選挙でボロ負けしたオバマがヤケを起こしてデフォルトを宣言する

まあ、半分冗談みたいな項目もありますが、人心が一番あてになりません。何せ、多くの国民が銃で武装している国ですから・・・。



ミカジメ料を払い続ける日本・・・アメリカのアジア戦略

2010-09-28 08:35:00 | 時事/金融危機


■ 領有権問題は解決が難しい ■

日本はロシアとの間に「北方領土問題」。韓国との間の「竹島問題」。中国と台湾の間に「尖閣諸島問題」という領有権問題を抱えています。

「北方4島」は1875年に締結されたサンクトペテルブルグ条約(千島樺太交換条約)で、樺太をロシア領とする代わりに、千島列島のロシア領だった島々を日本領にする事が締結されていますから、国際法上の領有権は日本にあります。第二次世界大戦末期のソビエトの対日参戦でソビエトが軍事侵攻し、そのまま実効支配して現在に至ります。

「竹島」は1905年、明治政府により島根県に編入し国際法的にも日本の領土になりました。しかし日本の敗戦後、GHQは竹島を沖縄や小笠原諸島と同様に、日本の行政権から外した。これを口実に1952年1月18日、李承晩(イ・スンマン)韓国初代大統領は海洋主権の宣言ライン、いわゆる「李承晩ライン」を設け、韓国は竹島周辺海域の水産資源を得る事になる。これが日韓の竹島問題の始まりです。現在竹島には韓国軍が駐留し、韓国が実効支配しています。

「尖閣諸島」は、日本政府が領有状況を1885年から1895年まで調査し、世界情勢を考慮しつつ、いずれの国にも属していない事を慎重に確認したうえで1895年1月14日の閣議で決定し沖縄県に編入した。 国際的にも日本の領土と認められ、日本人の入植も行われました。第二次世界大戦後は一時連合国(実質的にはアメリカ合衆国)の管理下に置かれましたが、1972年に沖縄県の一部として日本に返還されています。

この様に、明治以降の国際法上では、どの地域も日本に領有権がある事は明らかです。

しかし、「竹島」や「尖閣諸島」で中台韓が領有権を主張するのは、「歴史的に遡ると元々は彼らが領有していた土地であった」という史実が背景にあいます。尤も、中世以前の絶海の孤島の正確な記録などありませんので、どれを取っても確証に欠けた資料しかありません。

何れにせよ、「竹島」も「尖閣諸島」も、無人島であった島を、日本が近代化の課程の中で領有を主張し、国際的な手続きを行って日本領土となったものです。この時点で、中台韓が異議を申し立てれば、そんれなりの話し合いがされたのでしょうが、当時の中国も韓国も近代国家としての体を成していませんでしたから、彼らは無人島の領有問題に興味すら持って居なかったというのが実際の所でしょう。

近代化の課程での領有を主張する日本と、歴史的な領有を主張する中台韓の対立は、論点が全く異なる為に永遠に整合する事はありません。

■ 軍事的支配が実際の領有となる ■

「北方領土」周辺で日本の漁船が創業すればロシアに拿捕されますし、逃走を図れば発砲もされます。「竹島」周辺でも1965年の日韓漁業協定以前は、日本の漁船が300隻近くも拿捕されていました。

投げやりな言い方になりますが、領有権の主張は「言った者勝ち」ですが、領有権自体は軍事的支配力を行使する国が実質的に有する事になります。

■ 尖閣諸島で日本は穏便に対処していた ■

中国と台湾が領有を主張する尖閣諸島ですが、海上保安庁の灯台が設置され(以前は右翼が設置した私設灯台でしたが・・)、海上保安庁の巡視船が巡回する事からも、現在の軍事的支配者は日本です。

以前から、台湾や中国の活動家達が強引に魚釣島に上陸して、海上保安庁に身柄を拘束されていたりしましたが、拘留期間が短い為か、小泉政権の時代ですら、今回ほど日中間の関係が悪化する事はありませんでした。

一説には「トウ・ショウ・ヘイ」氏(漢字で打つとブログのサーバーがハッキングされているのか、一文全て文字化けしてしまいます・・・恐るべし中国・・)との間で政治問題化しないという密約が交わされていたとも言われています。

