
とうとう映画を見にいった。緊急事態宣言下で、大阪ではほぼすべての映画館が休業中だ。3週間以上映画を見ることができない日が続いているが、さすがにもう我慢の限界だ。不本意だが、兵庫県まで出張して映画に向かうことにした。TOHOシネマズ伊丹で2本見てきた。兵庫では土日は休業だが平日は7時まで上映しているから、仕事のある人は映画は見れないけど、休みを取るか、仕事をしないか、すれば見れないわけではない。
暗闇の中、大スクリーンで映画を見る、という当たり前のことがこんなにもうれしい。(ガラガラの劇場は寂しいけど、)映画が見られることの喜びに浸れるだけで大満足だ。新作は公開延期になったり、選択肢はあまり多くはないけど、そんな中からこの1本を選んだ。ガイ・リッチー監督お得意の犯罪映画だ。オールスターキャストの派手な作品だと思い、映画らしい映画で、これなら楽しめるか、と期待した。
しかし、なんだか話がよくわからないし、多彩なキャストの人間関係がごちゃごちゃしていて、前半は混乱してしまい、ついていけないのではないか、と心配した。よくわからないし、つまらない。せっかく劇場で映画を見ているのに、もったいない、と。だけど、人間関係はなんとなく整理されてきて相互の関係性が頭に入ってきたところから、面白くなってくる。作り手はとても丁寧に相関図を頭で組み立てているのだろうけど、それを一見さん(当然だろ!)である観客にわからせるのは難しい。当然自分たちはわかっていてちゃんと話を組み立てているのだろうけど、伝わりにくい。だから最初は「大丈夫か?」と不安になったけど、大丈夫だった。よかった。
出てくる奴らがみんな悪い奴らばかりで、そんな彼らの騙しあい、腹の探り合いを、あの手この手で見せていく。やられたらやり返す。北野武の『アウトレイジ』のイギリス版と、どこかに書いてあったような気がしたが、たしかにあの映画に似ている。これも「全員悪人」だ。ハリウッド映画のような派手なバカアクションではなく、しっかりお話で見せながら、娯楽映画として、しっかり見せ場も用意している。最後の最後のどんでん返しも面白い。どんだけワルやねん、と突っ込みを入れたくなるような映画らしい映画。こういう映画は徹底的にやらなくてはつまらない。その点、この映画は手加減なくやりまくるからいい。しっかり見ていたら、楽しめる。ということは集中して映画館で見るべき映画なのだ。よかった。