■冷静に考えてみれば■
昨日は少し感情的に書いてしまいましたが、
冷静に考えてみれば新型プリウスが205万円の意味はとても大きい。
先ず、現状のまま金融危機が進行した場合、
アメリカのみならず世界中の車の需要は強烈に落ち込みます。
何か新しい価値観でも提示しない限り、
今年の自動車販売台数は国内外とも回復は見込めません。
■ハイブリット車は特別では無い■
そこでトヨタが提示した新しい価値観とは
「ハイブリットはもう特別では無い」という事。
今までハイブリットは何か特別な車で、所有者に優越感を与えていました。
経済比較に結果、ガソリン価格が高騰しなければ
経済的な優位性が発生しなくても、「プリウスに乗る」という事が
「環境に貢献できる」という小市民的ステータスになっていました。
しかし、プリウスがカローラーとほぼ同クラスの価格帯になったという事は、
もはやハイブリットが当たり前の時代が到来したと消費者に思わせる効果があります。
これでは、普及クラスのガソリン車に乗っている方は、
「普通以下」の車に乗っているという意識にさいなまれます。
さらに、「環境を悪化させている」という思い込みにも囚われます。
■車におけるパラダイムシフトを仕掛けるトヨタ■
プリウスの採算性だけを考えれば、
205万円という価格はダンピングに近い設定です。
しかし、それによって、従来のガソリンエンジン車を
「環境に悪いダサイ車」にしてしまえるならば、その効果は絶大です。
誰しもが、「次の車はハイブリット」と考えるようになります。
現状、ハイブリット車を供給出来るのはトヨタとホンダのみです。
トヨタは今年の国内生産の1/5をプリウスに当てる予定です。
■工場と従業員を遊ばせるよりは・・・■
プリウスの爆発的ヒットが無ければ、
トヨタの設備と従業員は無駄に損失を垂れ流してしまいます。
遊ばせて損失を出すよりは、トントンでも稼動させて雇用と設備を確保したい。
そう考えるのは企業としては自然かもしれません。
205万円は他社にはショックですが、
日本にはそもそも自動車メーカーが多過ぎます。
日本の国内自動車価格も高過ぎました。
■ドル崩壊まで織り込めば・・・■
最悪のシナリオとしてのドル崩壊やアメリカのデフォルトまで織り込めば、
他社との共存などと言っていられる経営環境ではありません。
どうせ、新興国の安い車に食われてしまう市場ならば、
市場が崩壊してしまう前に、市場の姿を変えてしまえばいい。
トヨタだから、あるいは創業家社長(次期)だから出来る大英断なのかもしれません。
少ないパイを食い合って共倒れする従来のメーカーと、
ハイブリットで1歩も2歩もリードするトヨタとホンダ。
自動車産業でも、「勝ち組」と「負け組」が鮮明になってきました。
後は原油の高騰を待つのみ。
まさか、今のトヨタに原油を高騰させる資金力があるとは思えませんが・・・。
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