■ 巡視艇に体当たりはやり過ぎ ■

今回、中国漁船を拿捕した時、現場海域では20隻程度の中国漁船が操業していたと言われ、巡視船はそれぞれの漁船に操業中止を勧告していた様です。ところが、その中の一隻が突然巡視艇に体当たりをして来ました。

パトカーに体当たりすれば、国籍に関係無く公務執行妨害で現行犯逮捕されます。巡視艇に体当たりすれば、中国の漁船であっても公務執行妨害で逮捕されるのは当然です。

巡視艇が中国漁船を拿捕・逮捕した事自体に異議を唱える方が居るとすれば、その方は「法律」自体を否定する事になります。これでは国家は運営できません。

■ 中国が強硬に対応するのは当たり前 ■

漁船船長の逮捕に対して、中国政府が強硬姿勢を取る事も当然です。中国は尖閣諸島の領有を主張していますから、中国からすれば今回の逮捕は「中国領海内で自国の漁船を海上保安庁の巡視艇が追い回して捕まえてしまった」と言うことになります。

日本が国内法を適用する様に、中国も国内法を盾に講義するのは、領有権で争っている両国の間では当然の成り行きです。

新聞などでは「中国政府が強硬姿勢を取るのは、中国国民の感情を考慮しての行動」との論説が見られますが、これでは、中国は本気で尖閣諸島の領有を主張する気が無いと言っているのと同義です。

■ 外洋艦隊を持つ中国は従来の中国とは違う ■

マスコミの従来の常識では、「中国が日米の海軍力を向こうに回して、本気で尖閣諸島を領有する事はあり得ない。」というものでしょう。

しかし、現在の中国は充分な外洋戦闘力を持っています。

以前の中国艦隊は、外洋では乗員が船酔いでダウンするという情けない艦隊でしたが、現在はソマリア沖の海賊掃討に艦船を派遣し、長期間、無上陸で任務を遂行するまでに成長しています。さらには、補給艦を挟んで3艘の艦船を併走させながら洋上補給をするという、先進国の海軍でも出来ない様な芸当までこなす程、その錬度も向上しています。

現在の中国海軍は尖閣諸島を軍事支配する充分な戦力を有していますから、当然、漁船拿捕、船長逮捕という事態に弱腰で対応しては、軍が黙ってはいません。

中国政府の強気な姿勢は、民衆のガス抜きであると同時に、軍の暴走を抑える必要があるからだと考えるべきでしょう。

近代化が進む中国軍内の空気は、戦前の日本軍に近いものが生まれつつあるのではないでしょうか?

■ アメリカの口先支援 ■

一方、日本政府の対応にはアメリカの意向が伺えます。

8月にヒラリーがASEANの地域安全保障会議で発言した様に、アメリカは南シナ海の南沙諸島や西沙諸島の領有権問題で、中国に対して対決姿勢を示しています。

オバマ政権樹立後はG2体制などと言って中国を持ち上げ、親中的でしたが、中国が人民元をなかなか切り上げないので、アメリカは中国と領有権問題を抱える国々に口先支援する事で中国政府を牽制しています。

日米関係は民主党政権樹立後、普天間問題で冷え込んでいましたが、菅政権は親米政権に舵を切りなおしています。そして、今回もヒラリーが「尖閣諸島は日米安保が適用さえれる」と口先支援する形で、中国に圧力を掛けています。

■ アジアのパワーバランスを調整するアメリカ ■

国力の衰退著しいアメリカは、フィリピンから撤退し、韓国軍も大幅に縮小する予定です。沖縄の海兵隊のグアム移転も既定事実です。

既に第七艦隊は台湾海峡や黄海に空母を入れる事すら、中国の反発で出来ない状態です。

しかし、アジアにおけるアメリカのプレゼンスが一気に低下する事は、アメリカの不利益になります。そこでアメリカは、中国と周辺諸国の領土問題を煽る事で、アジアに中国包囲網を築こうとしています。

