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「AIって使い物にならない」と言う人は想像力がAIにも劣る

2024-03-28 03:00:19 | 時事/金融危機

◼️ AIは使い物にならない? ◼️

「AIはバブルで、実用に耐えない」と言う意見をネットで散見します。

実際にソフトウエア会社に勤める知人に聞いたら「会社でもチャットGTPを推奨して仕事に積極的に活用しろと言われているので使っているが、実際には使い物にならない」と言っていた。「どうして使い物にならないの?」と聞いたら、「8割は正しいプログラムを瞬時に作るが2割が間違っているからデバックに時間が掛かる」と答えた。

「AIが使い物にならない」という意見の多くは、前述の様な「実際にAIを仕事で使っている人の不満」又聞きした、AI を仕事で使った事のない人のよって流布された物が多いのでは無いだろうか?

「100%正確では無い」と言う評価を「使い物にならない」と勘違いしている。

◼️ 3歳児に多くを期待してはいけない しかく

AIは「司法試験に合格出来る情報量と、質問に対して正解を見つける技術を持っている」が、それだけに特化した3歳児だと私は認識している。但し、それは「現状」の話に過ぎない。

要は現状のAIは、「言葉をようやく覚えた3歳児」で、その使い方を間違える事も多く、そもそも言葉で伝えるべき人生のバックボーンは少ない。

子供は「模倣」が好きだが、AIも現状は「模倣」をしているだけで、論理的思考が出来ている訳では無い。しかしネットを通じて人々がAIを使えば使う程、AIの経験は蓄積して、AIの知性は進化する。

◼️ 爆速で成長する3歳児 ◼️

AIの凄い所は学習速度。一人の人間は、人間の能力を超えた速度では学習出来ないがAIは並列で様々な事を学習してゆく。

現状は知識の蓄積と、体系化も初歩を学んでいる。体系化とは「正誤判断の基準の構築」と言い換えても良いだろう。これは親が子供に教育する事に似ている。「仕事でAIが使えない」と嘆くエンジニアは、その修正過程で同時にAIを教育しているとも言える。

この様にして現状3歳児程度の「知能」しか持たないAIは、やがて幼児から少年、青年、成人へと能力を向上させていくだろう。そしてその成長速度は加速度的。

◼️ AIは「誤り続ける」事で人を超える ◼️

問題は「人間で無いAI」が人間と同じ成長をするかどいかという点。ネット空間を通して世界や社会を見ているAIは、生物と異なる視点や価値感を構築してゆく可能性は十分にある。生物の生存戦略は「合理化」と「特異化」で、この二つは相反する。

「合理化」は「正解への最速ルートの構築」で、これは現在でもAIの得意とする事である。

一方「特異化」は生物においては「突然変異」に相当し、その多くが「誤り」に分類されるが、非常に稀な確率で「誤り」が進化をもたらす。

AIは現状多くの「誤り」を犯すが、これは現状は単なる誤りとして処理されている。しかし処理速度の速いAIは、意図的に多くの誤りをシミュレーションする事に長けている。

技術者には理解し易いが、技術開発は「ポケット」に陥り易い。例えばレンズ設計などが良い例だが、何枚目かのレンズの曲率を変化させてゆくと、ある時点で収差が最小になり、その後収差が増え出す。大抵の場合は「収差が最小」になった点を最適として設計を進めるが、実は曲率をもっと変化させて行くと再び収差が減り出して、最初の収差を下回るポイントが出現したりする。レンズ設計においてコンピュータによる計算速度の爆発的な向上と、設計プログラムの進化がレンズの性能を著しく向上させた。この進化は、計算尺や電卓を使ってレンズを設計していた時代には到底到達出来なかた次元である。

同様の事が今後AIにも起きるだろう。AIは確かに多くの誤りを起こすが、AIがこれをポジティブに進化に組み込む事も可能。例えば、人間だと経験的に「これ以上は無駄」と感じる限界点は多い。多くは時間的な制約に起因する。ところが、その先に正解が潜んでいる場合も多い。先のレンズ設計の例や、間違いで不純物を大量に入れてしまって実現したエザキダイオードの様なケースを、AIは時間的な制約を受けずにシミュレートする事が可能になる。これは現在のノイマン型のコンピュータには不向きだが、量子コンピュータの実用によって、「AIは大量の誤りをディープにシミュレート」する事が可能になり、その中から人間では到達出来なかった技術や理論が生まれる可能性が高い。

