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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

唐突なマイナス金利導入・・・FRBの3月利上げを確実にする為に

2016-01-30 11:00:00 | 時事/金融危機
 

■ 日銀がマイナス金利を導入する理由が見当たらない ■

年初来、日経平均が下落を続けていますが、日銀がマイナス金利を導入してまで株価対策するような状況では有りませんでした。

理由とされる物価目標にしても、物価下落の要因が原油価格の下落ですから、金融政策でどうこう出来るものでも有りません。

デフレ防止処置とも言われていますが、そもそもゼロ金利でも資金需要が無いのだからどれだけの効果が有るのかは不透明です。

■ 日本の資金が炙り出される ■

銀行が日銀の当座預金に預けておくと損をする「マイナス金利」。しかし、日銀にブタ積された資金が日本国債購入に使われている以上、異次元緩和継続の為には日銀の当座預金金利のマイナス化は避けたかったというのが日銀の本音でしょう。

銀行が損をしない為には、日銀の当座預金から引き出して運用するか、あるいは現在の運用で得られる金利を高くするしかありません。

日本国内の景気減速が顕著になりつつある中で、安全に金利を稼ごうとするには・・・・そうだ、米国債だ。マイナス金利導入で為替も円安に戻るだろうから・・・。こう金融危機案が考えても不思議ではありません。

■ 3月の利上を先延ばししたくないFRB ■

FRBは3月に再利上げを実行すると言われていましたが、ここに来て弱気な発言が目立っています。

FRBとしては「出口戦略失敗」と受け取られない為にも、3月の利上げは実行したでしょう。ただ、世界のリスクオフの流れが強すぎると考えている事も確か。

そこで、日銀に助け舟を出させたのでしょう。まあ、随分ザツなマイナス金利導入でしたから、市場は相当ヤバかったのかも知れません。



憲法改正をエサに票を集める安倍政権

2016-01-26 08:24:00 | 時事/金融危機
 

■ 憲法改正議論がにわかに盛り上がって来た ■

安倍首相周辺で憲法改正議論がにわかに盛り上がっています。

国会の2/3の賛成で憲法改正が発議される事から、衆参で賛成派が2/3に達するかどうかに注目が集まりそうです。

若い方を中心に憲法改正に賛成の方も多いので、普段選挙に行かないこれらの層を投票所に向かわせる事が出来れば、自民党や維新の会などは議席を伸ばす事になるでしょう。


■ 中高年に抵抗感が強い憲法改正 ■


一方で戦争を体験した世代や、全共闘の世代には憲法改正に否定的な人達が多いかと思います。これらの世代の都市部の浮遊票の一部は野党に流れるでしょうが、農村部は地域的縛りから自民党に投票せざるを得ません。

野党があまりにも「ふがいない」状況で、共産党しか批判票の受け皿は有りませんが、共産党に投票する事に抵抗を感じる高齢者は多いはずです。

■ 消費税増税延期とセットにする可能性もある ■

景気減速が統計データでも明らかになりつつありますが、安倍政権は消費税増税延期のカードを再び切る可能性が有ります。私は財務省もこれに反対しないのでは無いかと考えます。

消費税増税は、量的緩和下でバブルに成り易い不動産市場などのブレーキの役割として利用されていると思う節が有るので、バブルが抑制されている間は、ブレーキはその先に取っておきだいでしょう。

■ 憲法改正を隠れ蓑にして構造改革を進める ■

では、憲法改正は実現可能でしょうか?

私は国民投票で過半数の賛成を得る事は難しいと思います。


各局、自民党は夏の選挙で議席を大きく増やしますが、憲法改正には時期尚早として、「今は規制緩和、構造改革を進めて日本経済を立て直す!!」と言いだすでしょう。


これが昨今、にわかに盛り上がっている憲法改正議論のトリックかと・・・。

そろそろ分岐点・・・ダウが底抜けするかどうか

2016-01-26 07:25:00 | 時事/金融危機
 



■ ほぼ昨年夏の下落水準まで調整されたダウ平均 ■

株式には全く素人の私ですが、株価の動きを追うのは何故か楽しい。特に相場が大きく動く時にはドキドキしながらチャートの変動に見入ってしまいます。これって、台風情報に何故かドキドキするのに似ています。ただ・・・台風は多くの被害を出しますし、株価の大幅な下落は経済に悪影響を与えるので、あまり喜ばしい事では無いのですが・・・。