尖閣問題での民主党の対応は、アメリカのアジア戦略の一環でしかありません。

■ 適当に付き合う中国 ■

中国の対応は一見感情的に思えますが、彼らはアメリカが望む役回りを上手く演じて見せています。

中国経済は現状、輸出と開発に頼り切った経済です。対米輸出の激減や、投資の引き上げは、中国経済の崩壊を意味します。中国はアメリカが経済制裁を実施する様な、表立った反米的行動は取れません。

しかし、アメリカとの間に適度な緊張関係が無ければ、「元の切り上げ」圧力に対抗出来ません。

中国はアメリカの足元を見て、アメリカのアジア戦略に適当に付き合っています。
その一方で、領有問題を抱える国々との間で、「元による貿易決済」を進めたり、「国債の持ち合い」を進めて、実質的な経済の繋がりを強化しています。

ベトナムやフィリピンなどの周辺国も、急激な中国への接近はアメリカの神経を逆撫でする事を知っていますから、領有問題でアメリカを頼る振りをしながら、中国を中心としたアジア経済圏の確立を模索しています。

■ 小沢カードが使えない菅政権 ■

日本としても、対米輸出より対中輸出が上回る現状を鑑みれば、中国と対立する事が好ましくない事は子供でも分かります。

法的には船長逮捕が正当であっても、その後の処理はもう少し穏便であった方が、切るカードが多くなります。

今回、辛うじて「撮影ビデオ」を非公開として、中国政府の体面を保っていますが、本来ならばビデオの存在を隠した方が、日本政府としても、振り上げた拳を下げやすかったはずです。

従来は「漁船拿捕-船長事情聴取-船長釈放」で中国に貸し1つで済んだ事件を、アメリカの思惑通り国際問題化してしまった菅政権はお粗末な政権です。
小沢カードが使えれば、多少事態が拗れても解決は容易だったのでしょうが、小沢氏と決裂してしまった以上、菅政権に事態解決の得策は残されていません。


拘留されたフジタの社員4人の釈放には、野中氏でも間に立てるのでしょうか・・・?

■ 結局アメリカにミカジメ料を払う日本 ■

今回の事件でヒラリーに大きな借りが出来た菅政権ですが、フジタ社員開放でもアメリカの力を借りれば、益々アメリカに頭が上がらなくなります。

後は、粛々とアメリカ国債を買い支えるしかありません。

高笑いが止まらないのは中国です。アメリカ国債を買い控え、日本国債に投資して円高誘導すれば、日本は為替介入で結局アメリカ国債を買わざるを得ません。

今回の尖閣諸島問題は、アメリカと中国の間に阿吽の呼吸するら感じます。東洋のちっぽけな島国の国民は、生き馬の目を抜くような大陸の抗争を生き延びた民族には所詮適わないのでしょう。


風向きが変わってきた・・・地検特捜部問題

2010-09-27 03:01:00 | 時事/金融危機



■ 朝日新聞が「地検の証拠捏造」をスクープ ■

巷を騒がせる「地検の証拠捏造問題」ですが、スクープしたのは朝日新聞でした。情報元は検察内部の告発だと思います。

朝日新聞はかつては左派系新聞として、政権に批判的な新聞でしたが、親米派の船橋洋一氏を主筆に据えてからは、他紙との差が少なくなりました。今回のスクープは社会部によるもので、政治部とは一線を画しているのかもしれませんが、これだけの重大スクープともなると、トップの判断抜きに紙面に載る事はありません。

朝日の報道を後追いする形で、他紙が一斉に報じ、さらには昨晩はNHK特集でこの問題を詳細に取り上げていました。


■ CIAのプロパガンダ機関としてのマスコミの方向転換 ■

陰謀論的には日本のマスコミ各社はCIAのプロパガンダ的組織であり、船橋氏を主筆とした以降の朝日新聞もその例外ではありません。

マスコミ各社は小沢氏の政治資金規正法違反問題では、東京地検特捜部の広報機関に成り下がって、特捜部のリーク情報を国民に垂れ流してきました。「特捜部=正義」「小沢=悪」という刷り込みを国民にしてきた張本人です。

