■ ロイターコラムの記事が現在の世界経済の状況を上手くまとめている ■
「プット乱発が招く終末論」 河口 浩一(ロイター)
http://jp.reuters.com/article/jp_blog/idJPTYEA1O00S20140225
<全文引用>
1987年10月のブラックマンデー後に登場した「グリーンスパン・プット」以来、乱発されるプットが投機筋を支援している。プット・オプションは保有資産を壊滅的な暴落から守る一種の保険だ。
何か危機が起こり株価が急落した時に、米連邦準備理事会(FRB)が大量の流動性を供給し、投資家に保険を提供したことから投機家は安心して市場に参加できた。98年のロングタームキャピタルマネジメントの破たん、2000年のITバブル崩壊後もFRBは積極的な流動性供給を行って金融市場を壊滅的な被害から救った。
グリーンスパン・プットはバーナンキ・プットに引き継がれ、リーマンショック後の急ピッチなフェデラルファンド(FF)金利引き下げと量的緩和(QE)シリーズにつながっている。
プットと呼べば聞こえは良いが、簡単に言えば八百長賭博だ。博打を張って勝てば大儲け、負ければ、胴元が掛け金を戻してくれるようなシステムであり、それに気付いた投資家だけが大儲けした。プットを前提とする株式市場では、景気や企業業績など実はどうでもよい話で、中央銀行の存続可能性だけをウォッチしていればよいことになる。多少無茶してバブルになっても最後は中央銀行が何とかしてくれるからだ。
プットの匂いを嗅ぎつけた投機筋は、東京株式市場にも大挙流入。連日のように乱高下を繰り返してサヤを抜く売買が行われている。
4月の消費増税後の景気、企業業績は不透明だ。安部晋三首相はデフレ脱却と経済の好循環を実現するというが、賃金の上昇は企業による国内生産への回帰を阻害するかもしれない。設備投資が盛り上がらない中で余剰資金はもっぱら金融市場が引き受け、バブルを生むとの期待が株価を支えている。
いまや市場関係者の最大の関心事は「黒田プット」であり、「KB2(黒田バズーカ2)が何とかしてくれる」という楽観論が支配している限り、株価は大きく崩れないとの見方も多い。米国も同様。経済の先行きが不透明な中、ゼロ金利の長期化期待が株式市場を支えている。何かあれば「イエレン・プット」が出るとの安心感もある。
一方で、世界的なプットの乱発により実体経済の伴わないバブルの生成と崩壊が繰り返され、いずれ資本主義は終えんを迎えると警告する有識者もいる。
だが、終末論を唱えるのは気が早い。日本では長期金利がポイントになりそうだ。
金利が急上昇すれば円安・株高の前提は崩れるが、現状の需給構造では考えにくいというのがプロの読み筋。機関投資家が国債市場を健気に支え続ける限り、外部環境が多少ブレても円安・株高の基盤は揺らぎにくい。破滅的な事態になるのはまだ先とみる海外投資筋の「どんちゃん騒ぎ」は当面続くのではないか。
(東京 25日 ロイター)
<引用終わり>
■ 損失補てんが続く世界 ■
1) 不景気が発生する
2) 中央銀行が金利を下げる
3) 過剰投資が発生し、バブル化する
4) バブルが崩壊する
5) 中央銀行が金融緩和でバブルの損失を補てんする
6) 景気回復に伴って再びバブルが膨らむ
7) バブルが崩壊する
8) 中央銀行が金融緩和でバブルの損失を補てんする
9) より巨大なバブルが発生する
10)バブル崩壊が世界経済の継続性を脅かす規模に拡大する(リーマンショック)
11)中央銀行が狂った様に通貨を発行して損失を補てん、穴埋めする
・・・・・
現在の世界は11番目の状況です。
本来ならば世界的にインフレが発生するはずですが、供給された資金は金融市場に留まり、そこでバブルの芽を育てているので、世界の実体経済はデフレ基調です。
■ どこまで継続可能なのか? ■
金融市場のバブル崩壊が実体経済に影響を与えないのであれば、バーチャルマネーの饗宴は規模を拡大しながら永続します。
しかし、金融市場の崩壊がリーマンショックの様に世界の実体経済に大きな影響を及ぼす以上、この様な空騒ぎもいつかは終焉を迎えます。