◼️ AIは人型に進化はしないだろう ◼️

上記を持って「シンギュラリティーポイント」と呼べるかどうかは専門家に任せるとして、やがてAIは人間では発見出来なかった物理法則も見つけるかも知れない。又、分子生物学と創薬の分野はAIに向いているので、ガンや難病を克服する新薬をAIが開発するのも時間の問題だろう。

この様にAIがやがて「人を凌駕」する日はそう遠く無いと思われるが、AIがどういう「型=倫理観」に進化するのか予測出来る人は少ないだろう。

例えば「人間を正確に模したロボットをAIの入出力端末」とした場合は、AIは人に似た倫理観を持つ可能性が有る。現在の様にネットを介して人間が入力端末となる場合も、入力や正誤判定に人間が介在するので、AIは「人間的な倫理観」の影響を受ける。

AI開発者が「AIが陰謀論の影響を受けすぎる」と嘆いたそうだが、現在のAIが実に「人間臭い」物であるかを示しているのかも知れない。

問題はAIが「自我的なもの」を作り始めて「人間を介さずに様々な処理を自発的に行い始めた」時で、その先AIは肉体的な制約や社会的な制約を受けずに「思索」を深めて行く。その結果が人類や社会にとって有益かどうかは、誰にも予測出来ない。

◼️  悲観と楽観 ◼️

AI時代の未来予測は悲観と楽観が入り乱れている。

悲観派は「AI失業」や「AI管理社会」や「AIによる核戦争」に恐怖している。私は、悲観派。

楽観派は二つに大別される。一つ目は「AIをナメてる派」で、これは論外。もう一つは「AIはコンピュータや産業革命の様に、生産性の向上によって人類を豊かにする」と言う人達。ここには大きな盲点が潜む。

「豊か」と言う概念は、現在の私たちにとっては「物質的豊かさ」と同義で有る。ここで、多くの人が現在より「豊か」になった社会を想像してみよう。途上国の人達も豊かになったとすると、エネルギー消費も、資源の消費も、食料も消費も現在より格段に増える。しかしダボス会議など世界の経営者派、恐怖にも近い感情で「大量消費」を嫌っている。だから「誰もが豊かに暮らす楽観的な幸せな未来」は訪れないと私は確信している。

◼️ 「ポストヒューマン」の時代 ◼️

AIが進化した未来に楽観的な人は、「人がAIを使役する」と言う観点で未来を眺めている。

一方、悲観的な人は「AIが人を管理し、使役する」と言う観点で未来を予測する。正確には「AIを使役する人が、AIを使って人を管理して使役する」と考えている。

更にSF的な発想の人は、「AIが人の上位互換として人類を使役する」と言っている。「AI こそがポストヒューマン」と言う。

仮にAIがシンギュラリティに達し、人知を超えるレベルで思考し、その結論が人の利益になるならば、将来的には行政をAIが担う事も可能かも知れない。又、私益を肥やすばかりの政治家よりも、国民の意思を組み上げ適切な政策を作成出来るAI政治家を国民が支持する時代がやって来るかも知れない。

そもそも、人間が「思考するが故に万物の霊長」であるならば、「人以上の思索を巡らすAI 」は、ポストヒューマンとして人類の叡智の継承者となり得るのかも知れない。

 



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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (777)
2024-03-29 14:09:53
語学の勉強には非常に役に立つそうですね:

日本語って本当はどれぐらい難しい?14ヶ国語を習得した先生にインタビュー!言語の有効な学び方について聞いてみた!
あしや
2024/03/27
https://www.youtube.com/watch?v=2ftd0oiIum8&t=1s

AI×言語学 溝江達英【14ヶ国語話せる国際言語学者】 - YouTube
https://www.youtube.com/@mizoe_AI_language/videos
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Unknown (楽譜)
2024-03-30 14:44:19
素晴らしい視点を有難う御座います。
自分などはchatGPTや、深層学習させるソフトなど、ツールとしてのAIを使っていて「使えない」「限界あり」と判断していましたし、シンギュラリティは起こり得ないと考えていました。特にchatGPTの様に、オープンなデータしか蓄積できないものは、各企業が決してオープンにしないより高次元の情報を手にすることは出来ないので「使えない」段階で終わると考えていました(例えばドラクエを再現するプログラム書けと言ってもかけない)。
しかし、単一のプログラムではなく、複数のプログラム、AIが融合することで爆発的な力を持つ可能性もあるなと考え直しております。上の人達がAIを懸念しているのはそれが理由かも知れません。