さて、昨今の世界的な株価下落ですが、注視すべきは日本株などでは無くやはりダウやS&Pでしょう。

ダウは昨年夏のチャイナショックの水準まで下落しています。

■ 仕掛けられて下落した昨年夏と、本当に逃げ出した今年 ■

チャイナショックの原因はFRBが9月に利上げを発表するのでは無いかという疑心暗鬼によって新興国投資が引き上げられ易い状況で、ヘッジファンドなどが上海市場で売りを仕掛けた事にあると言われています。

昨年夏の下落時には、FRBの利上げ予測が年末に遠のいた事で市場はひとまず回復しています。FRBが利上げに入るまでは、低金利の資金の供給が実質的には減らないので、ゲームは継続されたのです。

しかし、FRBが利上げに入った現在の状況は大きく異なります。金利に上昇圧力が掛っているので、「タダ同然の金利で資金を借り入れて投資を繰り返すというゲームの基本ルール」が変更されています。損失を借り入れで誤魔化して次のチャンスを狙う事が不可能になったのです。

リスクを大きく取っていたゲームの参加者達はそろそろ市場から姿を消し始めました。原油先物やコモディティーに投資していたファンド、ジャンク債に投資していたファンドの中から解散するものが出始めています。中には出資金を戻せない所もある様です。

■ 負の連鎖が始まっている ■

ダウの下落原因は次の通りかと・・・

1) FRBの利上げによるリスクオフ
2) サウジなど産油国の資金が引き上げられている
3) 社債市場の金利上昇で自社株買いが減少している
4) 損失が膨らんでいるファンドなどが換金売りをしている

悪い要因が重なって買われる材料が有りません。尤も、現在の市場参加者は既に逃げ遅れたネズミで、本当に情報を持っている一部の者達は、多分昨年夏の下落前に売り抜けているのでは無いでしょうか?


■ 多分、夏頃に資金が枯渇するシェール企業 ■

株価下落の一因になっているシェール企業ですが、夏ごろに借り換えが滞り資金が枯渇すると言われています。ただ、シェールを始めとしたエネルギー関連の社債や株のリスクを市場は既に十分織り込んでいますから、これが危機の引き金になる事は無いでしょう。

ここから先は業界再編で、石油メジャーがタダ同然でシェール企業と採掘権を手に入れるだけ。原油価格はここら辺で底打ちすると思われます。


■ ECBや日銀の追加緩和の効力は薄い ■

リーマンショック以降の世界の市場は、ジャブジャブと供給される緩和資金によって膨らみ続けました。結局は、緩和資金が拡大すれば相場は上がり、緩和資金が減れば下落します。

ECBのドラギ総裁が、世界的景気減速を阻止する為に追加緩和の準備が有ると発言して先週金曜日に各市場は値を戻したと報道されています。しかし、金曜日はイスラム教国家の市場が休みだったので、産油国の実弾売りが有りませんでした。案の定、月曜日のダウは下落に転じています。

市場は材料を探していますから、ドラギ総裁や黒田総裁の発言にイチイチ反応してみせますが、ECBも日銀も既に大した手立てを持ち合わせてはいません。昨年12月の様にチャチな追加緩和を発表すれば「ドラギショック」や「黒田ショック」を引きお越します。

ECBの金利は既に下限に近く、これ以上の緩和の為には国債買い入れ枠を大幅に増やす必要があります。これは日銀が現在実行している事で不可能では有りませんが、ドイツを説得出来るかどうかが不透明です。

日銀に至っては既に新発国債の全額に相当する額を市場から買い入れている状況で、これ以上の大胆な国債買い入れ枠の拡大は日本円の信用に影響し始めます。株や不動産のETFの購入枠を増やすという方法も考えられますが、そろそろバブルが弾けるという時に中央銀行がリスクを引き受けるというのも如何なものか・・・。それこそ、泥棒に追い銭となります。(多分、日銀はこの方法を取ると思われますが・・・)

いずれにしてもECNも日銀もネタのバレたマジックで失望を呼ぶ可能性が高い。

■ FRBが利上げを凍結する可能性 ■

米国内の経済指標もパッとしない状況で、FRBが今後利上げを順調に進められるかに注目が集まっています。連銀総裁の中からも慎重論が出始めています。

これ、テーパリングや利上げの時と同じ構図で、タカ派とハト派の意見を丁度良い具合にブレンドして流す事で市場をコントロールするFRBの常套手段です。彼らはこれを市場との対話と呼んでいますが・・・。