では、「終焉とは何か」と問われれば、「通貨の信用の喪失」となります。
中央銀行が発行する債券である所の「通貨」が紙切れに過ぎない事は既知の事実ですが、世界を便利なので通貨を利用しています。現物金では持ち歩きも不便ですし、分割も難しい。さらには量に限りがあるので、経済成長を抑制してしまいます。
だから、ニクソンショックによって世界の通貨は金に別れを告げ、純粋な紙切れを選択しました。
■ ビットコインの様な電子通貨と現存の通貨は何が違うのか? ■
ビットコインの大手取引所であるマウント・ゴックスが営業を停止した事がニュースになっています。
ビットコインは電子通貨の一つですが、中央銀行や政府の裏付けのあるものでは無いので、「電子化された金券」と考えると分かり易いかも知れません。
通常の通貨をあるレートでビットコインに交換して、それを決済に使うのですが、手数料が安く処理時間が短いので、国際決済などに使う人達が現れました。しかし、各国の財務省はこれらの電子通貨を「通貨」とは認めていません。
電子通貨の不透明性の一つに、「通貨の価値の裏付けが無い」と言う点が挙げられます。仮に電子通貨の運営主体がトンズラした場合、誰も電子通貨の価値を保障してくれません。
では、「中央銀行券」の価値は誰が、どの様に保障しているのでしょうか?
・・・・実はこれも良く分かりません。
そもそも日銀やFRBの資産のほとんどが「国債」なのですから、中央銀行の発行する通貨とは、国債を細分化して証券化したものとも言えます。実際にドルにはそう印刷されているみたいです。
人によってはこれをもって、「その国の総生産力や資産が通貨の価値を保障する」と言います。
しかし国土を切り売りする事は事実上不可能ですし(出来なくは有りませんが・・)、その国の生産力を通貨に反映すると言っても、暴落した日本銀行券を為替市場で安いコストで大量に手に入れた外国人が、それこそ札束で頬を打つ様に日本の資産を買い漁る姿しか私には創造出来ません・・・。
こうして考えると、「通貨の価値とは、通貨という便利が紙切れが、常識の範疇の量だけ存在している事によって支えられており、国家の威厳によって価値がある様に錯覚されている」という事になるのかも知れません。
■ 民間の不良債権の証券化商品となった通貨 ■
リーマンショックでFRBはMBSを大量に買い入れています。日銀の日本株や不動産REITまでバランスシートに組み込んでいます。最早、中央銀行券はこの様な民間の不良債権の証券化も含有しているアヤシイ物になってきています。
何だか、江戸末期の小判に金以外の不純物が多くなって、小判の信用が失われインフレが発生した状況に似ています。インフレは下級武士の生活を崩壊させ、討幕へのエネルギーを生み出す事になります。
■ 皆で増やせば怖く無い作戦 ■
リーマンショック後のFRBやECBや日銀の緩和政策は、「みんなで増やせば怖く無い」戦略でした。
通貨は発行量を増やせば価値が減りますが、ドルもユーロも円も等しく増えれば相対的な価値は変化しません。要は為替レートは比較的安定した状態を保つ事が出来ます。
一方、増えたお金が実体経済から切り離されて、金融市場に滞留しているので、極端ばインフレも発生していません。インフレになっているのは金融市場や株式市場、現物市場などに限定されています。
■ 新たなバブルは何処で発生し崩壊するのか? ■
メディアは株式相場を経済の一つの指標にしています。
毎日、株価がニュースで報道されます。
一方、世界の資金の多くは国債市場に投資されています。国債市場は株式市場よりも規模が巨大なので、世界の資金の多くは国債市場にプールされています。
現在は世界的に国債金利が低水準ですが、これは裏を返せば国債価格が高止まりしてうるとも言えます。例えば、アメリカの10年債の金利が現状は3%弱ですが、一昔前は6%~7%が普通でした。国債価格はその時代から比べて値上がりしています。実際の国債価格のい変動は大きくないので、これがバブルかどうかは、国債価格が暴落した時に初めて分かります。
