こんなアホな小説を読んでいる。情けないけど呆れるくらいに面白い。作者キタハラって何？ ちゃんと名乗れよ、とツッコミ入れたくなる。カバーのバカなイラストは何？ 低俗な安い漫画ですか？ これは底辺男子校を舞台にした三馬鹿トリオの奮闘記。だと、思った。しかし、そんな甘いものではない。お話は後半に入り怒濤の展開を見せる。３人の話からスタートしたはずのに、気がつくとクラス全員を、さらには担任まで巻き込んでヲ . . . 本文を読む
サブタイトルには『父の昭和スケッチブック』とある。これは小手鞠さんの父上のノートを下敷きにした作品である。作品というより記録。すでに児童書として刊行されている『川滝少年のスケッチブック』の続編でもある。昭和を生きた（令和の今も生きている！）小手鞠さんの父の書いたノート（４冊のスケッチブック）を彼女が感じたことを通して一冊の本にした。父と娘によるコラボ。1931年からの日々が綴られる。6夜（全体は６ . . . 本文を読む
最後まで読んだ。ラストの阿波踊りのシーンでは涙が溢れた。これは戦後初のろう理髪師を描く感動の歴史劇ではなく、自分の祖父の過去を追体験するものでもない。これはそんな立派な祖父の人生を知ること、そのことを通してまだ何者でもない今の自分が何者なのかを見つめるための旅だ。２度の短い徳島行きをお話（伯母と祖母に会う）の中心に据えて、祖父の記憶を巡るさまざまな人たちとの出会いが描かれる。直接祖父自身のドラマが . . . 本文を読む