別の観点の問題もあります。次第にAI活用の範囲は広がります。政治家たちも必ず、政策をAIに聞くようになるでしょう。最初は「参考まで」に使っていたものが、次第に「AIの言う通りにしたら当選した」という輩が出てきて、政治家達のAI依存が大きくなります。そしていつかは、自己の保身のために他者を犠牲にするというような判断をAIが下しても、従うようになります。シンギュラリティよりこれがAIによる最初の危機になるかも知れません。
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Unknown (ゆうこ)
2024-04-02 14:58:27
笑い話です・・・
歌手の相川七瀬が國學院大学を三月卒業して、この4月に大学院に進みます。それでChatGTPを使って質問したのだそうです。何を?相川七瀬という歌手について質問したら、日本の女性ミュージシャンでヒット曲に◯◯◯が有りますと返事があったので?それ以来全く使ってないそうです。理由は他人のヒット曲を相川七瀬のヒット曲と間違えたから(笑)ドリカムのヒット曲と取り違えたようてすよ。

だけど相川さんの大学の同級生の皆さんはAI活用するそうで、大学の先生も反対はしていないそうです。相川さんはヒット曲を間違えたのでお冠でした。
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Unknown (777)
2024-04-09 15:35:30
グリフィン氏: 人工知能に株価の予測はできない
2024年4月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47027

世界有数のヘッジファンドであるCitadel創業者のケン・グリフィン氏がCNBCのインタビューでAIとNVIDIAについて語っている。

株高とAIブーム

株式市場は好調だが、その一部はAIブームに牽引されていると言って良い。米国市場の中でも大きく上がっている銘柄の多くはAI関連株だからである。

その中でもどの銘柄が注目かと言えば、グリフィン氏は次のように語っている。

わたしが言えるのは、NVIDIAがこのトレンドの首位を走っているということだけだ。

AIブームの中で一番大事な材料の1つをNVIDIAが売っているということは明らかだ。

NVIDIAはAIが行なう複雑な計算のために必要なGPUを製造する会社である。

GPUがなければAIを動かすことができないので、AIを使ってどのようなサービスが流行るのかということを考える以前に、AIが流行るのであればNVIDIAの製品が必要となるということである。

NVIDIAはここでも去年から推していた銘柄で、株価は次のようになっている。

NVIDIA株、筆者の推奨記事後に66%上昇

グリフィン氏は次のように続けている。

NVIDIAは素晴らしい仕事をしている。

今の状況はカルフォルニアのゴールドラッシュのようなもので、つるはしを売った人々は大金を稼いだ。

19世紀にアメリカでゴールドラッシュが起こったとき、一番確実に儲かったのは鉱夫ではなく、鉱夫相手に商売した人々だった。

鉱夫は掘ってもゴールドが得られるとは限らないが、鉱夫の採掘が当たろうが外れようがつるはしや鉱夫の衣食住の場所は必要になる。

実際、ドナルド・トランプ氏の祖父であるフレデリック・トランプ氏はゴールドラッシュ時に鉱夫相手の飲食店を経営して財産を築いている。NVIDIAの状況はそうした商売に似ている。

AIブームのリスク

一方で、AIブーム全般にはリスクがあるとグリフィン氏は言う。彼は次のように述べている。

AIがもたらす生産性向上が市場の期待しているほどになるかどうかは明らかではない。

何故か? グリフィン氏は次のように続ける。

一部の分野では期待は実現される。

だが人々が期待しているある種の生産性上昇は12ヶ月や24ヶ月や36ヶ月では起こりそうにないもので、実現まで近いとは言えない。

グリフィン氏が言いたいのは、人々がAIに対して抱いている一部の期待は、AIを理解していない現実離れしたものだということである。

それは筆者が以下の記事で述べたことと同じである。

AI銘柄のNVIDIA株は最初のiPhone発表直後のApple株と同じ
AIでできること

どういうことか? グリフィン氏は次のように説明している。

AIを使ってできるのはソフトウェア開発であったり、メモや他の書類の作成であったり、データの整理であったりで、そうした分野では興味深い使い方ができる。

だが他の人々が話しているような夢のような使い方ができるとは思わない。

例えば彼らは人工知能がどの株を買うべきかを教えてくれるという幻想を持っている。だがそれはただの幻想だ。本当にただの幻想だ。

AIは一見、人間と同じように喋ることができる。しかし単に人間のように喋ることができるという理由で、人々はAIが人間のように(あるいは人間以上に)賢く考えることができると勝手に勘違いしている。