そのマスコミ各社が手の平を返したように特捜部の不祥事を大々的に報道するのは驚きを通り越して言葉もありません。

■ 検察の捜査権という特殊性 ■

そもそも地検特捜部はその成り立ちからして、アメリカの影響下にあった組織です。

従来検察は、警察の捜査の結果を元に被疑者を裁判に掛けるかどうかを決定し、裁判において被疑者の罪を実証する組織です。本来検察に捜査権はありません。

ところが「地検特捜部」は捜査権を有しています。特捜部の家宅捜索の映像が良くTVで流されますが、特捜部の捜査員がダンボール箱に押収物を詰めて運び出すシーンを思い浮かべる方も多いと思います。

世界的に見ても、「検察の捜査権」を認めている国は稀です。裁判で被告の罪を立証する立場にある検察が捜査したのでは、被告に不利な状況が生じる可能性が大きいからです。

■ 特捜部はアメリカが作った ■

東京地検特捜部の前身は1947年に発足した「隠匿退蔵物資事件捜査部」です。「隠匿退蔵物」とは、戦後日本に残った軍需物資や資金の事で、GHQがそれらを接収する為に、「日本管理委員会」の管理下で検察内に発足させたのが「隠匿退蔵物資事件捜査部」です。

地検特捜部はその生い立ちからして、アメリカが作った組織なのです。特捜部エリートにアメリカ大使館の一等書記官経験者が多い事からも、特捜部はアメリカの息の掛かった組織である事が分かります。

その後「地検特捜部」とり、捜査対象も「政治疑獄事件」など、警察では手に負えない事件を担当する事で現在に至ります。

「東京地検特捜部」を一躍有名にしたのは「ロッキード事件」です。前首相の汚職事件を摘発した事で、「特捜部」は正義のヒーローとしてのイメージを揺ぎ無いものとしました。その後も「リクルート事件」などで旧経世会の大物達の汚職を摘発していきます。

その後、特捜部は捜査対象を政治事件から「経済事件」へとシフトさせて行きます。「ライブドア事件」や「村上ファンド」事件を摘発して、「拝金主義者」を血祭りに上げ国民の支持を再び集めます。

そして「小沢事件」でも国民は圧倒的に「特捜部」を支持してきました。

マスコミ各社は「地検特捜部」という本来存在してはならない組織の特殊性を隠蔽し、彼らをヒーローとして祭り上げてきました。

国民は全く知らされる事の無いままで、アメリカの思惑に反する政治家や企業経営者が抹殺される事を支持し続けてきたのです。


■ いよいよ小沢氏の出番か? ■

先日のアミテージ来日からも分かる様に、CIAの日本支配は現在も続いています。ですからマスコミ各社が特捜部やCIAから突然離反したとは考えられません。

それでは、今何故マスコミは特捜部を叩くのでしょうか?

今回事件を起こした前田恒彦主任検事は、東京地検特捜部時代に小沢氏の秘書であった石川議員を取り調べています。今回の事件から特捜部の信用が失墜すれば、事態は小沢氏に有利な状況となります。

現在アメリカではロックフェラーからロスチャイルドへと支配構造が急速に変化しています。CIAも組織存続の為にロスチャイルド側にシフトしつつあるのかも知れません。

先日のマイケル・グリーンと小沢一郎の八丈島密会の件といい、CIA内部でロックフェラーに離反する動きがあるのかもしれません。

先日の民主党代表選では小沢氏は「政治とカネの問題」から敗戦しましたが、菅政権が「ねじれ国会」で行き詰る事は不可避です。さらに景気低迷と尖閣問題が追い討ちを掛けています。民主党の支持率が低下し、政治に閉塞感が高まった時、国民は破壊神としての小沢一郎の登場を嘱望するでしょう。

今後世界経済はさらに混迷を深め、11月にはオバマ政権の賞味期限も限界を迎えます。世界が非常事態へと突入する中で、連立を足がかりに小沢政権が発足する可能性は少なくありません。

非常時の政権で、小沢氏は従来の「福祉重視」の姿勢を一変させ、「日本の存亡」を理由に、「財産税」の導入など大胆な政策を繰り出して来るかも知れません。

今回のマスコミの変節は、暗い時代の幕開けに思えて仕方ありません・・・。

為替介入は株価対策?・・・景気の実態を隠す菅政権

2010-09-22 22:16:00 | 時事/金融危機



■ 誰もが気付きながらも言えない事 ■

I can not put my finger on it. 「言いたいけど言えない事」を英語ではこう表現すると何かで読んだことがあります。

現在、市場関係者が「言いたいけど言えない事」は、今回の為替介入の本当の目的では無いでしょうか?

