習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

劇団息吹『少々乱暴』

2012-06-13 21:11:22 | 演劇
 とても野心的な作品である。ベテラン劇団である息吹が、こういう若々しいチャレンジをする。そういう姿勢が、もうそれだけでとても素敵だ。創立54周年を迎えるという彼らが、それでも守りには入らずに果敢に挑戦を続ける。貪欲にもっともっと新しいことを求め、自分たちが作ったことのない芝居を夢見る。ここ数年はドーンセンターのパフォーマンススペースという何もない空間で、狭いスペースを劇場にして、まず劇場作りからス . . . 本文を読む
コメント

浪花グランドロマン『唇に聴いてみる』

2012-06-13 20:57:54 | 演劇
 80年代演劇のこのこだわりは、今の時代にはあまりにセンチメンタルすぎて、伝わりきらない。あの頃、あんなにも涙を流した感動の作品なのに、まるで胸に迫らないのが驚きだった。あの頃どうしてこの話に泣けたのだろうか。それは南河内万歳一座のエネルギッシュな舞台の熱気がセンチメンタルを突き抜けたことで生じたものなのか。でもそれはこの醒めた時代には、もう通用しないものなのか。  演出の浦部さんは、敢えて一歩 . . . 本文を読む
コメント

演劇集団☆邂逅『照りもせず』

2012-06-13 20:55:46 | 演劇
 『源氏物語』を原作にしたミュージカル・スタイルの作品。邂逅らしい題材の選び方だ。しかも、膨大な原作の中から、朧月夜と源氏を主人公にするという発想もすばらしい。晩年の源氏を描きながら、それを相変わらずの軽くてチャラい男として見せるというのもおもしろい。林真由子さんが演じる、いくつになっても軽薄で、女から女へと渡り歩く永遠のプレイボーイ、光源氏という設定は、原作のファンからは顰蹙かもしれないが、オリ . . . 本文を読む
コメント

森絵都『気分上々』

2012-06-13 20:54:08 | その他
 2000年から今年の1月までに書かれた(というか、発表された)短編を、1冊にまとめたもの。「森絵都デビュー20周年記念作品」なのだそうだ。それって、まるで歌手か何かのようだが、彼女は小説家である。そんな彼女のさまざまな一面が垣間見える短編集だ。  どちらかというと、軽い作品が多い。ショートショートのようなものもある。だが、そこには彼女の確固とした姿勢が貫かれているから読んでいて気持ちがいい。生 . . . 本文を読む
コメント