■ 日銀は永遠に出口戦略に入れない ■
日銀の黒田総裁が出口戦略を口にする事がほとんど無くなり、むしろ追加緩和の余地を語ったりしています。
日銀は年間80兆円の国債を買い入れると発表していますが、実際の国債買い入れ額はだんだんと縮小されており、現在は年間40兆円程度となっています。これは、明らかな「テーパリング」であり、出口戦略です。しかし、黒田総裁はこれを「出口戦略」と認めません。何故なら、彼が「出口」と口にするだけで、国債市場も株式市場も大混乱するからです。
■ ゼロ金利国債では財政赤字は拡大しない? ■
政府は日銀の間接的に国債を買い取らせて財政をファイナンスしています。現在の様に、国債金利がゼロかそれ以下の場合、国債の発行量を適当にコントロールすれば、政府債務はそれ程拡大しません。
1) 日銀の国債購入で国債金利がゼロかマイナスに固定される
2) 償還を迎えた国債は、借り換えにより有利子国債から無利子国債になる
3) 上記の様な状況では、政府は国債の金利負担を軽減する事が出来る
日本の社会福祉費は1年で1兆円ずつ拡大しているので、財政赤字が減る事は有りませんが、公共事業や補助金などを無節操にバラ撒かなければ、日本の財政破綻が直ぐに訪れる事は有りません。
さらに、日銀が政府の子会社であるという「統合政府」の考え方を取れば、「国債=政府の借金=日銀に資産」となり、相殺されて「借金ゼロ」と見る事も出来ます。本当は国民の将来の税金の存在でバランスされるので、国民の借金となるのですが、ゼロ金利は国民の借金返済を先延ばしに出来ます。この状態が永続出来れば無限に国債を借り換え続ける「無限国債」が実現します。
■ 日本の低金利はいつまで続くのか ■
住宅ローンを組まれる方などは、「今は凄く低金利ですから、10年固定で借りられて、10年後に金利を見直せばお得ですよ」などと不動産屋さんに勧められるでしょう。
現状の異次元緩和が継続し、日本の経済成長がゼロ近傍で安定し、さらに物価上昇がゼロ近傍であるならば、金利が10年後に大幅に上昇する可能性は低い。
しかし、これは日本を巡る世界経済に大きな変化が無い事が前提となります。
現在のゼロ金利という「モラトリアム」が成立するのは、インフレ率がゼロ近くに抑え込まれているからです。
1) 日本が国内の成長や所得向上でインフレになる可能性はゼロに等しい
2) 円安が進行すれば輸入コストが増大し、物価が上昇する(インフレになる)
3) 中東で戦争が起これば原油価格が急上昇してインフレが進行する
4) 大規模な金融危機が発生し、各国通貨や国債の信用が失われればインフレが進行する
多くの日本人や経済が学者は、1)の状態が続くと予測しています。この場合は金利は長期的に低く抑えられます。
■ 中期的には円安よりも円高が怖い ■
円安が物価上昇(インフレ率アップ)の要因となる事は、異次元緩和直後の円安進行過程で証明されています。しかし、円安がこれ以上進行するかと言えば、むしろ中期的には円高振れる可能性の方が高い。
理由はリーマンショック直後と同様に、仮に大規模な金融危機が発生した場合、円キャリートレードの巻き戻しで円高が始まると、金融機関や生保や年金は、海外投資を手仕舞いして資金を日本の還流させます。この時、ドル売り、円買いをするので、円高はさらに加速します。
金融危機の前半で日本株は大幅に下落しますから、外国人投資家は日本株を「ドル建てで」高く売り抜ける為に円高を仕掛けます。
さらに、米政権は日本とのTAG(本質はFTA)に為替条項を設け、日本の為替介入を禁じるハズです。
こう考えると、中期的には円安によるインフレは発生し難い。むしろ、円高によって輸入物価が押し下げられ、景気減速も重なって、デフレになる可能性が高い。これも金利上昇を抑制する方向に働きます。
■ オイルショックで金利が上がる? ■
中東戦争が起こるかどうかは神のみぞ知る事ですが、ニクソンショックでドルの信用が失われそうになった時、ドルを救ったのは中東戦争によるオイルショックでした。短期的に原油価格が5倍以上に値上がりしたので、原油の決済通貨としてのドルの需要が急拡大したのです。
この時、日本は高度成長期の後半で「狂乱物価」などと言うインフレになりましたが、経済成長率が低下していたアメリカや欧州諸国では、不景気と物価上昇が同時に進行するスタグフレーションが起こりました。