但し、国債の信用は容易には揺らぎません。
その国がデフォルトしない限り、国債は償還まで保有すれば必ず換金出来るので、無価値になる事が無いのです。(但し、インフレの進行で損失は発生します。)
■ 幻想が支える世界 ■
結局、現在の世界は「国家の信用」という幻想に支えられている様です。
国家への信用が、国債の信用を生み出し、通貨の価値という幻想を支えている・・・。
「信用」って何と考え出すと、無限ループにはまる問題ですね。こうして、明確な答えが見つからない事が、実は通貨の価値の源なのかも知れません。
本日はとりとめのないヨタ話でした。
B「禅問答、ですか、そうですね、御札の、ようなもの、でしょうか、信じるものは救われる」
P「その世界を維持するには、どうすればよい?」
B「簡単です、未だ、紙幣を使用していない、人間全てが、紙幣をつかうようにすればいい、それまで、紙幣は大丈夫です、一度、紙幣の味を覚えたら、物々交換の世界には戻れませんし、大体、紙幣を信じないで、今の世の中で、生きてはいけませんから」
P「高橋、って奴は、作った野菜を、町で魚と交換しているぞ」
B「あいつは変人ですから」
貨幣と現在の信用通貨システムの発明が無ければ、世界は未だ中世の様だったかも知れない事を考えると、これらが「悪」とは単純には言い切れませんが、一方でそれを悪用して結果的にシステム自体を崩壊さえる人達が絶えない事が問題なのでしょう。
もっとも、そのボスが中央銀行だったりしたら目も当てられのですが・・・。
日本国内では法人税がたかいと、わるもののように言われているが、控除 福利厚生などを考えると本当に高いんだろうか?法人税を優遇されて得た資金で、海外に工場を作り国内の産業は内需分だけと言う風に衰退していくのは明らかな気がする。
海外は進出してくれることを望んでいる。働く場所ができ、ものであふれ、豊かになるからだ。技術は日本からすべて持ち込んでいるので開発などいらない。企業としては、日本から輸出するより、風当たりは 和らぐ。願ったりかなったりだ。
新聞や経済誌などを見ると日本経済は明らかに上昇気運に入っているようです。しかし最近“トリクルダウン効果”の終焉!という短い文章を目にしました。富裕層、大企業にお金が回るようになると、少し遅れて中間層、貧困層にも回り始めるという効果だそうですが、百貨店などは昔、“シャワー効果”とも言っていました。ところが、どうも現実はそうでは無い様です。大企業や銀行は自己資本比率を高め、海外に含み資産をプール、一部の富裕層も利率のいい海外ファンドに投資しているようです。例えアルバイトの人の時給が5%増えても自動的に消費税で持っていかれ、電気代などの物価は上昇、テレビのニュースでは日頃行く事の無い百貨店などでの高級品が売れ出している!という話が伝わってきます。
新興国でも中間層・貧困層の生活がさらに困窮し始めています。みんなが貧しくなるのであればまだ納得が出来るのですが、収入の格差があまりにも広がっている事を目にしてしまうと、暴動が起こっても仕方がありません。輸出が伸び悩んでいる、原発が止まり代替エネルギーの輸入が増えた、などという事が言われていますが明らかに世界の流れは“地産地消”、車などの大きな商品はFTAでメキシコなどのアメリカの消費地の近くで組み立てた方が安上がりです。可能な限り部品も現地で作った方が便利です。“トリクルダウン効果”という真しやかな話にもう人々うんざりしています。できれば自分自身が富裕層になればいいのですが・・・
現在の金融システムや銀行が巨大が故に潰す事が出来ませんね。人々もこの様な大きなシステムが幻想の上に成り立っているとは思っておいません。大きい事はある意味でのリスク回避になるのですが、いつかはシステムを支えるコストが限界を超えるので崩壊は一気に進むのでしょう。
ビットコインなどの実験は現在の中央銀行制度が行き詰った時の次のシステムの実験なのだと私は考えています。だから金融当局も規制を掛けていません。
国家の信頼の上に成り立つ通貨から、世界中の人々の共通幻想と利便性に支えられた通貨への変貌が起こり得るのかも知れませんね。
