
■ 「レベル7」事故 ■
福島第一原発の事故によって大気中に放出されたヨウ素131の量は保安院の発表では63万テラベクレルです。
ヨウ素131の1(Bq)の質量は2.2x10_-16乗です。
63万テラベクレルは63x10_16乗(Bq)なので、掛け合わせると、放出されたヨウ素131の質量が算出出来ます。
138(g)が今回の福島原発の事故で大気中に放出された放射性ヨウ素131の質量です。
これが多いか、少ないかは判断の分かれる所ですが、チェルノブイリの1/10である事は確かであり、レベル7の規定に当てはまる事も確かです。
■ 福島事故はチェルノブイリ以上の事故になる可能性が高かった ■
疑惑の3号機爆発の原因を推測する映像がアップされています。
http://www.youtube.com/watch?v=P4KXX24Dv1U&feature=channel_video_title
① 格納容器も圧力容器も赤外線画像では無事らしい
② 爆風が上に抜けているので上が開いた構造での爆発
③ 燃料プールでの爆発が疑わしい
④ 衝撃波が発生する爆発は、水素爆発では起こらない
⑤ 一瞬火炎が見える爆発は、水素爆発では起こらない
⑥ この破壊力を与える爆発の原因は、燃料プールの即発臨界が疑わしい
⑦ 原発から2マイル離れた地点に多数の燃料棒の破片が落ちている
⑧ アメリウムやウラン、プルトニウムの微粉末がハワイや西海岸やニューイングランドで観測された
⑨ 爆発の黒い噴煙は、燃料棒のウランやプルトニウムが爆砕したものだろう
いろいろ最悪のパターンを想定していた私ですら、にわかには信じられません。
15、16日に東京に降り注いでいたのはプルトニウムやウランだったのかも知れません。
(ウランもプルトニウムも半減期が長いので、微量では私は全然怖くありませんが・・)
たまたま、爆発時の風向きが海に向かっていたので、周辺地域は甚大な放射線汚染を免れましたが、もし、風が陸に向かっていれば、周辺地域はチェルノブイリ並みの汚染が広がっていたかもしれません。
■ 私の考える福島第一の現状(妄想) ■
1号機
① 地震で圧力容器の再循環系の配管が破断
② 既存冷却系での冷却不能に
③ 消防ポンプで圧力容器に注水するも、ダダ漏れ
④ 菅首相の指示で海水を格納容器に注水
⑤ 事実上の水棺状態に事故当初からなっている
⑥ 圧力容器底部に溜まった燃料が、局所臨界を繰り返している
事故直後に圧力容器の圧力が8気圧まで低下
20日以降も、圧力容器底部の温度が400度もありながら、圧力容器内の気圧は低い
半減期が短い放射性ヨウ素131の量が一向に減らない
2号機
① 格納容器から水漏れしている
② 圧力容器の温度は低いので、圧力容器とその配管は無事らしい
③ 比較的順調に冷温状態に移行できそう?