・・・それは、ズバリ、四半期決算に向けた株価対策。

■ 為替介入は株価下落を止めた ■

「円高は輸出企業を苦しめる」と輸出大手が声高に主張しましたが、実は本当にヤバカッタのは銀行や生保など株式を大量保有する会社では無いでしょうか。

8月中旬には日経平均は9000円を割っていました。

① HFを中心に先物市場で円買いを行い円高相場を作る
② 円高になった所で日本株を売り、為替差益を確保する
③ 円高と株安が同時進行する

8月中旬以降、日経平均は9000円台を回復しています。小沢氏が民主党代表選に出馬した事も原因の一つですが、四半期決算を前に、金融機関を初め、郵貯マネーや年金マネーを総動員して株価を下支えしていたのでは無いでしょうか?

9月17日の為替介入で海外勢の日本株売りは小康状態となり、現在株価は9600円程度まで回復しています。

■ 株価が8000円では困る企業が続出 ■

円高が進行していれば、海外勢の日本株の売り圧力が増大し、日経平均8500円などという事態も起きていたかもしれません。

第2四半期決算を前に、株の含み損が増大しては、芳しくない業績を計上する企業も増えたはずです。ただでさえデフレの影響で企業業績が圧迫される中、株安が追い討ちを掛ければ、菅政権がどんなに経済対策をアピールしようが、国民は景気の二番底を意識せざるを得ません。

輸出企業の為替介入の大合唱は、産業界全体の声だったのかも知れません。尤も、金融機関などが株価是正を理由に為替介入を主張する訳には行きませんので、輸出企業に代弁させていたと見るのが妥当では無いでしょうか?

借りに何かのきっかけで、株価が8000円割れなどとオーバーシュートしていれば、それこそ生保の一つや二つ破綻する可能性もあります。

■ 円高よりも深刻なアメリカの貧困化 ■

フィナンシャル・タイムスが的を得た記事を載せていたので抜粋します。

輸出企業の業績悪化の原因は円高では無く、アメリカを始めとした富裕層の激減で、高付加価値の日本の製品の市場が急速の縮小した事にあると書かれています。

韓国のサムソンなどが高収益を上げている事からも、日本の輸出企業の低迷の原因は明らかに市場ともミスマッチにあると思われます。

<フィナンシャル・タイムスより引用>
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4503?page=3 

また、円相場の強さとは関係なく、日本の株式市場の重荷となってきた要因がほかにもある。企業経営者や政治家は円高の影響について不満を述べてきたが、日本を含む世界の投資家にとって重要な焦点となっているのは米国内の需要に対する懸念だ。

 一部のアナリストの見るところ、日本は国内企業が売っている高付加価値の資本財の優位性のせいで苦しんでいる面もある。

 「我々は、円のせいで日本の輸出が弱くなっているとは考えていない。原因はむしろ、日本企業が消費財および資本財のピラミッドの頂点に位置していることにある」とマグワイア氏は言う。「こうした分野でレバレッジ解消が起きると、価格は意味を持たなくなる。問題は、需要の欠如だからだ」


今年は新株発行が大幅に増加している(写真は東京証券取引所)〔AFPBB News〕
 株価の重荷となってきたもう1つの要因は、新株発行だ。ディーロジックの調べによると、日本企業(金融機関を除く)が今年株式市場から調達した資金は、61%増加して132億ドルに達している。

 一部のトレーダーや投資家は、新たに株式を発行する企業は既にバランスシートが強固で、新株発行が不要だったケースもあると指摘する。一方で、財務基盤が弱く、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回っている企業による新株発行もあるという。

