こういう映画を見るとほっとする。懐かしい昔ながらの正統派アクション・ミステリーだ。ちゃんとしたストーリーがある! そんなことに驚かなくてはならないくらいに今のハリウッドの大作アクション映画は、バカばかり。ド派手なアクションを適当なCGで見せたなら、観客は喜ぶだろう、とばかりの中身のない安直な映画ばかりが横行する。最近ではCGアクションは見ていて、バカにされた気分になる。まじめにやれよ、と言いたく . . . 本文を読む
これもTVシリーズの映画化作品だ。今年に入ってもう3本目である。別にTVシリーズのファンではない。というか、今年見た前2作(『妖怪人間ベム』『鈴木先生』)同様オリジナルのTVシリーズを見ていない。キャスティングと、予告編の雰囲気がよかったから、見てみたのだが、これがなんともいいようのない映画だった。
誉田哲也の姫川玲子シリーズである『インブジブル・レイン』の映画化なのだが、TVドラマシリーズ . . . 本文を読む
歌劇というスタイルを取りながら、その中で、演劇ならではの世界を見せてくれるいちびり一家の久々の新作は、とかげのしっぽに導かれて、記憶と忘却を旅する物語だ。
舞台上をさまざまな人物が右往左往していき、そこにいくつものお話が重層的に積み重なり、失われた記憶を求める冒険が描かれる。とかげたちの歌声からスタートして、ある研究所での、お話へとスライドしていく。彼らは帰る道を失った。それを探すために日夜 . . . 本文を読む
加藤遥子さんによる独り芝居。70分の舞台を彼女がひとりで支える。とてもよく頑張っているけど、全体の構成がいまひとつピンとこない。フライヤーと本編の内容のあまりの較差も、ちょっとどうかと思う。「乳歯くん、はじめて入試に行くの巻」というサブタイトルから想像するものとの落差も、どうだか、と思う。
アンネ・フランクの話と、かわいそうな象の話という核になる2つのエピソードは、それぞれ独立した短編なのだ . . . 本文を読む
今回のレトルト内閣は6年前に上演された人気作品をリニューアルさせたものらしい。僕は初演を見ていないから、今回が初見。今のレトルトの作風のスタートラインとなった記念碑的作品だということだ。だが、ここ数年の新作を見続けてきた目で、この作品を見ると、少し物足りない。
スタイルは今と同じなのだが、作品の底が浅すぎる。こけにされたオカマたちの復讐物語、という構造なのだが、お話がそこで止まっている。もち . . . 本文を読む
中村義洋監督、濱田岳主演という黄金コンビによる新作は、彼らにとって代表作となる。これは近年稀にみる傑作だ。団地を舞台にして、そこから一切出ることなく人生を送ろうとするひとりの男の物悲しい生きざまを描く。
60年代、未来の町として誕生した団地。そこにはすべてがある。団地から出なくても一生を終えることが可能だ、と言われた。だが、現実はそんな未来都市を追い越していく。気付くと、団地は色褪せて、見る . . . 本文を読む