3号機
① 1号機と同じ状態か、爆発の影響で配管系の損傷は1号機以上
② 燃料プールは瞬時臨界爆発を起こした恐れがある
③ ほとんど手の付けようが無い状態。
④ 水棺化でどうにか冷やしている。
4号機
① 燃料プールはひび割れて漏水している
② 常時注水が必要
③ 開いた原子炉状態なので、大気中への放射性物質の放出は一番多かったのでは
■ 問題の本質は政府の隠蔽体質 ■
上の記述は私の妄想ですから、「風評」の類に相当します。
しかし、そういう妄想を刺激するのは、政府が事の重要さを隠蔽しているからです。
私は原発事故の初動において、菅首相の陣頭指揮は決して間違ってはいなかったと思います。
しかし、周辺住民の避難や、15、16日に東京に降り注いだ放射線(量は不明)に関する情報の隠蔽は決して許されるべきものではないと思います。
原子力災害においては「最初に逃げろ」が基本です。
大量の放射線は、事故の初期に放出されます。
① 近隣30Km圏の避難
② 学校の閉鎖
③ 首都圏の外出を控えさせる
この3点が初期被爆を防ぐ上で、必要な処置でした。
政府はチェルノブイリから何も学んでおらず、国民の生命を危険に曝しました。
パニックを恐れての事とは思いますが、海外や関西に脱出した外国人の反応が正しく、日本人の対応は原子力事故や、核戦争を想定した訓練がされていない事の危なさを露呈しました。
未曾有の津波被害で混乱していたとは言え、原発事故は地震とセットでやってきます。危機管理の甘さが露呈しました。危機が発生した場合は、アメリカの例を見るまでも無く、フェーズや状況毎のマニュアルを作成しておいて、粛々とそれを実効すれば良いのです。
■ 原子力発電所は廃止すべき ■
前回の記事ではありませんが、原子力発電所の事故の被害は甚大です。
一方でその対策はいたってお粗末です。
今回の福島とて、奇跡的な幸運が重なってチェルノブイリの1/10の規模の事故で収まっています。しかし地下水や海洋汚染まで考えれば、放出放射性物質の量は、チェルノブイリ以上です。
① 日本の経済が被った被害は、海外の風評被害も含めて多大
② 東京の首都機能に制約を受けている
この点だけ考えても、原子力発電を維持するメリットよりもデメリットが高くなります。
地震の断層に真上にある浜岡原発が、いつ地震で同様な事故を起こすか分かりません。
① 福島の事故は津波による電源喪失では無い
② GEのマーク1原子炉が構造的に抱える冷却材喪失事故である
③ ヨーロッパでは既に対策がされているが、日本は対策されていない
④ マーク1は配管が炉の下側に接続されているので、配管破断で冷却材が喪失する
■ 原発廃止へのロードマップ ■
反原発派は自分達が既に勝利の果実を手にしている事に気付いていません。
日本において新規原発は既に建設出来ません。
① 新規原発の建設は、原発の安全性が確立するまで凍結
② 東海地震で事故を起こす恐れがある浜岡原発を速やかに停止する
③ 今回の事故原発と同型のGEのマーク1以前の原子炉を停止する
④ 耐用年数の延長を禁止する法律を作成する
⑤ 耐用年数を迎えた原発から、廃炉になる
⑥ 30年後には、ほぼ全ての原発が廃炉になる
どうでしょう、これなら経済のインパクトも少なく、原発が日本から無くなります。
① エネルギー効率85%(廃熱の利用を含め)のガスタービン発電を推進しする
② 送電網を電力会社から分離して、発電事業者の売電コストを下げる
③ 省エネを推進する
④ 自然エネルギーは災害時のバックアップとしての位置付けとする。
⑤ 自然エネルギーのストレージとして、電気自動車を活用する
⑥ ナトリウム蓄電池など、新世代の低コストな蓄電池を開発する
⑦ 新世代の安全な原子炉の開発を行う
どうでしょう、電力会社は困りますが、ガス会社は喜びそうです。
問題は原油やガスの価格です。
中東有事から、原油高騰が発生すれば、原子力への依存が捨てられないかもしれません。
それでも、浜岡と耐用年数を過ぎた原発は止めるべきです。
■ 反原発論者の本当に敵は「LNT仮説」 ■
反原発論者達は事実上の勝利を手にしているのですから、それを実現する政党を選べば良いだけです。そして、政策の主軸は、「原発の廃止」では無くて、「浜岡を止める」にすべきです。これなら自民党も納得するはずです。
今後は活動の主目的を、「LNT仮説」の検証に向けるべきです。
「低線量率放射線」の安全性が確立すれば、多くのメリットがあります。
① 避難地域が縮小できる
② 食物や水の汚染の心配が縮小する
③ 原発の事故の補償費が縮小できる
④ 放射性廃棄物の管理が容易になり、廃炉が促進される
さらに「放射線ホルミシス効果」が立証できれば
① 様々な疾病に対する治療効果が期待できる
② 比較的安価な医療なので、医療費削減が可能?
③ 抗がん剤など、副作用の強い医療への依存度が下げられる
④ 体に優しいので、高齢者医療に適している
さて、私達は今後どう放射線や原発と付き合っていくのか、今こそ建設的に議論すべきです。
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