 継続的なデフレ環境下にあって、企業は債務を増やす意欲をなくしており、債務を返済するために新株を発行している企業もある。

 「ここでも、問題の一端はデフレの病にある」とタスカ氏。「企業はもはや、デフレからの脱却を確信していないし、当局がデフレ退治に真剣だとも考えていない」

 経済成長の勢いが衰える中、投資家は今後、政策が一段と心理を好転させ、それに伴い市場を押し上げてくれることをますます期待するようになるだろう。

<引用終わり>

いずれにしても、景気の実態から国民の目を逸らしたいのは、政府も企業も同様なようです。

教科書では教えてくれない日本の戦中・戦後史・・・戦中と戦後は連続している

2010-09-21 02:37:00 | 



■ アミテージ来日 ■

民主党代表選後の15日、米国の前国務副長官のリチャード・アミテージ氏が来日して、中国漁船問題の対応として日米合同演出を提案する記者会見を開いていました。

新聞などでは「知日派」と呼ばれるアミテージ氏ですが、CAIの裏資金を管理する米国の重要人物で、ジョゼフ・ナイ氏などと並び、「ジャパン・ハンドラー」という言葉がぴったりの人物です。

日本の政治家達は渡米する度にアミテージ詣でをしている事からも、その影響力が伺えます。小泉政権時代にイラクへの自衛隊の出兵にあたり「ショウ・ザ・フラッグ」と言った人物と言えば思い当たる方も多いでしょう。

ワシントンに居る事の多い氏が今回わざわざ来日した理由は、記者会見などというチンケな目的では無く、民主党代表選にあたり、小沢氏が当選しない様に各界に根回しをしていたのではないかと私は思っています。

さらには、為替介入もアミテージ氏の指示、あるいは承認によって実施されたのではないでしょうか?

現在、CIAの日本の現場担当はマイケル・ジョナサン・グリーンの様ですが、小沢一郎氏と八丈島で密会した件が問題となりワシントンに呼び戻されたとの噂が板垣英憲氏のサイトに書かれています。(本当か?)

いずれにしても、小沢政権阻止の為、グリーンのボスであるアミテージ氏御自ら陣頭指揮を取っていたようです。

■ 公開され始めた戦後のCIA文書 ■

CIAなどと書くと、又いつもの「陰謀論」か・・などと思われますが、日本とCIAの関係は意外に深いようです。

有馬哲夫氏の「CIAと戦後日本」(平凡社新書)は、戦後日本の枠組み作りにCIAが深く関係していた事を、公開され始めた戦後のアメリカの公文書を調べる事で検証しています。

アメリカでは一定の期間を経た公文書が一定の条件の下に公開されます。権力を市民が監視する事で権力の暴走を抑止するシステムです。議会図書館と公文書館、そして大統領図書館がその役割を担っています。

有馬哲夫氏は公開され始めた戦後日本に関わるCAI文書を丹念に調べ、戦後日本の体制にCIAがどの様に関わっていたかを浮かび上がらせています。

尤もCAI文書と言っても、「謀略の計画」が書かれている訳では無く、CAIが注目した人物のファイルの中に、当時の新聞の切り抜きや、CAI局員の分析メモなどが収められているだけの様です。さらには岸信介元首相の様にファイルだけあって中身の無いものもあります。

■ 戦中と戦後の連続性 ■

「CIAと戦後日本」は下記の様な章があります。

序 章 記録から歴史の舞台裏を探る
第一章 CAI文書は何を語るのか
第二章 重光葵はなぜ日ソ交渉で失脚したのか
第三章 野村吉三郎と「日本海軍」再建計画
第四章 CAIはなぜ日本テレビ放送網建設支援を中止したのか
第五章 緒方竹虎がCIAに送った政治リポート

内容は歴史的事件の裏を暴露する様な派手なものでは無く、選挙資金の金額であったり、日本の政治家の勢力関係であったり、あるいはCAI局員による政治レポートが中心です。