各国中央銀行は対応に苦慮します。物価上層を抑制する為には金利を上げる必要が有ります。一方で、景気回復の為に金利は低い方が良い・・・。
当時のアメリカは物価抑制の為に金利を引き上げます。その結果、景気が冷え込み、アメリカ経済は不景気に苦しむ事となりました。
この様に、ドルの信用を維持する為に中東戦争を起こす事は、経済にとては悪影響が大きいのですが、アメリカは平気でこの様な方法でドルを延命させます。(陰謀論的に)
もし仮に、次なる金融危機からドルの信用問題が発生した場合、中東戦争が発生する可能性は低くはないと私は妄想しています。当然、原油価格は上昇して、日本でも「スタグフレーション」が発生します。
この時、日銀がゼロ金利を維持出来なくなると、日本国債の需給バランスが崩れて、財政破綻の危険性が高まります。これは最悪のシナリオなので、日銀は金利引き上げが出来ずに、日本のインフレはそれなりに進行するものと思われます。これに引っ張られる形で、市中金利が上昇するでしょう。
■ 次なる金融危機が発生するかどうかで、日本の金利予測が大きく変わる ■
日銀が異次元緩和を継続する限り、日本の低金利は継続します。
しかし、金融危機や中東戦争など、外的要因によって物価が上昇する可能性は否定出来ません。
ローンを35年固定で組むか、10年固定で組むか、変動で組むか・・・素人には、どれが良いのか分かりませんが、ローン選択も投資と同様に「賭け」です。
変動金利は「リスク」を取る事で金利を低く抑える事が出来ます。10年固定はリスクが中程度
35年固定はリスクが低い。
私が住宅ローンを組んだ時には、住宅金融公庫の35年ローンの金利は3.3~3.8%程度有りましたから、私からすれば現在のフラット35の金利だって充分に低い。
むしろ、これ以下の金利でしかローンの返済計画が立てられない様ならば、住宅購入を考え直した方が良いと私は考えます。住宅が余る時代、質を選ばなければ、賃貸住宅の家賃はかなり抑えられます。
借りに金融危機が発生してリーマンショック後の様な状況になった場合、リストラや賃金カットにローン返済が耐えられるのか・・・私はそこが心配です。実際に50代の住宅ローン破産が増えています。
マイホームは夢ですが、金融緩和バブルで住宅価格が高止まりしている今買うのは損です。もうすぐ、バブル後やリーマンショック後の投げ売り状態は発生するかも知れないのですから。
態は発生するかも知れないのですから
バブル後、10年くらいかけてゆっくり下がったと私は記憶
しているんですが。
日経平均のバブル期の最高値が1998年12月28日の38,916円、その後1990年9月30日の20,222円まで短期で下落して一旦底を打ちました。
その後もダラダラと下がり続け、リーマンショック後の2009年3月10日に7,054円の最安値を付けています。
問題は、この様な大幅な下落が起こると、日銀の保有する株式の含み損が拡大して、下手をすると日銀が債務超過となる可能性も在ります。
その場合は、日銀の保有株を別会社に飛ばしてバランスを取るのでしょうが、その株はしばらくは塩漬けでしょう。ここで、この株が売却される様なら、日銀は金融マフィアの走狗決定です。
本来なら長期金利も1%くらいにしなければおかしいのですがそれは出来ない。
となると消費増税を行うしかなくて、延期など許されない。
それがわかっていない萩生田さんは、日銀短観も知らないくせに、
と言われても仕方ないでしょう。
(本当にわかってないのは、その後ろにいる安倍さんかもしれませんが)
私は消費税増税は消費に冷や水を浴びせる事で、インフレを抑制して金利上昇を抑え込む、財務省の寝技だと信じて疑いません。
そう何度も消費税増税のカードは切れないので、異次元緩和実施後の物価上昇局面でしか増税が達成されていません。
逆に言えば、FRBもECBも金融緩和を拡大する事は難しい状況で、緩和バブルが弾けない為に日銀に緩和拡大のカードを切らせ、セットで消費税を増税して国内のインフレやバブルを抑制するという、「巴二段投げ」みたいなトリッキーな技が繰り出される可能性も否定できません。
簡単に言えば人的資源の供給制約、オイルショック物を作る際に材料が不足して物が作れなくなったのが、物資の供給減少に繋がり、高くても買う人がいれば、物価が上がる。