習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『僕らのミライの逆回転』

2009-06-22 20:57:15 | 映画
 こういうアナログのハンドメイド映画がミシェル・ゴンドリーの得意技なのだけれども、すごく甘くて、緩くて、なんか見てるとだんだん眠くなってしまう。『エターナル・サンシャイン』1本だけの人だったとは、まだ言わないけど、あれだけが突然変異のような傑作で、他はただの趣味の映画の域を出ない。

 今回もビデオレンタル屋(DVDではないところも、彼らしい)を舞台にし、この店のすべてのビデオから画像が消えてしまうという事件から話はスタートする。そこで何をするかというと、しかたないから自分たちで失われた映画を作ってしまうのだ。なんとバカバカしいお話か! こういうどうでもいいような話を本気で作ってしまう。『ゴースト・バスターズ』とか『ロボコップ』という誰もが知ってる大作映画に始まり、さらには『ドライビング・ミス・デイジー』のようなものまで、自作自演で映画化して、それを平気で店に出し、レンタルする。バカとしか言いようがない。

 だが、そんなアホな映画が評判になり、小さな店には長蛇の列が。調子に乗って続々と新作を撮影し店に並べる。ジャック・ブラックとラッパーのモス・デス(という人)が、周囲の人たちを巻き込んで、手作り映画を嬉々として作る。まぁ、実際はジャック・ブラックにモス・デスが巻き込まれるといういつもパターンだ。(ジャック・ブラックが出るといつも同じ展開になる。ほんとにお騒がせ男だ)子供がビデオ片手に遊んでいるだけなのだが、素人映画は大評判。

 なんだか平和でのどかな世界だ。正直言って、こういうラフな映画(劇中劇である映画も含めてである)は映画として認めがたい。マニアックで究極のプライベート・ムービーなのだが、ストーリーも穴だらけで、ほのぼのして暖かくて優しいタッチは悪くはないが、残念ながらこれではまともな映画とは言えまい。ただの趣味の映画でしかない。


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