ところがそこから浮かび上がってくるのは、戦中と戦後の連続性です。

私達は学校では殆ど近代史は教わりません。教えてはいけない事になっているかの如く、明治維新を教わると3学期も後半に差し掛かり、満州事変・日華事変・第二次世界大戦をさらっと学んだ当たりで、「後は教科書を読んどく様に。」と社会科の教師に言われ、私達の日本史が終了します。

私達は曖昧な知識の中で、戦後GHQの政策により、日本の政治と社会は大変革され、民主的な国家に大変身したと漠然と考えています。私達の頭の中では、戦中と戦後は不連続です。

ところが、「CIAと戦後日本」を読むと、戦後の日本に体制確立に多くの旧日本軍人や物が奔走している事が分かります。特に、軍の情報機関や外務省の謀略機関に居た者達が、戦後早々に私的な情報機関を作り、それをCIAが統合する形で「対共産圏」という情報戦を開始していた事が良く分かります。そして、さらには児玉誉士夫の様に戦中の情報機関の資金を後ろ立てに、政治の裏の世界で暗躍する者達も現れます。

そもそも、戦後の首相達や閣僚達は軍の出身者で占められていたと言っても過言ではありません。戦中の日本の優秀な人材がほとんど軍に居た事を考えれば、これは自然な成り行きとも言えます。

■ アメリカに協力するのは日本の再興の為 ■

彼ら政治家や情報機関の人間、旧軍人は、CIAに協力すると見せかけて、ガセネタを掴ませ、しっかり資金を要求してくる事が、当時のCIAの悩みの種だった様です。彼らは日本の再興の為にCIAの手先となりながらも、魂までもは売っていなかったのです。

彼ら旧軍人の目的は、陸軍や海軍の再建であり、空軍の創設であり、情報機関の設立でした。これら無くして「独立国家」の体を成さない事を彼らは良く知っていたのです。

■ 米国内の勢力交代 ■

一方、マッカサーを筆頭とするGHQは日本の再軍備に消極的でした。マッカサーは財閥解体や農地改革などソフトな社会主義国を日本に作ろうとした様に見受けられます。日本国憲法も当時の理想を掲げた内容です。

ところが、アメリカ国内ではロックフェラーが台頭し、国務省とCIAが中心となってマッカサーを追い落とし、日本の利権を手中に収ます。彼らは日本の再軍備を進め、彼らの武器の市場として日本を育てていこうとします。さらには財閥解体も途中で中断され、日本に巨額な投資をして、日本をアメリカの生産基地に作り変えます。

吉田茂は再軍備に慎重でしたが、旧軍部とCAIが連携して、警察予備隊から陸海空の自衛隊を創設します。さらにCIAを雛形として内閣調査室が発足しますが、こちらは世論の風当たりが強く、大規模な組織にはならずに現在に至ります。

■ CIAが支配する日本 ■

日本人は「日本は独立国家」だと教わっています。しかし、アメリカに逆らった政権が短命である事からも分かる様に、日本は戦後ずっとアメリカの支配を受ける存在です。

CIAは日本国内でスパイ映画の様な派手な働きをするのでは無く、普通の日本人として私達のすぐ隣に存在します。日々情報を集め、日教組や労働組合に浸透し、マスコミや政治家に成りすましている人もいるはずです。

アミテージやグリーンらはマスコミの局長クラスを集め、政敵のスキャンダルを暴露する事すら容易なのです。

■ 「虹色のトロツキー」 ■





「CIAと戦後日本」は丁寧な本ですが、小説の様に当時の空気を分かりやすく再現するものではありません。興味が無い人には退屈な本とも言えます。

そこで、戦中の日本の情報機関の動きをイメージするのに最適なテキストがあります。

安彦良和氏の「虹色のトロツキー」です。
又マンガかい・・・とお思いかも知れませんが、これが戦中の日本の見方を大きく変える程の力作です。今回、双葉社から、4巻の愛蔵版としてカラーページや解説ページも豊富になり復刻されています。安彦ファンならずとも、歴史ファンにもお勧めの、まさに愛蔵本です。

