深田晃司監督が描く世界は小さくて、さりげない。ひとりの女の子が過ごすひと夏の物語。田舎の家での2週間。でも、そこは自然に包まれた美しい風景ではなく、ただのしょぼくれた地方都市でしかない。
18歳の夏。受験したすべての大学に落ちて浪人を余儀なくされる朔子(二階堂ふみ)。これは、そんな彼女が叔母(鶴田真由)と共に過ごす2週間のスケッチ。
彼女のひと夏の体験(成長)を描くとか、そんなのではない。恋 . . . 本文を読む
歌人でもある東直子の描く世界は通常の小説家の書くものとはいささか趣を異にする。彼女は物語を語ることよりも、描かれた世界を見せることに腐心する。お話には重きを置かない。そんな彼女が今回「物語」に挑んだ。7つの怪談は紀州の森で、山の中で、海で、暮らす老女たちの妄想かもしれない。
ただの不思議なお話、という括りでは収まらない。これは真実の物語ではないか。このいくつもの悲しい物語は100年、千年の時代 . . . 本文を読む