FRBが利上げを凍結するとすれば、それは米国債金利に急激な上昇圧力が掛った時でしょう。しかし、現在はリスクオフによって米国債に資金が流れ込み、米国債金利は昨年夏以来の低い金利になっています。

リスクオフは米国債の資金還流にはプラスに働くので、FRBは市場が暴落しない限り利上げの流れを変えないと思います。

■ 中央銀行は意図的にバブルを作り、崩壊させて来た ■

私は中央銀行は、目的を持ってバブルを作り、そして崩壊させて来たと疑っています。

ITバブルがIT産業を生み出した様に、リーマンショック以降のバブルは新興国で発生しています。ですから、今回のバブル崩壊の主役は新興国と資源国です。

中国、韓国、マレーシア、タイ、シンガポール、フィリピン、インドといったアジアの新興国。そしてブラジル、アルゼンチン、オーストラリア、さらには中東産油国・・・。

日本のバブル崩壊によって日本株は1/4に下落しましたが、それを底値で買い漁ったのは外国人投資家達でした。彼らは株式によって日本企業を支配する事に成功したのです。これと同じ事が世界中で起こるはずです。


私はダウ平均はこのままダラダラと下落して行くと予想します。そして夏頃から、世界はだんだんと希望を失って行く・・・・。


打ち出の小槌と化した日本株・・・3月決算、参議院選の後はやりたい放題

2016-01-20 10:56:00 | 時事/金融危機
 

■ 底値13,000円 ■

このブログで株価予測をやると「逆指標」となる様なので、日本経済の為にあえて低い数字を出してみます。

13,000円というのは、アベノミクスが始まって上がり始めた株価が、バーナンキショックで足踏みした時の相場です。

安倍政権の発足と、日銀の緩和的金融政策を予測して海外のヘッジファンドや有名投資家達は日本株への投資を2012年後半から拡大します。そして2013年5月のバーナンキショックを前に一旦売り抜けています。

ここで日経平均は足踏みをしますが、この頃から公的資金を投入して株価の維持が始まったと思われます。

海外投資家たちは、日銀の異次元緩和を合図に再び日本株投資を拡大し、昨年は2万円の大台にまで達しました。この間、何度も株価の下落局面はありましたが、GPIFや日銀など公的資金やゆうちょ銀行などの半公的資金を動員して株価を支えました。

この様に外国人投資家達は、日経平均13000円を境に日本株投資を拡大していますから、彼らが利益を確定する為にはこれより高い水準で売り抜ける必要があります。当然、為替相場も円高に振れて為替差損の発生を防ぎます。

■ 3月末の決算までは暴落は無い? ■

年始以来の株価下落は「暴落」というレベルではありませんが、投資されている方達は毎日下がり続ける相場に戦々恐々としているでしょう。

ただ、日本株のセオリーからすれば3月期決算までは官民総出で株価を買い支えるので「暴落」する様な事は無いでしょう。

一方で売りを仕掛ける外国人投資家や、これに便乗する国内の個人投資家にしてみればこんなに美味しい相場は無い訳で、大きく売った後に、薄商いの状態でちょっと買い戻せば株価はスルスルと上昇をします。そして、頃合いを見計らって又売りを仕掛けます。

ここ数日は17000円を巡る攻防となっていますが、17000円を超えて売り崩せば、2時半頃から猛烈な買いが入って株価は戻します。ここで明日の売り玉を仕込んで、また朝から売り浴びせる・・・。

■ 4月か5月で大きく下げた後、7月までは回復基調にに ■

”Sell in May "という格言?は既に十分有名ですが、決算を終えた4月、5月は日本株は売られやすい状態です。多分、今年も例外では無く、15000円台まで売り込まれる事でしょう。

日銀がどの時点で追加緩和を発表するかが微妙ですが、7月の参議院選挙を前に円安、株高を演出する為には5月頃が最適かと思われます。

日銀の追加緩和によって日本株は17000円~18000円の間までは値を戻すと思われます。この時期、外国人投資家も日本株を買い込むでしょうが、これはその先の売り玉を仕込む様な動きになるはずです。

ただ、この間も外国人投資家達は度々売りを混ぜて利益をちょこちょこと抜いてゆくはずです。

■ 夏以降は世界的な経済の変調によって日本株も暴落 ■

年始来の市場の混乱を見ると、FRBの利上げの悪影響が予想よりも早く出ている様にも思えますが、今はヘッジファンドなどが過剰なリスクを慌てて整理している時期なので、本格店な市場の変調は夏頃から現れるのでは無いかと妄想しています。