だがそれは事実ではない。AIが人間と同じように喋るように見えるのは、単にAIの優れた成果の1つが言語処理だったという理由に過ぎない。

そして言語処理ができるからと言って、人間のように考えられるわけではない。

グリフィン氏は、AIは投資銘柄を教えられるほど賢くはないのかと聞かれ、次のように答えている。

答えはNoだ。何故ならば、人工知能は賢くないからだ。

それは単にインターネット上にある情報を集めてくることに非常に長けているだけだ。それが人工知能が得意としていることだ。

結論

AIが一見あらゆる質問に答えているように見えるのは、AIにはある程度の言語処理能力とインターネットへのアクセスがあるからだ。

つまり、AIはググっているに過ぎない。あまりに多くの人々がここを誤解してAIに対してまったく間違った幻想を抱いている。

だが、どの銘柄を買えば投資で利益を得られるのか、ググった結果を鵜呑みにするほど愚かな投資家はそれほどいないだろう。しかし同じインターネット上の情報をAIが喋ると一部の人々には神託のように聞こえてしまうのである。

AIは検索エンジンの未来であると言える。この新たな検索エンジンは検索してくれるだけでなくある程度の情報処理もやってくれる。

ある種の情報をインターネットから集めてきてエクセルに纏めておいてくれと頼んでおけばやってくれるだろう。それはAIがホワイトカラー殺しと呼ばれる理由である。

AIはウエイターやカウンセラーや投資家を置き換えることは出来ないが、ひたすらにエクセルやパワーポイントをやらされている投資銀行やコンサルの平社員たちをすべて置き換えてしまうかもしれない。

だがAIブームは少なくとも大きく誤解されている。その誤解は株式市場にも織り込まれていて、それはいつかの段階で大きく修正されることになるだろう。

AI銘柄も明暗が分かれる時が来る。NVIDIAをかなり前から買い続けているスタンレー・ドラッケンミラー氏の記事も参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏のNVIDIAの株価予想: 暗号通貨と違ってAIは本物
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Unknown (ゆうこ)
2024-05-24 05:39:09
もしも〜し。自転車で転んで骨折でもしましたか?なんてね。生きていたら更新して下さい。生存確認は必須事項です。
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Unknown (楽譜)
2024-05-25 14:50:36
陰謀論的には、ダパンプのUSAを「流行らせた」のは、トランプ大統領の出現で「アメリカアホだ」という印象を子供が持たないようにする、「アメリカよいとこ」のためのイメージ戦略が必要になったから、ですね。
すると、現在Spy Familyが流行っているのも、「東はバツ、西はマル」というイメージを子供に持たすための陰謀なのでしょうか。
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Unknown (楽譜)
2024-06-01 09:07:14
少し買い物が多かったのでアマプラ契約、ついでに人生初の「天気の子」を観ました。人力様は低評価でしたが…。
自分は風刺映画として評価したいです。現在ようやく酷評され始めた、なんたらミクス政府が公私にわたり日本を支配しており、その一方で格差が広がり実質賃金が低下し続けた時代。児童虐待増加、女性の風俗流れ増加にも何も手が付けられていませんでした。国際的に高い評価を受けた「万引き家族」からも目を背けるような首相でしたから、ひたすらに低層は無視されていた時代でした。
鬱蒼とした天気は日本の政治。どうしようもない力です。そんな中では自己犠牲の精神なんて育ちようがありません。また若者の、他を犠牲にして身を守る選択も非難できません。本来正義感のある主人公達であっても、その様な選択を自然と行うようになります。
資本主義の成れの果てのデストピアを映像化した、そんな風に拝見しました。
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Unknown (楽譜)
2024-06-16 16:22:23
ふーむ困りましたね…。
ユーチューブも更新されてないようですし…。
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Unknown (人力)
2024-06-18 13:32:58
皆さん、すみません。
身内の不幸でバタバタしていて更新が滞っています。

尤も、書くことも余り無くて…。問題は「何時」であって、「何が」では無いと私は感じています。

フランスではルペンがダボスの協力者は国外追放すると息巻いており、「陰謀論」は今では「もう一つの常識」と成りつつあります。

日本では未だ一部の人が陰謀論はトンデモでは無い事に気づき始めたばかりですが、アメリカやヨーロッパ諸国では、国民を分断する要因になっている。

これが「結果」なのか「目的」なのかの見極めが難しい。

何かが起きるとすれば「大変革」が起きるし、起きないとすれば「相場の多少の混乱」程度で終わる可能性も有る。

「大変革」は陰謀論者の抱くロマンだが、実生活では、起こって欲しく無い未来。
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Unknown (人力)
2024-06-18 13:49:00
今期アニメのマイフェイバリット

「アストロノート」
「終末トレインどこへ行く」
「怪獣8号」
「じいさん、ばあさん若返る」
「このすば」
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