16年前に書かれた『ここからは遠い国』の続編。地下鉄サリン事件を扱い、教団を脱走した2人の男たちのその後を描いたあの作品の、さらにその後を描く。もう一度あの事件を今取り上げる上での岩崎さんの覚悟はフライヤーからも伝わってくるが、この時期にまさか菊池直子が捕まるなんて、ちょっとタイムリーすぎて、変な気分だ。
とは言え、この作品はオウム真理教を描くのでも、サリン事件を直接に描くのでもない。この作 . . . 本文を読む
なんて優しい世界だろうか。阪神淡路大震災で被災した男が見る夢が描かれる。あの日の夜。ひとりで過ごす時間。死んでしまったものたちが、彼のもとを訪れる。そこでともに過ごす時間が描かれる。3話からなる連作だが、お話は続いているから1本の長編作品として理解してもかまわない。主人公も同じだし。
これは死者との対話であり、死者に導かれて旅する話でもある。『銀河鉄道の夜』とか、そう言えば大竹野の『サラサー . . . 本文を読む