消費地になるべく近い場所で生産する事は、輸送コストの削減と貿易摩擦の解消から不可欠となっています。特に車の様に大きな商品では、輸送コストのバカになりません。
賃金の安い国は電力などのインフラ整備が不安定なので、停電などのリスクに耐性のある産業から移転が進み、インフラと労働者の質の向上と共に、高度な技術を必要とする産業が進出して行きます。まさに戦後の日本の辿った道です。
かつて日本とドイツは工業生産国として比較されていましたが、いつしか日本は内需型、ドイツが外需型となってしまった様に見えます。
ただ、ドイツは日本の人口は日本の6割程度なので内需の規模は日本の半分程度しか無い事を念頭に置けば、そんなに大きな差がある訳では無いのかも知れません。
ドイツ車と言えども海外生産が進んでいる事も事実です。ただ、彼らはブランド戦略に長けているので、無理なコストカットでブランドイメージを低下させる事はしません。
どうしたら価格競争に引きずり込まれないかというノウハウはヨーロッパ諸国の方が持ち合わせている様です。
トリクルダウん効果を生み出す資産市場の価格上昇はバブルを生みやすく、これに頼る政策はいつかは行き詰ります。
バブルは大きければ大きい程、崩壊しおた時の破壊力は大きいので、アベノバブルがプチバブルで縮小に向かう事は、むしろ好ましい結果とも言えます。
やはり地道な技術開発や、自由な発想の育成こそが、国家の次の時代の糧となるのでしょう。
尤も、優秀な人材に国境は既に存在しないので、結局、富裕層に有利なアメリカなどが、世界の人材を吸い寄せて新たなイノベーションの温床となります。
日本は「平等的な向上」によって生産性が向上する単純な工業化の時代を過ぎてしまいましたので、これからはあアメリカ同様に「不均等」によるイノベーションに期待せざるを得ません。
一部の成功者が次の雇用を生み出して行く時代に成る時に、現在の規制だらけ、横並び優先の日本のシステムは足かせにしかならない・・・・。
結局、「平等」なんていつの時代も幻想に過ぎないのですが、多くの人は「平等」が存在すると錯覚しているのでは無いでしょうか。この幻想が民主主義を支えており、国家の安定が成功者達の生活を保障している事は皮肉としか言いようがありません・・・。
日本は東京での土地バブルの崩壊後、地方に派生し、さらに一部の土地が高騰していました。中国でも鉄鋼業界が生産過剰で世界的に作り過ぎなのが判っていても、新たに施設を作り始めています。この事が空気の汚染に大きく影響しています。もし、事業規模を縮小するとなると夥しい失業者が溢れます。一種の国家経営の癌のようです。余った夥しい資金が行くところを探しまくって、古い施設を廃棄しても、こっそり自分だけは、という事で新設されます。高度成長が当たり前になっていて、狂ったように政府を突き上げます。もはや冷静な判断が出来ないようです。この事は必ず近い将来に破綻します。
明らかに過剰設備です。戦争を起こすより終息させる方が何倍も難しいと言われていますが、日本でも20年以上かかって、まだ、完璧に終息されてはいません。規模が大きい中国経済はそれほど簡単に着地出来ないかもしれません。絶対、日本より難しいです。
第一次世界大戦までの戦争は資源の争奪戦争でしたが、第二次世界大戦は過剰生産を解消する為の市場の争奪戦争であったと思います。
産業革命以降の生産性の向上は、必ずしも世界に平和を齎しているとは思えませんね。
生産設備の破壊による過剰生産性の解消という意味においても、あるいは破壊による巨大な需要の創造という意味においても、『戦争の魅力』が高まります。
世界の経営者は「冷戦構造」によって第二次世界大戦後に世界の過剰生産性に歯止めを掛けましたが、冷戦構造の解消とグローバリゼーションの浸透が、世界を第二次世界大戦直前の状況に戻してしまった様に感じています。
私は「尖閣紛争」によってアジアで再び冷戦構造が再構築されるのではないかと思っています。「クリミア」という過去の因果を背負った地域が再び騒がしくなっていますし・・・歴史は繰り返すのかも知れません。