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映画・演劇のレビュー

劇団白色『大莫迦者絵巻』

2024-11-09 17:56:00 | 演劇
今年もウイングカップがやってきた。なんと欠かさず連続15年である。ウイングフィールドのスタッフと若い演劇人たちの努力の賜物。ということで、これはその第1弾。劇団白色の芝居を見るのは2度目。大川朝也、渾身の一作。舞台美術は客席から舞台を横切る墨絵巻。圧巻である。ひとりの若者が雨やみを待っていた、という冒頭の設定は芥川龍之介の『羅生門』を思わせる。そこにナレーションがかぶさる。ここまで全編ナレーション . . . 本文を読む
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劇団往来『わさんぼん』

2024-11-09 14:27:00 | 演劇
今回の劇団往来はなんと3本立である。タイトルの『わさんぼん』は『話三本』。語りと狂言、そして物語。盛りだくさんの2時間10分だ。まずは一人語り「要冷蔵の愚行を繰り返す男」。座長の要冷蔵が自分の体験を語る。小話にすらならないくらいの短いお話を5.6本。(いや、もうちょっとあったかも)続く狂言『食道楽』は、男性キャストによる往来らしい狂言チックなコメディ。耳、鼻、目、口。さらには胃、手、心。キャラクタ . . . 本文を読む
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町田そのこ『わたしの知る花』

2024-11-09 08:57:00 | その他
ようやくホッとする小説を読む。だけどそれがなんと町田そのこだなんて、笑える。いつもキツいなと思う小説ばかりの彼女に今回ばかりは救われる。   『スピカ』は厳しかった。長くて苦しい小説で読んでいる間の3日間は気持ちが重かった。だけど途中で投げださなかったし、耐えた。もちろん悪い小説じゃない。それどころか、とてもいい作品だと思う。ただ、重い。さまざまな病気を抱えた人たちの痛みと向き合う。 . . . 本文を読む
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『本心』

2024-11-09 05:50:00 | 映画
まさか、あの石井裕也監督がSF映画を作るだなんて。これは思いもしない作品である。だけど、これくらい彼らしい映画もない。亡くした母を思う。仮想空間上に任意の“人間”をつくるという最新技術「VF(バーチャル・フィギュア)」を通して死んでしまった母親を再現し、隠していた母の本心に迫る。SFと書いたけど、必ずしもそういうわけではない。それどころが、ほんの数年後にはこれくらいのことはなんでもない現実になった . . . 本文を読む
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