🔳 米商業不動産市場の悪化 🔳
ニューヨークの地方銀行のニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)の株が急落するなど、銀行危機の第二幕が始まった様です。シリコンバレー銀行の破綻は米国債の下落による含み損の急拡大でしたが、今度は米商業不動産市場向け融資の不良債権化が原因で、日本のバブル崩壊に似ています。
アメリカはコロナ以降、オフィスの空室率が高止まりし、商業不動産関連のデベロッパーが危機に陥っています。地方銀行の多くはこの様な企業に融資していますが、借り換え金利の上昇で融資が焦げ付く可能性が出てきた。また商業不動産関連の債券も下落して、多額の含み損が出ています。
アメリカの地方銀行の多くが、ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)同様のリスクを抱えているので、アメリカの地方銀行の破綻がコレから続く可能性が高くなります。
🔳 機器は米国限定では無い 🔳
米商業不動産市場の下落は、日本や他国の銀行にも影響を与えています。ドイツ銀行は融資に占める米不動産向けが1.5%有り、ここでの損失が拡大しています。
日本のあおぞら銀行も、3月期の最終赤字を発表ぢていますが、米金利上昇による有価証券の含み損の拡大と、米商業不動産向け融資の貸し倒れ引当金を上積みした事が原因となっています。
ドイツ銀行やあおぞら銀行に限らず、世界中の銀行が同様のリスクを抱えています。米商業不動のデベロッパーの破綻が連続すると、不良債権が大量に発生します。コレらの融資は債券化れて世界中にばら撒かれていますから、リーマンショック同様の危機が発生する可能性も有ります。
🔳 借り換え金利の上昇がジワジワと首を絞める 🔳
米商業不動産関連のデベロッパーは、空室率の増大と同時に、借り換え金利の上昇に苦しめられています。FRBは利下げに慎重ですが、多少の利下げは焼石に水でしょう。日銀が金利を必死に上げずに「最後の貸し手」の様になっていますが、日人の利上げは国内だけで無く、海外の市場にも大きな影響を与えるはずです。
🔳 ネガティブな価格上昇に浮かれる市場 🔳
BRICSを始めとした非西洋諸国が、元や自国通貨決済を拡大する事で、ドルの実需が低下して、余ったドルは資産市場に流入しています。米株や日本株などが値上がりしているのは、このようなドルや、債券市場から逃避したドルがが流入している事が原因ですが、コレはネガティブな価格上昇と言えます。
🔳 足元から崩れる危機? 🔳
米商業不動産市場は、どこかでサブプライム危機と同様の崩壊を起こしますが、コレをトリガーとして銀行危機が連鎖すると、バブル崩壊が起きるリスクが高まります。
リーマンショックは、レバレッジを掛けまくったヘッジファンドの破綻によって危機が急拡大しました。コレはピラミッドが上から崩壊する様な危機でした。
しかし、今度の危機は地方銀行や中小の金融機関の破綻の連鎖によって、地域経済が足元から崩れる様な危機になるかも知れません。
リーマンショックの反省から世界は高いレバレッジなどの過大なリスクを避けて来ましたが、一方で金融緩和の長期化は、あらゆる所にリスクをこっそりと仕込む結果となった。米国債の様な「安全資産」が原因となってシリコンバレー銀行が破綻した様に、健全な融資や投資が危機の引き金になるのが、金融緩和バブル崩壊の特徴でしょう。黒い白鳥では無く、灰色の白鳥が湖に突然群れを成して出現すると私は予想します。
追記
リーマンショックは「金持ちバブルの崩壊」が実態経済に影響を及ぼし増したが、地銀や中小の金融機関が破綻する危機が発生すると、地域経済が崩壊します。拓銀の破綻が北海道経済の悪化に大きく影響した様に、日本の地銀に危機が広がれば、中小企業の倒産が拡大して、失業者も増えます。
金融緩和というぬるま湯に長い間浸っていた日本ですが、そろそろ本気でリスクと向き合う時期が来た様です。