■ 満州に理想国家を ■

日本人の父、モンゴル人を母を持つウンボルトは、共産主義の学生でしたが、日本軍のある目的の為に「建国大学」に入学します。

「建国大学」は「五族協和」を建学の精神として石原莞爾が満州に開いた大学で、自由闊達な学風を重んじ、第一期学生は総員141人。日系70人、満系40人、台湾系3人、朝鮮系10人、蒙系7人、白露系5人という広く満州を中心としたアジアの民族に門戸を開いた学校でした。

石原莞爾は、教科書では満州事変の首謀者として国賊の如き扱いすが、満州に理想国家を建国する夢を持っていた様です。当時の満州は清とモンゴルを占領して建国されますが、蒋介石やソ連、内モンゴルといった共産主義勢力に脅かされています。

「五族協和」を掲げる満州国ですが、その実態は清やモンゴルの土地を収奪して建国され、人種差別の蔓延する国家である事は隠しようの無い事実です。しかし、ロシアのユダヤ人を受け入れるなど国際的な面も持っていました。

■ ロシア分断を狙う謀略 ■

主人公ウンボルトには過去の記憶がありません。少年時代に母を目の前で惨殺、自身も殴られたからです。彼は事件の真相を全く知りませんが、関東軍参謀の辻政信は彼を利用した大きな謀略を企てています。

その企てとは、満州にトロツキーを招聘し、シベリアに親日的な共産党政権を作る事でした。当時トロツキーはスターリンと対立し、メキシコに亡命しています。トロツキーの後ろ盾はアメリカのユダヤ人資本家達だったと言われています。

ウンボルトの父親は鉄道の技術者の肩書きで軍の為にトロツキーに接触する工作をしていて殺されたのでした。尤も、この時期トロツキーはメキシコに亡命しており、ウンボルトの父親が接触していたトロツキーが本物であるとは思えません。

しかしトロツキーを日本が招聘しようとしていた歴史的事実はある様で、来日に前向きなトロツキーのメキシコからの書簡も残っています。結局来日を前にトロツキーは暗殺されています。

「虹色のトロツキー」では、ウンボルトは流れに翻弄される木の葉の様に、時代の流れ巻き込まれていきます。中国人の革命家の親友や、その恋人、李香蘭や、男装の麗人として名高い川島芳子などが登場し、当時の大陸の怪しくも、エネルギーに満ちた雰囲気を楽しむ事が出来ます。その点、一級のエンタテーメント作品
です。

■ 早すぎた満州建国 ■

話の中では、内地に戻った石原莞爾に、満州建国時の熱意は既に無く、満州建国が早すぎたのではと自問する日々を送っています。一方、石原を信望する辻政信始め関東軍の一部参謀達は、「反共」の策謀をエスカレートさせていきます。

そして、ついにノモンハン事件が勃発し、満州は滅亡に向けた戦いへと突き進んで行きます。

■ 実在するウンボルト ■

主人公のウンボルトが実在の人物である事が、物語の最後で明かされます。ウンボルトの息子が父の足跡を辿って、安彦良和の元を訪れるシーンで物語は終わります。

安彦は理想と絶望を味わった当時の満州に思いを馳せ、建国大学の卒業生達を取材して回り、丁寧に、そしてダイナミックに作品を作り上げています。

■ 戦後も暗躍する辻政信 ■

辻政信は戦犯に問われた為、密かに日本に帰還し、その後も「反共」の戦いをしていた様です。戦後日本は旧陸軍を中心に義勇軍を組織し、中国で共産党と戦っています。又、多くの士官達が中国に残り、参謀として「反共」の戦いに加担していた様です。

辻政信はその後、参議院議員になりますが、単身ラオスに潜入して消息を絶っています。

■ イメージを補完する「虹色のトロツキー」 ■

安彦良和は「ナムジ」「神武」で日本の古代史に新しい生命を注いだ後、「王道の狗」で明治の大陸と日本の関係に光を当てています。

そして「虹色のトロツキー」で、第二次世界大戦前夜の大陸を生き生きと描く事で、教科書では教えられない日本の近代史を蘇らせています。

アメリカの公文書を丹念に掘り起こした有馬哲夫氏の「CAIと戦後日本」やその他の著書とセットで読むと、戦中、戦後の日本の姿を私達がイメージする事に役立つでしょう。