前半はめちゃくちゃおもしろいのに、後半になると、びっくりするくらいに、失速する。お話がまるで広がっていかないのだ。アイディアの面白さだけで、それを展開させていくだけの力がないから、こうなるのだ。それは原作であるコミック自体の問題なのか、それともこの映画の構成力のなさが原因か。
どっちにしても、もったいない映画だ。わけのわからない住人たちが住む荒川のほとり。彼らのド肝を抜かされるような風態に、 . . . 本文を読む
あほらしい映画だが、身の程をわきまえて、まじめにアホをしているのは、好感が持てる。でも、ただのアホ。大体「アフロやめりゃいいやん。」それで、すべて方がつくことなのだが、それを言ったらおしまいなので、誰も言わない
アフロという飛び道具を中心にして、もてない男が、自分なりに必死で生きる様を描くのだが、その滑稽でバカバカしい姿に共感できる映画にできたなら、よかったのだ。でも、それって簡単なことでは . . . 本文を読む
これはとても惜しい映画だ。瀬戸内海の小さな島を舞台にして、父を失った少女と、その母親が再生していくまでの小さなドラマが、3人の妖怪たちとともに描かれていくアニメーション映画なのだが、風景がとても美しく、そんな中で、というかそんな場所で、暮らすことになる主人公のももの日常生活を実に丹念に描いてある。だから、ただそれだけで十分満足できる映画なのだが、それだけ。
ドラマに全く奥行きがなく、表層的な . . . 本文を読む
この何の答もない小説を読みながら、ここで描かれる問題に答えを求めるほうが、無駄なのだ、とわかっていても、なんかそれってとても疲れる。じゃぁ、これを書いた作者にとって、これを書く意味って何だったのか、と問い返したくなる。柳美里が、今、この状況をどう捉え、そこからこの国はどこに向かっていけばいいと思ったのか、それが正しいとか、間違っているとか、そんなことではなく、この作業を通して、彼女がどこに行こう . . . 本文を読む
ラース・フォン・トリアーによるSF映画。その取り合わせの妙。それって、タルコフスキーのSF映画と同じような感触だ。もちろん、これを『ソラリス』と並べようというのではない。まるで別の映画だし、アプローチも違う。だが、従来のSFとはまるで違う、という意味では似ているかもしれない。
前半は妹(キルスティン・ダンスト)の結婚式のシーンが延々と続く。1時間以上、ただそれだけ。これは『ディア・ハンター』 . . . 本文を読む
自衛隊の空自、広報室を舞台にした長編小説。冒頭で取り上げられる月9のドラマ並みにとても軽い読み物なのだが、とても面白い。最初はこの中身のなさに、最後まで付き合わされるのかと、ちょっと気分が乗らなかったのだが、(だって、500ページもあるのだ)だんだん彼らの毎日と付き合うのが楽しくなってくる。「お仕事」小説として、よく出来ているからだ。
自衛隊という特殊な場所について、へんな先入観を持つTV局 . . . 本文を読む