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ステルス・インフレ・・・物価上昇が始まった

2011-01-06 05:27:00 | 時事/金融危機






■ 灯油が高い? ■

マンションの庭のイチョウの葉がクリスマスまで残って、「今年は暖冬だな」と思っていたら、年明けから急に寒くなりました。冬らしくて良いのですが、朝、布団から出るのが辛いですね。寝起きに先ずやる事はファンヒーターのスイッチを入れる事。

我が家は車が無いので灯油の買出しは自転車で行きます。最近、近所のガソリンスタンドがバタバタと無くなって、灯油の買出しがどんどん遠くなっています。

昨日、灯油を買いに行くと1404円/18リットルでした。10年前頃は800円台で買えていた事を思うと、随分と高くなったものです。

確か、前回の高値はリーマンショック前の2008年夏ごろだったと思います。過剰流動性が穀物市場と原油市場に流れ込み、ガソリンが160円/リットルに値上がりした頃です。その後1200円前後でした。

■ 原油価格が上がり始めた ■

冒頭のグラフは原油価格の推移です。リーマンショック後に原油価格は40ドル/1バレル程度まで値下がりしますが、その後上昇に転じています。

本来、原油価格が40ドル近辺で安定していたのですが、新興国の需要増大と、原油市場に流れ込む過剰な資金によって80ドルを越え、100ドルに達する勢いです。

原油価格はドル建ての取引が多いので、ドルの下落も原油価格を押し上げる一因です。

一方、日本円は対ドルで105円から83円に値上がりしていますから、20%程割安に石油が手に入ります。

石油はエネルギーとして、資源として経済の根幹を成しています。原油価格の上昇は物価の上昇に直結します。アメリカやヨーロッパでは原油価格上昇の影響を受け初めて、物価がじりじりと上昇し始めています。

一方日本では、円高が進行しているので、原油価格上昇の影響が見え難くなっています。

■ インフレを覆い隠す住宅価格の下落 ■

アメリカは貿易赤字国です。原油をはじめ生活に関係する多くの物を輸入に頼っています。ドルの下落は輸入物価の上昇に直結します。アメリカではガソリン価格が上昇しています。

しかし、リーマンショック後、FRBはジャブジャブと資金を供給してきた割には物価は下落気味でデフレが心配されています。FRBはQE2で更なる資金供給を予定しています。

FRBは緩やかなインフレを望みますが、資金は金融機関で停滞し、景気を刺激する事が出来ず、物価は下落気味です。

物価下落の最大の要因は、住宅価格の下落です。グラフの2枚目が住宅価格の推移ですが、リーマンショック後に住宅価格は20%程下落しています。ピーク時からは30%程下落しています。

GDPにおける住宅の影響は大きいので、住宅価格の下落はインフレ率を押し下げる要因となっています。

■ 中国のドルペックに救われる米国国民 ■

米国の物価安定に寄与するもう一つの要因が、中国のドルペックです。

衣類から生活用品までメイドイン・チャイナが席捲するアメリカで、元の対ドルでの上昇は物価上昇に直結します。元は緩やかに対ドルで上昇していますが、物価上昇圧力になる程ではありません。

アメリカ議会は元の切り上げを声高に主張していますが、それは投資の回収時に元高になっていなければ儲けが少ないからであって、製造業の衰退したアメリカでは元高は物価上昇として市民の生活を直撃します。

■ インフレは始まっている ■

アメリカでは潜在的なインフレが進行していますが、住宅価格の下落と元のドルペックがそれを隠しています。

FRBは統計的数字がデフレ傾向な事を良い事に、QE2でドルを過剰に刷って金融機関にプレゼントしています。

現在は潜在的インフレ圧力ですが、どこかでターニング・ポイントが訪れます。
その時、雇用が回復していれば経済は成長軌道に乗るのでしょうが、雇用は低調です。

昨日当たりは民間の雇用統計が上向いたという記事が出回っていますが、クリスマス商戦で小売業が臨時の雇用を増やしたに過ぎません。

バーナンキはインフレなど15分で潰してみせると言っていますが、アメリカでインフレの引き金を引くのは、米国債危機が意識されてドル離れが一気に進行する時です。

インフレが進行する中国やその他のドルペック諸国も、急激な自国通貨安によるインフレには耐えられません。好むと好まざるとに関わらず、ドルペックを外さざるを得ません。

・・・尤も、その時がアメリカ経済の終焉の時です。
国債とドルが同時に暴落し、金利が高騰して経済の息の根が止まります。

2011年後半から、米国危機を意識せざるを得ないでしょう。
それまでは、株式市場も債権市場も、FRBの供給するドルを使って、必死で景気回復を演出し続けるでしょう。

■ 米国と心中する日本、生き残りを模索するヨーロッパ ■

ドルと米国債の暴落は、大きな津波となって世界を襲います。

対GDP200%の国債残高を抱える日本は一瞬で財政破綻します。尤も、財務省の狙いは財政破綻からハイパーインフレーションに持ち込んで、一気に国の借金をチャラにし、さらには世代間格差も是正する所にあるようです。

後は日本に再び日が昇るかどうかは、私達若い世代の頑張りに掛かっています。円も下落していますから、日本の製造業は息を吹き返すかも知れません。

ユーロ危機が注目されるヨーロッパは、各国、増税と歳出削減で財政の健全化に勉めています。平時は利害が対立するEU諸国ですが、アイルランド危機以降、結束を強めています。ユーロ危機はヨーロッパを財政的にも政治的にも結び付ける方向で働くでしょう。

ヨーロッパは生き残る決意をしています。

■ アメリカ VS ヨーロッパ ■

リーマンショック以降の金融危機の流れは、「アメリカ VS ヨーロッパ」の戦いと言っても良いかと思います。

アメリカの単独覇権を金融危機を用いて崩したヨーロッパの金融資本家達は、もう一回、金融危機を演出してアメリカを葬り去るでしょう。日本はアメリカの属国ですから運命を共にします。

ヨーロッパもかなりの痛手を負いますが、EUの財政と政治統合を成し遂げ、多極化の一極として復活するでしょう。

さて、2011年、世界が大きく動きそうです。
アメリカは戦争というカードをチラつかせていますが、ヨーロッパの金融資本家達はデビット・ロックフェラーの尻尾を掴んで、戦争カードを切らせないようです。

尻尾とは・・・・911の真相か、あるいはバンカメとシティーの破綻か?

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