これを傑作と呼ぶのは、はばかられる。このレベルのアクション映画なら、以前は山盛りあった。ちょっと風変わりなB級アクション映画の佳作、そこどまりの作品だ。ドラマに奥行きがないから、それ以上のものにはならないのだ。冒頭の強盗シーンはなかなか見せる。主人公は抜群のドライビング・テクニックを持つ。警察を見事まいてしまう10分ほどのカーアクションは導入部として上々だ。
主人公の抱える心の闇は、同じマン . . . 本文を読む
突然父が死んでしまい、遺された兄と妹は、たった2人で葬儀をやり遂げなくてはならなくなる。親戚や、近所の知人たちに助けられ、7日間も続くさまざまな儀式をこなして、無事に父親を向こうの世界へと送り出すことができるのか、を描く。台湾での葬式のさまざまな約束事が、とても不思議で新鮮な驚きを与える。そのひとつひとつがまるでドキュメンタリー映画のようにとても丁寧に描かれる。昔、伊丹十三が『お葬式』という映画 . . . 本文を読む
お話は1900年のフランス万博の前年、1899年パリで始まる。日本からやってきた青年コウヤが主人公だ。19世紀の終わりから21世紀の始まりまで、100年余の歳月を生きた彼の孤独を描く。永遠の命を手にしたものの苦悩をリアルに描いていくのだ。マンガチックで、荒唐無稽はものにもなりかねないような話なのだが、そうはならない。
今から100年以上前のパリの風景をリアルに描くことからスタートして、そこに . . . 本文を読む
なんと今回は野球小説だ。小路幸也が新境地開拓か、と期待して読む。いつものパターンを封印して「よくあるスポーツもの」をする、のか、と思う。だが、しばらく読んでいくと、やっぱりいつものパターンを根底にしたドラマ作りをする。安心するやら、がっかりするやら、よくわからないけど、要は面白ければそれでいいから、どんどん読み進める。前半はかなり面白い。別に特別な選手がいるわけでもないのに、なぜか強い。しかも、 . . . 本文を読む