前作から4年になる(らしい)。再び止村の人たちが帰ってきた。ちょっとヒットすると、翌年には安易な続編が横行する中、満を持しての登場である。というか、この本が出たときには、最初は「おまえもか、」と思った。だから、ちょっと手に取るのが遅れた。だが、躊躇する必要なんかなかったのだ。これは、実に素晴らしい視点を持つ続編だ。まるで安易ではない。というより、まったく新しい視点からあのお話のその後をちゃんと描 . . . 本文を読む
たった90分の映画なのに、この豊かさ。これってほとんど奇跡だ。もちろん、それを原監督は軽々と見せる。(そう見えるけど、これを作りためにはどれだけの時間と技術、熱意と才能が必要だったかは語るまでもない。)
これといったストーリーなんか何もないにも関わらず、至福の時間が、そこにはある。(きっと、真紅組が『夢ばかり』で目指したものは、この映画のような世界だったのではないか?)冒頭の橋の上でたたずむ長 . . . 本文を読む
真紅組が今回、大正ロマンに挑戦した。ベル・エポックだ。だが、それはほんの短い夢でしかない。だが、誰もがその時ささやかな夢を見た。そんな愛おしい時代の幻のような時間を、いつものようにみんながあつまって無為な時を「やり過ごす」そんな幸福として描いた。
脚本の阿部遼子さんと演出の諏訪誠さんの黄金コンビは、決して大事(おおごと)として、彼らの物語を見せようとはしない。時代に埋もれていく庶民の哀歓をきちん . . . 本文を読む