いわゆる「ブラックスワン」たるものた現れるとすればジャンク債市場の暴落か、中国か中東を巡る安全保障上の大きな緊張になるかと思われます。

ただ、こういう分かりやすい事件が無ければ、全ての市場から資金が蒸発してダラダラと相場を下げ続ける様な下がり方になるのでは無いかと私は考えています。

リーマンショック以降顕著だった資金のグランド・ローテーションの回転が止まっり、利益機会が喪失する(現在も既にその傾向が現れていますが)ので、次第に投資資金が市場から消えてゆきます。

金融緩和相場という「美味しい市場」が消えた事から、一部の投資家は「最後の晩餐」の準備に取り掛かっているはずです。「空売り」を仕掛けて市場を暴落させるのです。

中国はサーキットブレーカーやら、空売り規制やらでこれを妨害するでしょうから、一番ターゲットになりやすいのは日本市場です。なんせ、東日本大震災の直後ですら「平常運転」の異常な市場なのですから・・・。(投資家にとっては信頼出来る市場)


■ 日経平均13000円 ■


さてここで冒頭の13000円。

私は今の日経平均の適正株価はこんなものでは無いかと思っています。だからこれが底値。
ただし、これは株価がソフトランディングする場合の話で、「暴落」とも成れば10000円割れ、8000円割れなどというリーマンショック後の再現もあり得る訳で・・・。

今年の日本株は個人には手に負えない市場となる事は間違い無い!!


とまあ、言いたい放題「悪い予測」を垂れ流しましたが、そこは「逆指標」と呼ばれる人力予測ですから、日本株も大反発で景気回復の2016年になるかも知れませんね。


「逆オイルショック」という茶番・・・通貨防衛の為の戦争

2016-01-19 05:49:00 | 時事/金融危機
 

■ 逆『オイル・クラッシュ』 ■

ポール・アドーマンの1979年の小説『オイル・クラッシュ』はイランが核開発によってサウジアラビアに敵対するという内容の小説。ちょっとネタバレすると、結末は、イランに招かれて核開発を主導した博士がユダヤ人で、彼の開発した核爆弾は破壊力は小さく、一方で半減期の長い放射性コバルトを大量に放出するという代物。

これによってエルサレム周辺は長期に渡って放射線に汚染される事になり、アラブ人達もユダヤ人達も近づく事が出来ないなります。そう、「聖地エルレムが奪還」されたのです。

その一方で中東の油田地帯も放射線に汚染され、ウジ、クウェート、イランの油田には誰1人足を踏み入れる事が出来なくなります。そして石油文明に支えられた現代社会の崩壊が始まる・・・。

「石油ショック」の時代を反映した小説として秀逸な作品ですが、現在世界で起きているのは「逆オイルクラッシュ」。

原油価格が暴落する中でイランの経済制裁が解かれ、イランの原油が市場に放出される影響はとてつも無く大きい。原油が足りないのでは無く、原油が多すぎる悩みに人類は直面しているのです。

■ サウジ、アメリカとも原油安を仕掛けている事がミエミエ ■

本来産油国のサウジにとっても、シェール企業の破綻が問題となるであろうアメリカにとっても原油安は避けなければならないはずです。

しかし、シェール企業をブッ潰すとして原油の減産に踏み切らないサウジアラビアも、このタイミングでイランの経済制裁を解除するアメリカも、自分で自分の首を絞めている様にしか思えません。

この様に一見不合理な出来事の裏側には、「世界の経営者の合理的な思惑」が隠されていると考えるのが陰謀論の鉄則です。

■ リスクオフで米国債を防衛出来るのか? ■

原油価格の下落の影響は年初来の株価下落にも大きな影響を与えています。FRBは利上げに踏み切っていますから、米国債金利に上昇圧力が掛っていますが、リスクオフの大きな流れが米国債へと資金を誘導しています。陰謀論の表層的には、現在のリスクオフは米国債とドルを防衛していると見る事が出来ます。

しかし、このまま市場がダラダラと下落すれば、世界的金融緩和で積み上げて来たリスクポジションがどこかの時点で反転して、リーマンショック以上の信用収縮が起きる事は避けられません。原油価格に下落圧力を掛けて米国債を援護した所で、結局は次の大規模な金融危機は避けられないでしょうし、その時にはドルを初めとした世界の通貨の信用も大きく失われます。

