習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』

2014-07-07 19:48:56 | 映画
 西加奈子の小説を映画化するのは、難しい。本で読むとあんなに面白いのに、それを映像で見せると、なんだか、もの足りないのだ。なぜだろう。今回も行定勲だし、前作(『きいろいゾウ』)も廣木隆一だったし、日本を代表する逸材が挑むのに、見ながら何か違うよ、と思う。  大阪弁がわざとらしいとかいう映画はよくあるけど、この映画はそうではない。細部までとても丁寧に作られてある。子供たちも生き生きしている。大人た . . . 本文を読む
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大阪現代舞台芸術協会プロデュース 『坊っちゃん』

2014-07-07 19:43:20 | 演劇
 夏目漱石の『坊っちゃん』というテキストを使って、2本の芝居を作り上げる。それを連続して見せる。自由脚色という域を大きく踏み外して、2人の作家が大胆な構成、演出で、一見とても単純なこの小説を思いもしないものへと、作り上げて(作り変えて)いく。テキストを解体して、自分の方法論のもと、独自のアプローチを試みる。これは漱石について、あるいは、現代の日本が置かれた現状に対しての考察ですらある。  同じテ . . . 本文を読む
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『サードパーソン』

2014-07-07 19:29:55 | 映画
正直言ってあまりおもしろくはなかった。ショックだ。だってこの映画は『スモーク』(脚本)、『クラッシュ』のポール・ハギス監督作品である。しかも、彼らしい素材だし、こんなにも好き放題している。なのに。  どうしてこんなことになったのか。もちろん、僕の期待値が高すぎた、ということもある。でも、彼ならそんなものを軽く上回るものを見せてくれるのではないかと信じていただけに、ショックは大きい。3つの都市で . . . 本文を読む
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舞台処女『看板BOY』

2014-07-07 19:02:11 | 演劇
20年間ひきこもったままの男。たったひとりの肉親である母の死によって天涯孤独になったとき、彼は自分の意志で部屋を出ていく覚悟をする。もう彼を守ってくれた母親はいない。自分の足で立ち、行きなくては、ここで餓死するしかない。必要に迫られたからの選択ではない。(客観的には、そうとしか見えないけど) 何が彼を追い詰めたのか。なぜ、彼が生きる決意をしたのか。その一番大事な部分が曖昧なままなのが気になる . . . 本文を読む
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『タイピスト』

2014-07-07 00:29:49 | 映画
 こういう映画がなぜ今作られるのか、と、なんだか不思議な気分になる。しかも、これが一昨年フランスで爆発的大ヒットを記録した。フランス人は今、こういうものを求めているのか。  まぁ、これはフランス版『ロッキー』だから、こういうわかりやすい映画が観客のハートを捉えることは、ままある。だが、日本人である僕は、見ながら、これを受け入れるのは、どうかな、と首をかしげざるをえない。単純すぎて、退屈。  こ . . . 本文を読む
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藤田宜永『女系の総督』

2014-07-07 00:29:04 | その他
こういうホームドラマはこれからどんどん生まれてくる予感がする。小路幸也の『東京バンドワゴン』が出たとき、今更こういうアナクロはないんじゃないか、と思ったが、あれを読みながら確信犯的に昭和のホームドラマの世界への回帰をこの世界が望んでいるのではない、とかすかに思った。向田邦子の『寺内貫太郎一家』へのオマージュであるあの作品が、好評からどんどん続編を重ねていき、次第にあの心地よい世界がずっと続くので . . . 本文を読む
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