調子に乗って、この10日ほどで10本の映画をDVDで見た。見たかったのは『光』と『ヘブンズ・ストーリー』だけど、TSUTAYAが準新作100円、新作200円のセールをしていたのが、原因で他の映画もたくさん借りてしまった。
今年のベストワンである石井裕也の『夜空はいつでも最高密度の青色だ』も、DVDになったからもう一度見た。劇場で見ているから、もういいのだけど、ついついもう一度見てしまった。凄い映画だった。断然、今年のベストワンだと再確認した。見逃していた『サクラダ・リセット 前篇』も見た。後篇は劇場で見ているのに、前篇の公開が早々に終わったから(一気に前後篇を見るつもりだったのに!)見られなかったので。こんな変則的な見方をすることになるなんて、なんだかなぁ、である。
『尚衣院 サンイウォン』は朝鮮王室の衣装を手がける“ デザイナー”たちを主人公にしたドラマ。こんな地味な題材を取り上げて、こんなにも華やかに、面白く見せたのは驚きだ。宮中の内紛を描く映画なら(ドラマも)山盛りあるけど、衣装デザイナーを主人公にして、ふたりの友情と対立という図式を、王と妃の確執を背景にして描くという構造も見事。自由自在にデザインする若いデザイナーをコ・スが演じ、宮廷のお抱え職人をハン・ソッキュが演じる。このふたりをライバルとして配するのだが、単純な彼らの戦いではなく、お互いの違い、共鳴するもの、価値観、状況が複雑に絡み合って、単純なバトルにはならないのがいい。
イタリア映画『大人の事情』は拾いものだった。テンポのいい会話劇。原作は舞台劇か、と思わせる。久しぶりに集まった7人の男女(3組の夫婦と、恋人が病気のためひとりで来た男)が主人公。男4人は昔からの友人。女性はその配偶者。彼らが、自分たちには秘密がないから大丈夫、とケイタイをテーブルの上に置いてメールや電話をオープンにするというゲームをする。誰にでも秘密があるし、知らない方がいいこともある、という映画なのだが、実に上手いシチュエーションコメディ。
そのほか、キム・ギドクの新作『THE NET』、話題になったアクション映画『アシュラ』(残酷!)ヴェンダースの久々の新作『誰のものでもない』や、足立紳の『グローイング・アップ』(懐かしい!)を思い起こさせる青春映画『14の夜』なんかも見たけど、感想は又の機会に。