■ 何かとイワク付きの2012年 ■
「2012年」と言えば、昨年公開された映画を思い出します。
私は未見ですが、「マヤ暦が予言する世界崩壊」を
天変地異のスペクタクルとして描いたハリウッド大作です。
陰謀論者達は、イルミナティーのリークした情報として、
「イルミナティーは2012年に世界を変革する」・・
そう信じています。
(2012年に始まり、2015年に新たな世界の枠組みが完成する)
その他にもアメリカ・ロシア・フランス・韓国で大統領選挙があり、
中国では胡錦濤主席から次期リーダーへ交代があります。
■ 各国国債の大量償還を忘れてはいけない ■
2012年と言えばリーマンショックから3年余り・・・
世界はリーマンショックの余波を食い止める為に、
大量の国債を発行して銀行に資金注入をしたり
銀行の所有するインチキ金融商品を買い上げたりしいます。
その為に各国は大量の国債を発行しました。
2009年から始まった国債大量発行の
「大量償還」が始まるのが2012年です。
各国の3年債が、償還期日を迎えるのです。
■ 国債バブルがはじける ■
2009年当時、世界経済は危機に瀕していました。
金融が大きく縮小する中で、
国債は安定資産として投資家達に好まれました。
「いくら金融危機でも3年や5年で国家が崩壊するはずは無い」
誰もがそう考えますから、
3年権や5年権は安全な投資先に思えました。
言うなれば「国債バブル」が発生したのです。
それから2年半が経過しました。
ヨーロッパではギリシャ国債がデフォルトの危機を彷徨っています。
来年からはポルトガルやスペインが大量償還に入ります。
アメリカでは、債務上限の駆け引きは、
2012年の大量償還を睨んだ攻防です。
14兆ドルから16兆ドルと2兆ドルの引き上げをしなければ、
アメリカは大量償還に耐えられないのです。
下の米国債の発行残高のグラフを見ると、
米国債の大量発行は実際には2008年後半から始まっています。
米国債の大量償還は今年後半から始まります。
■ 30年前ってどんな時代だった? ■
30年債も視野に入れると、
30年前の米国の情勢も気になる所です。
30年前の1982年は、レーガン政権時代でした。
第一期レーガン政権はソ連に対抗する為
軍事予算を大幅に増額し、
米国財政を大幅に悪化させました。
その様な状況の中で米国債が大量に発行され
1982年には米国債の利回りが大幅に上昇しています。
この時期の30年債も来年から償還を迎えます。
2008年後半からの米国債の大量発行に比べると微々たるものですが、
下図は米国の財政赤字とそのGDP比の推移です。
今後も米国の財政赤字が膨らみ続ける事を考えると、
レーガン政権時代に叫ばれていた財政危機など
可愛いものだという事が一目で分かります。
■ もはや修復不能の米国財政 ■
アメリカでは共和党が中心に財政の均衡化を要求しています。
共和党の要求は「小さな政府」です。
「小さな政府」による米財政の均衡化は、
第2期レーガン政権で実施され、
歳出の削減と同時に、大型減税による景気刺激が財政を改善させました。
今回も共和党は同様の政策を要求するでしょう。
しかしレーガン時代と現在では米国の状況が大きく異なります。
① レーガン時代は減税によって消費に貢献する中間層豊富
② 現在の米国は2極化が進んでいて、富裕層は消費に貢献しない
③ 米国はベビーブーマーの大量退職時代に入り、社会保障費を削減出来ない
④ 根本的に財政赤字の対GDP比が圧倒的に高くなっている
他にも色々な要因はありますが、
レーガン政権の様に「小さな政府」政策を実施しても
米国財政の破綻は防ぎようが無い事が理解出来ると思います。
■ それが何時なのか? ■
常識的に考えれば、米国の財政破綻は少なくとも5年くらい先でしょう。
しかしマネーの世界はヒステリックな反応をします。
投資家達は自分達が崖っぷちでババ抜きに興じている事は自覚しています。
誰かが逃げ出したら、全員が一斉に逃げ出すでしょう。
2012年の各国の国債の大量償還に、
投資家達は我慢する事が出来るのでしょうか?