■ ドルの信用を保ったオイルショック ■

ドルの信用が揺らぐ事が確定しているとすれば、世界の経営者はどの様な行動に出るでしょうか?この疑問には「ニクソンショック」と「中東戦争」が答えを出しています。

ニクソンは1971年8月15日に突然ドルの金兌換停止を発表します。ドル、いえ世界の通貨が紙切れになった瞬間です。当然、ドルの信用が棄損して各国通貨に対して切り下がりますが、それでもドルは基軸通貨の地位を失いませんでした。

1973年に起きた第四次中東戦争の影響で「石油ショック」が発生します。産油国は1年程の期間で原油価格を3.01ドルから11.65ドルまで引き上げます。3.87倍です。その後も原油価格はジリジリと引き揚げられ、イラン革命に端を発した第二次オイルショックの影響もあって、1980年代には原油価格は40ドル台に達します。10年間で10倍以上の価格になったのです。

この当時、石油の決済通貨はドルでした。ニクソンショックで信用の揺らいだドルですが、暴騰した石油を買う為に世界は大量のドルを必要とし、ドルは信用を保つ事になります。これを「修正ブレトンウッズ体制」と呼ぶ人も居ます。ドルは「金兌換通貨」から「石油兌換通貨」と変容したのです。

石油ショックで高騰したのは原油価格だけでは有りません。世界各国で「インフレ」が発生しました。これは原油の供給制約によって発生した悪性のインフレで、成長力が低下していたアメリカやヨーロッパ諸国ではスタグフレーションを引きお越しました。「悪性のインフレ」です。

■ 高金利政策は通貨防衛だった? ■

石油ショック当時、物価高騰を抑制する為に各国中央銀行は金利を高く誘導します。



これはインフレ抑制という目的の他に通貨防衛の意味合いを持っていた可能性が有ります。レーガン政権発足当時の政策は「強いドル」でしたが、高めの金利誘導で米国債や米市場に資金還流をさせる事を目的としています。

これはブラジルやトルコなどの途上国で経済危機が発生した時、為替の下落と資金流出を防ぐ為に金利を引き上げる行動に似ています。


■ 金融市場の発展によってドルはツールへと変化した ■


1982年からは物価も落ち着き出したとして、レーガン政権とFRBは金利を下げ始めます。1985年にはプラザ合意によってドルの引き下げまで行っています。これは「弱いドル政策」とも言えます。

レーガン政権は初めてサプライサイドの経済政策を実施した政権です。この時期、アメリカは様々な金融工学を発展させて行きますが、従来の需給関係を重視した政策から、通貨の過剰供給によって金融市場を拡大する政策に転じたのです。

ドルの価値は「石油が買える事」から「金融市場のツール」に変化します。

■ 繰り返されるであろうオイルショック ■

「逆オイルショック」は一見すると原油安が進行する様に考えられています。中国経済の減速もあって、需要が減っている所に、原油が増産されるからです。

しかし、原油安は産油国の財政を直撃するので、サウジアラビアを始めとする産油国の財政はだんだんと疲弊して行きます。その影響は国民サービスの低下に繋がり、国民の不満が高まって行くと思われます。

イラクやリビア、シリアで共通するのは、強権で国家を支配していた指導者の排除です。中東諸国は部族社会で成り立っていますから、国家への忠誠心は実は薄い。仮に国家が国民サービスという求心力を失えば、途端に部族社会の存在が目立ち始めるでしょう。そして、宗派間の対立を国家がコントロール出来なくなります。

こうして、原油安による財政難は安定しているかに見えた中東産油国の社会を不安定化します。国家の求心力が薄れた場合、第一段階として国民への圧力を高めて暴動を抑え込もうとします。しかし、それが上手く行かない場合は、国家は外に敵を求め、愛国心を煽って求心力を維持しようとします。

サウジアラビアは先日シーア派の指導者を処刑してイランと対立しました。戦争の芽を大事に育てている状況なのかも知れません。

こうして、中東で戦争が発生すれば再び「原油価格高騰によるオイルショック」が発生します。

■ どうせガラガラポンなら派手に・・・ ■

私は遅かれ早かれ金融緩和バブルは大崩壊すると考えています。その様な大きな金融危機は、戦争によって責任がうやむやにされる事が多い。世界大恐慌が第二次世界大戦を生んだ様に。

次なる金融危機が発生するならば、同時に第二次世界大戦の遺物とも言える現在の世界が大きく変容する可能性は低く無いと思います。


その手段として戦争は便利であり、日本の安保法制もこれに関連した動きだと妄想しています。